しゅーの適当に敵とウニ このページをアンテナに追加 RSSフィード

2013-08-09

[]嗅覚を欲す 21:16 嗅覚を欲すを含むブックマーク

ところで皆、元気してたかい? 夢は叶ったかい、まだ生きてるかい、愛はどうだい。僕はずうっと弱くなったけれど、元からそんなに強くはなかったから、まあ、だいたいおんなじ様な感じさ。君は、ずうっと強くなったけれど、きっと変わってないんだろう。それってワリと、ステキなことさ。

今日の喉は、ヤケに乾いている。ヤケに乾いているので、僕はプルタブを起こす以外に、何も考えられない。いや、今日はそういうんでない、瓶にしよう。王冠のほうが、プルタブよりずっとステキだ。ところで、君の喉はどうだ。乾いているか。僕の杯を、この杯を受けてくれるのか。ニイと笑って、受けてくれるか。いつだってそれは、簡単な事じゃない。酒を飲むのが辛いのは、酒のせいではないよ。酒は心の割れ目に満ち満ちて、そうして翌朝には何処かへ行ってしまう。言葉は体中の血管に染み込んで、そうして翌朝には。


あれから何年か経ったけれど、僕は、未だに愛を信じている。

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2012-01-15

[]散歩 14:55 散歩を含むブックマーク

川沿いを歩く

雀が鳴いている

路上の餌を啄ばみながら

時折雀が鳴いている


川沿いを歩く

溝鼠が飛び出す

アパアトのゴミでもあさるのか

突然溝鼠が飛び出す


これは散歩

注意は散漫にして

思考は揺ぎ無い

これが散歩


道というのは何処かに繋がっていて

それでいて僕は何処に行くでもない

酒を少し楽しんだ後に

人生を少し考えた後に


どうするのだと人は言う

何処に行くのだと人は聞く

けれど

僕はあっけらかんとして

何をするでもないよと答え

後悔なんぞ何処吹く風と

何処に行くでもないよと笑う


もしも君らが雀なら

群れて鳴くのもいいだろう

もしも僕が溝鼠なら

誰にも知られず暮らすがね


年は明けたがまだ目は覚めないでいる。

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2011-06-22

[]自殺について 20:35 自殺についてを含むブックマーク

 彼らは、彼女が自殺したのだと言う。それも、揃いも揃って、同じ顔で言うのだ。お悔やみ申し上げます、このたびは誠に残念なことで。僕は彼女が自殺したとは思えないね、と煙を吐いた。人生は、完結しないといけない。例えどんな終わり方にせよ、完結しなければ、それまでやってきたことは、何だったというのだ。自殺は、僕の言う自殺というのは、その意味で、完結のためにあるので、彼女のは、まるで自殺ではないのだ。何故って、死んでしまうその前日においても、彼女はまるで中途半端だったじゃあないか。

「そうは言っても、自殺自殺だろう。自分で死を選んだのだから」

「そこがね、僕はどうにも間違っていると思うのだよ。彼女は死を選んだんじゃあない、死を選ばされたんだ」

「どういうことだい?」

「確かに彼女は最終的に死ぬ決断をした。けれども、それが本意であったとは、僕にはどうにも思えないのだ。こればっかりは、死んでしまったので、直接聞くことはできないが、彼女は不本意であったのではないかなあ。つまり、僕は彼女が自ら進んで死を受け入れたわけではないと思うのだ。殺されたのだよ、彼女は」

「殺された?」

「そうだ。社会や、世間や、有象無象や、それに僕と君に、彼女は殺されたように思えるのだ」

「人聞きの悪いことを言うものだ。僕も君も、彼女を殺したなんてつもりはないだろう」

「いいや、君はどうかわからないが、僕にはあるのだ。僕が、もう少しだけでも彼女を救ってやれれば……これは大きな事を言っているのではないよ。話したり、手を握ってやる、それくらいのことさ。そうしてやれていれば、彼女は死ななかったんじゃあないか」

「それは、もしかしたら、そういうこともあったかもしれないが」

「そうだろう。僕と君は、彼女が悩んでいたことを知っていたのだ。誰よりも、いいや、彼女のいい人に比べたらそれは劣るかもしれないが、彼女のことを知っていたはずなのに、僕たちは何も出来なかったのだ」

「それで、僕たちが殺したようなものだと、そう君は言うのかい」

「確かに、言い過ぎかもしれない、論理の飛躍や、過大評価過小評価があるだろう。だけれども、やはり彼女は殺されたのだよ」

「僕と、君に」

「君と、僕に。それと有象無象だ。自殺というのは、もっと完成されていないといけないのだ。例えば武士の切腹、あれなんかは人生を完結させるためのものだろう。忠義や、責任や、そのために腹をさばくのだ。だけれども彼女には、そのような、死ぬべき理由は無かったのだ」

「理由は……いやいや、彼女は悩んでいただろう」

「そこなのだよ。彼女は何故悩んでいたのか。彼女を悩ませていたのは、まぎれもなく周囲の人間なのだ。だから、彼女を死に追いやったのは、周囲の人間だと、そういうことになるのではないかね」

「そう言われると、確かにそう言えなくもないがなあ……しかし」

「僕は君を議論でやっつけたいわけではないのだよ。僕は、自殺というものに対して考えてみたいだけなのだ」

「君に言わせると、世の中のほとんどの自殺自殺でないように思われるね。借金苦での自殺人間関係での、あるいは、なんだろうね、それらも全て自殺ではなく他殺なのか」

「借金苦は、借金に殺されたのだ。人間関係は、人間に。そうだ、死にたかったわけはないのだ、人間の本意が死にあるなんて、人間が進んで死を選ぶなんて、僕はどうしても考えたくないのだよ」

「心中はどうだい?」

「ああ……あれは自殺だろう。双方が同意していれば、まぎれもなく自殺だ。永久の愛のために、二人は死ぬのだ」

「それは、二人の愛に反対した、例えば二人の家に、それに殺されたとも言えるのではないかい」

「なるほど。そう考えたことは無かった。だけれども、最初に言ったように、自殺において、僕は、完結が大事だと考えるのだ。心中によって二人が、二人の愛が完結するのならば、中途半端でないままに終われるのであれば、それは自殺であると思うのだよ」

「彼女は、心中の片方ではないよ、僕と君の、あの子だ。彼女は、そんなにも中途半端だったかね?」

「実を言えば、僕は、約束していたのだ。春になったら、散歩に一緒に出かけることを、約束していたのだよ。去年、桜の綺麗な道を見つけたので、それを彼女に言ったら、一緒に見に行きたいとのことだったのだ。約束を守らずに死んでしまうなぞ、僕は、どうにも、彼女が悲しくて仕方ないのだ。約束を守らずに死んでしまうほど、彼女は逃げたかったのだよ。僕は、彼女と心中しても良いと、ぼんやりと、そう思っていたのに」

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2011-06-07 このエントリーを含むブックマーク

君は、プロフェッショナルではあるけど、まるっきり本物じゃない。汚れちまった挙句、必要なものを全部捨ててしまった。あの子はアマチュアだけど、ぜんたい本物だ。それでも汚れちまった挙句、欲しかったものは全部手に入らなかった。いくらアウトローを気取っても、いくら鎖を切り離したつもりでも、いくら逃げ切ったつもりでも、いくらにこやかに笑っても、いくら希望を歌っても、いくら他人を救っても、君もあの子も、身体を売って稼ぐ、社会の下僕なのさ。君は今でも彼女を救えたと思っている。もしも君に、ひとつだけ間違いがあるとすれば、それだ。そんなものは、救いようのない、たわ言だ。救われないロボット人間が救われない犬畜生を救うなど、馬鹿げた妄想だ。君はあの子を日陰から出してやりたかったようだけれど、あの子は涼しいところが誰よりも好きなだけだったんだ。あの子は何も語らず、ただ微笑んでいただけだったけれど、君が日向にいないことだけは知っていたんだぜ。あの子は君の嘘を暴きたかったわけじゃない。あの子は君の本当のところを肯定したかっただけ。とてもシンプルな感情論さ。


ああ、それでも君は救われていた!

ああ、それだから君はあの子に救われていた!


それが悲しみの源であることを僕は知っている。それが更なる痛みを生むことを僕は知っている。過去に囚われるのは、鎖に繋がれているのと同義だ。過去を顧みないのは、自らの脳髄を巻き散らかすだけの結果を生むのだ。君は熟慮しないといけない。君とあの子は同一でなく、同じところに立っていたわけでもなかった。

「ベッドですること以外は、君とのほうが楽しいよ、世界中の誰とよりも、君とのほうが」

君は熟慮しないといけない。全ての言葉の意味を。全ての表情の意味を。そして、全てのあの子の意味を。


わかったつもりで、二度、三度。思い巡らしてみたものの、焦燥感の募るばかり。一番救われたいのは僕なのに。

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2011-05-07

[]噛み殺されることについて 15:18 噛み殺されることについてを含むブックマーク

最初の嫌悪、続く葛藤、終わらぬ絶望、その中で僕は安息を得たような気で居た。いつしか暗闇は去り、灯火の元で安らいでいるかのような、そんな気分さ。だけれども、そんなのは、まるっきり、嘘だった。自分の意思でここに来て、誇りを持ってここに立っているのだ、そんなことを信じ込んでしまっていた。痛みを許容するために、苦しみを緩和するために、悲しみを忘却するために、思い込んでいただけなのだ。僕はここに居てはいけないはずなのに、僕はここが嫌いだったはずなのに、自我を保つために僕は肯定した、周囲の全てを。それはもはや肯定とはまったく異質のものに変性してしまった。諦めに似た、虚ろな目で頷くだけの、そんな反応。

そうして、犬人間の存在を忘れてしまっていた。

奴らは孤高を気取っていながら常に群れている。灰色の目に汚れた毛皮、大体みんなお揃いさ。他人と違うこと、個別であること、それを声高に叫ぶのは仲間が欲しいばかりだからで、揃いも揃って馴れ合いは嫌いだと群れで笑う。奴らが尻尾を振る相手は、信頼できる仲間なんかじゃない。単にそいつが群れの幹部だからさ。その上奴らが牙を向く相手は奴らの敵ですらない。奴らは草ばかり噛んでいるのに、したこともない狩の話をしているんだ。モノクロに紛れて、セピアを制覇したつもりで、カラフルに相対してるってポーズさ。

そうさ、奴らが犬人間だ。

君が奴らの合成された声に耳を傾けるとき、君の耳は尖っていくんだ。なんとなく日常を拒絶するとき、君の心はどうにも汚れちまう。僕にはそれがどうにも許せないんだ。君が偽善者を笑うとき、君が偽悪者を断罪するとき、君の魂は奴らに擦り寄っていく。必要なのは懺悔じゃない、欲しかったのは後悔じゃないだろう。僕は全身全霊を持って君を肯定する、たとえ君が犬人間の仲間で、胃液の味しかしなくても、僕は君を肯定する。君以外の全ての犬人間を否定している僕であっても、君を肯定することは出来る。それは恐らく、背反にはならないだろう、矛盾しないだろう。これまで肯定したやりかたを全て間違いにしたって、僕はこれからこっちのやりかたに変えるとするよ。君を、本当の意味で肯定できるならば、こっちのやりかたに。


明日僕が死んじまうから、君を肯定させてくれ。明日僕が殺されるから、僕に君を肯定させてくれ。明日、明日僕が居なくなっちまう前に。

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2011-04-08

[]TOKYO旅情 14:41 TOKYO旅情を含むブックマーク

懐かしき歌、聴くたびに、思い出深くなり、忘却の彼方、泳ぐたびに、絶望に潜ることとなる。清浄な水のような声、恐らく美化した後の記憶。手繰ろうとしても、捨て去ろうとしても、絡まり続けた関係は解消されないのだ。三人目の男が現れた後、二人であった関係は一人と二人となり、残された一人は旅に出た。


もっとあの子の話を聞いてやればよかった

もっとあの子の手を握ってやればよかった

もっとあの子の傍に居てやればよかった


  お元気でしょうか

  僕は今貴女への手紙を書いています

  何分不慣れなことですから

  文章が下手でも許してくださいね


もっとあの子の顔を見てやればよかった

もっとあの子の手首を見てやればよかった

もっとあの子の傍にいてやればよかった


  桜の咲く季節になりました

  今でも一本だけ残っているのでしょうか

  もう貴女は忘れてしまったかもしれないけれど

  僕はまだ覚えていますよ


もっとあの子の冗談を笑ってやればよかった

もっとあの子の嘘に気づいてやればよかった

もっとあの子の傍にいてやればよかった


  住所も変わってしまったのでしょうか

  だとしたらこの手紙も届かないかもしれませんね

  それでもいいと僕が思ってしまうのは

  おかしな話なのかもしれませんけれど

  それはそれで何かほっとするような

  そのような感じがするのです


もっとあの子を抱きしめてやればよかった

もっとあの子を撫でてやればよかった

もっとあの子の傍にいてやればよかった


  これまで何度も手紙を出そうと思ったのですが

  これがどうして書くことに困ってしまうのです

  それにもうひとつだけ言い訳をしますと

  何を伝えようかと迷っているうちに

  僕からの手紙なぞ迷惑ではないかと

  そんなことを考えてしまうわけなのです


もっとあの子の傍にいてやればよかった

もっとあの子の傍にいてやればよかった

もっとあの子の傍にいてやればよかった


時は既に遅く。

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2011-04-04

[]動物実験として 12:07 動物実験としてを含むブックマーク

あの子はすべてを話すことで自分が救われると思っていた。懺悔でなく、告白でもない、純粋に自己の全てを話すことで、救われるのだと信じていた。後悔なんて、あるいは罪の意識など一つたりとも持ち合わせていないのに、ぼんやりとした不安に包まれていたのだ。きっと、愛する人に抱かれて泣きながら話した夜もあっただろう、あるいは世界で一番憎しみを持つ男に、汚い言葉を投げたこともあっただろう。けれども、いや、だから、さ。あの子はそれをもう繰り返したくないのだ。何故って、何故ってね、彼らは救ってくれなかったからさ。包み隠すことをしないのは、彼女なりの処世術で、これからはきっと失敗するまでそれをずうっと続けるのだ。

やっとだよ、やっと、と彼女は笑う。これまでずっと死んでたから、これからようやく生きていかれるんだ。これまでのことは全部嘘で、これからのことは全部本当だから。

この子にとっては全てが実験なんだ。死んだらそれまでの実験を繰り返して、死んだらそれは、それで、いいのだって。それで僕はようやく納得した。僕にとっちゃ全部現実だったのだけれど。


「世の中の全部が最悪だって思うのは、ずっと最後で、世の中の全部が最高って思うのは、それからすぐのことだったのね。だから、きっとそれが始まりなんだって。終わりが来た後に、きっと始まるんだって。そうやって思ったの」


桜が満開で、僕はどうにも発狂した。半端な笑顔で春を待っていたはずなのに、どうにもあの色を直視することができないのだ。桜散る中で僕が終わっていくならば、僕が始まるのは新緑の手前、葉桜の侵食する季節。春に犬が死に、行き着く先はロボット人間と人間ロボットの狭間。どうにも現実だらけで、逃げ出すことにすれば、ようやく気付くのだ。

ああ、彼女の心象風景は、ここにあった。

桜の木の下には死体など埋まっていない。生命力よ、美しさよ。死体が添えてあるならば、葉桜の、その生命力の、そんな場所に、細い首。

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