書物蔵

古本オモシロガリズム

近代日本書誌研究のために

最近こってる出版ケーサツ史

警察とはいっても、思想統制にもエロにも主義にも、じつはほとんどキョーミがない。戦前のエロ本は実用性を失っとるし、主義も実用性を失ってしまった。近代日本書誌研究の文脈からキョーミがあるにすぎんのだ。
戦後でこそ、本についてハ、文化政策としての強制納本法規(国会図書館への)があるし、流通としての本の登録所として出版ニュース社の『出版年鑑』もあるわけで。
戦後ワールドで近代日本書誌研究をするとせバ、それらをチェックするのが基本とならう。どちらも十全とはいはんが、それなりではある。
ところが戦前ワールドで同様のことをやろうとすると、帝国図書館の書誌作成機能は(国立としてハ)きはめて弱いものであって、日本国書誌の全体をカバーするに足りぬ。『出版年鑑』も国際思潮社、東京書籍商組合、東京堂大阪屋号書店などが出したけれど、かならずしも十全なものではないわけで。
と、くると、十全なる権限をもって全国から出版物を集めていた内務省警保局図書課のことが気にかかる。といふことで出版ケーサツなのぢゃ
ところが彼ら(内務省事務官)は別に文化のためにシゴトしとるわけではなかった。帝国の安寧のためにやっていた(例外的に「良心的」で文化のためにシゴトした人たちもいたけど、結果が「児童読物浄化令」という、文化の多様性を抑えるものになってしまったといふ。それについては
「悪の「児童読物浄化令」にそれぞれの「思い」」http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20060908/p1
ので。
彼らの残したデータをどのように読み替えていくのか、それが重要だ。
しかるに。
それをやるためにハ、当時、どのようなカラクリでデータが生成されていたのかをつぶさに知らねばならんのだが、それがうまく1冊にまとまってない。

ん?(・ω・。) 出版法制史?

中京に「出版法制史研究会」なるものがあるといふ。
思ふに、出版史なるものでやると、コンテンツ(言説そのもの)にひきづられて、ただの文学史やただの史学史などになってしまふから、あくまでキャリアー(容れ物)にくっつけてコンテンツを論じるためのカラクリと拝察す。
おもしろかしこきかな。。。わちきも入っちゃおうかすら(´▽`*)
でも文学史にはあまり興味がないなぁ。

ほへ(・o・;) こんなブログが

つれづれなるままにググってたら、どうやら出版警察について調べてる人のブログがあるらしい。びっくり。
学者先生は生活指導や大学事務にいそがしく、その合間に論文をかかねばならんので、ネットで実証的なことをやっている人はほとんどいないので。
特に感心したのは、「内務省新庁舎配置図」
http://blogs.yahoo.co.jp/kafuka1964/13578697.html
いちど、出版社が納本を持っていくと、窓口があってそこに木っ端役人がいる、という話を紹介したけど、どこいらへんかしら。