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2006-12-09

[]コンテンツの利用とアクセスコンテンツの利用とアクセス性を含むブックマーク

と、いうのを考えてみる。


著作権の存続期間を延長するか否かについて、ネット又はそれ以外で議論されている。

例えば、著作権保護期間の延長問題を考える国民会議というのがある。

http://thinkcopyright.org/

この中で、発起人の一人である福井健策氏は、存続期間延長時の死蔵と創造サイクルの分断について懸念を述べられている。

http://thinkcopyright.org/chuko0610.html


存続期間延長時の死蔵

その懸念について考えるときに、「著作物は、著作権の存続期間の長短にかかわりなく、経済的合理性から大半は死蔵する性質を持っている」ということは考えたほうがいいと思う。

売れもしない書籍を、出版を継続させる義務を出版社や流通業界に負わせるのは無理だ。

将来的に、GoogleかMicrosoftか公共機関かが、すべてのコンテンツをアーカイブするようになるかもれないが、現状では不可能だ。

漠然と「死蔵するから存続延長には反対だ」という意見ネットで見かけるが、もう少し具体的に述べないと、「死蔵、死蔵」だけでは妥当性に欠ける。

死蔵量が増えるのか増えないのとか、もう少し具体的に述べたほうがいいと思う。


「青空文庫」が困るという意見もある。青空文庫が、著作権切れの著作物のみを公開するという方針であれば、延長によって、一時的に活動は停滞するだろう。

しかし「青空文庫」が困るから反対だというのでは、「青空文庫」に、著作権切れの著作物をすべて公開する義務を負わせることになりはしないか。青空文庫には、その義務を履行することは無理だ。青空文庫を理由に存続期間の延長を反対するのは、却ってマズイと思う。

私は、「青空文庫」は、存続期間が切れていない著作物を、著作権者の許諾を得て、有料ででも公開できるようなシステムにしたほうがいいと思う。


著作権者は、自らの作品、又は著作権を譲り受けた作品を、他人に見てもらいたいと思っていることは、間違いがないと思う。死蔵しているのは、著作権者の意思ではないのだ。著作権者は、商用利用されていない著作物なら、利用したいという提案があれば、喜んで使ってくれというだろう。

だだ、著作権者が有用だと考える作品であれば、他人に見てもらうことに対して、対価を求めるかもしれない。商品としての価値があるものなら、お金の色目との関係になるだろう。


著作権の存続期間が切れるということは、結局、著作権者の意思にかかわらず、無料で利用することができるということだ。商用利用されていない著作物については、著作権者は、喜んで使って欲しいと思うだろう。その気持ちを考えると、存続期間の延長問題は、商品としての価値があるものを、利用許諾を得る得ないかの問題ということだ。

有料と無料とでは、違いが大きいのは分かっているが、商品としての価値のあるものは、利用許諾を得られるだろう。

利用許諾の困難性と、著作物の期間の問題とは異なる。


著作権の存続期間は、著作物が利用されることとは、あまり関係がない。

そして、存続期間は、著作権者の得る利益と利用者の利益とのバランスで定めればよい。


創造サイクルの分断

古い作品は常に新しい作品のための創造の源泉であることは分かる。しかし、存続期間よりも、古い作品にアクセスできることのほうが、創造のためには重要である。存続期間は、著作物アクセスできることとは関係が薄いから。

著作権の切れたLPレコードの音楽は、著作権の切れていないiTunesで購入できる音楽よりも創造の源泉となるのだろうか。まさか。レコードプレーヤーを持っていない人には、iTunesで買える曲のほうが、よほど創造の源泉だろう。

存続期間が切れても、青空文庫に載っていない作品は無数にあって、それよか、Webや携帯電話で有料公開されている文章のほうが、よほど創造の源泉だろう。

アクセスできること、これこそが創造の源泉ではないか。存続期間というのは、本質的には創造の源泉ではないのだ。

価値があるものが無料で利用できないと、創造のサイクルは絶たれるのだろうか?私は、そうは思わない。

アクセス性と存続期間とは、青空文庫などを考えれば相関はあり得るが、弱い相関だと思う。


著作権が相対的な権利であり、著作物が代替可能であることは、著作権の存続期間の延長問題を考えるときに、頭に入れておいたほうがいいと思う。

一つの著作物が他の著作物を創造するときに欠かすことができないような状態なら、著作権は強力だ。しかし、豊富な文化の土壌上で、他の著作物によっても、他の著作物を創造できるのであれば、著作権は強くない。


延長の弊害の検討

既に他国で存続期間が延長されているから、他国で死蔵しているか、創造サイクルが分断されているかを調べると良い。

著作権の延長が、インセンティブにならないというデータは、延長の弊害とは関係がない。


延長の合理性の検討

国際調和って、意味が分からないという意見を見るが、国際調和とは、「外国において日本の著作物差別的な取り扱いをされない」ということだ。

「外国において日本の著作物差別的な取り扱いをされない」ということには、合理的な理由になると思う。

著作権法は、過去に生まれた著作物保護するばかりでなく、これから将来的に生まれる著作物保護するためのものである。将来的に生まれる著作物が、外国で差別されても構わないのかどうか。


50年前においては、日本は文化が先進国に劣っていたろう。今はどうなのか。将来はどうなのか。日本の文化の輸出は、日本文化の振興に役立つのだが、輸出を促進させなくてもいいのか、促進まではいかなくても、他国と平等な環境を作るのはどうか。外国での不平等を是正するのはどうか。


利用者の利便に対して、著作権者の利益はバランスが取れているのか。

著作物が孫の代まで保護されるのは、おかしいという意見があるが、ベルヌ条約で定められている最低限の保護機関である50年は、直系三代で保護されることが合理的であると考える国が多かったために決められた数字であり、孫まで保護されること自体は合理的である。

私は、70年という存続期間は、著作権者の利益を、1.4倍にするためのものだと考えている。

著作権者の利益を、1.4倍にすることの得失を、バランスで考えればよい。

kentakenta 2006/12/10 00:46 はじめまして。「著作権の存続期間とアクセス性には、あまり関係がない。」とのことですが、国立国会図書館の「近代デジタルライブラリー」は著作権の保護期間の切れた本を約12万7000冊デジタル化してインターネットで公開しています。あまり関係ないどころか、大いに関係があると思います。
あと、ベルヌ条約で定められている死後50年という最低限の保護期間は、「直系三代で保護されることが合理的であると考える国が多かったために決められた数字」とのことですが、このあたりの経緯について詳しく書いてある本がありましたら教えていただけないでしょうか?

shiranuishiranui 2006/12/10 11:42 kentaさん、
著作権の存続期間とアクセス性とは、存続期間の切れた著作物が公開される程度如何にも関わってくると思います。

ベルヌ条約については、東京都中央図書館に収蔵されている「ベルヌ条約逐条解説」第51頁に、「著作者とその直系の子孫の平均的な生存期間即ち3世代が含まれるのが公正かつ正当であると、考えた国が多かったのである。」と、書いてありました。エントリーのように「合理的」とは書いてなかったですが、私がエントリーで書きたかったのは、このベルヌ条約逐条解説の内容です。
日本政府の見解も、それに従っているようです。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b165014.htm

kentakenta 2006/12/11 02:58 ご返事ありがとうございます。
「ベルヌ条約逐条解説」は名前だけは知っていて、以前から読みたいと思っていました。絶版のようですので、オンライン古書店で探しているのですが、出物がありません。図書館を利用するしか手はなさそうですが、なかなか開館時間に間に合いません。アクセス性が低いために、利用したい(購入したい)のに死蔵されている例はたくさんありますね。

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