Hatena::ブログ(Diary)

Weisse falsche Bewegung

2013-01-08 コペンハーゲン August Blom

一時帰国していたが、コペンハーゲン経由でベルリンに戻った。

10日程度で東京にいたのは4日ほど。その割にはいろいろな人と会えてありがたかったが、とんぼ帰りという感じはぬぐえない。

次は発表なども入れて、もう少しゆっくりしたい気もする。

コペンハーゲンでは、時差ボケでもうろうとしつつも映画アルヒーフに行ってきた。コペンハーゲン到着が既に17時だったので、資料調査などはせず場所だけ確かめようと思ってふらりと立ち寄ったら、この日はたまたまサイレント映画の上映だという。生伴奏も入るとのことで喜んで入場したものの、一向にピアニストは現れず、結局伴奏なしでサイレント映画をそのまま上映し始めた。ピアニストドタキャンとかあるのか。しかも、15人くらいいた観客は特に文句も言わず、ため息だけついてしょうがないかという感じ。

とはいえ、映画『Verdens Untergang』(監督:August Blom、1916年)はなかなか迫力があった。さすがはAsta NielsenとDreyerの国。サイレント期のデンマーク映画が比較的豊富に見れるのもこのアルヒーフのおかげだ。(http://www.dfi.dk/English.aspx)

盲点だったが、調べてみるといろいろ面白いものも見つかりそう。ドイツフランスイギリスあたりの初期映画業界とどれくらい繋がりがあったんだろうか。上映会もかなり盛んな模様で、年始から意外な出会いであった。

2012-12-23

年の瀬

昨日フンボルト大のコロキアムでの発表を終え、今年の授業は終了。

発表内容は映画『4億人』でのハンス・アイスラーによる映画音楽に関するもので、発展させて何らかの形で人の目に触れるものにしたい。アイスラーが初めて12音技法映画音楽に用いた作品です。監督はJoris Ivens。

夜は季節柄《ラ・ボエーム》を聴きに行く。もちろん、プッチーニの方。

2012-12-17

タンホイザー@ドイチェ・オーパー・ベルリン、演出:Kirsten Harms、指揮:Constantin Trinks

豪華な歌手陣に惹かれ、原稿書きの合間にドイチェオーパーの《タンホイザー》を聞きに行く。

TannhäuserはPeter Seifert、Wolfram von EschenbachはChristian Gerhaherだった。期待に違わぬ好演で満足。

ネタばらしになってしまうが、Elisabeth/VenusはPetra Maria Schnitzerの一人二役で、他にもClemens BieberやAin Angerなどが登場。

指揮のConstantin Trinksは、ドイチェオーパー初登場だったがオケを良くまとめていた。現在の本拠地はダルムシュタット歌劇場のようだが、パリ、ミュンヘンなどへ活動範囲を広げている模様。来年1月には東京新国立劇場でもタンホイザーを振るらしいので、在京の人にはおすすめです。

2012-12-11

DVD 《今日から明日へ》@Teatro la Fenice、指揮:Eliahu Inbal、演出:Andreas Homoki

雪が積もったベルリンで、今学期2度目の風邪でダウン。不摂生には気をつけねば。

外出して悪化させるのもなんなので、夜は購入してあったDVDを見る。

Von Heute Auf Morgen [DVD] [Import]

Von Heute Auf Morgen [DVD] [Import]

2008年、ヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場での《今日から明日へ》。演出は今シーズンからチューリッヒ歌劇場の監督となったAndreas Homokiである。昨シーズンまではベルリンのKomische Operの監督で、日本でも上演されたプッチーニラ・ボエーム》を始め、ヴァーグナーマイスタージンガ―》、スメタナ《売られた花嫁》、R.シュトラウスばらの騎士》、ヴァイル《マハゴニー市の興亡》、そしてプロコフィエフ《三つのオレンジの恋》などなど、魅力的な舞台を多く残してくれた。ベルリンの財産である。

今日から明日へ》は、登場人物が5人(1人は子役で歌唱なし)で、Homoki演出の特徴である舞台を縦横無尽に掛け回る合唱団はいない。舞台装置は、舞台中央に置かれた白地のソファーのみ。舞台背景となる黒地の壁には「現代人って何?」というラストでの子供のセリフが数ヶ国語で書きつけられ、冒頭から強調されている。文字のフォントは様々だが色はすべて白。大きな白地のクエスチョンマークが特に目を引く。

 夫と妻の会話が続く前半は、舞台上の動きが少なく、Homokiが《マイスタージンガー》や《売られた花嫁》で生み出していたようなキネティックな演劇性には欠ける。歌手陣はレチタチィーヴォ風の箇所と旋律的な個所をきちんと歌い分け、なかなかの好演。オーケストラも、アクセントや特殊奏法、金管の鋭い響きなどをコミカルに強調してクリアな響きである。後半の4重唱ではダイナミックな動きも加わり、Homoki演出の魅力の片鱗も見ることができた。

 主人公の二人も歌唱からSprechgesangに切り替わる最後のシーンでは、背景の黒字の壁が最終的に解体され、ソファーに乗ったテノール歌手と妻の友人は舞台の外へ追いやられる。壁のクエスチョンマークすらばらばらに千切れてしまい幕切れ。何とも言えない余韻が残る。作品の構造上、Homoki演出の魅力がすべて発揮されている訳ではないように見えるが(あるいは、ヴェネツィアで実際に見てた人がいたら、生の舞台では歌手陣の動きにどれぐらいインパクトがあるのかぜひ教えて欲しい。)、このオペラの魅力の中心が、作品が聴衆に残す「クエスチョンマーク」にあることを改めて実感。そこを上手く引き出している点で明快な演出である。あるいは、そうした問いそのものを問うているのか?とも考えさせられる。

ストローブ/ユイレの映画化(指揮:ミヒャエル・ギーレン)と並ぶ重要な上演資料で、ありがたい限り。ベルリンの州立歌劇場でも再演されないかなぁ。

2012-10-20

ドイチェ・オーパー100周年記念演奏会@ドイチェ・オーパー

ドイチェオーパー100周年記念コンサートに行く。

Alberto Zeddaは、きびきびとした強奏から、大胆に歌い回す旋律まで、ロッシーニの魅力を最大限に引き出してくれた。

1月のTankrediで再びドイチェオーパーのプルトに立つようだ。聞き逃せない。登壇時も演奏後も一際大きな拍手に包まれていた。

市長のWoweleitも出席しており、ベルリンで三つの歌劇場を維持しつつ、一つ一つの歌劇場が個性を出し競い合いながら共存していくことを宣言。これにも大きな拍手。本人は西ベルリンの出身で、子供のころに良く来たのはやはりドイチェオーパーだったとのこと。ただ、先生のつてで、壁の向こうにあるコーミッシェ・オーパーに行って、そのスタイルの違いに驚いたそうだ。

ドイチェオーパー、日本との関係の深さ(この劇場の来日公演のおかげでベルクヴォツェック日本初演はかなり早い段階で実現している)はもちろん、ベルリンで演奏会、劇場に通う身にも大切な劇場の一つ。オーケストラの出来には波があってひどい時はひどいのだけれど、2012年のシュノーポリの命日に演奏された《ラ・ボエーム》の演奏などは忘れられない。今シーズンのラッヘンマンマッチ売りの少女》もとても良かった(http://www.youtube.com/watch?v=RngQlsWbbGE)。

フィガロの結婚》や指輪などはフリードリヒの演出などがかかっており、Stölzlのヴァーグナーは今後も期待大だ。DVD出版も充実しているし、今後も楽しみである。