補中益気湯

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は金の時代(13世紀ごろ)の中国で生まれた漢方薬です。
漢方薬の中では比較的新しい時代のものとも言えます。疲れた体には元気を補う必要があるとい
う考え方を背景にしてつくられた処方です。
漢方では人間の体を上、中、下の3つの部分に分けて考えていますが、このなかで中とはお腹の
ことをさします。補中益気湯の名前は「中(お腹)の機能を補って、気を益す(ます)薬」とい
う意味になっています。いろいろな病気に効果があることから「医王湯(いおうとう)」と呼ば
れることもあります。「医薬の王様のようによく効く薬だ」と服用した人の間で評判になったこ
とが、この名前の由来となっています。
人体を構成するものとして、漢方には「気(き)」という概念があります。「元気」の「気」です。
気とは、体を動かしているエネルギーのようなもので、目には見えませんが、体の中をくまなく循
環しています。健康な体では、気が滞りなく全身を巡っているのですが、体力が低下したりストレ
スがかかったりすると、気の巡りに悪影響を及ぼし、気の流れが滞ったり、循環する気が足りなく
なったりしてきます。この気が足りない状態を漢方では「気虚(ききょ)」と言います。気虚の状
態では、体が正常な機能を維持することが困難となります。胃腸機能が低下して食欲不振が起こっ
たり、疲れやすい、だるいというような症状も現れてきます。
気虚は病気をして体力が低下している時や、過労や睡眠不足がある時、きちんと食事がとれていない
時、また夏の暑さ負けでも起こります。体に負担がかかっている時に起こり、さらに体に疲労感を与
えるのです。
したがって、このような気虚による疲労感や胃腸機能の低下は、足りなくなった気を補っていけば良
いということになります。気を補い体に元気をつける漢方薬補中益気湯です。
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