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Paradism このページをアンテナに追加 RSSフィード

2012-09-26

負けヒロインの美学とは

「勝者がいれば敗者がいる」というのは勝負ごとにおける鉄則ですが、それは恋愛においても同じであり、主人公のハートを射止めたヒロインの裏側には大抵の場合、志半ばでその道を諦めたもう一人(場合によっては数人)の少女の姿があります。

けれど、それだって彼女達にもプライドはある。「あーこれは駄目かも分からんね」 と思える状況下でも、やはり彼女達は立ち向かうのです。だからこそその姿は尊いし、あんなにも受け手の心を揺さぶってはその存在を際立たせる。その健気さと、愛しさと、強さといったらないでしょう?



case1 : ましろ色シンフォニー/乾紗凪

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素直になれない性格と、けれどそれでも主人公に少しずつ惹かれていくその様を観ていればどうしたって、その背中を押さずにはいられなくなると言いますか。本音と建前の使い分けが下手な分、そこから滲み出る好きの気持ちが余りにも切なく。

観ているこちらがイラついてしまうほどの意地の張り方も、今になって思えば彼女の苦しさを痛いくらいに体言していたなぁと、思い出すたびに辛くなるのが彼女という存在の本質です。けれど、最後はそういった困難すらも糧にして新たな道を歩み出すのがましろ色シンフォニーという作品の真骨頂。



case2 : 星空へ架かる橋/日向伊吹

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引き続き、自分の気持ちに素直になれなかった少女です。紗凪と同じく、恋人同士の擬似体験というものを経験してしまったが故に、現実に目を向けるとそこは余りにも残酷的に見えてしまうというストーリーライン。

けれど彼女もまた朝日に向かい叫び、新たな一歩を踏み出します。素直になれないながらも直向に歩み寄ろうとした彼女の想いは決して無駄にはなることはなく、それが昇華され明日への生きる糧になるところはまさしく負けヒロインの美学です。




case3 : とらドラ!/櫛枝実乃梨


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負けヒロインの美学は 「走ること」 にもその力強さが芽吹きます。辿り着く先が敗北でしかないと分かっていても、その気持ちを曝け出さずにはいられないその想いの強さに触れると、もはや涙が流れないわけがないのです。

友人が彼を好きだという。本当は自分が一番好きなはずなのに、それならばと正面切ってぶつかる強さがとても尊い。



case4 : あの夏で待ってる/谷川柑菜

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突如として現れた先輩に夢も希望も未来もその全てをさらわれた悲痛な少女です。けれど、彼女はそんな主人公の気持ちを知りつつ、それでも私の気持ちも知って欲しいと歩み寄り続けます。

時として 「このまま」 を選んだことはあるけれど、決意を固め全力であなたの元へと駆けていく様はまさに美学。「うん、知ってる」 の台詞から滲み出す新たな門出が本当に最高でした。



case5 : ef - a tale of memories./新藤 景

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幼馴染が恋に敗れるという展開はそう少なくはないわけですが、だからこそそこに至るまでの過程は大切です。ただ仕方ないと諦めるだけでは到底、愛せない。

扉越しに語り掛け、叫び声を上げる彼女の感情の爆発は切なくも感動的な、まさに現実に対する必死の抵抗でした。だからこそ、その先に幸せがあると精一杯の祝福を捧げてあげたくなります。efシリーズ最高のヒロインである新藤姉妹、その片翼。



case6 : さんかれあ/左王子蘭子

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ずっとこのままで、そのうち一緒になると思ってたとかそんな感じの典型例。普通ならその境遇を呪い 「なんなの、あんた!」 となるところですが、彼女は人間であることの付加価値を携え正々堂々、正ヒロインに立ち向かいます。

その美しさは凄まじく、夕陽に向かい叫ぶ 「負けるかー!」 の一言はまさに彼女たち一同の抑圧された感情を代弁していたようにも思います。まさしく負けヒロインの鏡です。



case7 : スマイルプリキュア/日野あかね

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何度転んだって、何度挫けそうになったって、この想い伝えるまでは決して諦めない。夕陽を背に走る彼女の姿はまさに2012年代最高峰の「紛うことなき懸命な少女の雄姿」であったように感じられます。

最後に見せてくれた彼女の笑顔は決して敗北ではありません。実らぬものが、再度芽生えた瞬間。その新たな一歩に少女の成長と努力は映し出されるのです。



case8 : ソード・アート・オンライン/桐ヶ谷直葉

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兄を想い続けたその恋心に終止符を打つことで、仮想空間にて訪れた新たな出会いに再度恋を芽吹かせた彼女ですが、その蕾をも早々に摘み取られるという余りにも悲劇的なヒロイン像。

けれどそうした悲恋を重ねながら 「やはり私はこの人が好きなのだ」 という確信に至るまでのプロセスが凄く美しくて。想い人の下へ駆け出す兄を見送るその姿には明日へ踏み出すための勇気が、辛辣ながらも力強く宿っていたように感じます。



case9 : 空の境界-忘却録音/黒桐鮮花

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「いつからあの人のことが好きだったのだろう」。そうして思い出す兄の横顔の遠さに ”あの日” の想いと、「決して思い出してはいけない」という新たな享受を重ねる辺りが、もう凄ぶる私の敬愛するヒロイン像そのもの。

見上げることを止める強さが美しく、共に並び立ち坂道を下るまでが黒桐鮮花という一人の少女の再生記であったように思います。まさしく強さと儚さを兼ね備えたヒロインの代表格にして、最強の実妹



case10 : 俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる/春咲千和

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幼馴染はやはり負ける。そんな残酷なまでの物語の圧力をその小さな身体全身で受け止めた彼女です。そりゃあ何度だって泣きたくなるし、何度だって傷ついたことでしょう。

けれど、やっぱり私はあなたが好き。好きで好きで大好きで、本当に好きで堪らないから。だからこんな場所では決して朽ち果てない。たとえ此処より先が修羅場でも、この場に至るまでの全ての敗北を糧にして私は大好きな人を絶対に勝ち取ってみせる。そんな彼女の雄姿と想いの発露に惚れてしまうのはもう必然だったのでしょう。



case11 : 桜Trick/園田美月

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この物語においてはただ一人、恋に対し自覚的に抗い続けた彼女です。想い人と妹の関係を知っても尚、諦めることの出来なかった情熱の高鳴りはまさに美学として語り継がれるべき少女の雄姿そのものでした。

物語が彼女に敗北を強い続ける中にあって、「それでも――」と最後の抵抗として額に届けてみせた彼女の口づけは、本作におけるどのキスシーンよりも優美なものであったように感じます。桜が舞うのも、風が吹くのも、きっとそれは世界から彼女に贈られた祝福だったのだと思います。



case12 : <物語>シリーズ セカンドシーズン-猫物語(白)/羽川翼

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「無理だったかも知れない。無茶だったかも知れない。でも、無駄じゃなかった。」 愛したあの人から贈られたその言葉は、しかし羽川翼という少女の本質そのものでもあったのだと思います。

初めて言葉にして伝えた私の気持ち。「知ってる」なんて強がってみせたって本当はあんなにも泣いてしまうぐらい傷ついていた癖に、それでも彼女は「ただいま」とその一歩を踏み出すのだから私からはもう何を言うまでもなく。まさしく、負けヒロインの代表格として語り継がれるべき強さと美しさを兼ね備えた存在であったように思います。



case13 : 秒速5センチメートル-コスモナウト/澄田花苗

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手の届かないもの、手の届かない風景に想いを馳せ、「それでも、私は―」 と真っ直ぐに前を見据えながら走り続けた彼女の姿は、まさに美しいとしか形容する他ありませんでした。

また彼女が残した 「それでも、私は遠野君のことを。きっと明日も、明後日も、その先も。やっぱりどうしようもなく好きなのだと思う」 というあの言葉にはそんな彼女の魅力が全て詰め込まれていたようにも感じます。逞しく繊細で、華奢でありながらも芯の強い。美学が結晶化したような本当に素敵な人だったと思います。



case14 : 響け!ユーフォニアム/吉川優子

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初めて恋をした “あの人の音色” はきっと彼女の縋るべき青春そのものになっていたのでしょう。だからこそそれが “誰かの音色” に塗り替えられてしまうことを彼女は恐れ、戦い、そして負けた。

けれどその敗北は決して物語に屈した少女の弱さを露呈するものではありませんでした。どんなに卑劣な手を使おうとも 「私の青春は絶対に穢させない」 と立ち向かう不器用な少女の姿。その尊さと儚さこそがあの涙の一粒一粒には多く込められていたように思います。本当に自分の好きなことに対しては一途で、一生懸命で。だからこそ負けを知っても尚、あの人の傍を離れようとしない。そんな貴女が私は大好きです。



case15 : 響け!ユーフォニアム/加藤葉月

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最初はほんの一目惚れだったのかも知れません。それでも時間を重ねる内にもっと彼のことが好きになって、恋をして、自分の気持ちに素直になれて。そうして辿り着いた先で彼女が知ったのは、あの人の視線の先に居る想い人が自分ではなかったのだというただそれだけの事実で。

そりゃあ泣いたことだってあったし、一人眠れぬ夜を過ごしたこともあったはずです。けれどそれでも彼女は多くのことと向き合い続け、最後は全力で青く染まる夏の空の下を駆け抜けていくのです。 「また選び直せたとしても、私はまた吹奏楽部に入りたい」。その言葉は紛れもなく彼女の強さを表す尊さそのものであったように思います。



case16 : キズナイーバー/高城千鳥

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あの人の特別になりたい、あの人の傍に居たいと願い続けてきたのに、突如として現れた幼馴染の存在にその何もかもを奪われてしまった彼女です。それでも彼女はありったけの小さな勇気を振り絞って一生懸命に伝えようとします。

あなたを誰かに取られたくない。負けたくない。好きなんだって。途中、諦めかけたことだってあったし、もっと頑張れよと感じたことはありましたが、よくよく考えれば別に彼女は諦め切った訳では決してないんです。だからこそその努力が芽吹き新たな恋に繋がっていくのなら私は彼女に精一杯の祝福を贈ってあげたいなと、そう思います。



reserve : 涼宮ハルヒの消失/長門有希

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正直、彼女に対しては明確な答えが未だに出せていない状況ですが、しかしだからこそその想いを汲み取ろうと考えを巡らせれば巡らせるほど、彼女もまた“恋”に敗れ、世界を巻き戻されてしまった悲しさに満ちるヒロインなのかなと今では思い至れる次第です。ただ美学までに成り得るのかどうか、という点に関してはもっと彼女を深く掘り下げて考える必要がありそうです。

詳しくはこちらを → 『涼宮ハルヒの消失』で長門有希は何を考えていた?





というわけでこれまでたくさんのヒロインが敗北し、涙を流してきたわけですが、やはり「負けヒロイン」と一括りにしてもそこにドラマがなければ愛情は注げません。ようはただ負けただけで惚れると思うなよと。こっちは哀れみで好きになってるんじゃない。あなたのその精一杯の生き方に心を打たれるのですと、つまりはそういうことです。

「負ける」ことに美学があるのではなく、その結果に至るまでにどれだけ抗ってきたかが美学になる。


ただまぁ、たまには杏(CLANNAD)のように恋実る別の世界線を彼女達が歩む姿というのも観てみたいなぁとか。そんな我侭を思い描いてしまうのも、やはり彼女達の生き様があってこそなのだなとは強く思えるところです。


映像でみる負けヒロインの美学


おまけ程度ですが、観返し/思い返してみると、「走る」 「雨」 「夕陽」 などの示唆的な映像は彼女達の想いの代弁者としての役割が強いなと。

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特に夕陽と走るシーンが大好きです。終わりを予感させながらもその最後の瞬間は綺麗に輝く夕陽と、想いが爆発する少女の全力疾走はいつ観ても趣き深く、感動的です。

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