山林火災による二次拡散」で揺らぐ福島県の“安全”根拠 4

【転載の続き】
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/215978.pdf)。福島県は出火後早い段階で放射性物質の二次拡散に関して“安全宣言”とも言えるような情報発信を始めたが、やはり拙速だったと言わざるを得ない。
 確かに、林野庁発行のパンフレットは「山火事によって放射性物質が森林から外に飛散する心配はないですか?」という問いに答える形で調査結果を示しているので、一般論として、山林火災による放射性物質の二次拡散は無いと結論付けているように読んだ人が誤解しかねない表現となっている。そもそも原発の爆発による放射性物質の拡散は日本では初めてのケース。事故で汚染された森が燃える事でどの程度、放射性物質が飛散するのかデータが乏しいのが実情だ。しかも高濃度に汚染された帰還困難区域での大規模な山林火災は初めて(2015年3月に浪江町内で10ヘクタールを焼く火災はあった)。
 公益社団法人日本アイソトープ協会は、2014年6月に刊行した書籍「セシウムのABC」の中で「個人の意志で避けることが難しい福島原発事故放射線影響」とした上で、内部被曝の防止について「空気中に多くの放射性物質が混入し、正にほこりやガスとして浮遊、移動しているときは、放射性物質を体内に取り込まないように、マスクやハンカチで鼻や口をふさぎます」と触れている。しかし、現実の対応は行政や地元メディアによる「大げさ」、「デマ」という言葉での“懸念封じ込め”だった。事態が現在進行形で、十分なデータが揃っていないにもかかわらず、6年前と同じ動きに終始している。
林野庁森林整備部研究指導課の放射性物質影響評価官は、取材に対し「パンフレットは、調査結果を基にするとこういう結論になりますよ、という事を示している。判断材料の1つにはなると思うが、決して普遍的なデータでは無いので、これをもって浪江町の山林火災で放射性物質が二次拡散していないとは言い切れない」と話した。せめて注釈を付記するよう求めたい。
(了)
【転載終了】
タイベックスの上に耐火服、全面マスクを着けて、20Lの水タンクを背負い、2時間道無き山を登っての消火作業、困難さは想像を絶する。おそらくは、全面マスクを外し、水を飲まなければ、熱中症で倒れてしまうだろう。消火作業用航空機など、これからも頻発するであろう山林火災への備えを強化すべきだ。