その29 「それはきっと些細な秘密」

25歳未満は読まないでね。

私は何でも話せると思っていたけれど、私も×に一つだけ話せないことがあった。それは私が子供を産めないない体であるということ。‘‘些細な秘密’’ではあると思うけど。それを言えなかった。女であることを武器にするのは嫌だと思いつつ、それを言えなかったのも私の弱さだと思う。私が××的に相手を××なかった理由でもあるかもしれない。


そう、私は×に×××ことを自らに禁じてきたのだ。夢に見なかったか?と言えば見てしまうくらい、私も二つの性のうちの片方の要素を担うというか持ち合わせてはいたのだろう。


話すことができなかった、言葉にできなかったのは何故だろう?

「私は強がっているのかな?」って、私の中の一人が私に尋ねる。
「欲しいものを『欲しい』って言えばいいじゃないか?」って、私の中の一人が私に呟く。
「失うのが怖かったの?」って、私の中の一人が私に訊く。
「きっかけが欲しいの?」って、私の中の一人が私に囁く。


「『私の弱さを許してくれますか?』って言えなかったの?」って、私の中の一人が私に問う。
「えぇ、その通り」って、統合された私が答える。


「『私の弱さを愛してくれますか?』ってきけなかったの?」
「えぇ、その通り」


「何故?」
「私が×に甘えてしまうだろう、って思ったから」


「甘えてはいけないの?」
「いけない。『×に甘える弱い私』は、『×が好きな私じゃない』って、私が信じているから」


「甘えたら、優しくしてくれるんじゃないかな?」
「うん、そうかも。×のリソースを私にまわしてくれるかも。・・・でも、私は、『甘える私』を許すことができない」


「強がることが、支えなの?そうであれば、それは脆い」
「一度、逃げてしまったら、もう戦える気がしない。一度倒れてしまったら、立ち上がれる気がしない。」


「禁忌を得ることで、何か新しい知見を得ることができるとか言うつもり?」
「そんな、たいそうなことを言うつもりはないけど。 私には、これ以上はできない」


「でも・・・、×に×××を見出せ・・・」って、私の中の一部が言うのを遮って、「もう、私は考えたくはない」って、私は、揺らぎを押さえ込んだ。一時的に握りつぶした、って言うほうが近いかもしれないけど。

・・・

回想は続き、そして・・・、回想したことすべてを思い返して・・・、悔いはないと思った。悔いはないと思おうとした、が近いかもしれないけど。


やっぱり、たぶん、女性が語り手かな。ちょっと伏字を多くしてみました。妄想力想像力でカバーしてね。