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俗物図鑑

2011-05-27

勉強をやり直したい大人のための大学受験のすすめ

勉強をやり直したいと思っている大人はどれくらいいるだろう。

私は社会人になってから勉強をやり直したいと思ったクチで、実際に受験をし、この春から大学に通いはじめた。あまり無い例だと思うので、同じ志をもった人達背中を押す意味もこめて、思うところを書いてみたい。

1. 仕事楽しいかね?

私は高校を出た後しばらく、The NEET生活を満喫していた。程なくして、遊ぶ金が無くなったという酷い理由でアルバイトをはじめたのだが、これが存外に面白く、結局この仕事を続ける事になった。相性がよかったのだろうか、会社から拾ってもらい、やりがいのある仕事をもらえるようになった。プレゼン研修のコツ、お客さんとの交渉の仕方を覚え、M$Office、人材管理(なんて嫌な響き)のノウハウ、プログラミングを学び、この場所ゆっくり成長していこうというと決意のようなものも固まりかけていた。
しかし、あるとき急に、自分の知性のレベルに我慢ができなくなった。
世の中にはきっと自分が知らない事が山ほどある筈で、そんな自分がおこなっている仕事になんの価値があるのだろうと、ふと考えてしまったのだ*1。本を読みすぎたのがいけなかったのかもしれない。とにかくその頃には、仕事経験のみを通して自分の知りたいことを体系的に学びきるのは無理だという確信を得ていた。そして、世の中にはアカデミアが、大学という世界があった。勉強して大学に行き、実際にそこで学ぼうと心に決めた。

その後2年と数ヶ月、仕事の合間に勉強を続け、この春から志望していた大学に通っている。毎日本当に楽しい。やりたい勉強に浸かっている。

2. いま動こう

一度社会に出て、勉強の意義が分かり、そのあとする勉強は本当に楽しい。だからあなたが勉強をやり直したいと思うなら、いますぐにはじめるべきだ。
もう一歩が踏み出せないという人へはTom Petersの言葉を送ろう。

私は自分の墓に次のような泣き言を刻みたいとは思わない。
「私はすごいことをやりたかったのだが、上司がさせてくれなかった」

上司」のところは「友人」でも「恋人」でも「親」でも「世間の目」でも好きなものを入れて欲しい。
人生は一度きりで、やりたい事があるのに、それをしない理由がどこにあるだろう。

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さて。もし勉強しようと決めたなら、あなたはまず最初に何をすれば良いだろう。何に注意しながら勉強をすすめるのが良いだろう。自分が気をつけた事をいくつか共有したい。

3. 先輩の肩に乗る

巨人とは言わない。まず先輩の肩に乗ろう。世の中には受験勉強について書かれた文章が山のように存在する。まず第一に、彼らの持つノウハウを学ぼう。会社で営業を、Excelの使い方を学んだとき、それが得意な同僚や先輩からやり方を教えてもらっただろう(あるいは盗んだだろう)。OK。受験勉強も同じだ。「大学受験勉強法」「社会人のための(一般的な)勉強法」をテーマとした本をざっと10冊も読めば、すべき事が見えてくる筈だ。
気に食わないノウハウも多いだろうが、まずは黙って受け入れよう。なぜって、今のあなたは大学の門をくぐる事ができず、そして彼らはくぐることができたのだから。文句は門をくぐってから言おう。(実際くぐってみた感想としては、あらゆるノウハウ意味があった)

4. 時間がないならお金をかける

時間が無いならお金をかけよう。
日中も学校で勉強できる学生に比べ、社会人勉強に費やせる時間は圧倒的に少ない。だからお金を使おう。
ちょっとでも気になった参考書は全部買おう。分厚い本の中にある数ページのまとめが欲しいなら、本をとりあえず購入しよう。それからまとめページだけちぎって持ち歩こう。
iPadを買おう。PDF化した参考書を詰め込もう。数十冊の参考書を持ち歩けるようになると、外での勉強の幅がずっと広がる。
iPhoneの気になるアプリを端から買おう。使わないかもしれない?使うかもしれないじゃないか。通勤電車で片手で英和辞書がひけるメリットに対して5000円は破格だ。正直クソとしか言えないアプリもたくさん買ってしまったが、例えば「ジーニアス英和和英辞典」「Flashcards Deluxe」が無ければ、この期間で合格することはできなかっただろう。

5. 分かるところまで戻る

分かるところまで戻ろう。決して自分のレベルを過信してはいけない。進学校に通っていた?神童と呼ばれていた?だからどうした。今のあなたは「神」ではなく、だから勉強をしたい(知的レベルを上げたい)と思っているのだろう。プライドを捨てて戻れるところまで戻ろう。
例えば私の場合中学の頃にはすでに勉強放棄し、学校よりもゲームセンターに通うバカだったので(そのくせ自分天才だと信じて疑わなかった)、英語についての蓄えはゼロだった。
愚かな私は最初に『ロイヤル英文法』や『ビジュアル英文解釈』を買ってみた。分かるわけがない。
もう少し戻る事を決意して『安河内英語をはじめからていねいに』という初学者向けの本を買ってみた。全くできない。
当時の私は高校生向けの参考書に手を出してよい段階に達していなかったのだ。例えばdoesのスペルが分からなかった。thereとtheirの違いが分からなかった。

最終的にどこまでレベルを下げたかというと、公文式だ。会社の近くの公文式に通い、中学レベルからやり直した。周りは小学生だらけだったが、スーツの私が座っていても、気にせず横の席で勉強していた。子供は強い。

6. 繰り返す

勉強は復習だ。長期記憶に投げ込まれた確実な知識以外、本番では役に立たない。だから、本当に気に入った問題集を、確実にこなせるようになるまで何度も繰り返そう。
解けなかった問題は、1日後、1週間後、2週間後、1ヶ月後にかならず解き直そう。
単元毎に要点を自分でまとめ、これを自力で再現できるようになるまで何度も書き直そう。
多くの細かい知識は必要ない。必要なのは、大局的で、間違いのない知識だ。(そう、仕事と同じだ)

例えば私の場合、終える事のできた数学の問題集は『シグマトライ』という教科書レベルのものだけだ。英語は、『DUO』と『英語リーディング教本』の2冊が受験勉強のほぼすべてだ。それでも京大*2合格する事ができた。

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7. あなたの選択には価値がある

もちろんfollow your heartな価値観を万人にすすめるつもりはない。今日ネットでも実社会でもマッチョ自己実現論(とそれに付随する自己責任論)がうようよと跋扈しているが、そんな乱暴な考え方が我々日本人フィットするわけがない。
しかし、いい大人になってから大学などに行こうと考える愚か者には(愚か者仲間には)、「いいじゃん、自分の決意を信じようよ」と背中を押したい。
勉強楽しい無茶苦茶楽しいぞ。死ぬほど頭のキレる教授や、自分より若くて自分よりはるかに賢い友人と知り合えるぞ。毎日のように興味深い勉強会が開かれているぞ。図書館で2時まで勉強して、ああ疲れたと周りを見ると、まだ何十人も残っている、そんな環境に、日本では、一定学力さえ満たせば誰でも参加できるのだ。

大学へ遊びにおいで、と言いたい。

*1:会社の名誉の為に付け加えておくなら、そこは今でも魅力的な人材がたくさん居る素敵な組織だ。

*2:なるべく狂った学校に行きたかった。予想を上回る狂い方だった。

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