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2003-06-30

続・著作権法における積極否認について 続・著作権法における積極否認についてを含むブックマーク

前回のお話はこちら。

http://d.hatena.ne.jp/shiranui/20030624

あれから考察を深めて、やはり、バーチャルネット法律娘 真紀奈17歳さんは、この条文の解釈というか、法的意味合いを誤解しているとの思いを強くしました。

真紀奈さんは現在、HotWired上のデジタル虎の穴でトークをされています。

その過程で、読者の「ふらっと3」さんより以下の意見が出されました。

http://www.hotwired.co.jp/nwt/030624/msg00014.html

そして、いろいろと議論されている「説明義務」のところですが、これは実は問題となる規定

でも何でもないのです。実は、すでに特許法を初めとする工業所有権法という知的財産法の

一分野ではすでに取り入れられている制度です。それが効を奏しているので、今年の法改正で

不正競争防止法と著作権法にも取り入れられたものと理解しています。

どういうことかを説明しますと、特許法の104条の2という規定があるのですが、

これは「具体的態様の明示義務」または「積極否認の特則」とも言われるのですが、

従来は、権利を侵害した者を訴えても、「知りません」「やってません」と否定するだけで

済ませようとすることが多いわけです。でも、特許権の場合であれば、訴える側は、

侵害者が実施しているものの現物は手に入れることができても、その設計図とか、

製造するための機材は相手方の手元にあるわけで手に入れることはできません。

そうすると裁判所は判断したくてもできないわけです。少なくとも相手方の主張を

否定するのならその理由くらいは明らかにしろというのが積極否認の考え方で、これは民事訴訟の原則

なのです。これを具体的な要件として規定したのが特許法104条の2であり、今度の

著作権法の規定なのです。誤解されやすいところですが、この規定は決して立証責任を訴え

られた側に課すものではありません。ですから、やっていないということを証明しなければならな

いということではありません。「知らぬ存ぜぬ」だけではダメですよ、ということです。

「ふらっと3」さんは、特許法に詳しい人だなと、読んでて分かります。

私も、この方の意見とほぼ同じです。

真紀奈さんは、「実質的に」立証責任の転換だと主張して自説を曲げておりません。

http://www.hotwired.co.jp/nwt/030624/msg00015.html

しかし、この著作権法第百十四条の二によって、訴えられた側が立証できなければ、著作権侵害だなんて、どこにも書いてないし、また、実質的にも転換されるものではないのですよ。

この条文が適用されるシチュエーションが、真紀奈さんが考えているところは違う場面なのですけどね。・・・分かっていただけない。

真紀奈さんの書き込みに逐一コメントするのは気が引けるのですが、やってみます。

真紀奈さん曰く、

特許権の場合は発効日は特許庁で調べればわかります。そして、似ている

かどうかも判断がしやすいでしょう。技術に関する物ですしね。そして、

似ている場合、先行するものを真似しているかどうかに関わらず侵害とさ

れますから、侵害者とされる人の側がするのは、特許が無効であるという

主張か、自分の技術は似たものではない、ということになるでしょう。そ

して、その判断は裁判所側に結構客観的な判断が可能です。

特許発明が公報により公示されるのは確かです。

しかし、発明は抽象的な「技術的思想」です。そのため、係争物がその技術的思想としての発明特定事項の全てを具備しているかの判断は、かなり難しいです。

例えば機械の外見だけ見ても、どういう仕組みで動いているかは分からないことが多いでしょう。だから、特許権者は、係争物が自己の特許権を侵害しているかどうかが判断できないことがある。

特許法の積極否認の規定は、このような場面で使われるのです。

次に、特許法では、係争物が発明特定事項の全てを具備している場合であっても、その特許発明についての特許出願前から実施している場合は、侵害になりません(特許法第79条)。門外不出のノウハウに関するもの等で、結構あります。

このような場合は、特許発明を知らないで実施していることが必要です(同条)。

でも、この特許発明を知らないで実施している人、物に積極否認の規定の適用をするなんて考え方は、特許法ではしません。

次に真紀奈さん曰く、

著作権の場合、事情が異なります。著作権は本当に適当に発生しています。

そして、メディアに載るような著作物ならともかく、ネットで発表したよ

うな著作物だとそもそもいつ発行したかを証明する手段が難しいです。

訴えられる以上、ある程度似ているとして、そうだとしたら、訴えられた

側は、自分の著作物が先行して創られているんだという主張をするか、

似ていないという主張をするか、ということになるでしょう。

真紀奈さんが、積極否認の条文が適用される場面を誤解していることが窺える文です。

訴えられる以上は、ある程度似ているはずだと考えられているようです。

しかし、訴える側からすれば、その前に、似ているかどうかすら分からないってことありますよね。侵害行為があるようだけど、その物が手に入らないとか、プログラムを解析しても、ソースが似ているか分からないとか。

そんな時に、その物を出しなさいよ、ソースを見せなさいよ、というのが積極否認の規定です。

次に、訴えられた側の主張は、上記で書かれているとおりと思います。

しかし、それは、積極否認の規定が導入される前の著作権法でも同じです。

次に真紀奈さん曰く、

条文上は、制作した態様を説明するなどする事になっているわけですけど、

真紀奈にもよくあることですけど、「道を歩いているときにふと思い浮か

んだ」で説得力があるはずもありませんし、それを「具体的態様の説明」

と言い得るかどうかも謎です。なにかを元にして創っているのであればと

もかく、生活の中で得ていたものから思い浮かんだような場合、説明のし

ようがないでしょう。

ここも、真紀奈さんが条文を誤解していることが窺える文です。

積極否認についての条文における「具体的態様」は、「いつ、どのような過程で制作されたか」という意味ではありません。

「どのような著作物であるか」という意味です。前の例でいうと、権利者が手に入らなかった物や、ソースの中身のことです。

次に真紀奈さん曰く、

こういうときに、「具体的態様」が説明できていない、つまりそれは「否認」

ではないという論理が働いてしまったりすると負け決定です。

積極否認の規定の適用場面を誤解されているので説明しにくいです。

著作権者が著作物に基づいて類似のものを作ったとの主張をして、これに対して訴えられた側が、真紀奈さんが想定している、「自分の著作物が先行して創られているんだという主張をする」という場面において、先行して創られていることを反論できなければ、訴えられた側が負けるであろうことは、積極否認の規定が導入される前でも同じことです。

今回の法改正で変わったのではありません。

実際の積極否認の規定が適用される場面を考えると、権利者が手に入らなかった物や、プログラムのソースを、訴えられた側が出さなかったとしても、そのことにより直ちに、訴えられた側が負けの判決が出ることはありません。

(ただし、訴えられた側が物を出さなければ、裁判官の心証悪いです。)

次に真紀奈さん曰く、

他にも、相手側がある程度似ているということを言い得て、自分の著作物

のことを「テレビ等でも放映されていて知っているはずだ」ということを

言い出したとき、侵害者とされた側の説明が曖昧であれば、裁判官の判断

は、侵害であるという風に傾きがちになるのではないでしょうか。

だとしたら、結局、訴えられた側は自分がその著作物に触れていないこと

を証明せざるを得なくなるのではないかと思われます。そうであれば、独

立した著作物であると認めらますが……ほとんど不可能な証明です。

このことも、積極否認の規定の導入前の著作権法でも同じです。

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