こわいえいが二本

『ウィッチ』
信仰への考え方の違いからクリスチャン一家が街から追放され、人気のない山中で暮らしていたら、末っ子の赤ん坊が少し目を放した隙にいなくなってしまって、更にどんどん不可解な現象が起き始めて、魔女の仕業だこりゃまずいぞと一家があわあわして疑心暗鬼になったりしちゃう話。
というもんなあらすじだもんで、「魔女」っていう架空の存在に踊らされて、自ら身の破滅を選んでしまう一家の話かと思いきや、ガチで魔女とか呪いとか出てきてちょっと面食らいました。この感じはあれだ、『ローズマリーの赤ちゃん』の「えっ! マジ悪魔!?」って感覚と似てる。
てな感じでここで1ビックリだったのですが、ホラーとしても上質で面白かったです。音や叫び声とかで驚かしてお茶を濁すホラー映画とは一線を画していて、全体的に漂う不安の影や不穏な空気含め怖くてなかなか面白かった。主人公の女の子もかわいいんだけど、かわいいだけじゃなくて不思議な雰囲気もあって、それも加えてよかったです。


『無垢の祈り』
平山夢明氏の原作は未読。短編を1時間半に引き伸ばした作品なので、全体的にゆったりと淡々と進む。きっとだれるんだろうなあ、と思って観てたからか、意外とだれた印象はなかったかな。ただストーリーとしてはやはり引き伸ばしてしまっているため、9割くらいが主人公のフミ(福田美姫)がいじめを受け、登校拒否をして廃墟で遊び、義父から性的虐待を受け……というシーン。全体的に陰惨。もうとにかく暗い。暗いし怖い。フミに性的虐待を繰り返す義父役のBBゴローが、演技とは思えない演技で、観てるこっちもいつ拳が飛んでくるのか、いつ切れるのかびくびくしながら観ている。これが俳優初挑戦ってすごいなあ。最後には罰が下るけど、そこにカタルシスは一切なくて、ラストでフミが叫ぶ祈りの言葉でもう本当に胸がえぐられる気分になる。もうね、今までほとんど言葉を発さなかったフミがここで初めて感情を露わにして叫んでね、それが本当につらかったですよ……性的虐待のシーンも、この演出はすごいなあと唸らされた。一番おぞましいシーン。残虐やグロを謳うどんな作品よりも残虐で陰鬱だった。
原作から改変してる部分はちょいちょいあったかな。読んだのがだいぶ前なんでうろ覚えだけど。そんなに改悪とは思わなかったけど、時系列のシャッフルは個人的にはいらなかったなぁ。あの叫びで終わっているからこそ作品としてグッと締まったんだと思うし。
でも作品としては面白かったです。面白かった、って言ったら語弊があるけど……間違いなく作品としては名作だと思う。でも、オススメは絶対しませんw
新興宗教に嵌る母親役の上村愛が、元AV女優の穂香だってことに全く気付かず、wiki見てびっくり。昔はよくお世話になりました……主役の福田美姫ちゃんもトラウマにならないか心配になるくらいの熱演だった。あと冒頭に出てきたおっさんの気持ち悪さがリアルすぎてマジでやばいんじゃないかと思ったくらいだったんだけど、役名が【ペドフィリア】ってなっててそこだけ笑ったw