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 ★≪路地裏より愛を込めて≫全エントリー   ★カテゴリー別タイトル一覧【2014/04/11更新】      


2014-04-16

今さら『デカ☆黒川鈴木』感想

今さら『デカ黒川鈴木』感想

2012年1月から3月まで23:58〜「木曜ミステリーシアター」枠で放送。
全13話。 読売テレビ日本テレビ


これは、かなりゆるゆる〜っとした、でも楽しいドラマでした。w
最初の頃こそ、笑いがうまく練れていなくて
空回りすることも多々あって、ちょっと痛々しかったりしたんですが、
メインキャストのキャラクターが出来上がって来るにつれ、
ドラマ全体の仕上がりも徐々に良くなって、
終盤(特に9話以降)は
ミステリーとしても面白い出来になっていたように思います。

40分の深夜ドラマ、しかも1回完結なので、
どうしても ゆる〜い部分や弱〜い部分は出て来てしまうのだけれど、
「脱力系コミカルミステリー」として考えると、
そのゆるみや弱みが、逆に魅力になっているように思えたし、
深夜の40分番組だからこそ自由に出来ることがある、
積極的に遊んでしまおう、という空気が、
回を追うごとに スタッフにもキャストにも感じられるようになって、
それがまた楽しかったです。


主演の黒川鈴木に板尾創路さん。
妻の静江(鶴田真由)や白石(田辺誠一)が強烈なキャラだったので、
その中で自分の面白さをどう出して行こうか、
始まってからしばらくは、何となく、
どうしたもんか、と考えながら演じていたような気がしますが、
中盤あたりから、無理に自分を笑わせキャラにしないで、
普通に演じることで 周囲とのギャップを作って、
そこでゆるやかに笑いを生み出そう・・
・・と、本人がそんなふうに考えたかどうかは分かりませんがw
でも、観ている側からすると、
板尾さんが黒川をそういうふうに作って行ったように感じられたし、
スタッフも、黒川を 無理矢理 笑いの中心に置こうとしないで、
白石や静江という強烈なキャラの受け手にさせることで、
結果、全体が次第に落ち着いた笑いになって行った、
そのことが、ドラマをより面白くしてくれたように思います。

板尾さんが、終わりに近づくにつれ どんどんかっこ良くなって行くことで、
むしろ、笑いのツボが明快になった(と言ってもかなりゆるいのですがw)
ような気がします。


黒川と白石の間で、真面目に仕事をこなす赤木田中圭さん。
白石にも黒川にもツッコミを入れることが出来る強気の姿勢が好きでした。
最初は、黒川と白石の間に挟まって
白石のやんちゃに腹を立てる黒川をなだめるような立場だったのですが、
黒川が徐々に落ち着いて来たことで、
逆におちゃめなところも見せるようになって、
それもまた、何だかすごく可愛くて良かったです。


黒川の妻・静江に鶴田真由さん。
毎回、なかなか鋭く 夫の心を痛めつけるのですが、
「夫を愛している」という基本スタンスには変わりがないので、
何を言っても、何をやっても、許される気がしました。
最初は違和感のあった 思いっきりお嬢様な外見や トゲのある言葉が
観ている側として どんどん受け入れられるようになったのは、
鶴田さんの思い切った役作りの賜物でもあったのではないか、と。


警察署の署長に斉木しげるさん。
いや〜、見た目は確かに署長さんって感じなのに、
ただそこにいるだけで何だかおかしいw
特別変なことをして笑わせようとしているわけでもないのに、
安心して笑える、確実に笑わせてもらえる、ってすごいことだと思います。
さすが!


緑谷婦警・藤本泉さん。
途中から内勤になった赤木の代わりに、
田中くん、ロケに出られない大人の事情があったんでしょうかw)
黒川や白石現場に出向いたり、事件の関係図を書いたり、と、
活躍してくれました。
三人の個性(黒・白・赤)の中に入っても全然負けてなくて、
ちゃんと自分の色(緑)を出していて、素直に 良いなぁ、と思いました。


さて、白石役の田辺誠一さん。
お笑いが本職のはずの板尾さんが、
黒川として生み出さなければならない‘笑い’に戸惑っていたのに比べ、
最初から躊躇(ちゅうちょ)なくフルスロットルでぶっ飛ばしてましたね〜w
明智中五郎(@三代目明智小五郎)とか真田実(@11人もいる!)など、
役としては、脱力系お笑いをいろいろやってはいて、
だけど、正直、そのあたりが限界だろうと思っていたのですが、
いやいや、この人のお笑い志向はそんなもんじゃなかったw

上滑りしているところもあったのは確かですが、
そんなことが気にならないくらい
終始、すごく伸び伸びと自由に楽しそうに白石を演じていて、
観ているこちらとしても屈託なく笑わせてもらいました。

こういう思い切ったことが出来るのも、深夜ドラマならでは。
吉本が制作協力していながら、
こんな ふざけた役(褒め言葉)を田辺さんに回してくれたスタッフに感謝。
中五郎も、実も、この白石も、23時以降に生まれた。
またぜひこちらが驚くような面白い役を見せて欲しいです。


『デカ☆黒川鈴木』     
放送日時:2012年1月-毎週木曜 23:58-(読売テレビ日本テレビ系) 全13回
脚本大宮エリー/原作:滝田務雄『田舎の刑事の趣味とお仕事』
演出:本田隆一(1・2・5・6話) 島崎敏樹(3・4・7・9・12・13話) 
関野宗紀(8・11話)、木村政和(10話)/主題歌YU-Aあなたの笑顔
チーフプロデューサー:堀口良則(読売テレビ
プロデューサー:福田浩之、河内俊昭(よしもとクリエイティブエージェンシー
制作プロダクション:泉放送制作制作協力:吉本興業/製作著作:読売テレビ
キャスト:板尾創路/田中圭/鶴田真由/田部誠一
ゲスト:1話・:釈由美子/2話・阿部力 熊切あさ美/3話・遠藤章造(ココリコ) 佐藤めぐみ
4話・渡部豪太 礼二(中川家)/5話・笛木優子 津田寛治/6話・木村祐一 藤井隆
7話・中村ゆり ぼんちおさむ 大和田 獏 
8話・品川 祐(品川庄司) 佐藤寛子 瀬川 亮 水崎綾女 なだぎ武 高橋茂雄(サバンナ)
9話・高橋かおり 山崎邦正 三津谷葉子 小川菜摘 バッファロー吾郎A
10話・酒井若菜 岩佐真悠子/11話・あめくみちこ 阿南健治 井森美幸 長田成哉
12話・佐野史郎 野村真美/13話・西岡徳馬 荻野目慶子 中村有志 
『デカ☆黒川鈴木』公式サイト 

2014-04-11

『斉藤さん2』感想まとめ

『斉藤さん2』感想まとめ

斉藤さん2 DVD BOX
昨年末、『斉藤さん2』のDVD-BOXが発売になりました。
だいぶ遅くなってしまいましたが、感想をまとめました。

『斉藤さん2』
放送日時:7月13日より 毎週土曜 21:00- 日本テレビ
脚本土田英生/演出:久保田充 他 /原作:小田ゆうあ「斉藤さん」
キャスト:観月ありさ桐谷美玲 田辺誠一 瀬戸康史
猫背椿 音尾琢真/酒井若菜/松岡茉優 岡山智樹 早見あかり
橋本涼ジャニーズJr.) 玉元風海人(ジャニーズJr.) 谷端奏人
勝村政信 きたろう/南果歩  他 

『斉藤さん2』公式サイト


『斉藤さん2』(第1話)感想

しょっぱなから、登場人物がほぼ全員テンション高めで、
マンガチックな軽いキャラ作りになっていたし、
もともと私は、取り巻き連中がボスに対して媚びへつらう、
というような展開にはイライラしてしまう性分なので、
これはちょっとついて行けないかなぁ、と思ったのですが、
中盤から少し落ち着いて来て、
摩耶(桐谷美玲)が斉藤さん(観月ありさ)に本音を吐露したあたりから、
(桐谷さんの必死さと観月さんの動じなさが いい空気感を作ったせいか)
画面に重みが出て、面白くなって来たように思います。


何と言っても、斉藤さんのキャラがしっかり確立しているのがいいです。
観月さんが、当たり役だけあって役に馴染んでいる上に、
落ち着きと貫禄があって、頼もしくもあり、心地良くもあり。


対するボスキャラ・玉井眞美は南果歩さん。
まだ表面的な人物表現に留まっているので、
ここからどれだけ役に深みを持たせられるかがポイント
軽みも重みも自在に演じられる女優さんなので、
斉藤さんvsの立場としてドラマ全体の空気感をどう作って行くか、
観月さんとのバランスをどう組み立てて行くか、お手並み拝見。


彼女の取り巻きに、
酒井若菜さん、音尾琢真さん、猫背椿さんら、達者な人たち。
こちらも、今後それぞれの背景が描かれて来れば、深みが出てくるはず。
特に酒井さんは、ただの取り巻きというだけじゃなく、
案外手ごわい相手になるんじゃないか、という気もしますが、はたして?


斉藤さんと玉井グループ(南さんら)の間にはさまって苦労しそうなのが、
桐谷さん演じる山内摩耶。
この人が、斉藤さんと並ぶもうひとりの主人公と言ってもよく、
彼女の成長譚が、このドラマの芯になりそう。
ある意味、女優桐谷美玲の真価が問われる、ということにもなるかも。
息子を演じる橋本涼くんが小学4年生にしては大きいので、
彼と桐谷さんが(今のところは)親子に見えない、
というのが少し気になりましたが、慣れて来れば大丈夫でしょうか。


パート1(未見です)では、このポジションにミムラさんがいたそうで、
今回最後に特別出演して、すっかり逞しくなった姿を披露するサービス
摩耶が今後どうなって行くか、の示唆にもなっていたように思います。


4年3組担任・小杉は瀬戸康史くん。
正直、初回を観た限りでは、役作りにかなり無理がある感じ。
そこまで大袈裟に作らなくてもいいだろうに・・と思いましたが、
制作側に何か意図があるんでしょうか。
まぁ、瀬戸くんのことだから、うまく役を落ち着かせて、
シリアスモードにもすんなり移行出来るんじゃないか、とは思いますが。


4年3組の関係者とは別に、
どうやら斉藤さんと敵対しそうな高校生たちの存在も。
メンバーは、松岡茉優さん、岡山智樹くん、早見あかりさんら。
松岡さん演じる前園冴の、妊娠して高校中退して結婚、という設定は、
摩耶が高校卒業してすぐ結婚・出産した過去に重なってきそうで、
中盤から終盤にかけての大きなヤマになる可能性もありそう。
(松岡さんは、『あまちゃん』でも印象的で、
今 興味を持っている若手女優さんのひとりです)


他にも、きたろうさんや勝村政信さんや千葉雅子さん等、
興味深いメンバーが揃っていますが、今回のところはまだイロモノ扱い。
今後どんなふうに本筋と絡んで来るのか楽しみ。


さて田辺誠一さん。
桐谷さんと夫婦、と聞いて、いくらなんでも無理があるだろう、
と思っていたのですが、さほど違和感なかったですね。
ただ、役作りとしては、ちょっと微妙な感じ。
一見 優しい夫ではあるけれど、
摩耶の悩みをちゃんと受け止めてやっていないようにも見えるし、
あるいは、あえて今のところはそう見せているだけのようにも思える。
斉藤さんに一喝されてもおかしくない部分を持っている気もするけれど、
見えない底の底でちゃんと摩耶を支えているようにも思える。
公式サイトには「良き夫」的な書かれ方をしていますが、
「酔うと子供になる」という設定にも、若干の不安があるしw、
ドラマの展開にどう絡むのか、どういう役割を与えられているのか、
まだ今のところは、はっきりと読めません。


摩耶と拓海の年齢設定(現在28歳と9歳)を考えると、
摩耶が高校卒業して就職した時に出逢い、見初めてすぐ結婚、
1年経たないうちに出産、ということになるんですが、
それってまるで実パパ(@11人いる!)並みの早業じゃないか〜!と、
弘高氏(田辺)に心の中で思いっきりツッコミを入れてしまった。w
でも、さきほども書いたように、
摩耶が冴と同じぐらいの年齢で若くして結婚・出産した、と考えると、
そのあたりで摩耶(や弘高)が冴たちに与える影響もありそうで、
そう考えると、ただの優しい夫、というだけでない、
何らかの大切な役割が、ちゃんとあるような気もしますが、どうでしょうか。


ゲストミムラ 演出:久保田充



『斉藤さん2』(第2話)感想

第1話の時の いかにも作り物っぽい上滑りな笑いがほとんどなくなって、
だいぶ落ち着いて来たし、
登場人物も、それぞれに個性ある色味が出て来はじめて、
セリフにも少しずつ深みが増して来たように思います。


今回の磨沙夜(前田航基)のエピソードは、ベタな展開ではあったけれど、
小学6年生というポイントをうまく押さえたものに
なっていたんじゃないでしょうか。
どんなにつっぱっていても、どこかまだ子供なんですよね。
だから、斉藤さん(観月ありさ)がしっかり向き合ったら、
あっさりと心を開いた。
「寂しかった」という言葉も、12歳の子らしくて、何だかジーンときた。


磨沙夜がこのまま放って置かれたら、
あの大鷹高校生たちのようになるんでしょうか。
あの高校生たちを放って置いたら、
磨沙夜の両親(池田成志小島聖)のようになってしまうんでしょうか。
だけど、あの高校生たちだって、
それより さらに たちの悪い(ように見える)磨沙夜の母親だって、
正面から真剣に向かって行けば、心を開いてくれるかもしれない・・
その、ほんのわずかな可能性への道筋を見失わないように、
斉藤さんは、いつも、まっすぐな眼差しで彼らを見つめようとしている。


「言葉遣いが悪い」「素行不良」「ケバい化粧」等の
見かけで判断して、付き合っちゃいけない、と決めつける
"良心的で善良な"大人たちの見えない偏見や悪意が、彼らを追い詰める、
彼らはさらに過激に攻撃的になる、
するとなおさら"善良な人々"は近づかなくなる、
偏見はどんどんエスカレートして、決定的な無理解の壁を作る・・
そうなる前に、世間の評判や噂でなく、
自分の目や耳や感覚を信じて彼らと真剣に付き合うことが大事だ、と、
斉藤さんは自分の行動で示しているように思いました。


だけど、それを貫くのは、そんなに簡単なことじゃない・・


磨沙夜のような小6相手なら、しっかり向き合えば分かってくれる。
だけど、たとえば高校生ぐらいになると、
どんなに正論をぶつけても、
素直に受け取ってくれることが難しくなって来る。
知恵も働くし、腕力もあるし、相手の弱点を容赦なく突くことも出来る。
斉藤さんの唯一と言っていい弱みは、潤一(谷端奏人)なんですよね。
彼らに斉藤さんの真意が届く前に、
潤一くんに危害を加えられたら、どうすることも出来ない・・
実際に彼らがそんなことをする子たちかどうか、は別にして、
(今の段階では)絶対にそうならないとは言い切れないのも確かで。
斉藤さんは、完全無欠のロボットじゃない・・
そんな危うさを さらりと滲(にじ)ませた回にも なっていたように思います。


他の登場人物。


玉井さん(南果歩)。
キャンキャン騒ぐだけの憎まれ役じゃなく、自分なりの正義を持っている、
だけど子供の本質を見抜けないでいる、というあたり、
これからもっと深い内面が見えてきそうですね。


大庭さん(猫背椿)
彼女の物事何でも斜めに見る性格や毒を含んだ言葉が、
問題を余計にこじらせている気がします。
影のトラブルメーカーは、ひょっとしてこの人なのかも。
あまりにも真に迫っているので、
猫背さんを嫌いになっちゃいそうで怖い。(いやマジで)


小杉先生(瀬戸康史
かなり落ち着いてきて、生徒たちとの距離が見え始め、
案外子供たちと馴染んでいるようだったので、ホッとしました。
お笑いを含んだキャラの中に、
これからどういう本音を入れ込んで来るか楽しみ。


大庭さん(猫背)の ポイントを突いたチクリの数々が効いたせいか、
今回は玉井グループがあんまり笑えなかったので、
音尾琢真さんはいい味出してましたが)
これからの私の和みポイントは、
フラワーアレンジメント教室の後ろで何かやらかしている千葉雅子さんと、
山内夫妻(田辺誠一桐谷美玲)の会話、ということになりそう。w


前回、弘高(田辺)がどういう役割を与えられているのか読めない、
と書きましたが、本当にこの人は、
摩耶(桐谷)の横にいてしっかり肩を抱いてあげてる感じもないし、
摩耶の後ろにいて支えてあげている様子もなくて、
たまに助言めいたことを言っても、
あなたには分からないのよ」と言われて、それ以上言い返すこともなく、
結局 摩耶は何でも一人で判断しようとしてバタバタ焦っていて・・
でも、だから弘高が頼りないか、と言われれば、
そうとは言い切れない何かを彼が持っているのもまた確かで。
それは何だろう、と考えたのですが、
ひょっとしたら、彼は、摩耶のセーフティネットなんじゃないか、と。


摩耶は、全部自分で考えて行動している。
(今のところ)とっても危なっかしく見えるんだけど、
彼女の前にも横にも後ろにも、頼るべき夫(の存在感)はない。
それは、彼女の求める答えを、
弘高では導き出せないからなのかもしれない。
彼女が求める答えのヒントを握っているのは斉藤さんで、
斉藤さんに関わって行くことで摩耶自身が答えを見つけて行くしかない。


じゃあ、弘高の役目は何か、と言ったら、
摩耶の迷いや、失敗や、彼女の言動のすべてを受け止めてくれる、
彼女の足元に広げられた、普段は見えないセーフティネット・・
彼女が本当に危なくなった時、間違って足を踏み外した時、
彼女に大怪我をさせない、傷を最小限にとどめてくれる、
そして、何度でも立ち上がる力を与えてくれる、
そういう役割を担っているんじゃないか、と。
摩耶を上から引っ張ってくれるのが斉藤さんなら、
彼女を下でそっと見守っているのが、弘高なんじゃないか、とか。


彼が、摩耶の悩みや苦労に踏み込まないのは、
それを解決出来るのは彼女自身でしかなく、
彼女にはそれが出来ると信じているから なのかもしれない、
なんてことも考えたり・・
これはちょっと弘高に高得点を入れ過ぎてるかなぁ、
と、我ながら思うけれど。w


とにもかくにも、登場人物が、
早々にマンガチックな空気感から抜け出したことは、かなりの好感触。
今回ぐらいしっかりと問題に取り組む斉藤さんを観ることが出来たら、
そして、そんな斉藤さんの傍で摩耶が少しずつ無理なく成長してくれたら、
面白いドラマになって行きそうな気がします。


ゲスト前田航基 池田成志 小島聖 演出:久保田充



『斉藤さん2』(第3話)感想

通学途中の潤一(谷端奏人)たちが、
花火遊びをしていた男たちにひやかし半分に標的にされる、
という事件が起きます。
子供たちは、男たちの顔をはっきりとは見なかった、と言いますが、
玉井さん(南果歩)たちは、それを、
大鷹高校の生徒たちの仕業と決め付けます。
斉藤さん(観月ありさ)は実際に彼らと会い、違うことを確認、
しかし、斉藤さんが高校に行ったことで、
自分たちを信じていないと誤解した高校生たちは、
さらに心を閉ざしてしまい、巡回中の斉藤さんたちに花火を向けて・・


ちょっとしたボタンの掛け違いで、
事はどんどん悪い方向にエスカレートして行く。
最初の事件が、あのまま高校生たちの仕業ということになってしまったら、
彼らはますます"世間"を疎ましく思い、背を向けるようになるところ。
しかし、摩耶(桐谷美玲)が、
優里(早見あかり)に斉藤さんの真意を伝えたことから、
少しずつ彼らの警戒心が解けて行きます。


一方、斉藤さんみたいに強くなる、と決意した摩耶は、
花火の犯人が誰なのか、ひとりで確かめに行くのですが・・
う〜ん、ここはちょっとヒヤヒヤしました。
摩耶、いくらなんでも危なすぎでしょう。
もともと相手の顔を見るだけのつもりだったわけだから、
あそこまで危ういことにはならないだろう
と思っていたのかもしれないけれど、
万が一 相手がナイフでも持っていたら、どうする気だったのでしょうか。


でも、ああなってしまうと、いくら斉藤さんでもどうしようもない。
警察に連絡、というのが、一番いい対処法だったわけで。
少なくともあの時点での玉井さんの言うことは正しかったわけですね。
連絡する前に岩田巡査(勝村政信)が通りかかってくれて、
パトカー出動要請してくれたおかげで、事なきを得てホッとしました。


高校生たちが、
最後に、斉藤さんに花火を向けたことを謝ったことは、
自然で無理のない流れだったように思います。
彼らに対して、斉藤さんも、大人たちが誤解していたことを詫びます。
本当は、彼らを犯人扱いした玉井さんにこそ謝って欲しかったけれど、
そこは、常に”善人=正しい人”でいたいと思っている玉井さんの
プライドが許さなかった、ということでしょうか。


そんな玉井さん、確かにうっとうしい存在だけれど、
私はあまり嫌いになれないんですよね。
悪気はないのに、子供を護ろうとする想いが強すぎて、
いちいち過剰反応してしまい、ちょっとやり過ぎのところはあるけれど、
何だか、彼女の、表面的な道徳心に縛られた視野の狭さや浅はかさ って、
どこか自分にも重なるようで、身につまされるところがあるし、
"善人ぶりっこ"をやめて自然に振舞うことが出来るようになれば、
彼女も案外いい人なんじゃないか、という気もするので。


今回の件、
斉藤さんがどんなに頑張っても、
こじれてしまった高校生たちとの溝を埋めるのは難しかったかもしれない。
斉藤さんだって万能じゃないんですよね。
摩耶が(かなり無鉄砲に、ではあるけれど)頑張ってくれたおかげで、
和解の糸口が見えて来た、とも言えるかもしれません。


それにしても、摩耶の「大丈夫です」「頑張ります」は、
かなり無理をしている感じがします。
若くして14歳年上の弘高(田辺誠一)と結婚し、
すぐに拓海(橋本涼)を産んだけれど、
若い=未熟と見られるのがイヤで、
夫や息子にも、父兄たちに対しても、相当背伸びして接している。
どうしたらいいか分からないのに、意地を張って夫に頼ることもしない。


弘高(田辺誠一)のキャラは、今のところ、かなり軽いですよね。
まぁ、摩耶に合わせている、ということもあるだろうけれど、
(だから、彼女の帰りを息子と一緒に玄関口で待ってる姿に、
あまり不自然さを感じなかったんだろうけど)
私には、どうしても、彼自身にも足りないものがあるように
感じられてしまいます。
摩耶にしても、弘高にしても、夫婦としてのポジショニングが
まだしっかりと取れていないような気がする。
夫婦としての完成形にまだ辿り着いていないように見える彼らが、これから、
しっかりとお互いを支え合う関係になって行く、という展開になるのか・・
あるいは、前回書いたように、
弘高が、摩耶のセーフティネットなのであれば、
ちゃんとお互いを支え合う関係が出来上がっているのだけれど、
今はまだ 観ている側の私に伝わって来ていないだけ、なのか・・
年の差カップルにした意味も含め、これからふたりがどう描かれるのか、
脚本は、毎回、きちんとしたビジョンを持って書いているように思うし、
摩耶の成長が大きなポイントになるのは確かだと思うので、
今後のこの夫妻の関係性の変化にも注目したいです。


余談。
摩耶は、高校卒業して就職、そこで弘高と知り合って結婚、
4年生(9歳)の子がいる、という設定なのですが、
今27歳というのはどうしても計算が合わない、
少なくとも28歳にはなっていないと・・と思うんですが・・
・・まぁ、そんなことは 本筋とはたいして関係ないし、
別にツッコミを入れる気もないんですが、
この年の差カップルのなれそめについては気になるところなので、
是非、回想シーンなどで観たいものです。


ゲスト:神尾佑 演出:吉野洋




『斉藤さん2』(第4話)感想

このドラマ、摩耶(桐谷美玲)のキャピキャピキャラとか、
玉井(南果歩)グループの大袈裟な言動とか、
全体にマンガっぽい作りなので ライトコメディとして見られがちだけれど、
中身は、一話毎(ごと)、子供たちの問題に真面目に向き合うものに
なっているように思います。
今回は特に、小学4年生ぐらいの子にありがちな
テーマだったのではないでしょうか。


立花(酒井若菜)の期待を一身に背負って、
彼女の期待通りの娘になろうと頑張る知花(大野百花)。
知花には、ピアノより好きなことがあって、でもそれを打ち明けられなくて、
レッスンの時間になるとお腹が痛くなって・・
母親の期待に応えたい想いと、
好きなことを諦めることが出来ない自分の気持ちと・・
小学4年生ぐらいになると、
相手への思いやりも、自我も、ちゃんと育って来ているから・・


知花は、お母さんが大好きで、
だからこそ、本当の自分(が好きなこと)を晒(さら)すことが出来ずに、
母親の望みどおりの娘になろうとします。
母親の方は、娘が好きでやっていることだと思い込んで、
一生懸命応援するんだけど・・
そのあたりの、お互いを想う気持ちが まっすぐに伝わらなくて、
どこかでずれてしまっているところが、切なかった。


でも、知花はついに斉藤さん(観月ありさ)の力を借りて本心を告白する、
そして、こう言う、
ママは何で自分のことを『何の取り得もない』なんて言うの?
私には自慢のママだよ」
このセリフにはグッと来てしまった。
娘に自分のような人間になって欲しくない、と、
我が身を卑下しつつ、懸命に子育てして来た立花だけれど、
娘の方は、(本人も気づいていなかった)お母さんのいいところを、
ちゃんと見つけていたんですね。


この後、玉井さんが、知花の才能を惜しんで、
斉藤さんに「あなたはあの子の才能の芽を摘んでしまった」と言うのですが、
確かに、そういう考え方もあるかもしれない。
だけど、本人が好きで、納得ずくでやっているんじゃなければ、
レッスンは苦痛で辛いだけのものになってしまう可能性があるし、
好きでなければ上達することは難しいんじゃないか、とも思うのです。
知花みたいな頑張り屋さんは、
案外、ピアノの得意な虫博士にもなれるんじゃないか、という気がしますが・・


一方、山内夫妻(田辺誠一桐谷美玲)は、
拓海(橋本涼)が体操教室を休んでヤゴを取りに行くことと、
弘高が家事一切を引き受けることとを天秤にかけちゃうような、
なかなかアバウトな楽しい一家で。w
でも、親の立場としては、子供の習い事に対して、
このくらい肩の力を抜いて向き合うのがいいかもしれない、
なんてことも思いました。


それにしても、弘高さん優し過ぎ。花柄エプロンがまた妙に似合うし。
掃除して、洗濯して、夕飯作るはずが、
そこまでパーフェクトになれなくて、デリバリーのピザになっちゃったあたりも、
(りき)んで家事をやっていない感じで、好印象だし。


うん、何となく摩耶と弘高の関係性が見えて来た気がします。
前回までは、脚本も演出も演じ手も、どこか、
山内弘高という人間をうまく扱いかねているんじゃないかと思いましたが、
(あくまで私個人の私見です)
今回は、摩耶の夫としても、ドラマ全体における立ち位置としても、
無理のないところに収まりつつあるように、私には感じられました。
(この先どう変わって行くかは分かりませんが)


弘高が摩耶に調子を合わせているのは、
かなり年上の彼の余裕がなせるわざ、なのかもしれない・・
と思えたことで、私としては何だかちょっと一安心。
もうこのまま不思議ちゃん夫婦で行っちゃってもいいかな。
だってこの夫婦のちょっと浮世離れした空気感には和ませられるし、
何だかすごくかわいいんだもん、二人とも。w


演出:久保内充




『斉藤さん2』(第5・6話)感想

今回(5話・6話)は、
斉藤さん(観月ありさ)の息子・潤一(谷端奏人)のいじめ問題。
これも、4話同様、小学4年生らしいお話だったと思います。
斉藤さんの息子ですから、そりゃあ まっすぐに育って、
正義感もちゃんと持ち合わせて。
でも、潤一のそういうところをけむたがる子たちの気持ちも、
何だか分かる気もして。
4年生だから、いじめも徹底的に陰湿ではなくて、
靴を隠されたり、みんなからシカトされたり、ぐらいのことなんだけど、
いじめ初体験の子にしてみたら、やっぱりショックだろうなぁ。
(いじめている子たちが、やられた子の痛みを想像出来ないことも問題)


子供のいじめに直面させられた親として、
斉藤さんは、担任の小杉先生(瀬戸康史)に面接を申し込みます。
この時の、どこか及び腰ながらも、
きちんと斉藤さんの質問に応えようとする先生、ちょっと見直しました。


そんな先生に、
クラスのことは、先生のお考えでやって下さい。
どうしたらいいか、私にも分からない。だけど今は出て行く時じゃない。
頑張って見守ろうと思います」
頑張って見守る・・いかにも斉藤さんらしいスタンス。
だけど、こういう時に、親として子供をただ見守ることがいかに難しいか・・


何とか突破口を見つけ出そうと、
折り紙やろう」と潤一に声をかけますが、
「みんなゲームばかりで、折り紙なんてやらない。
お母さんはおかしいんだよ。だから僕だって・・」と言い返される斉藤さん。
夜、夫に電話して愚痴をこぼそうとして、思い止まり、
そしてぽつりと「小さいなぁ、あたし・・」とつぶやく


摩耶(桐谷美玲)のように「ひょ〜!」って発散出来たら、
少しは楽になれるかもしれないけれど、
そういうことが出来ない斉藤さんは、自分で抱え込むしかなくて・・
彼女の、思いがけない弱さを見せられて、
むしろ、何だか彼女がますます好きになった私。


クラスメイトの仲間はずれは よりエスカレート、
結局、潤一は、いじめられていることをお母さんに告白
じっくりと話を聴いた斉藤さん、
世界は潤一が思っているよりずっと広いんだよ。負けるな潤一」
と、穏やかに励まします。


一方、潤一と親友だった拓海(橋本涼)がいじめに加担している
と知った父・弘高(田辺誠一)は、彼を殴り、
なぜそんなことになったのか、ちゃんと説明するように求めます。
まぁ、あいかわらず言葉に重みのないお父さんではありますがw
(田辺さんならもっと違った演じ方も出来ると思うのですが、
摩耶とのバランスを考えると、この重力のなさでいいんでしょうね)
言ってることは間違いないし、
普段からちゃんと拓海とコミュニケーションを取っているからこそ、
彼をきちんと叱ることも出来たんじゃないか、という気もします。


いじめの中心人物・玉井大和(玉元風海人)と話し合おうと、
公園に呼び出した潤一。
斉藤さんや摩耶が陰で見守る中、二人はけんかになります。
それを知った玉井さん(南果歩)は、斉藤さんを学校に呼び出し、
先生の前で、怪我をした大和に謝らせようとします。
しかし、一部始終を見ていた斉藤さんの他、
摩耶や拓海、クラスでいじめを目撃していた知花(大野百花)たちが、
実際は大和が潤一をいじめていたことを証言、
いたたまれなくなってその場を去ろうとした玉井さんに、摩耶が、
「きちんと謝らせましょう」と言い、まず摩耶の息子・拓海が潤一に謝罪、
玉井さんも、やっと謝ります。


なぜ大和は潤一をいじめるようになったのか・・
「お母さん、潤一のおばちゃんのこと嫌いだろ?
お母さんが喜ぶと思った。最初はそれだけだったんだ」
それを聞いて、大和に背を向けたまま、「ごめんね」と謝る玉井さん。


4話の知花とお母さん(酒井若菜)の関係もそうだったけれど、
大和にしても、お母さんの気持ちに添う行動を取ろうとしている。
4年生ぐらいになると母親の考えが読めるようになる、ということもあるし、
同時に、親(の考えや思惑)から離れて
自己を育てなければならない時期に来た、ということなのかもしれません。


このあたりの「親と子の関わり方」の線引きは、なかなか難しいところで、
現実は、こんなに甘くないし、単純ではないとも思うけれど、
そのあたりをリアルに細密に描いてしまうと、
全体に重いタッチになってしまって、
かえって、伝えたいことが伝わりにくくなってしまう、ということも考えて、
このドラマは、ライトな空気感の中に、
伝えたいテーマを何とかして溶け込ませようとしているように思います。


正直、上滑りして、笑いどころで笑えない、なんてこともあるけれど、
伝えたいことを分かりやすく、という意図は伝わって来るし、
斉藤さんのまっすぐな中にある不器用さや、
摩耶や弘高が醸し出すふんわりと浮いたような空気感、
とりわけ、玉井さんが描いてみせる うわべだけの「物分かりのいい親」像が、
私にはなかなか興味深く感じられます。
案外、このドラマの芯を浮き彫りにする役目を担っているのは、
斉藤さんでも摩耶でもなく、
玉井さんなのかもしれない、なんてことを思いました。


演出:岩本仁志



『斉藤さん2』(第7話)感想

前園冴(松岡茉優)は、妊娠して高校を中退、そして出産。
しかし、赤ちゃんが生まれたことで、昔の仲間と遊ぶことが出来なくなったり、
四六時中赤ちゃんの世話に追われるようになって、
徐々にストレスがたまり、追い詰められて行きます。
冴のいつもと違う様子に気づいた親友の優里(早見あかり)は、
斉藤さん(観月ありさ)に連絡、
斉藤さんは、自分がボランティアで参加している育児相談に来るよう
冴に勧めますが、
彼女が意を決して訪ねてみると斉藤さんはまだ来ていなくて、
大庭(猫背椿)や播磨(音尾琢真)が彼女を無視、
新しい所長(古田新太)も優柔不断ではっきりせず、
腹を立てた冴は、相談所を飛び出し、
フラフラと陸橋を歩き、無意識にベビーカーを離してしまいます。
加速をつけて走り出すベビーカー。
冴を探していた斉藤さんがそれを見つけて、ベビーカーを無事保護。
斉藤さんの家に招かれた冴は、
摩耶(桐谷美玲)や立花(酒井若菜)の話を聞き、
みんな悩みつつ子育てしていることを知って、やっと笑顔を取り戻します。


子供も二人目三人目になると、結構余裕が出て来て、
些細な事では動じなくなるのですが、
最初の子は、本当に、どうしていいか分からない時があります。
冴のストレスは、子供への愛情とは別物、
いくら可愛くても、イライラを堪え切れない時もある。
身近に相談出来る人がいる(できれば経験者)がいて、
あなたの気持ち分かるよ」と言ってもらえるだけで、どんなに救われるか。
斉藤さんのおかげで そういう場を持てた冴は幸せだなと思います。
あなたはもう高校生じゃない、母親なんだよ」と斉藤さんに諭され、
子供をつねってしまった事を夫に告白する冴、
彼女の言葉をちゃんと聞いてくれるだんなさんで良かったです。


一方、前回、息子の大和(玉元風海人)が
潤一(谷端奏人)いじめの首謀者だったことが発覚、
しかも、世間には不良で通っている冴の伯母だったことも知れて、
すっかり孤立してしまった玉井さん(南果歩)は、
実は離婚問題も抱えていて、すっかりおとなしい存在に。


そんな玉井さんに付いて行けない、と、
大庭や播磨は、斉藤さんを新リーダーにしようと画策。
しかし、当の斉藤さんに突っぱねられて、どうしたらいいものかウロウロ。
う〜ん、どうやら一番波風立ててるのは、この二人のような気が・・
この人たちの行動が妙にねちっこくて、笑って流すことが出来ず、
観ていてしんどいのが辛いところ。
(いずれ斉藤さんがスカッと晴らしてくれるとは思いますが)


「どうしたら斉藤さんのようになれるんだろう」と摩耶。
弘高(田辺誠一)は、
「斉藤さんは相手の立場を想像することが出来る」と言います。
今何を思っているか、どう感じているか、
相手の気持ちを自分のことのように身近なものとして感じ取る・・
それって、すごく大事なことなんだと思います。
(それにしても弘高さん、おじさんと言っていい年令なのに、
斉藤さんちで他のお母さんたちと一緒にいても
まったく違和感ないのはなぜ?w)


そんな斉藤さんが、今後、
玉井さんや大庭さんや播磨さんとどうつきあって行くのか、
そこに摩耶はどう関わって行くのか・・
次週も興味深く観て行きたいと思います。


ゲスト古田新太 演出:久保田充



『斉藤さん2』(第8・9話)感想

う〜ん、正直、今回はちょっとしんどかったです。
斉藤さん(観月ありさ)のアジビラも、
大庭(猫背椿)や播磨(音尾琢真)のコロコロ変わる態度も、
安西(池田成志)一派の玉井さんへのしつこい絡みも、
斉藤さんが玉井さん(南果歩)のために
一人で安西の事務所に乗り込んで行くところも、
何だか私の中でうまく消化出来なくて、後味が悪かった。


玉井さんが自分のために保護者会を開いて土下座して、
斉藤さんにたしなめられたり、
プチ家出した子供たちに、斉藤さんが「逃げてちゃダメ」と諭したり、
大庭や播磨に「あなたたちの気持ちはどこにあるの」と迫ったり、
斉藤さんと玉井さんがお互いの気持ちをさらけ出して、
その後、玉井さんが斉藤さんに「助けて下さい」と言ったり・・
そのあたりの流れは良かったと思うし、
他にも良いシーンがいろいろあったと思うんだけど、
何だか、斉藤さんと玉井さん以外の人たちの言葉や行動が、
(私には)納得行くものとして受け取れなかった。


だから、斉藤さんが一人で安西のところに乗り込んで行った後、
玉井さんや摩耶(桐谷美鈴)たちみんなが加勢しに行って、
安西を黙らせる、というクライマックスにも、
何だか観ているこちらの気持ちが晴れなくて、
それはどうしてなんだろうと、私なりに考えてみたのだけれど・・


以下、私の勝手な思い込みですが、
斉藤さんや玉井さんの足を引っ張るキャラとして、
池田さんや猫背さんや音尾さんが起用されたからには、
トラブルメーカーというマイナスイメージの役の中にも、
一種のチャーミングさや軽さを入れ込んでくれるんじゃないか、
という期待があったのですよね。
どんなに日和見な人たちでも、悪がしこいやつでも、
重苦しかったり ネチネチしていたり、というだけじゃなく、
どこかにコメディっぽい緩(ゆる)さやすきまがあって欲しかった、というか、
観ている側に、彼らを赦(ゆる)せる余裕を持たせて欲しかった、というか・・


いや、それでは、
斉藤さんの正義も、玉井さんの勇気も、
斉藤さんのために安西の事務所前に集まったみんなの気持ちも、
明確なものとして観る側に伝わらなくなってしまう可能性があるから、
難しいところではあるんだけど・・


     ひょっとしたら、私が、
     池田さんや猫背さんや音尾さんが好きだから、
     ただ、役に忠実にトラブルメーカーを演じる、というだけでなく、
     トラブルメーカーなりの何らかの魅力を見せてもらわないと物足りない
     と思ってしまっただけのことなのかなぁ・・
     でも、岩田巡査(勝村政信)などもそうなんだけど、
     彼らから、もっと、バックボーン(存在の意味や言動の背景)
     みたいなものが感じられたなら、
     彼らがどんな人間でも、彼らをもっと好きになれた気がするんだけど。



せめて、そんなすっきりしない大人の対極として、
子供たちの 大人の鼻を明かすような行動があれば救われたんだろうけれど
(今回のところは)プチ家出止まりだったのがちょっと残念。
女の子たちの 親へのドライな視線など、いい味が出ていただけに、
彼らの不満を、もう少し明確なセリフとして言わせてあげたかった気がする。
4年生ぐらいなら、案外いろんなことを考えていると思うんですが・・


すべてがマンガチックに分かりやすく描かれている、とはいえ、
そんなうわべを振り払ってしまえば、
きちんと伝えたいテーマを持っている、と思えるドラマなんですが・・
そのテーマと、ドラマとしての笑わせどころと、(ワキ)役の魅力が、
自分の中でうまく練り合わさって行かないジレンマがあって、
せっかく斉藤さんと玉井さんの気持ちが繋がったというのに、
素直に感情移入することが出来ない自分自身に、
ちょっとイライラしてしまいました。


次回は最終回。
子供たちの大人たちへの痛快なしっぺ返しと、
気持ちのよい大団円があることを期待したいと思います。


ゲスト池田成志 演出:吉川洋(8話)岩井仁志(9話)



『斉藤さん2』(第10話=最終回)感想

「二分の一成人式」で読むはずの親への手紙を先生に添削され、
書き直しを命じられた子どもたちは、
添削前の自分たちの手紙を読ませて欲しい、と、教室に立てこもります。
しかし、大和(玉元風海人)たちレスキュー9の想いとはウラハラに、
メンバー以外の生徒たちが暴走しはじめ、
けんかしたり、ガラスを割ったり・・手に負えない状態になります。


事態を収めようと、斉藤さん(観月ありさ)がはしごをかけて
外から教室に入ろうとしますが、
「悪いことは悪いって教えてあげないと」という斉藤さんの言葉に、
摩耶(桐谷美玲)が、「子どもたちが自分で出て来るまで待とう。
聞いてあげないと、見てあげないと、じゃダメ。
あの子たちは聞いて欲しいんだよ。対等に相手して欲しいんだよ」
と訴え、結局 4年3組だけの「二分の一成人式」をやることに・・


やむにやまれず教室に立てこもる、
そこまで追い込まれてしまった子どもたちの気持ちは、
前回までの流れの中で、ある程度描かれていたわけですが、
その行動に もう少し説得力があれば、なお良かったんじゃないか、と。


ただ、立てこもりが 子どもたちの思惑通りには行かず、
思わぬ展開を招いてしまう、というところは興味深かったです。
自分たちが正しいと思って起こした行動の意味が、
同じ仲間(同級生)にさえうまく伝わらないジレンマ・・
自分が信じる正義を貫くことは、とても難しい。


立てこもりによって子どもたちが得たものは、それを知ったことと、
大人たちが、自分の間違いを正し、子どもたちと対等に接しようとする、
そういう存在であろうとし始めたこと、なんじゃないでしょうか。
斉藤さんや摩耶、玉井さん(南果歩)たち父兄もそうだし、
小杉先生(瀬戸康史)も・・


そして、この騒動で親たちが得たものは、
子どもはいつまでも親の所有物で収まっていてはくれない、
子どもの人格を認め、心を開いて、一対一として対等に向き合い、
自分が間違っていればきちんと子どもに謝らなければならない、
そのことを、身をもって知ったことなのかもしれません。


子どもであれ、大人であれ、
自分が悪いと思ったら「ごめんなさい」ときちんと謝ること・・
それは、最初から、このドラマが伝えたかった大切なことのひとつ
だったような気がします。


ひとつだけ引っ掛かったのは、
子どもたちを止めようとした時の斉藤さんの
「大人をなめんなよ。大人の力を見せつけてやる」というセリフ。
斉藤さんって、そんなこと言うような人だろうか。
その後の摩耶のセリフを引き出す呼び水の意味があったとはいえ、
何となく斉藤さんの性格やスタンスとは合わない気がして、
ちょっと残念でした。



最終回まで観終わって。
「4年生の親子問題」や「若い母親の育児」等々のテーマについては、
毎回ポイントを上手く掴んでいたように、私には思われました。
ただ、斉藤さん以外のキャラクター造形とか、
物語の流れとか、山場の見せ方とか、そのあたりが、
ところどころ大袈裟過ぎたり、上滑りしたり、チグハグだったりして、
そのせいで全体の空気感が一定せず、
気持ち良く本題に乗り切れないこともあった(あくまで私個人の印象)
のが、すごくもったいない気がしました。



出演者について。


観月ありささん(斉藤全子)
斉藤さんが、何でも出来る「スーパー斉藤さん」じゃなく、
迷ったり悩んだりすることもあったことで、親近感が湧きました。
斉藤さんという役に観月さんの温かさや明るさがうまく溶け込んでいて、
観ていてすごく安心感があったし、心地良かったです。
私が今まで観た観月さんのキャラの中で一番好きかもしれません。


南果歩さん(玉井眞美)
斉藤さんの対極としての玉井さん、
リーダーとしての人心掌握のうまさと 心の弱さのアンバランスさが絶妙で、
分かる分かる〜と思いながら観ていましたw
スカッと気持ちよく主人公にやっつけられる明快な敵役ではなく、
すぐに斉藤さんと仲良くなってしまったので、
何となくすっきりしない、という人も多いかもしれませんが、
私は、いろいろな感情を内包させている玉井さんが好きだったし、
南さんはそのあたりをすごくリアルなものとして演じていたように思いました。


★酒井若菜さん(立花知佐子)
演じているのが酒井さんということもあり、
この人が玉井さん以上にトラブルメーカーになるんじゃないか、
と最初の頃は思っていたのですがw
案外すんなりと斉藤さんや摩耶に馴染んで、
以後、突出もせず穏やかに 親たちの喧騒の中にいる、という・・
実は、このあたりのポジションが、私には一番しっくり来ました。


★猫背椿さん(大庭麻衣)/★音尾琢真さん(播磨大三郎)
ふたりとも上手すぎですw
途中から大庭や播磨があんまり好きになれなくなったせいで、
演じている猫背さんや音尾さんまで嫌いになりそうになってしまった。
あぶないあぶないw
最終回になって、ようやく可愛らしいと思えて、ホッとしました。


瀬戸康史(小杉大造)
中盤から演じ方に落ち着きが出て、
観ていて不安定な感じがしなくなりました。
こういう役も出来るんだなぁ。案外振り幅が広いのかもしれない。
今後も興味を持って観続けたい俳優さん。
可愛らしい顔立ちなので、不利なところもあるかもしれないけれど、
今後は、(同じくベビーフェイスの)小池徹平くんみたいに、
徐々に大人の役がつくようになって欲しいです。


★きたろう(教頭)
最後の表情が素晴らしかったなぁ。
日和見な教頭だったけど、結局はいい人でよかった。
ちょこっとしか出てこなかったけど、
こういう役をやらせたら間違いない、という安定感がありましたね。


★勝村政信(岩田巡査)
難しい役だったですね。
頼りなくていつも逃げ腰なんだけど、
巡査としての仕事に誇りを持っていて、やる時はやるんだ、というところを、
何か具体的なエピソードで見せて欲しかった気がしていましたが、
今回、「私はいつもあなたたちを見ている」と言って、
高校生たちの先生の誤解を解いてやった、というところで、
やっと少し納得出来た気がします。


千葉雅子さん(横田睦美
逆に、最初はどうなっちゃうんだろうと思っていたら、
終盤に何とな〜くキャラが出来上がって来たのが、この人と、
間谷文明を演じた金替康博さん。
キャラとしてのバックボーンが見えて来たからでしょうか。


ん〜、こうして考えると、コメディって本当に難しいんだな、
(笑いの配分と質が大事)、と思う。


桐谷美玲さん(山内摩耶)
最初は、この人が斉藤さんと出逢って成長して行く、
というのがドラマの芯になるのかなぁ、と思ったら、
早い段階で斉藤さんに感化され、
以後、彼女の言動によって事態が収集することもしばしばで、
なかなかしっかりしたキャラになっていたのが印象的でした。


金星の姫(@荒川アンダーザブリッジ)を観て思ったのですが、
桐谷さんには、ファンタジーが似合う気がします。
今回はコメディでしたけど、ファンタジー系の役もまた観たいです。


田辺誠一さん(山内弘高)
出番はあまりなかったのですが、
摩耶が案外しっかりしていると感じられたのは、
この人が夫だったせいもあるのかな、なんてことも、ちょっと思いました。
そのあたり、年の差夫婦という設定にも意味があった、ということでしょうか。
前にも書きましたが、
出来れば、摩耶と弘高の出逢いのシーンを、回想で入れて欲しかった。
弘高が摩耶のどこに惚れたのか、というあたりを知りたかったです。


ともあれ、こういう役もまったく違和感なく、
ますます役の幅は広がって、ワキとしての独特の存在感を増して行く。
次回の出演は『夫のカノジョ』。
コメディにも しっくり馴染む40代、需要は多い、ということでしょうか。


演出:久保田みつる

2014-04-05

今さら『造花の蜜』感想

今さら『造花の蜜』感想 【ネタバレあり】

ネタバレ注意!事件の結末に言及しています。
これからドラマDVD等)をご覧になる方はご注意下さい。


2011年11月〜12月、WOWOW(連続ドラマW)で放送されました。
全4話。

途中まで、かなり上質なミステリーになっていて、
意外性も緊迫感も十二分にあり、
町工場に息づく人たちの生活がリアルに描かれる中、
事件が思いがけない方向にスピーディに進展して行くあたり、
非常に惹かれるものがありました。


一つの誘拐事件の裏で、もう一つの誘拐が同時に起きていた、
その当事者は、自分が誘拐されたとは思っていない、
しかも、知らず知らずのうちに自分の誘拐を手伝わされている・・
表に出せない闇金が身代金に使われ、
身代金を払った人間は、
誘拐が公(おおやけ)になることで地位や名誉を失うが、
代わりに、もっと大事なものを手に入れる・・
結果的には誰も傷つかず、
そうして、犯人の言う「美しく潔白な犯罪」が成立する。

第一の事件については、
このプロセスが非常にうまく組み立てられていて、
うわ〜そう来たか!という驚きと面白さがあったのですが・・


肝心の、事件の首謀者である‘蘭’という女性については、
私としては、どうしても好きになれなかったです。
これだけの犯罪を企て、男たちを働き蜂として自在に動かし、
まんまと橋場以下の刑事たちを翻弄し、7億の闇金を奪い取る・・
その手口の鮮やかさに、蘭自身の魅力が追いついていないように、
私には思えてしまったのですよね。

蘭を演じたのは、檀れいさん。
とても美しくて、すてきな女優さんですが、
今回、彼女のその‘美しさ’を見せることに終始しすぎたことで、
写真集PVプロモーションビデオ)を見ているような、
着せ替え人形がただ立っているような、味気ない印象になってしまい、
蘭という女性にミステリアスな深みが感じられなかったのが、
すごく残念でした。

檀さんなら、もっと魅力的に演じられたのではないか、と思うのですが、
スタッフが、彼女に役を渡す以前に、
蘭という女性の魅力を徹底的に掘り下げることをしていなかったために、
結果的に、彼女を魅力的に撮ることが出来かったように、
私には感じられました。


蘭は、ただ見た目が美しいだけの女性ではない。
精神的な気高さ、孤高の美しさ みたいなものを
内在させていたんじゃないでしょうか。
そのあたり、彼女が持つ思想や背景がもっと掘り下げて描かれていたら、
違った形で魅力的に伝わって来るものもあっただろうし、
ラストシーン、スカッと心地良い爽快感が味わえていたのではないか、と。

そういう意味では、
蘭の高校時代のエピソードを、もっとふくらませて欲しかった気がします。
彼女にとって「美しく潔白な犯罪」のきっかけとなる行為が、
ただ、クラスメイトが盗んだペンダントを盗むだけ、というのでは、
あまりにも物足りない。
蘭の生い立ち、性格、世間を見つめる視線 等々に、
「他人が盗んだものを盗む、結果的に誰も傷つかない、
その行為は‘美しく潔白な犯罪’である」、
という彼女の主張に正当性が感じられるような、
誰もが納得する理由付けが しっかり描かれていたら・・
あるいは、複雑な家庭ばかりを狙う意味が、どこかで描かれていたら・・
私は、もっともっと蘭に共感出来たように思うのですが、
そのあたりが明確に描かれていなかったために、
蘭が、あまり魅力的な人間に感じられなかったことが、
私がこの物語全体に心地良く乗り切れなかった大きな要因に
なってしまっていたような気がします。


他の登場人物について。
小川印刷工場の人々(国仲涼子 鶴田忍 長谷川朝晴 白羽ゆり)の、
ちょっとくたびれたような空気感が、
蘭の華やかな美しさと対照的で、すごく良かったです。

蘭の魅力の虜となり、彼女の働き蜂となって、
結局は自らの誘拐に手を貸すことになる川田に、玉山鉄二さん。
正直なところ、蘭や父親(國村準)との関係においては、
この役は、もうちょっと若い俳優さんの方が
合っていたような気がしますが、
印刷工場でインクまみれになって働く青年の実直な雰囲気や、
父親との確執が解けて行くシーンなど、
さすが、と思わせる空気感を作り出していて、好感が持てました。


第一の事件が、思いがけない展開で惹き付けられたのに比べると、
3話終盤から4話にかけて描かれた第二の事件については、
小杉家の人々(金田明夫 伊藤裕子 谷村美月ら)の
人物描写もそれほど深くはなく、
事件そのものも、ミステリー好きには物足りなかった気がします。

ただ、康美(谷村美月)に関しては、
私は そのキャラクターにすごく惹かれました。
大学受験に失敗して軽い引きこもりになって・・ぐらいしか
背景として描かれていないのに、
谷村さん演じる康美には魅力的な陰影があって、
蘭のことを話す時、瞳はキラキラ輝いていて。
彼女に対する橋場刑事がまた、
蘭を介した共犯者めいた空気を醸し出していて、
この二人が一緒にいる時のほの昏い空気が、
私にはすごく魅力的に感じられました。
蘭にもこのぐらいの陰影があったら、もっとずっと素敵だったのに、
と、つい また残念な気持ちが・・(苦笑)


私は原作を読んでいないのですが、
おそらく、脚本の岡田惠和さんが原作と最も変えたのは、
橋場有一(田辺誠一)だったんじゃないか、と思います。
原作のあらすじを見ると、
橋場がクライマックスのキーパーソンになっているらしいのですが、
それが映像化しにくい展開になっているようで、
ドラマ化にあたっては、そこをどうしても変更せざるをえなかった。
で、岡田さんが橋場をどういう男に変更したか、というと、
「心ならずも蘭に手を貸すことになる共犯者」だったんですよね。

高校時代の蘭との約束に縛られた形で
嫌々ながら第二の誘拐につきあわされていた、
でも、いずれは形勢を逆転させ、彼女を逮捕しようと考えていた彼が、
康美との会話あたりから、
蘭の犯罪に対する考え方に興味を示し、徐々に蘭に傾倒して行く、
その流れが、私としてはすごく興味深かった。


橋場は、決して強い正義感から刑事になったわけではない、と思うのです。
刑事として悪い人間を捕まえる、というのは、
彼にとって、あまり大きな問題ではなかったのかもしれない。
天才的な頭脳を持てあましていた彼にとって、
自分に戦いを挑んで来る「手ごわい相手」を倒すこと、それこそが、
唯一、自分の飢餓感を埋めてくれる行為だったのかもしれません。

そんな橋場が、第一の事件で蘭に敗北した。
第二の事件で、約束どおり蘭の働き蜂となった彼は、
何とかして彼女に勝ちたいと願うが、
徐々に蘭の言う「美しく潔白な犯罪」に興味を示すようになる。
そして・・


おそらく岡田さんの意向としては、
最後は、蘭と橋場が手を組み、「怪盗」のような存在になるのを
ほのめかして終わりたかったんじゃないかと思うのですよね。
魅力的な大人の女と男が、
恋愛感情を表立たせることなくビジネスライクに手を組む
クールなチーム」と言えばいいか。

ですが、肝心な蘭が、そこまでの背景を背負えるほど
しっかりしたキャラになっていなかったので、
結果、ラストの橋場の行動もインパクトが弱くなってしまった気がして、
蘭と橋場がドラマ全体に及ぼす空気感が
もっともっと都会的でおしゃれでクールでかっこいいものに
なって欲しかった私としては、そこがすごく残念でした。


怪盗で男と女のコンビ・・というと、
私がまず思い出すのは『ルパン三世』なのですが(単純ですみませんw)
蘭と橋場は、峰不二子ルパンのような関係には
なれなかったんでしょうか。

不二子にとって、ルパンって働き蜂だと思うのですよね。
ルパンも、それを承知で不二子のいいように使われている。
あえて働き蜂に甘んじているのは、
彼に不二子をねじふせる力がないからじゃなくて、
そういう立場を余裕を持って楽しんでるからなんじゃないかと。

もちろん、キャラとしての味わいは全く違うけれども、
ルパン三世のような思い切りの良さ、洗練されたセンスの良さ、が、
蘭にも、橋場にも、このドラマ全体にも欲しかった気がする。
それが成功していたら、
康美も含めた3人で、今までのドラマではなかなか観られなかった、
とても魅力的な「実写版日本の怪盗」が出来上がったんじゃないか・・

・・いや、それはもちろん、
私の「そうだったらいいな」という妄想でしかないのだけれども、
何だかすごくもったいない気がしてしまいました。


脚本の岡田惠和さんと 田辺誠一さん。
夢のカリフォルニア』の中林にしても、『小公女セイラ』の亜蘭にしても、
とても印象深い役を与えられています。
今回は、中途半端じゃない「突き抜けたかっこよさ」を求められた、
それが成功していたら、
また一皮むけた田辺さんが見られたんじゃないかと思うのですが、
そこまでかっこよくなりきれなかった感じがあって、
(田辺さんばかりじゃなく衣装等の問題もあったと思うけれど)
蘭との関係性においても、
大人の色っぽさみたいなものがもっと出ても良かったのに、
脚本と田辺さんを結びつける役割を負った制作側が、
そこまで彼を追い詰めてくれなかったことが すごく残念でした。

・・なんだか‘残念’を連発しているような気がしますが(苦笑)
でも、それが私の正直な気持ちなので。
だから、私としては、観ている間 ずっと心の中で、
「もったいない・・もったいない・・」とつぶやく結果になってしまいました。
こんなおいしい役、もう二度と巡って来ないかもしれないのに・・ね。


造花の蜜     
放送日時:2011年11月-毎週日曜 22:00-(WOWOW)全4回
脚本:岡田惠和/演出:小林義則/原作:連城三紀彦
キャスト:檀れい 玉山鉄二 国仲涼子 谷村美月 國村準 田辺誠一
鶴田忍 長谷川朝晴 白羽ゆり 金田明夫 伊藤裕子   『造花の蜜』公式サイト 

2014-03-27

『福家警部補の挨拶』感想

『福家警部補の挨拶』感想

2014年1月クール、一番はまったドラマ
2話の中盤から観始めて、以後録画して観ていました。
ミステリーとしては弱いところもあるのですが、
犯人の人間性みたいなものが事件の中にうまく組み込まれていて、
その職業や設定の面白さともあいまって、
毎回魅力的な犯人像になっていたのが興味深かったです。


犯人を演じた俳優さんたちがまた、
北村有起哉さん、若村麻由美さん、板尾創路さん、林遣都くん、
八千草薫さん等々私の好きな俳優さんたちばかりで、
正直、それだけでテンションが上がったのも事実なんですけどね。w

彼らが、泥臭さのほとんど感じられない
古畑任三郎』や『ガリレオ』みたいな乾いた空気感の中で、
福家警部補(檀れい)と対峙する場面は、
警部補(探偵)と犯人、というだけでない、
俳優俳優としての火花が散るような面白みもあって、
なかなか見応えがありました。

特に、終盤、徐々に福家の過去が明らかになって行く、
それが、最終回の犯人によって決定的に剥がれされて行くさまは、
八千草薫vs檀れい という女優同士の、
厳しく激しくも 非常に魅力的な真剣勝負を見せてもらっているようで、
(殺人事件なのに不謹慎な言い方ですが)わくわくしました。


福家や犯人が魅力的だったのに比べると、
福家の上司・石松警部(稲垣吾郎)が少し書き込み不足だったのが残念。
もうちょっと前に出るところがあっても良かったし、
彼なりの思想みたいなものが出て来ても良かったのではないか、
という気がしました。
最終回のような福家への興味が、もうちょっと前から欲しかったです。

鑑識の二岡(柄本時生)は、
柄本さんの飄々とした持ち味が出ていて、良かった。


佐藤祐市監督の特徴、と言ってもいいのかもしれませんが、
キサラギ』や『ブラック会社に勤めてるんだが、俺はもう限界かもしれない
のような、ほぼワンシチュエーションで進む展開の面白さが
特に9話あたりでは顕著で、
まるで舞台を観ているような感覚でセリフや動きを味わえて、
それもまた楽しかったです。


実は、田辺誠一さんにこのドラマに出て欲しかった。
原作(大岩崇裕さん著)をどれほど踏襲しているか分かりませんが(未読)、
犯人はどれもまるでその俳優さんにあてがきされたように
ぴったりだったので、
田辺さんが犯人なら、どんな役回りになるだろうか、と。

残念ながら、今回は夢が果たせなかったけれど、
これはぜひ続編をお願いしたいところです。
その時は ぜひ田辺さんを犯人役で。w


『福家警部補の挨拶』     
放送日時:2014年1月14日-毎週火曜 21:00-(フジテレビ系)
脚本:正岡謙一郎 麻倉圭司 丸茂周/演出:佐藤祐市 岩田和行
原作:大倉崇裕『福家警部補の挨拶』他/制作著作:共同テレビ
企画:水野綾子 清水一幸(編成企画)/プロデュース:貸川聡子
キャスト:檀れい 稲垣吾郎 柄本時生 中本賢
反町隆史 有薗芳記 小林且弥/富田靖子 銀粉蝶 渡辺真起子
北村有起哉 片桐仁片平なぎさ板尾創路 ほんこん
若村麻由美古谷一行林遣都 室井滋 きたろう/
八千草薫 山本學 他  『福家警部補の挨拶』公式サイト 

2014-03-22

『地の塩』(第4話=最終回)感想

『地の塩』(第4話=最終回)感想 【ネタバレあり】

塩名遺跡の発掘を再開してほどなく、
神村(大泉洋)は、
今度こそ本物の前期旧石器時代の人骨と石器を発見します。
最初、私には、そのあたりの流れが
いかにもご都合主義に感じられたのですが、
でも、本当に神村の言うとおり 「あと少し」の時間があれば、
前期旧石器時代 日本に人類が存在した、という
桧山(津嘉山正種)の学説が正しいと証明されたはずだったんだ、
この「あと少し」の時間が欲しくて神村は捏造したんだ、と考えると、
何だかちょっと切ない気持ちにもなりました。

この発見により、
塩名遺跡は間違いなく前期旧石器時代に人類が存在した地として
歴史に名を刻むことになり、
里奈が手掛けた教科書も、どこよりも先んじて「正しい歴史」を載せた、
ということになったわけですが・・

その大偉業に比べれば、
神村のやったことは、本当に微々たる嘘でしかないのかもしれない。
「本物」を見つけ出すまでのほんのわずかな時間、
その時間を‘作り出さなければ’遺物は発見出来なかった、
そこに間違いなくある「真実」を掘り出すために、
あとほんの少しの時間が必要だった・・
それは、長い長い歴史から見ればほんの一瞬の出来事、
わずかな時間差・・
そこに潜むほんのかすかな嘘なんて、
未来の人たちは気づくはずもない。 それでも・・


大きな真実を認めさせるためについた小さな嘘。
この「嘘」の切ないところは、
神村に、一切の欲がなかったところだと思います。
沢渡(陣内孝則)は言うに及ばず、
桧山(津嘉山)でさえ名誉欲があった、
里奈(松雪泰子)でさえ塩名の人たちのことを思って心が揺れた。
しかし、神村の考古学への姿勢には、
そんな人間らしい俗っぽさや しがらみが まったく感じられない。

純粋に考古学を愛し、土の下から「正しい歴史」を掘り起こす、
ただそれだけをひたすら追求していた。
他に欲しいものなど彼には何もなかったんですよね。
だからこそ、捏造してでも、正しいものを正しいと認めさせたかった・・

そして、そのわずかな嘘のおかげで、彼の正しさは証明された。
正しい歴史が拓けた――

だけど、もしかしたら、
そのわずかな嘘を もっとも赦(ゆる)せなかったのも、
神村その人だったんじゃないでしょうか。
塩名遺跡で神村が里奈に言った「真実は作るものです」という言葉。
その裏にある‘まやかし’に一番心を痛めていたのは、
実は、彼自身であったような気がしてならない。

神に愛された人間は、
たとえ己(おのれ)の正しさを証明するためであっても
嘘をついてはいけない・・
そう信じ、そう生きようとし、そう生きられず、
葛藤し一番苦しんでいたのは、彼だったのではないか、と。


神村の嘘は、柏田(板尾創路)という悪魔を目覚めさせた。
大事な弟子田中圭)を人質に取られたのは、
彼にとって、自分を傷つけられるより辛かったはずです。

国松(きたろう)を殺した柏田が、
馬場田中)を連れ去り 暴行したと知った時、
神村は、改めて
自分の嘘が招いた罪の深さを思い知らされたのではないか・・
そして、柏田が自分を襲って来た時、
それが、自分のやったことに対する罰にも思えたのじゃないか・・
(柏田に二度‘手’を傷つけられたのは象徴的な気がします)

最初、私は、エンターテインメントとして視聴者の興味をひくために
柏田という殺人鬼を登場させたと思っていたのですが、
最終回を観終わって改めて考えると、
柏田という「異物」がこのドラマに放たれた理由は、
そこ(‘神村の嘘’に対する‘神の罰’)にあるような気がしてなりません。


一年後、
いずこか知らぬ土地を歩く神村が、
なぜあんなに穏やかな顔でいられたのか――

彼は、神の子として「地の塩」になることは出来なかったけれども、
罪を懺悔することで、考古学者として正しく生きる道を拓くことが出来た、
だからなのかな、という気がしました。
そういう目で見たせいか、
彼の後ろ姿が、インディージョーンズのようにも感じられました。

     **

『地の塩』4話全編を通して、非常に面白く観ました。
脚本(井上由美子)のうまさ、演出(鈴木浩介・権野元)のうまさが、
随所に感じられた作品でした。
音楽(村松崇継)も素晴らしかったです。

特に最終回は、宗教色が濃く感じられ、
神村の心の底を覗き込まされているような気持ちになりました。


その神村を演じた大泉洋さん。
以前から好きな俳優さんだったのですが、
今回はもう決定的に惚れ込んでしまいました、
この複雑な役を、よくもまあ最後まで全(まっと)うしたものだな、と。
人間的な温かみや人馴れしたところがありつつ、
一切の驕(おご)りも欲も業(ごう)も歪(ゆが)みも感じさせない、
捏造という嘘さえも、一種崇高なものとして伝えられる、
神村の研究者としての奥行の深さを、
ここまで徹底的に演じてくれるとは思わなかった。
3話の里奈との会話や4話のスピーチには濁(にご)りがなくて、
すーっと心に入って来て、驚きました。

リーガルハイ』や『半沢直樹』の時の堺雅人さんに似た、
虚構のドラマを 力づくでリアルに変えることが出来る貴重な俳優さん。
いやはや脱帽です。次の作品が楽しみです。


松雪泰子さん。
「誰も幸せにならない真実を暴く必要なんてあるのかな」という言葉に、
少しの嘘も赦さない里奈が内面に持つ‘やわらかい心’が
ふわりと浮き立って来て、
いかにも松雪さんらしい清らかさがにじみ出ていたように感じました。

里奈は、もっとも「地の塩」に近い存在だったのかもしれません。
そんな人だから、ひょっとしたら神村は、心の奥底では
彼女に自分の罪を暴いて欲しかったのかもしれない・・
なんてことを私が考えてしまったのは、
里奈を演じた松雪さんの持つ 清涼な空気感によるところが
大きかった気がします。

父親(勝部演之)や元夫(袴田吉彦)との
べったりにならない距離感も良かったです。
新谷(袴田)が自分の近くにいることを徐々に許すようになるあたりは、
里奈が、神村の嘘の意味を深く考え続けたことから繋がっている、
そのなめらかな受容もまた心地良かったです。

でもね〜、
今回や『ガリレオ容疑者Xの献身』みたいな役も良いですが、
この人のはっちゃけた役もたまには観てみたいんですよね、
いまだに『DRIVE』(SABU監督)の松雪さんが忘れられない身としては。


板尾創路さん。
正直なところ、ドラマの流れとしては、
神村と殺人犯・柏田(板尾)を絡ませる、というのは、
最後まで、どこか少し無理があったかな、という気もしますし、
この役は、神村を演じた大泉さんとは別の意味で、
心の動きを違和感なく作り上げるのが
非常に難しかったんじゃないか、とも思います。

でも、↑で書いたように、柏田が神村の罪を罰する神からの使い
のような存在だったら・・と想像してみた時、
私としては、大泉さんと対立する位置に板尾さんが配されたことが、
非常に興味深く感じられたのですよね。

俳優としての板尾さんって、
何となく観る側に単純な読み方をさせないような空気感があって、
得体が知れない雰囲気を持っている。
そのあたりが、今回の役にうまくはまった気がします。


田中圭さん。
神村への疑念をもちながらも、
柏田の暴行に屈しないことで神村を裏切らない姿勢を貫く、
その彼のまっすぐさが‘嘘’を背負った神村と対照的で、
神村の屈折を浮かび上がらせる効果があったような気がします。
くせのある役も多い田中さんですが、
今回のようなまっすぐな役も、前に出過ぎず嫌味なく演じられる、
ワキで光るいい俳優さんだな、と思いました。


陣内孝則さん。
この人のアクの強さが私はちょっと苦手だったのですが、
今回は、抑え気味に裏工作に長けた人間の昏(くら)さを表現していて、
興味深かったです。
桧山の絶大な信頼を得ている神村に対する密かな嫉妬や、
養母に育てられ、自分がどこから来たのか興味を持つようになった、
という里奈へのさりげない語りかけの中に、
沢渡の芯になる部分が浮き出て来て、
そこに陣内さんの独特の色味が加わることによって、
役としても魅力的になった気がします。


袴田吉彦さん。
里奈の元夫で毎朝新聞社記者・新谷。
このあたりの役に袴田さんクラス俳優さんが入ると
ドラマがグッと締まります。
里奈や娘・亜子との距離が徐々に縮まって行く様子に無理がなくて、
いつポキンと気持ちが折れてしまうか心配だった里奈の今後も、
この人がいれば大丈夫、という気がして、何だかホッとしました。


大野百花さん。
新谷と里奈のひとり娘。
大野さんのセリフがものすごく自然でびっくりしました。
里奈の娘とは思えない明るさやズバッと切り込むような物言いは、
父親似なのかな、なんて、あれこれ想像したくなるような
いい役に育っていたように思います。


朝加真由美さん。
神村の母・悦子。この役も、非常に印象的でした。
いつもの手話ではなく、たどたどしい言葉で
「母ちゃんはおまえを信じてる」と息子の手をさすりながら話す、
その姿にホロッとさせられました。
シャキッとした役も、こういったすこし陰影のある役も自在にこなす、
朝加さん、もうすっかり魅力的なお母さん女優ですね。


他に、津嘉山正種さん、きたろうさん、岩崎ひろみさん、勝部演之さん、
河原崎健三さん、並樹史朗さん、増澤ノゾムさん、おかやまはじめさん
等々、それぞれにしっかりした役作りで、頼もしかったです。


田辺誠一さん。
捏造問題には直接関係ないポジションだったのですが、
脚本や演出に揺れやブレがなく、キャラ設定がきちんと出来ていたので、
安心して観続けることが出来ました。

最初の出(キャパ嬢とベッドの上でのやりとり)のインパクトに比べると、
徐々におとなしくなってしまった感は否めませんが、
それでも、13年間背負って来た雪辱を果たそうとする刑事としての姿、
特に、3話の里奈との会話や 最終回の神村を語る姿には、
行永という人間が蓄積してきた想いや感情が無理なく詰まっていたし、
酸いも甘いも噛み分けた大人としての自然な深さが
言葉の端々ににじみ出ていて、
観ていてすごく惹かれるものがありました。

もう15年以上この俳優さんを観続けていますが、
若い頃に感じられた 演じる上での痛々しさみたいなものが
いつのまにかゆるやかに払拭(ふっしょく)されて、
豊かで細やかな感情を表現出来る頼もしい俳優さんになったなぁ、
と、嬉しくもあり、感慨深くもあり。

でもきっと、彼の中には、ちゃんと棘がある、
求められれば、いつでも牙をむく用意が出来ている・・
そういう危うくて鋭利な俳優田辺誠一がまたいつか観られることを、
ちょっと期待したりもしている私です。



『地の塩』     
放送日時:2014年2月16日-毎週日曜 22:00-(WOWOW)
脚本井上由美子/演出:鈴木浩介 演出補:権野元/音楽村松崇継
プロデュース:青木泰憲 河角直樹 制作協力:国際放映
キャスト:大泉洋 松雪泰子 田辺誠一 田中圭 板尾創路 陣内孝則
袴田吉彦 岩崎ひろみ 勝部演之 朝加真由美 大野百花 河原崎健三 きたろう 津嘉山正種   『地の塩』公式サイト