相沢、再び上京

相沢中佐は一旦福山に帰りますが、8月10日に再び上京します。
この時の目的は永田殺害でした。
軍刀を最初から持っていました。
彼はこの時、台湾への赴任が決まっていました。
台湾に赴任すれば簡単には帰ってくることができません。
「今しかない」という気持ちだったと思われます。
ただ、ちょっと不思議なのですが、相沢は永田を殺害しても台湾へ行くつもりでした。
捕まるということを前提にしていないわけです。
国のために事を成す。言ってみれば正義を実行する。
これが犯罪という認識はなかったのかもしれません。
それはさておき、相沢は上京の途中で大阪と伊勢神宮に寄っています。
大阪は東久邇宮中将への挨拶が目的でした。
伊勢神宮には祈願だったと思われます。
相沢によれば伊勢大神が相沢に乗り移ったということになります。
東京に着いたのは11日の午後9時半ごろ。
西田宅へ向い、泊めてもらいます。
改めて永田殺害の必要性を認識したと思われます。
翌日、陸軍省へ向います。