TOMOO SHOKEN

うつわとともに 祥見知生

 ハートフル

今日は少々 個人的な書き出しで。

きのうのNHKドラマ『火の魚』ご覧になりましたか。

久しぶりに、とても上質なドラマでした。室生犀星原作で広島局の制作らしいですね。文化庁芸術祭大賞受賞作品です。


映像が美しく、そして しみじみと「生きる」ことが描かれた脚本が素晴らしい作品。


原田芳雄さんが扮する老作家が、好意を抱く若い編集者の女性のために マグカップを用意する場面がありました。

その器を取り出したものの、自分の気持ちが気恥ずかしく、苦々しく、すぐにまた箱にしまうのですけれど、

次のシーンで 何気なく そのカップをその女性が使っているシーンがあり・・・。


実生活でも、器が人の気持ちを代弁することもありますね・・・。

好きな人のために器を選んだり、お茶を丁寧に入れたり、その人が使った器を大事に洗ったり。


こういう気持ちは女性特有ということでもなく、

特別な感情を抱いた人に、できるだけその人らしい、その人に喜んでもらいたい器を選ぶ・・・

そのこころのひだが丁寧に描かれていました。

うつわハートフルです・・・。


普段ドラマなどを見ていますと、

この人がこんな器を使うかな?と首をかしげることが多くあります。

この人物設定、人物像であれば、こんな器を使っているのでは? こんな器でごはんを食べているのでは?と 

ついついチェックしてしまいます。

たいていの場合、そこまで「小道具」である器に気を使っているドラマは少ないですね。

そのことは、ドラマに限らず、表現者の方の 器への「無理解」によるのではと思うことがありますが、単に予算の問題なんでしょうか。

もし映像関係者の方で この文章を読んだ方がいたら ご一報ください。

器のコーディネートの仕事 祥見がいたしますので。


前置きが長くなりました。

うつわハートフル展の出展の器を今日は写真で紹介いたします。


吉岡萬理さんの色絵の器。水玉のフリーカップは今回リクエストして特別に作っていただきました。

札幌でガラス工房を営む巳亦敬一さんのグリーン色が美しい鉢です。和の器と相性がよいのです。

村田森さんのキー坊とサンペイの絵付けめし碗です。大人気ですね。

尾形アツシさんの粉引きと刷毛目の丸湯のみです。手に包む「手取り」を確かめてください。

小野哲平さんの鉄化粧の器たち。そば猪口とマグカップ。今回は小皿、取り皿、四角皿も出展をお願いしました。

うつわ祥見で初めて伝える漆の椀です。矢澤寛彰さんの「なんでもない」日常使いの漆です。

横山拓也さんの白化粧皿です。丁寧に作られた一枚一枚が美しく、こころを響きます。

石田誠さんの紅毛手の猪口です。そのほか、白いリム皿を4サイズ作っていただいてます。


「手に包まれる器」をテーマに構成した器たち。

こうして写真を紹介していましても、ひとつひとつの器が愛おしいです。

 
今回も、一年をかけて 作り手の皆さんとともに作り上げた展覧会です。


ぜひ お出かけになり、器たちの姿をご覧ください。


「器のことはよく知らなくて・・・」という方も、手に包み、それぞれの器を「感じて」いただきたいと思います。



また、今回「うつわハートフル展」を記念して、

オリジナルの手ぬぐいを作りました。

「手ぬぐいのかまわぬ」製です。

会場で販売をしています。

ぜひこの機会にお求めください。 

「めし碗」と「豆皿」の二柄です。


「うつわハートフル展」 通常は18時までの開廊(金曜日は20時)ですが、

3月27日(土)は国立新美術館の『六本木アートナイト2010』開催のため、
22時まで開廊します。 ぜひゆっくりと器をご覧ください。