書物蔵

古本オモシロガリズム

1942(民国31)年、東洋のBLDSC「通信資料部」

いや、福崎峰太郎が関係しておったこの文物保管委員会(南京)の図書館のことなんだけど。
金丸(2000)の文献注に誘われ、手許にある昭和17年の『図書館雑誌』を見ていたらオドロイたのなんのって…

通信資料部ノ設置ニ就イテ
〔どんな調査研究も資料が元。だから目録や索引が作られてるんだけど、資料自体が手元になけりゃあどーしようもない。図書館の近くにいなけりゃあどーしようもない。そこで…〕本会ハ時代ノ先駆的企図トシテ広ク社会人士ノタメ所蔵資料ノ筆耕依頼ニ応ジ以テ従来ノ欠陥通弊ヲ補ヒ(以下略)
(「文物保管委員会(南京)は呼びかける」『図書館雑誌』36(9)(1942.9)p.43-44)

なんと(×o×) 遠隔複写サービスをする部門を設置したとゆーのだ!`・ω・´)oシャキーン
バンザ━━━━━━\(T▽T)/━━━━━━イ !!!!!
まじスゴイo(゚ー゚*o)(ノ*゚ー゚)ノ大発見

東洋ドキュメント・サプライ(document delivery service)の初め 大東亜図書館学の精華?!


とりあえず雑誌記事の索引は他機関作成のを含めみんな持っとるだろーから、

目録索引等ニ依テ御所望ノ論文資料ヲ御通知戴キマスレバ当部ハ責任ヲ以テ迅速且正確ニ筆耕ノ上後手許ニ御送付申上ゲマス。

だって。よーするに、書誌事項を明確に指定してくれれば、複写して送りますよ、とゆーこと。
いやー、文化国家日本でもきちんと広報された郵送複写サービスが本格化したのは、実は近年のこと。戦時中に、国民政府の図書館がそれをやろうとしてたとはビックリ。図書館史的にはほんと、もうオドロキ。
だれがこんなこと実行しようとしたのだろう… もしかして福崎峰太郎? もしそうだとしたら、福崎こそ遠隔複写サービスの極く初期の、おそらく最初の組織者として大東亜図書館史に燦然と輝く!!!
って褒めすぎか(^-^;)
いや、でも、組織としてやったのは1970年代の英国で国立科学技術貸出図書館(National Lending Library for Science and Technology ; NLLST)、いまのBLDSCがごく初期だから、1942年に南京で中国語文献の遠隔サービス(それも組織的)ってのはちょっとすごすぎると思うのだ。
もいちど言うと、国民政府行政院に属する文物保管委員会という機関の、図書専門委員会って部局の事業科に設置されたという「通信資料部」ってな係がそれ。
福崎さんでなけりゃあ、もしかして〓(木+勝)島善次郎(ぬでしま・ぜんじろう)さんかしら。この人は青聨の名簿(昭16.6.15)に載ってるし。

福崎峰太郎とは 附.鋤リ島善次郎

金丸(2006)によれば(ってそればっか(^-^;)アセアセ)、東亜同文書院の第19期生だという。
でもわちき、もちょっと詳しい情報をつかんだのだ。

おそらく、1896(明29)年か、その翌年に福岡県に生まれた。「中支建設資料整備事務所」から集めた本と一緒にそのまま文物保管委員会に移り、図書専門委員会の事業科長になっていたのだった。昭和17年当時、46歳。
そうそう、青年図書館員聯盟の会員だった〓(木勝)島善次郎さんのほうはといえば、またまた金丸(2006)によれば、このヌデシマさんってば、1936年3月に図書館講習所を卒業して東亜同文書院の司書をしてた人なのだが、このお人は、おそらく1927(昭和2)年生まれで群馬県出身。当時、29歳だった。
え? にゃんでそんなことが判るのかってΣ(・∀・` )
うん。そりゃー史料を見っけたからv(゚ー^* ) およそ史料もなしに推測など片言隻句も吐いてはならん。文献報国、じゃなかた、文献報告じゃ!`・ω・´)o

文物保管委員会「図書専門委員会図書館」についての史料

いや、この委員会の図書館については、意外にもそれなりに資料が残っていたんだわさ。
面白いとこでは1944年に分類目録なんてのも出しているけど(圖書專門委員會圖書館圖書分類目録 ; 中日文普通書之部 總部. -- 行政院文物保管委員會圖書專門委員會, 1944)、こんな史料もある。
行政院文物保管委員會年刊 / 褚民誼 [著] ; 民國30年, 民國31年. -- [行政院文物保管委員会], 1941
で、これの民国31年版に、ぬぁんと! 職員名簿が載っているのだわさo(゚ー゚*o)(ノ*゚ー゚)ノ
もちろん名簿だけでなく、会議録や決算書なども載っていて、旧漢字ばかりだから意味をとることができて面白いの極み。いや、実はこれシナ文資料。
開館前に、図書館の名前決めなきゃね→「図書専門委員会図書館」にしませう、ってな会議録も載っている!

♪パパパ、パッパパラー♪

ショモツグラは 東洋初の document supply centre を 手に入れた!
またひとつ 大東亜図書館学 の復活に 近づいた!

ほんに、大東亜図書館学には驚かされるワイワイ(≧∇≦)ノ