12年越し。。。

「がんぜない瞳の殺人者」
作・演出/伊藤和重 主演/野村宏伸 長谷部優 
http://alii-inc.co.jp/event/next-stage/nomuzu1/

学生時代、一応芸術系学部だったのと、
バイト先がコールセンターで、役者さんが多かったのとで
結構、お芝居は見てたんですけどね。

久々にお芝居みて、
あぁ、今のお芝居はこんなにレベルが高いんだなぁって。。
演出も役者さんも。

シアターグリーンって思ったより小さいハコで、今回行ったフロアは120席くらいかな。
TVでも見かける役者さんたちが目の前で見れるってやっぱいい。
表情も、空気も、声も、涙も、やっぱり生ですね。

で、私、もちろん元dreamの長谷部優さんの10年来のファンだというのはあるのですが
実は、野村宏伸さんの20年来のファンでもありまして。

というのはですね、私中高時代に、日本映画をみまくってまして
当時は、山口百恵薬師丸ひろ子原田知世という、ビッグネームがお気に入りで

薬師丸ひろ子さん主演の「メイン・テーマ」に相手役として
23,000人からオーディションで選ばれたのが野村さんだったんですね。
その後のTV等でのご活躍はいわずもがなですが。

この映画、84年だけあって、とてもいい空気感なんですが
野村さんと薬師丸さんのかっこよさったら。。。
パンフと、フォトブックも絶対持ってたはずなんだけどなぁ。。
みつからない。。くそう。。。
(ちなみにこの映画金子修介監督なんですね。Myベストは同じく彼の「就職戦線異常なし」なのでw)

ビーフェイスというか、アイドル的人気で突如売れてしまった役者さんの場合
その後着実に、演技の基礎と、幅と、深みを得て、大人の俳優になっていくことが
容易でなかったりすると思うのですが、

こんなこと私みたいなヘタレの言うことじゃないですけど
野村さん、むちゃくちゃ上手でかっこよかったです!!!

永山則夫は、死刑執行の寸前まで全力で抗うと宣言していたそうです。
刑場への出獄を促されるシーン、本当に鬼気迫る迫力がありました。
やはり、頭ひとつ出てる感ありましたね。。
こういう迫力って、やっぱりTV越しだとわからない。

主題は、永山事件で知られる永山則夫と、彼との文通を通じ
獄中結婚し、永山を思い続けた女性の人生。

死刑論の是非はさておき、また勿論この永山のやったことは到底許されぬこと。
しかしながら、貧しさと無知ゆえ犯罪を起こし、その後書物を通じ覚醒した後、
愛する人と巡り合い、一度は無期に減刑されながらも、ついには処刑された
彼の胸のうちを思うと、何とも痛ましくもあるのですが

たった一人でも、心の底から思いの通じ合える人と知り合えたらなら、
それは、とても、幸せなことでないかなと思ってしまいました。

心の底からっていうのはですね、ようは無条件の共感なんですね。
お互いが生きてきた人生への共感。
受け入れざるを得なかった、先天的な自分を取り巻く環境。
自分と同じような苦しい人生を送ってきた人という、完全な信頼感。

網走の番外地の極貧の家で、捨て子同然に育った則夫。
フィリピン人の父にも、日本人の母にも捨てられ、戸籍なく育った妻。

私もまぁ長いこと独り身なもので、どういう女性がタイプかと聞かれた時
たまに真面目に「自分より苦労した人」と答えるんですけどね
まぁみんなピンと来ないんですよね。もう全然外見とかじゃないです。

たった一人、そういう人と巡り合え、支えあっていけたら、いいな。

もう一つ、感じたこと。
芝居を作るって、大変ですね。学生の頃はよくわかってませんでした。

どんな舞台構成にするか、照明はいつどうするか、音楽はいつ何をどうかけるか
服は何を着せるか、物は何を置くか、セリフは、何を、どう、喋らせるか等々。

こんなの、好きなだけじゃ、こんな細部まで徹底的に作るの無理ですよ。
これは、「仕事」としての責任感がなせるわざですね。
そういう意味では、舞台のお仕事も、我々のお仕事と何らかわらないんだなと思いました。

私もね、投資案件いっこやるぞとなった時に、足掛け2〜3年で、
大小様々無数の細部までつくりこまなければのハードルがパッと頭に浮かぶわけです。
ハァと深いため息も出る。

でも、仕事ですからね。とことんね。徹夜してでもやるわけです。
お金をもらうからとかではないですよね。
それはひょんな縁から巡り合った「道」とでもしかいいようがない。

直接、好きなPop Cultureに携わることはなくても
自分の道でね、各それぞれの道の一流の人に負けない
細部までこだわったアウトプットを出して、関係する人々の「道」を支えて
世の中をまわしていくことが、すべきことだなと感じました。

さてさて、肝心の長谷部優さんはどうだったかというとですね
そりゃ、12年越しのファンで、初めて生でみたわけですから、
もう言いようのない感動ですよ。。。
綺麗なのは言わずもがな、独特の哀感のある空気感がね、なんとも。

13年前。ここで3人目に歌ってるのが当時中学生の彼女なのですが

終演後、トークショーがあったんですけどね、
無茶振りにもかかわらず、それを彼女がそつなく切り盛りされてるのを見て
ひとり勝手に感慨深かったです(笑

細い体からは想像がつかない、伸びとハリのある彼女の歌声も
いつかまた、もう一度、耳にしたいものです。

つらつらとオタク的視点で書いてしまいましたが、
若手の方から名の知られたベテランの方まで
安心してみることのでき、かつ胸にぐさぐさささる迫力のある
素晴らしい舞台でした。本当にお疲れ様でした!&ありがとうございました!

にしても、

握手までしていただき、本当に感動でした!!!生きててよかった!!!笑
次回作も見にいきます!!!突き指、どうかお大事に。。。

ちなみに、終演後、友人が進めてくれた、ラーメン屋さん屯ちんへ足を運んだところ
なんと、たった今舞台を終えたばかりの野村さんと田中章さんが!!!

さすがにお邪魔するのはヤボと思い、、、今回は諦めました(笑
面白い一日でしたw

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