幸福というものは、後になってからしかわからないもの。

幸福というものは、後になってからしかわからないもの。
「PHP11月増刊号 特別保存版」より。
ノンフィクション作家の柳田邦夫さんはこう述べていた。これは、「不幸を受け入れて幸せになる」と題して語られている部分にあったフレーズだった。つまり人間は基本的に不幸の中で生きていると、氏は考えているからだ。
ある一面だけ見ると、他人のことはよく見えるものだ。うらやましいと思えることもある。しかし、すべての面でそうとは限らない。たとえ裕福でもいろいろな面を見れば、家庭に問題があったり、病であったり、はしばしばあることだ。
独身貴族と呼ばれる人たちは、結婚した人と比べればお金も時間もたっぷりあって楽しく生きているように見える。しかし、結婚して幼い子供を育てている人を見ると、彼らはむしろ勝ち組だと思える。給与はダブルで入る、しかもローンでマイホームを持っている。何より子供が生まれれば家庭生活を送れる。ぜいたくはできないだろうが、幸せな生活と言える。それはさらに年を取ればわかるだろう。
柳田氏は不幸というものを体験せずに幸福になることなどない、と思っているそうだ。不幸ではなくても、生活が厳しいといいながら、マイホーム生活が送れることは、後から考えると幸せなことだろう。

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「せっかくだから、〜しよう」
「PHP11月増刊号 特別保存版」より。
これは「誰でも楽天的になれる」と題して、思考心理学者の樺旦純(かんばわたる)氏が語っている部分にあったものだ。氏は、つい悲観的に考えてしまう人は、よくない考え方の癖がついているだけだという。
つまりその癖をなくせば、気分も変わってくるということだろう。ちょっとした気の持ちようで前向きになれることも多い。ボーナスが少なければ文句も言いたくなるが、むしろボーナスが出るだけまだいい方だと考えればいいのだ。
さて、「せっかくケガしたんだから、今はじっくり休養しよう」このようなことは女子マラソンの五輪メダリスト有森裕子さんが小出監督から教わった発想法らしい。
これは起こってしまった負の出来事を跳ね返す考え方として、非常に有効なものらしい。「せっかく失敗したんだから、この失敗を次に生かそう」と考えればいいだけのことだった。「世の中には幸いも災いもない。考え方でどうにでもなるものだ」という言葉を残しているのは、シェークスピアだった。覚えておいて損はない名言だろう。

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やりたくないことはやらなくていい。
「PHP11月増刊号 特別保存版」より。
人と比べる必要などなかったのだ。それはむしろ回り道になってしまうことも考えられる。もともと人と人は能力も関心も異なるからだろう。
上記フレーズは水木しげる氏の言葉だった。確かにやりたくないことをやらずにすませられればいいが、そう甘くはないだろう。
氏はいつもマイペースを崩さずに、過ごしてきたと語っている。だから、自分にできないことは他人に任せておけばいい、という考え方だった。なかなかそこまで自信がある人は稀だろう。
しかし、その分絵を描くことへの情熱は誰にも負けなかったという。というのも、売れ出した時期は、寝る暇も食べる暇もなく、ついには倒れてしまうほどだったそうだ。それでもなお好きだからこそ、漫画を描き続けることができたのだ。
自分の好きなことをやるために、人は生まれてきたのだと思っているそうだ。
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自分が本当に漫画が好きなのであれば、他人の意見なんてどうでもいい。
「PHP11月増刊号 特別保存版」より。
かなり自分に自信がないとそうは言えないだろう。たとえ下手だと言われても、向いてないと言われても描き続けるものらしい。
やっていることが好きだからと言って成功する確率が高いわけではない。むしろ努力が報われることは少ないと考えた方が楽だろう。やってもやっても、それ以上の結果を出す人がいればダメと思われてしまう。
ところが、好きなことだから情熱を注ぎこめるといって、やっている間は幸せの空気が漂っているものだという。これはそれを実践したからこそ言える言葉だろう。

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ひとつ手にしたら、ひとつ捨てる。
「PHP11月増刊号 特別保存版」より。
脚本家の内館牧子さんは、「すべてが手に入るという幻想を捨てる」と題して述べていた。だからこその上記フレーズだろう。内館さんは次のように語っている。「物を書くことができて、好きな相撲とプロレスとボクシングを見ることさえできれば、それで充分」と。
だから結婚も考えていないそうだ。実にシンプルで分かりやすい。もちろん能力さえあれば、もっといろいろ楽しんでもいいのだろう。
結婚して子供も欲しい、さらに仕事は続けていきたい。家も欲しい、趣味も充実させたい。そうは思ってもなかなかその通りにいくことはできない。女性の場合仕事と家庭の両立はそう簡単ではない。仕事場が恵まれていれば、それも可能だろうが、一時期は子育てを考えれば、そうではない独身女性と同じ条件でバリバリ仕事をできるわけではないだろう。
あれもこれもはムリが生じるだろう。内館さんは、本当に欲しいものを手に入れるためには、何かを潔く捨てる人にも幸せを感じたそうだ。