連携できない病院側の理由

またも魚拓。連携できない病院側の理由
比較的本音が掲載されるようになったのも、多少風向きの変化を感じはするが。でも元記事自体が「助産所礼賛」的なやつだったからなぁ。
以下は記事。

連携できない病院側の理由
 医師 40
 2〜4日付「どこで産むの?」を読みました。医療の現場にいる者として、産科医が助産院と連携したくない理由は、経営上の問題だけではなく、訴訟に巻き込まれ、犯罪者とされたくないからだと思います。
 調査によると、一時でも「生命に危険がある」と判断される状態に陥った妊産婦は、現実の死亡例の73倍あります。病院の医療のおかげで命を助けられた人が亡くなった人の73倍いるわけです。
 妊産婦の方には、こうしたお産のリスクを認識して助産院でのお産を選択してほしいですし、助産院も利点だけでなく、リスクを説明する義務があると思います。
 「人間らしい」「母親であることを実感できる」など、助産院で出産するメリットもよくわかります。妊産婦に異常がなければ、感動的なお産ができると思います。しかし、レベルが高く、医療機関とよほど緊密な連絡を取る助産院でなければ、緊急時の一刻を争う対応は難しいのではないでしょうか。
 だからこそ助産院と病院の連携が必要、というのはもっともな意見だと思います。3日付の記事で紹介されたような、一緒に勉強会までする緊密な関係が保てればよいのですが、助産所が増えるほど質は保てなくなる可能性があります。
 独立助産所が増えた場合、連携するには病院側は24時間対応できるよう、十分な数と質のスタッフをそろえておかなければなりません。医療に必要なコストを支払ってこず、医療崩壊が進む現状では、これは無理です。
 病院にすれば、日ごろから健診に来て、リスクを把握している妊婦ならともかく、助産院で対応できなくなって初めて連れてこられても対応に困るはずです。しかも、妊産婦が治療のかいなく死亡すれば、病院の治療のせいとして訴えられ、業務上過失致死容疑で刑事告訴されかねない時代になってしまいました。
 まるで故障した飛行機で胴体着陸に成功して当然、失敗すれば逮捕される風潮では、萎縮(いしゅく)医療になるのは当然だと思います。ただでさえ少ない人数で消耗しながら毎日の仕事をこなしているのに、そのうえリスクの高い妊産婦ばかりを連れてこられては業務がこなせない、それ以上に犯罪者にされたくない、というのが本音ではないでしょうか。(2007/04/18)