秘密兵器?

「ママ、これなんというもの?」
ふみが手に動物図鑑を持って真面目な顔して聞いてくると、大体わかってます、そのページ、きっと蛇の写真に違いない。


私が蛇が大の苦手だということに気づいてから、ふみは、思い出すたびにこうやって真面目な顔を作って目の前に現れる。


「ヘビよ、ヘビと言うの」
私は平静を装って、そのページを見ないで、家事の手を止めないで答える。


「これは?なんというもの?」
ふみは諦めず次のページをめくる。
蛇よ、同じくすました顔してる違う種類の蛇。


その3、4枚の写真をめくって、ふみは繰り返し聞いてくる。


「ふみ、ママはヘビがイヤなの。きらいなの。もう見せなくていいから」


しばらくだまってたふみは、急に両腕を伸ばして本をやや高く持ち上げ、わざとらしい声で
「ヘビしゃまぁ〜」

?!、蛇様?! 敬語まで!


人間は自分の弱点を簡単に見せちゃいけませんね、どんな相手にも油断しではいけませんね。
教訓教訓。







温泉好きなふみは、こうやって時々温泉の本も“研究”する。
温泉に関する質問なら、ママはいつも微笑んで答えるのに。