116.飛行

僕は空を飛ぶことが出来る
これを聞くと 人は
馬鹿じゃねえのと 罵る
そんなの オマエらが
羽の存在に気づいていないだけで
飛ぼうと思えば 誰だって
空を飛べるというのに


だけど 僕は空を飛ぼうとはしない
それは 全く意味のないことだから
ほら やっぱり飛べないんだろ
そうやって罵ろうとするお前らには
羽を広げて飛ぶという
頭がないだけなんだ


人は 地に足をつけて生きるもの
最初から 地上で生きることを
運命付けられたもの
そうやって
確かなものを得た 僕らは
飛ぶことの意味を
自ら奪い去ったのだろう


人が 飛ぶことに意味をもつのだとしたら
それは きっと自分がなくて
ただ 漂うだけのもの
飛べるということに気づいたのだとしたら
それは きっと羽を広げて
限りを超えて 飛んでいくこと