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堀内重人の地域公共交通・夜行列車の存続・活性化に向けた提言 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2012-04-22

いすみ鉄道の観光路線化

 いすみ鉄道の経営が注目される。いすみ鉄道は、旧国鉄木原線から転換された第三セクター鉄道であり、外房線の大原と小湊鉄道の上総中野を結ぶ26.8kmを結ぶ鉄道である。国鉄時代は冴えないローカル線であり、第一次廃止対象の特定地方交通線であった。
 第三セクター化後は、新型のレールバスタイプの車両を導入するなどサービス改善に努めたが、慢性的な赤字からは脱却できなかった。2006年度は、約1億3,000万円近い赤字を経常したため、今後2年間で経営が改善する見込みがない場合は、鉄道廃止も視野に入れて検討することになった。経営を立て直すために社長を公募することになり、2008年2月には平和交通というバス会社の社長であった吉田平氏が社長に就任した。
 吉田氏が社長に就任してからは、沿線の沼地にホタルが群生する場所があることから、6月7〜17日まで、ホタルウォッチングトレインを運行した。そしてJR東日本の「びゅう」というネーミングの旅行ブランド商品へのいすみ鉄道の組込みを働きかけた。それにより2008年夏に「ちばで夏あそび」の企画の1つとして、「夏休みの鉄道員(ぽっぽや)体験」が設定され、解説付きで全線に乗車した後、保線用の軌道自転車の体験乗車などがセットされ、最後には認定書が交付される。同じく2008年8月に城見ヶ丘駅の開業、10月にいすみ鉄道応援ソング「黄色い列車」CDの発売、同じく10月に銚子電鉄が行っている濡れ煎餅を模してオリジナル煎餅「い鉄揚げ」の販売を開始した。利用者のサービス向上と話題作りを目指して、いすみ鉄道1日フリー乗車券「大多喜開運切符」の発売や、東総元駅の駅舎の改良、大多喜駅に戦国時代に活躍した本田忠勝の模型の設置を行った。「大多喜開運切符」は、1,000円払えば大人がいすみ鉄道の全線を自由に乗降が可能となる。また「大願成就」と書かれた絵馬を1枚800円で販売している。先ずは大多喜駅で絵馬を購入して、駅構内に設置された本田忠勝公にお祈りを行い、いすみ鉄道に乗車して東総元駅へ行き、絵馬を奉納した後、東総元駅の開運造りを堪能するという流れである。
 ところが2009年2月に、吉田社長は千葉県知事選挙に立候補することになり、公認の社長を公募した。そして同年の6月1日には、元英国航空の旅客運航部長の鳥塚亮氏を社長と内定した。鳥塚社長は、同年の6月28日に社長に就任した。
 鳥塚社長は、吉田社長以上のアイディアマンであり、1人当たり700万円を負担すれば列車運転手の免許が取得できる列車運転士養成プランを発表した。その後も、大多喜駅だけでなく、国吉駅や大原駅でも直営の売店を開店している。また2009年10月からは、ムーミンをあしらった「ムーミン列車」の運行を開始した。いすみ鉄道の沿線には、日本の原風景とも言える車窓が続いており、いすみ鉄道沿線を平和なムーミン谷に見立て、「ムーミン列車」を運行することで観光客の増加による利用促進を狙うことになった。
 2011年4月29日からはキハ52を用いた観光急行の運行を開始した。このキハ52は、JR西日本の大糸線で使用されていた車両であり、いすみ鉄道へ譲渡された後に、クルーム色と朱色に塗り替えられた。
 いすみ鉄道で優等列車が運転されるのは、国鉄木原線時代も含めて初めてである。昭和の鉄道を楽しんでもらうため、大多喜駅や大原駅では昔懐かしの硬券急行券が用意されている。
 この観光急行は定員制であるため、座席定員以上は乗車させない。どうしても座りたい人は、指定席急行券を購入すれば良いだろう。急行券は距離に関係なく300円であり、指定席券も300円である。指定席急行券は、急行券よりも一回り大きい硬券が用意されている。
 急行列車であるが、急行とは言っても名ばかりであり、安全確認のために各駅に一時停止する。また国吉駅では12分程度停車する。これは列車交換などではなく、国吉駅に開設されている売店に立ち寄らせるためである。
 キハ52の車内には、ロングシートも残っているが、国鉄時代の雰囲気が残っており、テーブルには栓抜きが備わっている。そのためいすみ鉄道では、栓抜きを体験してもらうために、瓶入りのジュースを売店で販売している。
 いすみ鉄道の列車は、原則としてワンマン運転であるが、急行列車には車掌が乗務し、急行券などの確認だけでなく、沿線の案内なども行う。急行券などを確認する際、昔ながらの鋏を入れるところが懐かしい。
 鳥塚社長の積極的な経営により会社の業績が回復したため、2010年8月6日に鉄道として存続することが決まった。特に売店の売上が対前年比で58.1%も増加したことが、大きく影響している。また鳥塚社長は、キハ52を使用して小湊鉄道との相互乗り入れを検討している。現在は、上総中野駅では相互の乗り換えは可能であるが、ゲージは同一でも線路は繋がっていない。ただ五井〜大原間の房総半島縦断の企画乗車券が大人片道1,600円で販売されており、これを利用すると600円程度お得である。小湊鉄道は、いすみ鉄道の株主でもある。いすみ鉄道と小湊鉄道の相互乗り入れが実現することで、小湊鉄道の中でも利用者の少ない上総牛久〜上総中野間の活性化が期待できる。
 是非とも、早期の実現を願いたい。

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