2009-12-08 海水を飲むようなコミュニケーション
海水を飲むようなコミュニケーション
今月2日、中京区の市生涯学習総合センターで開かれた市立中PTA連絡協議会の集会で、藤田裕之・市教委生涯学習部長が保護者らに調査結果を紹介。「子どもたちは、受信したメールに10分以内に返事しないと同級生から無視されると言い、いつも気にかけている」などと、携帯電話が生活の中心になっている実態について説明した。
海水を飲むと更に喉が渇くのは、上昇した血液中の塩分濃度を薄めるために身体が更に水分を欲するためであると言われるが、即時的なレスポンスを得られるメールという通信手段もまた、海水的な悪循環を持っている。
手紙であるならば一通の手紙をやりとりするには一週間ぐらいはかかっていた。書いているときや読むとき以外にも「手紙が郵送される数日の間」が必要で、
いわばコミュニケーションの「滞空時間」みたいなものが存在していた。もしかしたら、その待ち時間をひっくるめたものがコミュニケーションだったのかも知れない。
だけどその「間」が通信技術の発達によって失われてしまった。
メッセージの届くまでの時間がコミュニケーションの長さで、言葉が届いてしまった瞬間にコミュニケーションは終了してしまい、絶えず反応し続けていなければコミュニケーションを保てなくなる。
だからコミュニケーションを成立させるために即時的に反応し続けなければならなくなる。
そうすると相手の内面を丁寧にくみ取ることが出来なくなってしまい、言葉は即時的で反射的なものになってしまう。
そして欠落を更に埋め合わせるために、より速く、より多くのレスポンスを欲してしまい、余計に孤独感の渇きが酷くなっていく。
それを僕は「海水コミュニケーション」と呼んでいる。
通信のサイクルが早くなればなるほど、即時的に反応しなければ「関心がない」と見なされてしまうのだとしたら。
あるいは絶えずアウトプットしていない限り、その場に存在できない、人間関係を保ち続けられないとしたら、メールという通信手段が孤独感を充足させているとは言い難い。むしろ反対に、通信が速く簡易になればなるほど孤独感の渇きが酷くなっていくというパラドックスが生じている。
一見「10分以内に返信しなければダメだ」というのは非合理的に感じられる。けれども、その言葉が発せられる裏側には海水を飲むようにメールの送受信を繰り返している誰かがいるってことかも知れない。
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