二十四孝に会いに行く!

中国の親孝行な人たち・二十四孝に関するものを紹介していきます。

書籍/御伽草子 二十四孝・8 老莱子

テキストを入力していて物悲しくなる、老莱子。

国立国会図書館デジタルコレクションより

老莱子
戯舞学嬌癡 春風動綵衣 
双親開口笑 喜色満庭圍
らうらいしは。二人のおやにつかへたる人なり。
されば老莱子七十にして。身にいつくしき衣をきて。
おさなきもののかたちになり。舞戯。又おやのためにきうじをするとて。
わざとけつまづきてころび。いとけなきもののなくやうになきけり。
このこころは。七十になりければ。としよりて。かたちうるはしからざるほどに。
さこそこのかたちを。おやのみ(見)給はば。わがみのとしよりたるを。
かなしくおもひ給はんことをおそれ。またおやのとしよりたると、おもはれざる
やうにとのために。かやうのふるまひをなしたるとなり

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親のために、変な気遣いをして踊る老莱子。

黙って老莱子を見つめる両親。複雑な思いが去来していることでしょう。

太鼓叩いている子がうちの孫だったらな~と思ってるのかもねー。

 

千手院観音堂の老莱子。

 

書籍/御伽草子 二十四孝・7 王祥

氷を体温で溶かして鯉を捕まえる漁法(?)を編み出した王祥。

国立国会図書館デジタルコレクションより

王祥

継母人間有 王祥天下無
至今河水上 一片臥氷摸
王祥は。いとけなくして母をうしなへり。父またつまをもとむ。
其名を朱氏といひ侍り。けいぼのくせなれば。父子の中をあしくいひなして。
にくまし侍れ共。うらみとせずして。けいぼにもよく孝行をいたしける。

かやうの人なる程に。本の母冬のきはめてさむき折ふし。なま魚をほしく
思ひける故に肇府と云所の河へ。もとめに行侍。されども冬の事なれば。
こほりとぢて。いを(魚)みえず。すなはち衣をぬぎてはだかになり。
こほりの上にふし。いをなき事をかなしみゐたれば。かのこほりすこし
とけて。いを二つおどり出たり。則取て帰母にあたへ侍り、是ひとへに
孝行のゆへに。そのところには。毎年人のふしたるかたち。こほりのうへに
あるとなり。

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このお話、「継母が意地悪だった」というエピソードはどうしても必要だったのかしら。

「いとけなくして母を失った」王祥の、生母に鯉を食べさせたときのお話のはずなのに氷上の王祥はどう見てもおじさんです。いとけないおじさん。

 

上田市妙見寺の王祥。

書籍/御伽草子 二十四孝・6 曽参

母と子の強い絆のお話。曽参。

国立国会図書館デジタルコレクションより

曽参

母指纔方噛 児心痛不禁
負薪帰未晩 骨肉至情深
曽参ある時山中へ薪を取に行はんべり。母留主にゐたりけるに。
したしき友来れり。
これをもてなしたくおもへども。そうしんはうちにあらず。
もとより家まど(貧)しければかなはず。曽参がかへれかしとて。
みづから指をかめり。曽参山に薪をひろひゐたりが。
にはかにむなさはぎしけるほどに。いそぎいゑにかへりたれば。
ははありすがたをつぶさにかたり侍り。かくのごとくゆびをかみ
たるが。とをきにこたへたるは一たん(一段)かうかうにして。
親子のなさけふかきしるしなり。そうじて曽参のことは。人に
かはりてこころとこころとのうへのことをいへり。
おくふかきことはりあるべし

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急な来客に狼狽える母。曽参早く帰ってきておくれ、という母の祈りが息子に通じ、曽参は飛んで帰ってきました。さて客はどうなったのか気になります。

輪王寺 糸割符燈篭の曽参。左右反転してますがよく似てますね。

書籍/御伽草子 二十四孝・5 閔子騫

前妻の子である閔子騫に冷たく当たり、家を追い出される継母と、その子二人。

国立国会図書館デジタルコレクションより

閔子騫

閔子有賢郎 何曽怨晩娘
尊前留母在 三子免風霜
びんしけん。いとけなくして母をうしなへり。父またつまをもとめて。
二人の子をもてり。彼(かの)つま我子をふかくあいして。まま子を
にくみ。寒き冬も。あしのほを取て。きる物にいれてきせ侍るあひだ。
身も冷て。たえかねたるをみて。ちち後のつまをさらんとしければ。
閔子騫がいふやうには。彼つまをさりたらば。三たりの子寒かるべし。
今我一人さむきをこらへたらば。おとうとのふたりはあたたかなるべしとて。
ちちをいさめたるゆへに。これをかんじてけいぼも。のちにはへだてなく。
いつくしみもとのははとおなじくなれり。
只人のよしあしは。みづからの心にありと。
古人のいひ侍りけるもことはりとこそおもひはんべる

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このサザエさんみたいな髪型の継母は追い出されることに不満そうですね。

父親を見ながら、右手は後方の継母を指す閔子騫の定番ポーズ。

 

滑河観音閔子騫

 

飯高神社の閔子騫。このお父さんはかなり怒ってますね。

説得には時間がかかりそうです。

書籍/御伽草子 二十四孝・4 孟宗

孟宗。この絵の季節は初夏ではなく、真冬です。

国立国会図書館デジタルコレクションより

孟宗

泪滴朔風寒 蕭々竹数竿
須臾春笋出 天意報平安
孟宗は。いとけなくして父にをくれ。ひとりの母をやしなへり。
母年老てつねにやみいたはり。食のあぢはひもたびごとにかはりければ。
よしなき物を望り。ふゆのことなるに竹子をほしくおもへり。
則孟宗竹林に行もとむれ共。ゆきふかき折なれば。などかたやすく得べき。
ひとへに天道の。御あはれみをたのみ奉るとて。祈をかけて大きにかなしみ。
竹によりそひける所に。にはかに大地ひらけて。たけのこあまた生出侍りける。
大きによろこび。則とりてかへり。あつものにつくり。母にあたへ侍りければ。
母是をしよくして其まま病もいへて。よはひをのべたり
是ひとへに。孝行のふかき心をかんじて。天道より与へ給へり

いたはり・・・わずらい。病気になり。

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防寒具を着ているのになぜか裸足。

 

飯綱神社の孟宗はちゃんと靴履いてました。地面や笹の葉の上に積もった雪の表現がヒラヒラしたフリルみたいでかわいい。笠の上の雪も要チェック。タケノコ見つけてニコニコ孟宗。

 

宝登山神社の孟宗。心なしか目がうつろ。

書籍/御伽草子 二十四孝・3 丁蘭

亡くなった親の像を生きている人のように大切に敬った丁蘭。

国立国会図書館デジタルコレクションより

丁蘭

刻木為父母 形容在日新
寄言諸子姪 聞早孝其親
丁蘭は。河内の野王と云所の人也。
十五のとし母にをくれ。永わかれをかなしみ。
母のかたちを木像につくり。いける人につかへぬるごとくせり。
丁蘭がつま。ある夜のことなるに。火をもつて木像のおもてをこがしたれば。
かさのごとくにはれ出。うみちながれて。二日を過しぬれば。つまのかしらの
髪が。刀にてきりたる様になりて落たる程に。おどろひてわびことをする間。
丁蘭もきどくに思ひ。もくざうを大道へうつしをき。つまに三年わびことを
させたれば。一夜の内に雨かぜのをとして。木像はみづから内へ帰たる也。
それよりしてかりそめのことをも。木像のけしきをうかがひたるとなり。
かやうにふしきなる事のあるほどに。かうかうをなしたるは。
たぐひすくなき事なるべし

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丁蘭の妻は、木像に悪さしてちょいと焦がしたところバチが当たり、3年も懺悔させられました。

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呪いの人形のようなお話ですね。

 

イヤイヤお茶を運ぶ奥さん。

 

雨引観音の丁蘭。従順じゃない奥さんは省略。

書籍/御伽草子 二十四孝・2 漢文帝

大舜の次は漢文帝。

国立国会図書館デジタルコレクションより

漢文帝

仁孝臨天下 巍々冠百王
漢廷事賢母 湯薬必親嘗 

漢の文帝は。漢の高祖の御子なり。
いとけなき御名をば。恒(ごう)とぞ申し侍りき。
母 薄(はく)太后に孝行也。
よろづの食事をまいらせらるる時は。
まづみつからきこしめしこころみ給へり。
きやうだいもあまたましましけれども。
此みかどほど。仁義ををこなひ孝行なるはなかりける。
此故に。陳平周勃などいひける。臣下達 王になしまいらせたり。
それより漢の文帝と申し侍りき。
然に孝行の道は。上一人より下(しも)万民まで。
あるべき事なりとしるといへども。身にをこなひ。
心に思ひ入ことはなりがたきを。
かたじけなくも四万余州の天子の御身として。
かくのごときの御ことわざは。たつとかりし御こころざしとぞ。
さる程に。世もゆたかに たみもやすく すみけるとなり

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飯綱神社の漢文帝。薄太后の手つきが似てる~。