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2015-01-21

又吉直樹さんのデビュー中編小説「火花」について

文學界 2015年 2月号 (文学界)

文學界 2015年 2月号 (文学界)


  気づけばここ一年ほど、毎月『文學界』を購読している。もはや日々の習慣の一部になってしまっている。藤沢周さんの連作はおわってしまったようだが、円城塔さんの連載「プロローグ」が毎月の楽しみになっている。


  それで、2015年2月号に掲載された又吉直樹さんのデビュー中編小説の影響で『文學界』は売り切れて増刷までして、先日ようやく手に入ったのでした。


  そして、「火花」読んだ。


  あらすじとしては、20代のお笑い芸人が主人公で少し年上の同じくお笑い芸人と出会い、師弟関係になり何年も時間が経ち、その間に売れたり売れなかったりという紆余曲折がある、というもの。20代以降の話だが、青春お笑い小説と呼べるかもしれない。


  ストーリーとしては何の面白みもないものだ。まぁ、それだけなら全然問題ないのだが。しかし、文体やら描写の仕方にしても、たまにお笑いらしくフフッと笑えるところがあるだけで、文学的でもないしエンタメと言えるほどに軽快なものではない。


  改行がやたらと少なく文字で埋め尽くされた誌面。気張って生真面目に書いているのだが、その文章のほとんどがただの文字でしかなく読む意味があまり感じられない。又吉さんやお笑いが好きなら、お笑いについてのポリシーやボケとツッコミのやりとりに意味があるのだろうけれど、それ以外の人間にとってはそれらは何にもなりはしない。


  死に体の『文學界』を増刷までさせたその話題性と、この中身のなさの落差に驚くばかりだ。


  「火花」はただつまらないだけでなく、ジャンルの立ち位置として中途半端でもある。もっと純文学っぽく書いてもよかったし、開き直ってエンタメに徹してもよかったのではないかとおもう。バランスが良いとは言えず、どっちつかずになっている。


  又吉ファンは「又吉直樹が書いた小説」を読めればよかっただけかもしれないので、内容なんてあってないものかもしれないけれど。しかし、これが売れてしまったというのは呆れてしまう。ツイッターでは絶賛している人を目にするが、どこかがおかしいんじゃないのかと思ってしまう。


第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)

第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)






  以下愚痴的蛇足。


  売れている本には面白いものもつまらないものある。それは当然なのだが、つまらないのに売れているというのは一種の宗教現象のように見えてしまう。人々の本への信仰が数字になって表れている、と思える。


  売れているのにつまらない本があるということは、もはやそれは文字を読まなくていいし本を開く必要さえない。内容の良し悪しなど関係なく、売る側は売れればハッピーだし読む側は「売れていて楽しいものを読んでいる私」という体験を得られればそれでハッピーなのだから、本を読む必要などない。本を開く必要もなく、ただ買えばいいだけだから読むという手間が省けてみんながもっとハッピーだ。


  本は極端に評価すれば良し悪しがあるはずだが、実際に読むまではそれは箱の中の猫の「シュレディンガーの猫」状態であるわけで、読まなければ本当は生死は不明だ。でも、事実に関わらず全て良いのだと判断しゾンビ猫となった本を絶賛すれば売る方も読者もハッピーなのだから丸く収まるのだ。


  そういうリビングデッドの本というのはゾンビ猫とも言うことができる奇妙なモンスターで、売れる本にもかかわらず良し悪しがあるという現実が示すように、人が本を読んでいようがいまいが、この世界にゾンビ猫は徘徊している。そして、ゾンビ猫は信仰がなければ生きられないのだから、ここは地獄だ。


  嘘を嘘と思わずハッピーに生きるのは胡散臭いのだが、地獄な現実を真正面から見詰めつつ生きるのはそれはそれで腐っていきそうなもので、だからバランスよく生きるべきなのだろうけれど、ゾンビ猫への信仰はアホじゃないかとつくづく思うのだった。

2015-01-02

2014年12月の読書

狂ったように本を読むこともある。

読書メーター病」みたいなもので、とりあえず読んだ冊数を増やしたくなる病気。

しかしそれよりも、2015年はもっと落ち着いて本を読みたいなとおもう。

数字ではなく、よい本をよりよく読むということが理想。

そして、読書で得たものを生活に活かせる生活をしたい、とおもう。





2014年12月の読書メーター
読んだ本の数:26冊
読んだページ数:6658ページ
ナイス数:174ナイス


■フィクション


血と暴力の国 (扶桑社ミステリー)血と暴力の国 (扶桑社ミステリー)感想
  コーエン兄弟によって映画化された原作。映画自体は絶賛する程ではないが、非人間的な冷徹さとその口から発せられる奇妙な運命論と、酸素ボンベという独特の武器をもった殺し屋シュガーというキャラクターは映画史に残る傑作。映画はほぼ原作通りなので読んでみて真新しさは少ないが、やはりクライムサスペンスでありながら漂うほのかな文学さと哲学さはいいものだった。著者のマッカーシーが脚本を書いた『悪の法則』ではその名の通りの法則を世界として描いていたが、『ノーカントリー』では世界の法則を一人のシュガーという死神で描いている。
読了日:12月3日 著者:コーマック・マッカーシー





蒲団蒲団感想
  受験勉強の現代文で題名と蒲団の匂いを嗅ぐということだけ覚えた「名作」。とてもおもしろかった。ちょっとダメな大人の若い娘への嫉妬。男も嫉妬するんだぞ、っていうあまり普段意識しない面がすごく共感できる。主人公の弟子となった女学生・芳子に恋人ができてその関係を周囲が許さず、彼女たちの行方が気になる書き方になっているし、やはり文学的でもある。恋心を抑制できないダメな男さ、は漱石の『こゝろ』にも通ずる。が、文体はどこか嘲笑的で漱石で言うと『吾輩は猫』や『坊ちゃん』に近い軽妙さもある。固すぎる貞操観念が新鮮。名作。
読了日:12月14日 著者:田山花袋





少女病少女病感想
  10ページほどのロリコン短編。いやー、これは気持ちわるい。清々しいほどにロリコン趣味。しかも職場の同僚や上司にも知れ渡ってて、主人公の書いた新体詩の感想とともに「少女万歳ですな!」なんて言われてしまう。通勤電車では車内の女学生たちを物色するのが日課で、家に帰ったら妻がいるが興味は薄くなんでもっと若い頃恋をしなかったんだ、なんて思ってる。そんなヤバい男の話ですが、死ななくてもいいんじゃないかとは思ってしまうが。過度に露悪的で当時も無論、今書かれてもこれは強烈な小説になりそうな問題作。
読了日:12月14日 著者:田山花袋





田舎教師田舎教師感想
  主人公の林清三は中学(いまの高校?)を卒業するが家庭が貧しいことから進学できず、高等小学校の教師となる。故郷での田舎教師生活に甘んじながら文学者になる夢を抱きつつ、かつての同級生たちと文学の同人誌を作ったり酒を呑んで恋の話で盛り上がることもあれば、東京へ進学していく仲間たちへの羨みや自身の情けなさを嘆くこともある。全体的に平板な物語で中弛みには退屈を感じるのだけれど、結末は意外で感じ入るものがあった。前半は漱石の『坊ちゃん』を思い出すが、後半は宮沢賢治の姿が目に浮かぶ。
読了日:12月31日 著者:田山花袋





陰陽師(おんみょうじ) (文春文庫)陰陽師(おんみょうじ) (文春文庫)感想
  おもしろかった。『コミックリュウ』で連載中の睦月ムンクさんの漫画で興味を持ち読んだ。安倍晴明源博雅の怪異問題解決コンビの一話完結型。一話ずつなのは意外だったが後々長編になっていくんだろうか。二人のコンビはホームズワトソンみたいでもある。二人の意味深な仲の良さからは嫌でもBL的なものを想像してしまうが、これはネタにされてもしかたがないだろうってくらい仲良しで微笑ましくもある関係。晴明が解決していく都で起こる怪異現象が古典から持ってきているようなもので、民間信仰にも近いのでそういう点で自分好みだった。
読了日:12月3日 著者:夢枕獏





反撃〈上〉 (講談社文庫)反撃〈上〉 (講談社文庫)感想
  開始早々、誘拐事件に巻き込まれて主人公ジャック・リーチャーが監禁される。普通なら絶体絶命の状況だが、抜群の戦闘力と推理力で間一髪のことろこ切りぬけていく。息を飲むようなストーリーで相変わらず夢中にさせてくれる。一つ前に読んだ『前夜』では軍に指名手配犯として追われながらも、飛行機で女性の部下と海外を行き来したり、一夜を共にしたりと余裕があり、読者にとっても良い具合に気分の緩急を付けてくれていた。しかし、この『反撃』はずっと緊迫した状況で事件の真相を解くための一直線のストーリーになっていて少しもったいない。
読了日:12月21日 著者:リーチャイルド





反撃〈下〉 (講談社文庫)反撃〈下〉 (講談社文庫)感想
  放浪者だけど元軍人で無敵にさえ思えるジャック・リーチャーという男。でも、その巨体が暗闇の鼠が這い回る洞窟を通り抜け脱出しようとするシーンで、珍しく弱々しい姿を見せる。生まれつき身体が大きいことから閉所恐怖症気味らしい。身体が岩と岩の間に挟まり身動きが取れず冷や汗をかき息が荒くなる。無敵の男の焦り。だが、この男が最後には負けるはずがないとわかっているからこそ、この嵐の前の静けは怒りの爆発までのいい溜めになった。そして、それからの反撃が清々しいのだから。大いに楽しませてもらった。
読了日:12月29日 著者:リーチャイルド





海を呼びもどす (光文社文庫)海を呼びもどす (光文社文庫)感想
  2014年の『文學界』に片岡義男さんの短編が隔月くらいで載っていたのを読んで興味を持ち、図書館で単行本を読んだ。1989年頃に書かれた作品だが恋愛小説で時代は昭和後期頃でありながらも、文体が無機質的なせいか古さを感じさせない。現代に過去を回想してい書いている印象。だが、『文學界』で読んだいくつかの作品の文体が非常に無個性的で非人間的という方向に振り切れているのに対して、『海を呼びもどす』はそこへ至る発展途上という具合で中途半端に感じる。ストーリーに期待はしていないしその通りのものだったが、文体が惜しい。
読了日:12月6日 著者:片岡義男





ふたつのしるしふたつのしるし感想
  1991年から始まる小学生くらいの二人の男女の「ハル」のお話は現代へと至る。小学生、中学生時代の無垢さ純真さがうまく書けていて好きだった。小学一年生の頃の記憶なんてほとんどないけど、「春のしるしを探しましょう」と先生に言われればがんばって探したんだろうな、と思った。しかし作中の時間経過が早すぎて、呆気なさと余韻のなさがもったいない。まぁ、如何にも現代の中間的な小説らしい小説。読もうと思えば1ページ2秒で読めてしまう類の現代小説というもの。スカスカの中に少しでもしるしを探せればいいのでしょうが。
読了日:12月28日 著者:宮下奈都





夜また夜の深い夜夜また夜の深い夜感想
  一応日本人の女の子が主人公だけど日本に行ったことはなく、イタリアナポリのスラムに謎の母親と暮らしている。家出して地下の穴倉に同年代の女の子二人と住み着き盗みで暮らすようになって……。犯罪やら内戦のエピソードやら話はエグいが、良くも悪くも緊張感がない文体で「重いマンガ」くらいの作風。マフィアが支配するような貧民街で手段を選ばず女の子たちで生き抜く姿は逞しく、行く先がどんどん気になる。倫理観など考える部分もあるが、やはり軽い。リアリティに乏しいしマイコの正体など規模を広げればいいというものではないだろう。
読了日:12月14日 著者:桐野夏生





クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)感想
  5冊目。語り手の「僕」が飛行機か薬のせいかで記憶障害になった時点から始まるが、約5カ月ぶりくらいに続きを読んだ僕もまたそれ以前の記憶が断片的で長らく状況が読めずにいた。終盤までずっと地上での出来事で珍しく思えた。そのせいか物足りなく感じたが、終盤でやっと空戦の場面があり、今まで意識したことがなかったが飛行シーンはけっこう刺激的だったのだなと考える。やたら語り手や周囲の人物の名前をボカすのはわざとらしすぎて、すこしうんざりした。シリーズ中あまりパッとしない一冊かもしれない。表紙のデザインもよくない。
読了日:12月5日 著者:森博嗣





R.O.D―READ OR DIE YOMIKO READMAN“THE PAPER” (集英社スーパーダッシュ文庫)R.O.D―READ OR DIE YOMIKO READMAN“THE PAPER” (集英社スーパーダッシュ文庫)感想
  「本が好きです。この世のなによりも好きです」とあとがきで語る倉田英之さん。その言葉の通り、良くも悪くもメタ的にも作品内でも本好きが暴走しているお話。ドタバタコメディ調でありながら意外とバイオレンスでセクシャル。舛成孝二さんが監督、倉田さんが脚本のアニメ『かみちゅ!』のファンなので手に取ってみたが、話が面白いというか倉田さんという人への興味が深まる読後感。最近『ビブリア古書堂』の著者の三上延さんとの共著『読書狂の冒険は終わらない!』が出たけど、この二つのシリーズは本繋がりという点でとても近い。
読了日:12月31日 著者:倉田英之,スタジオオルフェ





know (ハヤカワ文庫JA)know (ハヤカワ文庫JA)感想
  SF小説にはTVゲームみたいに説明書を読んでコントローラーでの操作方法などを覚えなければいけないものがあり、これもそう。でも、用語とか世界観とかこれ一冊きりだからね、そんなのまじめに読んで覚えてどうすんの?という気分になってしまい、ぼくはVery Easyモード(不真面目な読書または真摯でないプレイ)でのクリアでした。
読了日:12月30日 著者:野崎まど





文學界 2015年 01月号 (文学界 2015年 01月号)文學界 2015年 01月号 (文学界 2015年 01月号)感想
  読んだ:円城塔「プロローグ」、永井均哲学探究」、柳美里ウーパールーパー 飼う人 Vol.2」、片岡義男「なんのために生きるの」、西村賢太「無銭横町」、中原昌也「軽率」他。柳美里さんの「ウーパールーパー」が好き。うぱ、るぱ、うぱ、るぱ。西村賢太さんの貫多は相変わらずいつも通り図太く生きていて面白い。リニューアルした『文學界』。正直、表紙はちょっと微妙。「巻頭表現」の写真は以前とは打って変わって素敵だが、文章は不要。疑似恋文特集ってのも別にいらないなって思った。
読了日:12月18日 著者:





■ノンフィクション


哲おじさんと学くん (日経プレミアシリーズ)哲おじさんと学くん (日経プレミアシリーズ)感想
  本書の前半は『日経新聞』に連載されていたしこのタイトルだし、中学生くらい向けに書かれた易しめの哲学本かな?と思い読み始めたがそんなことなかった。序盤この理解は追いつくが、中盤からもう理解不能に陥っているのであった。とは言え学くんの「僕の考えてることはみんなに理解してもらえない」や「学という人がぼくである必然性はない」や独我論的な哲学ゾンビの問題に関する悩みは実に中二病的。そういう悩みが懐かしくもある。私とか神とか世界とか、こうして意識してみなければ考えないことに思考を向ける作業がなかなかに刺激的だった。
読了日:12月6日 著者:永井均





私・今・そして神 開闢の哲学 (講談社現代新書)私・今・そして神 開闢の哲学 (講談社現代新書)感想
  5分前に世界はあったのか、あるいは5メートル前後に世界はないのか、私が二人に分裂したら意識はどうなるか、勝手に作った私的言語の可能性など、普段は意識しないどうでもいいことについての哲学的探究。分かる部分は面白いが、大概が難しい。見た目、思考、言動が完璧に近いが心のないロボットに、今日から心を入れてみるのだが、そのロボットが周囲の人々に「私は今日から心があります」と言っても、本人も他人も誰も意識できないし意味の無い表明だ、みたいな文章が最も読んでいて驚いて、その驚きが嬉しかった。
読了日:12月18日 著者:永井均





スピノザ―「無神論者」は宗教を肯定できるか (シリーズ・哲学のエッセンス)スピノザ―「無神論者」は宗教を肯定できるか (シリーズ・哲学のエッセンス)感想
  『エチカ―倫理学』の著者スピノザだが、本書は『神学・政治論』や『国家論』を中心に解説されている。スピノザ哲学と言うより、17世紀オランダの世相や政治の中でのスピノザの言動、という中身なので期待とはちがったがこれはこれで面白い。宗教学、神学を中心としているが神の捉え方はやはり私の捉え方と繋がるように哲学にも近いものなんだろう。聖書は信用できない、嘘を言っている、でも聖書は神聖だ、のような回りくどいことを言っているスピノザだが、上野修さんが言うように無神論者というわけではないのだろう。
読了日:12月18日 著者:上野修





ジョークの哲学 (講談社現代新書)ジョークの哲学 (講談社現代新書)感想
  分かり易いジョークもあるが、「考えオチ」と呼ばれるものはなんでこれがジョークなのか、話を読み終えても分からないから恐ろしい。解説を読めばなるほど、と納得できるのだが。著者も書いているが、ジョークは謎解きという点で小さなミステリー小説みたいな所がある。序盤はジョークを分析、し構造を解説しジョークやうまいことを言うための実用書風だが、油断しているとニーチェラカンハイデガーなどの立派な哲人たちの言葉や理論を引用、応用してくるものだから、底なし沼みたいに入り易くて奥深い。さらっとジョークを言える人に憧れる。
読了日:12月21日 著者:加藤尚武





世界宗教・神秘思想百科世界宗教・神秘思想百科感想
  洋の東西も時代も問わず、宗教にかかわる人物や思想を集めた百科事典。事典形式だが、この邦訳版はカテゴリー毎に章立てしてあるので読み物として読める。キリスト教仏教神秘主義紀元前哲学者たちの思想も見事にこの一冊に収められて、さすがジャック・ブロスだ、と驚く。実生活でもフィクションでも普段触れている宗教を「神秘思想」という一つの文脈でこうして一直線に並べて眺めることは新鮮な体験だった。ジャック・ブロスの他の著作には『世界樹木神話』や『植物の魔術』などがある。
読了日:12月29日 著者:ジャックブロス





ユング (講談社選書メチエ)ユング (講談社選書メチエ)感想
  ユング心理学の本でもあるけど、ユングの生い立ちから亡くなるまで、父親やフロイト、恋人との人間関係なども含めて一冊の本になっている。あまり読みやすくはないが、ユングとその心理学をサラッと知るにはちょうど良い。
読了日:12月29日 著者:アンソニースティーヴンズ





反アート入門反アート入門感想
  「反アート」って何だ?一つ、簡単に考えて言えるのはいわゆる現代アート。実際中盤くらいまではウォーホルなどのアメリカン・ポップ・アートやミニマル・アートの作家や作品を紹介し、美術史を解説している。もう一つ考えられるのは、アートや美術、芸術という固定観念を疑う、という意味での「反アート」だ。終盤で岡本太郎について書かれている。それによれば、太郎は美術や芸術という言葉以上に呪術という言葉を重視した、とのこと。言われてみれば、自然と芸術やアートという言葉に固まった意味を持っていてもっと解きほぐすべきかなと思う。
読了日:12月21日 著者:椹木野衣





ASIAN JAPANESE―アジアン・ジャパニーズ〈1〉 (新潮文庫)ASIAN JAPANESE―アジアン・ジャパニーズ〈1〉 (新潮文庫)感想
  小林紀晴デビュー作。写真家というイメージで読み始めたので、写真の少なさに驚いた。著者自身のアジア諸国への「自分探し」の旅の記録でもあり、主に20代の若者たちへの取材でもある。前半は1991年当時、後半は三年後の94年の取材をした人たちとの再会という構成になっている。三年後には旅人同士で結婚し子供もいる者もいれば、日本に戻りまたアジア横断の旅に出ようとする者もいれば、バンコクで体調を崩し日本に帰り家族に囲まれ亡くなった者もいれば、自ら命を絶った若者もいる。旅人の暗澹と希望が混ざり合った一冊。
読了日:12月21日 著者:小林紀晴





身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論感想
  元夜のオネエサンであり『「AV女優」の社会学』の著者によるエッセイ。正に「赤裸」な時もあった赤裸々なあらゆる過去がどす黒い紫色をして饒舌に語られていく。ホストクラブやもっと夜の街的な事情が詳しく語られていて、こんな世界もあってこんな人々もいるのだなと半ば呆れる。かるーく読む分には十分おもしろい。他の文章では使われていなかった気がするがあとがきに「本当の愛」という言葉が使われていて、知り合いの著者と同年代の女性も同じ言葉を使っていたので気になった。そんな経験豊富でない人間は愛の真偽なんて考えないのだろうが。
読了日:12月6日 著者:鈴木涼美





「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか感想
  逞しくそして輝くAV女優たち。性の商品化を問題視したり憐れんだり擁護したりする世論が前提にあり、その反発としてAV女優の逞しさをこの本は語っているのだとおもう。読んでいるとAV業界が至極普通のことに思えてくるので不思議な感覚だ。AV女優たちのプロ意識も達成感を得るためにがんばる姿も、キャラクターを演じることもどんな職業にも共通するものだろう。しかし著者が明かす彼女たちの姿は逞しくカッコよくさえあり、裸で大衆の前に立てるという無敵ささえ錯覚させる。それは負の特別さではなく正の特別さを印象付けてしまう。
読了日:12月8日 著者:鈴木涼美





絶望名人カフカの人生論絶望名人カフカの人生論感想
  名言は嫌いだしその引用者も嫌い。名言だけしか見ず喜んで無責任にリツイートするアホも嫌いだし、こういった名言本も嫌いだ。それは、実際のテクストや人物の捏造に近いからだ。しかし、それを踏まえてもこの本はおもしろいしカフカという作家に今もこれからもずっと価値がある、と読んで気づく。日常に絶望し切っていたカフカはついに後に死に至る結核にかかるが、発症し始めたころ「結核はひとつの武器です」と手紙に書き、他の断片では過去に足を骨折したことを「生涯でもっとも美しい体験」と書いている。日常の不幸が彼に作品を書かせる。
読了日:12月6日 著者:フランツ・カフカ





日本人が知っておきたい森林の新常識日本人が知っておきたい森林の新常識感想
  林業と森林について、私のような素人にも分かり易く書かれている。多くの「森林の常識のウソ」や知らなかったことが書かれていて驚く。いくつか節のタイトルを挙げておく。「森は二酸化炭素を吸収しない」、「原生林の自然は貧弱である」、「火事が育てる森もあった」、「里山ゴルフ場はそっくりだった」など。自然のためとか地球温暖化対策と言って木を守ろうという意識が一般市民にも根付いたかもしれないが、その方法が間違っている可能性もある。かと言って「新常識」が数年後とかもっと先にはウソになっているかもしれないのだから難しい。
読了日:12月6日 著者:田中淳夫





読書メーター


血と暴力の国 (扶桑社ミステリー)

血と暴力の国 (扶桑社ミステリー)

2014-12-31

大晦日

年越しそばを食べてきた。




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あと四枚載せたかったのだけれど、

はてなにアップできる上限にひっかかってしまった。

ということで、ついっぷるの方に残りは載せておきます。

http://p.twipple.jp/user/sibafu_gokyo




使用機種はCanonのEOS Kiss X7です。

2014-12-29

トランス

trance

[名]

1 夢うつつ;ぼう然自失;忘我(の境),恍惚(こうこつ)

2 人事不省,失神,催眠状態

3 [U][C]トランス(状態),入神(状態):霊媒が神・死者の霊からの交信を媒介する際に陥る一時的な自失状態.

(「英語辞書 - goo辞書」http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/ej3/87768/m0u/)


  2013年に公開されたイギリスのサイコスリラー映画『トランス』を観た。これほどの脳を掻き回されるような興奮を感じる映画を観たのはひさびさで嬉しい。監督は『トレインスポッティング』で有名なダニー・ボイル


映画『トランス』予告編
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  タイトルの「トランス」は「トランスファー」とかの接頭辞のtransの方かと思っていたが、始めに引用したtranceの方だった。たしかに「夢うつつ」とか「茫然自失」という言葉が合う世界だ。でも、作中の字幕でたぶん心理学用語の「転移 transfer」が出てきていたので、どちらかでしかないわけではないだろうが。transには「越えて」や「別の状態(場所)へ」という意味があって意味深いのだし。そういう点でカタカナ表記の邦題『トランス』は深読みできてなかなかいい。


  主演のジェームズ・マカヴォイトビー・マグワイアユアン・マクレガーを混ぜてマッチョにした感じでカッコいいが、強盗集団のリーダー役のヴァンサン・カッセルもいかにも悪役らしくて好きだ。たしか『オーシャンズ12』と『オーシャンズ13』ではダニー・オーシャンたちのライバル的立ち位置の泥棒でカッコよさとバカっぽさが混ざった役で愛嬌があったが、この『トランスファー』でも純粋に悪人と言うには程遠く、主人公と二人の場面はなかなかいいコンビに見えたり。ヒロインのロザリオ・ドーソンは熟した美しさがよい。




  観ていてまっさきに思い出したのが、こちらも2013年公開でそしてイギリス製でもあるクライムアクション映画『ビトレイヤー』だ。それはどちらも主演がジェームズ・マカヴォイだから、という点が大きい。が、それ以外にも『トランス』の非現実的なキラキラした映像や黄緑色あるいはエメラルドグリーンの光があたっているような映像は、『ビトレイヤー』に近いものがある。主要なスタッフを見比べても共通する人物は見つからなかったが、不思議な相似点がある。


映画『ビトレイヤー』予告編
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  そして次に思い出すのがクリストファー・ノーラン監督のインセプション。『トランス』の場合は催眠で『インセプション』の場合は夢という点で微妙に異なるが、どちらも現実を離れて夢想する空間でキャラクターたちが動き回るという点で一緒。そして、動き回るだけでなく現実(と観客が思っている世界)と夢(催眠世界)が何度もしつこくしつこく映像と映像がミックスされるので、観客は主人公のマカヴォイやディカプリオと一緒に世界の足場を失う。この浮遊感が快感だ。


  だからこそ『インセプション』のストーリーは何が起きているのかわからず難解でもあった。それは『トランス』も変わらない。夢(あるいは妄想)と現実の境界があやふやということで言えばデヴィッド・フィンチャー監督の『ファイト・クラブ』がそうだったように、最後にネタばらしをされても「いや、凄いけど、これって辻褄あってんのか?」と思うところはどの映画でもあるように思う。『トランス』も例外ではないが、終盤はこれでもかっていうくらいにコインの表と裏をひっくり返しひっくり返す怒涛の展開で、とりあえずこの驚きは賞賛に値する、と思うのだった。


  あと最後には『ステイ』という映画を思い出した。主演は『トレインスポッティング』と同じくユアン・マクレガー。これもまた夢の中の夢の中の妄想の中を迷走する、みたいなお話。若かりし頃のライアン・ゴズリングが素敵。地味な作品ではあるけれど、個人的には大好き。


Stay - Trailer
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  作中でゴヤの名画『魔女たちの飛翔』を探し求めるわけだけれど、途中から主人公の記憶を探すことの重要さが徐々に増していき、終盤は記憶と現実への回帰が目的として肥大化していく。だから、『魔女たちの飛翔』はヒッチコックが提唱した「マクガフィン」というものなのだと思ってくる。泥棒が盗むものはダイアモンドでも手紙でもいい。代替可能なのだから、その貴重なものは実は陳腐なのだ、という概念の「マクガフィン」。とはいえ、魔女と催眠術師という象徴的な繋がりがあるわけだけれど。


  『トランス』は音楽もなかなかよかった。映像のと音楽による浮遊感がうまく機能していた。というか、音楽を担当したリック・スミスはUnderworldの人だった、と気づく。自分みたいな音響系好きな人間が好むわけだ、と納得。


Trance Soundtrack 04.Here It Comes
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2014-12-23

はじめての一眼レフ


Canonデジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss X7」を買いました。

はじめて手にする一眼レフです。

まだ家の周辺や猫くらいしか撮っていませんが、いいかんじです。

いろんなところへ行っていろんなものを撮りたいとおもいます。


以下、今日撮ったもの。




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