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2018-02-05

今さら『父、ノブナガ』感想

今さら『父、ノブナガ』感想 

昨年10月にTBS系で放送されたドラマ。今さらながらの感想です。

現代の岐阜市に織田信長がよみがえる、という
荒唐無稽なファンタジーではあるのですが、
天下布武の朱印に絡んだ信長の突然の登場も、
そのことによって引き起こされるさまざまな出来事も、
無理矢理感があまりなく、
1時間半という短い時間の中に、
介護・進学・町の衰退等々、様々な問題をうまく絡ませて、
小田一家にも、信長自身にも、岐阜という市自体にも
何某(なにがし)かの前向きな決着が着く、という、
なかなかまとまりのあるドラマになっていたように思います。

信長に憑依される主人公の小田一夫(田辺誠一)だけでなく、
おばあちゃん(草村礼子)にも信長が見える、という設定が良かった。
このおばあちゃん(草村さんがとてもかわいい)の存在が、
過去と現代、信長と一夫をふんわりと接近させ、
信長が現代に!?」というありえない話に、
ファンタジーとしての説得力を持たせていたように感じられました。
介護ロボなどの小道具の使い方もうまかった。

また、おばあちゃんを介護する一夫の妻・美紀(森口瑤子)は
面倒を看るのが大変そうではあってもギスギス感がないし、
一人娘・七海(染野有来)も素直で、
基本、小田一家っていい家族なんだな、というのが伝わって来ました。

現代に忽然と現れた信長竹中直人)。
コメディタッチドラマに突然登場する「織田信長」というあの超有名人が、
ほぼこちらのイメージ通りのキャラだったにもかかわらず
うまくその空気に溶け込んでいて、あまり違和感ないように思えた、
それは、竹中さんの持ち味によるところが大きかった気がします。

信長(竹中)とちょっと頼りない現代の人間(田辺)、という設定は、
実は『最後のレストラン』(BSプレミアム)以来二度目なのですが、
今回の方が、お互い こなれていたように思ったし、
観ていて安心感がありました。

田辺さんは、こういう役は もう お手のものという感じ。
その上に、信長に乗り移られた時のキリッとした雰囲気がうまく加味されて、
ユーモラスな空気が上滑りしていないのが良かったです。

脚本が、短い時間の中に明確なメッセージを込めていて、
出演者が、コメディという色味を過度に強めずに、
自然に笑いを溶け込ませつつ
何とかしてそのメッセージを丁寧に伝えようとしている、
その真面目さがちゃんと伝わって来たドラマだったと思いました。


『父、ノブナガ     
放送日時:2017年10月7日(土)の14:00-15:24(TBS系)
脚本土橋章宏 演出:堀場正仁 製作著作:CBCテレビ
プロデューサー:堀場正仁 中川陽介 青山貴洋(ドリマックス)
キャスト:田辺誠一 森口瑤子 染野有来 草村礼子
宮澤美保 加藤諒 ぼくもとさきこ 小松利昌 伊沢勉 高原靖典 
棚橋真典 深山義夫 緋田康人 赤木悠真 多田木亮佑 温水洋一
竹中直人 他 
公式サイト

2017-12-22

『誰か席に着いて』感想

『誰か席に着いて』感想 

ある財団による芸術家支援対象者の選考会。メンバーは四人。
財団創設者の孫娘・織江(木村佳乃)は脚本家だが、
妹の夫・奏平(片桐仁)が気まぐれで書いた脚本を盗用しようとしている。
織江の夫・哲朗(田辺誠一)はプロデューサーだが鳴かず飛ばずで、
過去に関係を持った織江の妹・珠子(倉科カナ)との復縁を願っている。
珠子は哲朗とのことで姉の織江に罪悪感を抱きながらも、
出産によって一時は断念したプロダンサーへの夢を捨てきれずにいる。
奏平は本業である音楽活動借金を背負ってしまい、
財団の資金を使い込んでいる―――

盗作、不倫、使い込み…
四人がそれぞれに抱えた悩みは、
確かにそういうこともあるかもしれないなぁ、と思いつつも、
正直、自分のものとして身につまされるようなものではなかったし、
そのせいか、彼らとの距離を感じないでもないのだけれど、
でも、私は彼らを突き放して見ることが出来なかったです。

純粋にまっすぐ生きている人間もいなければ、
決定的に悪い人間もいない、
四人とも すごく魅力的なキャラとは言い難いけれど、
じたばた足掻(あが)いたり、あせったり、愚痴言ったり、言い訳したり、
自分ばかりが悪いんじゃないと自分に言い聞かせつつ、
自分の弱みを他の三人に見せたくない、という、
ちっぽけな自尊心とか自己保身とかに振り回される、
そんな彼らの姿を観ているうちに、何だか、
人間なんて所詮(しょせん)そんなもんだよねぇ、
四人とも人間っぽくて憎めないよねぇ、と感じるようにもなって‥
だって、もしあそこに自分が立ったら、やっぱり、
善良な人間の猫かぶりつつも自己中な言動しちゃったりとか、
心の内にある罪悪感をかっこつけのタテマエで正当化しちゃったり、
なんてこと、十分あり得る話だな、と思うからw

考えてみたら、
彼らのやっていることは、彼ら以外に危害を及ぼしていないんですよね。
世の中を揺るがすような大事件を起こすわけでもない、
命を懸けた大勝負をするわけでもない、
そんなものとは無縁の ごく狭い範囲での問題なのに、
それでも立ち位置が定まらないで右往左往、
立っては座り、座っては立つ、で、四人ともちっとも落ち着かない。
自分なりに一所懸命に考えるけど、どうもうまく行かない、
その、他人どころか自分さえも思い通りに動かせない歯がゆさが、
どこか滑稽で、ちょっと切なくて…
肝を据えて(時には素直に誰かの力を借りて)
自分のやっていることとしっかり向き合う覚悟を持てば、
揺らぐことなく ちゃんと自分の席に座っていられるだろうに、
そうすることから背を向ける、傷つきたくないから…

柳工務店のおじさん(福田転球)が、
そんな彼らのど真ん中を、汚れた足でヅカヅカ入り込む。
彼の仕事ぶりが小気味良くて、
ゆらゆらと揺らぎ続けて何も決められない四人と対照的。
彼みたいに ちょっとぐらい汚れることを覚悟すれば、かえって楽なのにね。

一方、一途に織江さん(の脚本)を愛する奈良さん(富山えり子)は、
その筋金入りの一途さで、分かりやすく四人を引っ掻き回してくれて、
そのことによって浮き彫りになる四人の脆(もろ)さに、
笑いながらも、チクッと胸が痛くもなり…

まったく、人生は ままならないものですね。
それは彼らのような年代になっても変わらない。
それでも、少しずつ余計な枝葉を払い落として行けば、
ひょっとしたら何か大切なものも見えてくるかもしれない、
「10時までに帰ること」
たとえば、お姉さんのあの時の視線は、
本当に妹のことを心配してのものだったのかもしれない、と…


                    ふくしま・みんなの文化センター大ホール 3列20番台 


『誰か席に着いて』     
公演:2017年12月17日 (日) ふくしま・みんなの文化センター
脚本・演出:倉持裕
出演:田辺誠一 木村佳乃 片桐仁 倉科カナ 福田転球 富山えり子

2017-11-29

『相棒16』(第1・2話)感想

相棒16』(第1話 検察捜査/第2話 検察捜査〜反撃) 感想
 
正直、事件そのものについては
犯人やその周辺の人間たちの描き込みも
あまり深みがないように感じられたし、
事件自体の面白さ(不謹慎な言い方かもしれませんが)としても、
特別に優れているとは思えなかったので、
通常の1時間で充分まとまったんじゃないか、という気がしました。
相棒』はスペシャルドラマに佳作が多い、という印象を持っていたので、
その点はちょっと物足りなかったです。

ただ、事件と並行して描かれた、
杉下右京と冠城亘を取り巻く人間たちについて、
何やかやと事件に絡めつつ、
それぞれの立場や 右京たちとの距離感をはめ込んで行く手法がうまく、
私のような 最近『相棒』からご無沙汰気味の人間としては、
そのあたり なかなか興味深かったですし、楽しませてもらいました。


福島では、先日まで『相棒15』の再放送をしていて、
偶然、右京と日下部事務次官の確執のもととなったらしい回
(8話/100%の女)を観ることが出来たのですが、
このドラマを観たことが、
今回の面白さ(私なりの)を見出すきっかけにもなったように思います。

特に なるほど、と思ったのが、風呂敷の扱い。
司法に携わる二人の女性の共通点としての風呂敷、と考えると、
今回の、浴衣を包んでベッドの下に隠す、という、
かなりぞんざいな使用法ではあっても、
いかにも相棒らしい味つけだったように感じてしまったり、
脚本家は、もともとその部分を描きたくて、
逆に今回の事件を組み立てて行ったのではないか、なんて、
つい穿(うが)った見方をしてしまったりしてw


事件そのものの謎解きもですが、
相棒』の面白さは(先ほども書いたように)
相棒二人とその周辺の人間たちの複雑な利害関係にもあります。
そこに、それぞれの俳優の「演じ方」という味が加わる。
それが、シーズンを重ねるにつれ色濃くなって来ているように思います。

杉下右京を演じる水谷豊さんは、
ずっと以前から「右京の型」みたいなものを作り上げていて、
安心して観ていられる空気がすでにきっちり出来上がっているのですが、
今回、冠城亘を演じる反町隆史さんにも、
彼なりの「型」のようなものが出来てきているように感じられました。
15シーズンの何話かを観た限りでは、
私にはその「型」がまだ出来上がっているようには思えなかったのですが、
今回、右京の隣にいる冠城、というポジションにしっくりと馴染んで、
相性の良い相棒になって来ているように見えました。

同じように、レギュラーメンバーはもちろん、
日下部(榎木孝明)・青木(浅利陽介)・社(仲間由紀恵
衣笠(大杉漣)・甲斐(石坂浩二)といった人たちもまた、
相棒二人を軸に、それぞれに確実な色味を持ちつつ役を演じていて、
私などは、その安定感というか安心感というか、
鉄板の心地よさ」みたいなものを味わわせてもらって楽しかったです。
ロングラン作品の利点、と言ってもいいと思いますが。

私が特に興味を惹かれたのが、衣笠vs甲斐のシーン。
お互いのこれまでのいきさつとともに、
大杉漣vs石坂浩二、という名優二人が見せた演じる力‥
腹に一物持った 狸同士の静かな火花のぶつかり合い、とでもいうような
味のある場面になっていたように思います。

(一方で、ロングランゆえの閉そく感のようなものがあるのも確かで、
今後そのあたりをどう壊して行くか、というのも、
問題点としてある、とも思います)


さて、そんな「相棒ワールド」に今回初参加の田辺誠一さん。
日下部事務次官の密命を受け、
特命係を違法捜査で立件しようとする検察官・田臥准慈という役。
これだけ出来上がってしまった「相棒枠」の中に、
事件関係者ではない立場の人間として新たに入る、というのは、
かなりのプレッシャーなんじゃないか、と勝手に推察しつつ観たのですが、
やはり、最初観た時は、ちょっと硬いような気がして、
台詞の言い回しもいつもと違うように感じられて‥
でも、ふと、田辺さんなりの「型」を作っているんじゃないか、と思い始めて、
二度目からは興味深く観ることが出来るようになりました。

上司である日下部が目にかけていた冠城へのジェラシーとか、
右京たちをシャットアウトした時の恍惚とか、
ところどころに田辺さんらしさを感じることも出来ましたが、
脚本も 田臥という人間を十分に描き切っていなかったせいか、
役の捉え方も演じ方も まだまだ物足りない気がした、というのも確か。


さいわい、あれやこれやの伏線もありそうだし、
(倉田映子(鶴田真由)との繋がりは まったくなかったのか、とか
私の勝手な憶測は膨らむばかりw)
これでおしまい、ということにはならなそうなので、
今後の彼の、相棒ワールドへの したたかで滑らかなる侵食を、
楽しみにしたいと思います。


相棒16』 ( 第1・2話 )     
放送日時:2017年10月18・25日 21:00-(テレビ朝日系)
脚本輿水泰弘  監督:橋本一
製作:テレビ朝日
キャスト:水谷豊 反町隆史 
川原和久 山中嵩史 山西惇  田中隆三 神保悟志 小野了 片桐竜次 浅利陽介
榎木孝明 大杉漣 仲間由紀恵 石坂浩二 
ゲスト/中村俊介 中村ゆり 芦名星 田辺誠一 他
公式サイト

2017-10-23

スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』感想

スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』感想 

私が観に行ったのは10月13日。
数日前に猿之助さんが骨折した、というニュースを聞き、
若干の不安を覚えながら観に行ったわけですが、
なんのなんの、不安はすぐに吹き飛んでしまいました。

猿之助さんの役を受け継いだ尾上右近さんはじめ
中村隼人さん、坂東巳之助さん、坂東新悟さんらが大活躍、
結果的に、特別マチネ「麦わらの挑戦」のキャストを設けていたことが
この非常時の代役として功を奏した形になったわけで、
猿之助さんがおっしゃっていた、
「誰が出るか、というのはそれほど問題じゃない、
そうでなければ、真の古典にはならない」という言葉が、
当の猿之助さんの大怪我という超厳しい状況の中で
はからずも証明された気がします。
作品自体がしっかりしていて、演者に力があれば、
ちゃんと見応えのあるものになる、何とかなってしまうものなんですね、
それを証明してくれたこの舞台歌舞伎の底力…
何だか凄い世界だ、と改めて思った次第。


舞台の内容ですが、もうひたすら楽しい楽しい。
小林幸子かっ!新感線かっ!スターウォーズかっ!
ジャニーズかっ!ゆずのライブかっ!etc
と、ツッコミどころ満載。
いやいや、それらぜ〜んぶひっくるめて見せてもらえる、
しかもかなりのクオリティで、って そんな舞台 滅多にあるもんじゃない、
それこそ歌舞伎の人たちの身体能力や表現力があればこそ、だし、
大滝水どばーっ!とか 紙吹雪わさーっ!とか 宙乗りひゅーん!とか
歌舞伎本来の見どころもたっぷりで、
次々繰り出される大ネタ
こちらはただ口あんぐり開けて観てるしかない状態。
周囲の人たちも皆ただひたすら素直に感嘆して、
「すご〜いすご〜い」を連発していました。

ワンピース』のストーリーについて。
原作マンガの思い切った世界観というのは、
(初演のシネマ歌舞伎を観た時にも思った事ですが)
案外歌舞伎に近いものがあるんじゃないか、という気がしました。
1幕は早変わりが見どころだったこともあって、
展開を掴み切れないところもあったように感じましたが、
2幕3幕はしっかり練れていて、
スピーディでダレる場面がほとんどなく、面白かったです。
ルフィチョッパールフィエースエースと白ひげ、等々の
友情と信頼、心の繋がりを見せられるたびにジーンと来ました。

去年の初演はシネマ歌舞伎で観て、
その面白さを目一杯楽しんだ気でいたけれど、
やっぱりライブの楽しさは格別で、
2幕のクライマックス、みんなノリノリで立ち上がって舞台と一体化したり、
吹雪まみれになったり、
見知らぬ隣の席の人と「たのし〜いね〜っ!」と言い合ったり、
劇場内の空気のすべてを身体全体で楽しむことが出来る、
「生で観る」ってそういうことなんだ、と改めて感じました。
観に行って本当に良かった!と
何度も繰り返し思えたことが嬉しかったです。


急にとんでもない大役を担うことになった右近さん、
(もともと代役公演の主役だったので準備は万端だったにしろ)
ちゃんとしっかり役に馴染んでいてびっくり。
猿之助さんのやんちゃで元気なルフィに比べて
ちょっとおとなしめだけど端正で、
美しいハンコックも含めて上々の仕上がりでした。

シネマで惚れた巳之助さんのボン・クレ−、
ゾロ・スクアートと大活躍で、ますます惚れてしまいました。
少し声が荒れていたような気がしたのだけど大丈夫でしょうか。
長丁場、何とか乗り切って欲しいものです。

隼人さんはサンジイナズマ・マルコと金髪系の3役担って、
どれもかっこよかった〜!
水中での立ち廻りやら宙乗りやら、こちらも大活躍でした。

新悟さん。ああいう衣装ってほとんど着たことないと思うんだけど
美形でスタイル良くてまったく違和感なくてびっくりしました。
もっと はじけた役も観てみたい気がします。

平岳大さん。彼のエースを初めて観たのですが、
福士誠治さんとはまた違った魅力がありました。
ルフィの兄、という役が、
右近さんと一緒にいて とてもしっくり来ていたように感じました。

あと、チョッパー市川右團次さんの息子さんだったのかな?)が
本当に可愛いかった〜!
声もしっかり通って素晴らしかったです。

もちろん、右團次さんら歌舞伎の方々や、
浅野和之さんや嘉島典俊さん等々 初演からのメンバーも盤石で、
ますますの安心感
キャストを替えて いくらでも出来そうな気もします。
(巳之助さんや隼人さんの替えは なかなかきかないかもしれないけどw)
マンガ舞台化の先輩格、宝塚の『ベルサイユのばら』同様、
ワンピース』は 歌舞伎の大切な演目の一つになって行くんじゃないか、
なんて思いを馳せながら、劇場を後にしました。


一方で・・・
こうやって、みんなが頑張っていればいるほど、
観ていて楽しければ楽しいほど、
猿之助さんはどうしているか、と、気掛かりにもなります。
どうぞくれぐれもお身体大事になさって、
しっかり元気になって舞台に戻って来て下さい。


シネマ歌舞伎『ワンピース』(初演)感想はこちら


                          10月13日 (金)昼の部 14列20番台 


スーパー歌舞伎? ワンピース     
公演:2017年10月-11月 新橋演舞場
原作:尾田栄一郎 脚本・演出:横内謙介 演出:市川猿之助 スーパーバイザー:市川猿翁
主題歌『TETOTE』楽曲提供:北川悠仁ゆず
出演:尾上右近 坂東巳之助 中村隼人 坂東新悟
市川右團次 市川寿猿 市川弘太郎 坂東竹三郎 市川笑三郎 
市川猿弥 市川笑也 市川男女蔵 市川門之助
平岳大 嘉島典俊 浅野和之 他
公式サイト

2017-10-19

今さら『更生補導員・深津さくら 殺人者の来訪〜告解者〜』感想

今さら『更生補導員・深津さくら 殺人者の来訪〜告解者〜』感想 

3月にテレビ東京で放送された2時間ドラマ
今さらながらの短め感想です。


始まってすぐ、
更生保護施設「親愛寮」にすむ寮生と近所の住人のトラブルがあって、
施設補導員のさくら貫地谷しほり)が仲裁に入るシーンがあるのですが、
住人の 寮生に対する偏見に対して、
「みんな前向きに生きてるんです。今度変なこと言ったら許しませんよ」
というさくらのセリフがあって、
実は私、そこでかなり萎えてしまって…
う〜ん、これはちょっと観続けるのしんどいかなぁ、と思ってしまい、
前半はほとんど画面に集中出来なかった、というのが正直なところ。
何度も出て来る土下座もレイプ(未遂も含め)も、
そこに関わる人間の痛みが伝わって来ないように思われたのも
大きかったかなぁ。

しかし、後半になって、
久保島(田辺誠一)が19年前なぜ人を殺したのか、
ということが少しずつ掘り下げられて行くうちに、
観ているこちらとしても、徐々に物語に入って行くことが出来ました。
特に、二人の息子を殺された牧野(西岡徳馬)が、
殺した当事者である久保島を自分の会社で雇う、という行為には、
驚きと同時にどこか心惹かれるものがあって、
その時の彼の、死んだ息子たちや久保島に対する複雑な想いが、
私には興味深かったです。
久保島という男が、牧野にとって、
単に息子を殺した憎むべき相手、というだけでない、
むしろ、自分には見えなかった大切な何かを知っているかもしれない、
それを教えて欲しい、という、
どこか すがりたい気持ちが含まれているような気がして。


貫地谷さんと田辺さん。
少女のようなしなやかなたたずまいの中に、
さくらの芯の強さや明るさの奥にある陰影が無理なく伝わって来て、
観る側が自然とさくらに寄り添える空気感になっていたのは、
さすが貫地谷さんだと思いました。

一方の田辺さん。
最近、WOWOW以外では ダメなお父さんとか天然上司とかの役が多くて、
こういった影のある役は本当に久しぶりでしたが、
すんなりと馴染んで違和感なかったですし、
やっぱり彼のこの独特の持ち味というのは非常に魅力的でした。
地上波ドラマの製作陣は、
なんで田辺さんのこの部分をもっと使ってくれないんだろう、と、
改めて思った次第。

こういった 信仰が底辺にあるドラマ(特にミステリー)というのは、
嘘っぽくならないように説得力を持たせるのが難しいと思うし、
今回の脚本も決してその部分を丁寧に書いてくれた
とは思えないのだけれども、
貫地谷さんと田辺さんが作り出したさくらと久保島の距離感が程よくて、
お互いへの想いが恋愛という感情に至らず純粋なまま留まっている、
という部分がちゃんと伝わって来たように感じられた、
そのことが 私には なかなか興味深かったです。


『更生補導員・深津さくら 殺人者の来訪〜告解者〜』     
放送日時:2017年3月26日 (日)14:00-16:00(TV東京系)
脚本山田耕大 監督・演出:君塚匠
エンディング曲: 「マスカット平原綾香(EMI Records/ユニバーサル ミュージック)
製作:テレビ東京、BSジャパン、Joker
キャスト:貫地谷しほり 田辺誠一 遠山景織子 ベンガル
斎藤歩 上田耕一 河合美智子 中野裕太 掛田誠
賀来千香子 西岡徳馬 他
公式サイト

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