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2015-05-21

『WIRED』Vol.15の針も文字盤もない奇妙な時計「Durr」

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(http://skrekkogle.com/durrbeta.html、より)





  ひとつ前の号だけど3月発売の『WIRED』のVol.15を読んだ。


  「ワイアードバイ・デザイン デザインをめぐる25の物語」という特集で、ファッションに限らず街や畳や変なツールまで、25種類のデザインが紹介されている。


  その中で一番面白いと思ったのは「Durr」と名付けられた腕時計。秒針などの針も文字盤もなにもなくて5分に一度振動するだけ、という奇抜にデザインされた「腕時計」。その記事を読んだ日は、これいいなとおもった、ということを50分に一度思い出す一日だった。


  作ったのはノルウェー人のデザイナーユニットのSkrekkogle。販売もしているらしい。欲しいな。欲しいけど、普通の腕時計も必要だから普通のとDurrと二つ装着しなければならない。恥ずかしい……。


  時間の感覚は伸縮するものだけど、その5分時計によって感覚は5分ごとに区切られていく。時間に支配されると消極的にも考えられるが、秒針も文字盤もないのだから我々はその5分のあいだ、絶対的に自由だとも肯定できる。24時間、5分間刻みを実感しながら生きたことがないのだから、未知の体験だ。


  一定の間隔で刻まれた時を意識して生活する、ということはなかなかないものだとおもう。Skrekkogleによると、1分でも10分でもなく5分というのが直前の振動をあまり嫌にならずに自覚できる時間だそうだ。しかし何分の何秒の間隔であっても、生活にリズムが生まれるということだから、それだけで世界がちょっぴり変わるツールにDurrは成り得るだろう。




■Skrekkøgle

http://skrekkogle.com/

2015-05-11

第120回文學界新人賞受賞作、加藤秀行「サバイブ」と杉本裕孝「ヴェジトピア」の感想

文學界2015年6月号

文學界2015年6月号


  第120回文學界新人賞受賞作は二作品。『文學界 2015年6月号』に掲載されたものを読んだ。某所に書いた感想をちょっといじってここに載せる。


  今回から選考委員は以下の四名。円城塔川上未映子松浦理英子綿矢りさ


http://www.bunshun.co.jp/mag/bungakukai/bungakukai_prize.htm


■加藤秀行「サバイブ」

  だらだらと現代に生きる男たちの生活が書かれていて、現代の若者らしい固有名詞が溢れていてリアリティはあるが、だから何、という気もするし金持ちの若者感を出すためなどに出てくる固有名詞がわからない人からすれば辟易するだけだろう。

  綿矢りささんが選評で「都会の若者の生活が嫌味にならないぎりぎりのところで粋に描かれていた」と書いているが、全然そんなことはなくて粋ではあるかもしれないが、もろに鼻に付く文章になっているし粋なだけで小説は面白くならないでしょう。綿矢さんの本音もそんなもんじゃないかと思うんだけど。

  一方、吉田修一さんは「好感」と「嫌悪感」という言葉で表現しているが、上手く書かれていようが好感を持てなければ読んでよかった、とは思わないと私はおもう。


  「2000年代って何なんだろうな」というセリフが象徴的だけど、現代に生きる若者たちのふわふわした生き方ってどうよ、みたいなテーマを意識しすぎている。

  ありきたりだし、「で何なの?」と思うしかない。

  宇野常寛さんが『ゼロ年代の想像力』で、90年代のセカイ系の後のゼロ年代特有の現象みたいな意味でサバイブ系という言葉を使ってた気がするけど、タイトルが「サバイブ」だからやっぱ意識してんのかな。言いたいことはわかるけど、なんかなーという感じ。もうちょっとヒネってほしい。




■杉本裕孝「ヴェジトピア」

  植物の知識や描写と自分を植物だと思い込んでる不思議系主婦という、物語の中での絡み具合と描写力から実力があるように思える。

  でも、構成面で失敗していて好感を持てて楽しめる小説にはなっていない。なんかいろいろ雑。やはりもの、人物、心理などの描写は読みごたえを感じるのだけど、人物とかの設定の部分なんかが詰めて考えられていない、というか。

  オチも分かり易いオチをつければいいというものではないし。人が死ねばそりゃあ感情の起伏にはなるうだろうけど。安易でありながら物語における結末の定石という感じでもあるので仕方がないけど。




■選評について

  吉田修一さんが全作品になにかしらキレてておもしろい。松浦理恵子さんは「ヴェジトピア」推し過ぎ。どうかしてる。円城塔さんは敢えてぼやかして書いているのか、いまいち何言ってるのかわからない。川上未映子さんについてそう言えば今までひと言も触れていなかったけど、思い出しても何書いていたか全く思い出せない。

2015-05-03

多摩川

多摩川に写真を撮りに行った。

河川敷は思っていたよりだだっ広く、そして殺風景だった。

望遠レンズを持っていけばよかったのだろうけどわすれた。

昼間は天気がよかったけど、夕方はちょと曇り気味だった。

カメラはCanonのEOS Kiss X7。




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2015-05-02

2015年4月の読書

2015年4月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:4031ページ
ナイス数:170ナイス


■フィクション


武曲 (文春文庫)武曲 (文春文庫)感想
  猛烈に剣道をやりたくなる。やれないまでも、YouTubeで剣道の試合の動画を探してしまう。剣道小説として青春エンタメでありスポ根でもあるが、武道として根底にある仏教や禅の世界が藤沢周の文学らしく非常に濃くじっとりと覆っていて、この二面性の見事なバランスによって藤沢作品としても小説全体としても稀な傑作になっている。木刀を握って「真剣」勝負をするなんて剣道馬鹿を通り越しているくらいだが、世界観に引き込まれて共感さえできる。ただ、羽田融が矢田部研吾の父親と同じ殺気を持っているというのは疑問を覚える。
読了日:4月8日 著者:藤沢周


「藤沢周 『武曲』 - 殺し合い生かし合う剣道」





ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件 (幻冬舎文庫)ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件 (幻冬舎文庫)感想
  正に「風が吹けば桶屋が儲かる」風に連なっていく事件の謎解き。バタフライ・エフェクト的な発端と終結の縁遠さはループものの作品を思い起こさせる。「ドS刑事」はヒロインの黒井マヤという女刑事のことだが、特に「ド」が付くほどサディスティックではなくて、どちらかと言えばサイコパス(頭文字はPだが)な女だ。刑事でありながら、猟奇殺人者になってもおかしくないような思考をしている。推理力、洞察力がずば抜けているところなど実はレクター博士に近いキャラかもしれない。面白かったので二巻目も早く読みたい。
読了日:4月14日 著者:七尾与史





ドS刑事 朱に交われば赤くなる殺人事件 (幻冬舎文庫)ドS刑事 朱に交われば赤くなる殺人事件 (幻冬舎文庫)感想
  一作目とは方向性がだいぶ変わったような。前回、黒井マヤはサイコパスだけどあまりSっ気がなかったが今回はちゃんとドSらしくなっている。言葉責めはまだいいけど、暴力は度を越しているが。ミステリーとしてはあまりにもやる気がないストーリーだが、犯人側がまるで小林泰三さんのライトなホラーに出てくる奇人バリに頭も容貌も狂っていくものだから、ホラー的なものだと思い読めばなかなかその狂いっぷりが面白いものだった。軽い作風なのはいいけどしかし、求めていたのは一作目みたいなミステリーだった。
読了日:4月29日 著者:七尾与史





ドS刑事 三つ子の魂百まで殺人事件 (幻冬舎文庫)ドS刑事 三つ子の魂百まで殺人事件 (幻冬舎文庫)感想
  黒井マヤが中学生時代の頃の回想が本編に挟まる構成。「三つ子の魂百まで」。今までの二作品でマニアックなホラー映画はマヤの趣味として何度も登場してきたが、三作目にしてそのホラー映画趣味が大きく事件に関わってきた。ホラー映画は詳しくないので、オマージュかもしれないが、スイーツを無理やり食べさせて胃を破裂させる殺しの方法はデヴィッド・フィンチャー監督の『セブン』を思い出した。この三作目のストーリーは凡庸だと思うが、ホラー映画と殺人事件とのリンクというのはなかなか面白い趣向だと思った。あまり観たくはないが……。
読了日:4月29日 著者:七尾与史





エリアーデ幻想小説全集〈3〉1974‐1982エリアーデ幻想小説全集〈3〉1974‐1982感想
  後期の七作品。ベンジャミン・バトンのように奇妙に若返っていく話が二つほどあるが、それは解説で言われているように老いたエリアーデの願望が混ざっているように思えて、そう考えると読み取れるものも変わってくる。精神的には成人のままで肉体だけが巻き戻る「若さなき若さ」、読み応えがあった。エリアーデの化身とも言える作家のアデぺが登場する「19本の薔薇」、読むのは二度目だが薔薇という小道具のおかげもあり終盤が神秘的であり美しい。最終巻。名残惜しい幻想小説の数々。永遠に謎は解けないだろうが、一生の内に何度も読むだろう。
読了日:4月21日 著者:ミルチャエリアーデ





人獣細工 (角川ホラー文庫)人獣細工 (角川ホラー文庫)感想
  人間は日々細胞が入れ替わっているのだから、自己の意識を疑問視するっていうのは雲を食べようとするくらいマヌケなことかもしれない。豚の臓器を移植された主人公が自己を問う「人獣細工」は自己と他との境目という問題をうまく描写している。どうも文体が軽すぎるがそういうテーマと設定がいい。肉だと思って食べていたら実はがんもどきだった、みたいな過去に起こったことを現在で知るというのはもう対処しようもないし、今までの記憶や感覚はなんだったのか、という虚無感に襲われ、まさにホラーだ。他の収録作品はちょっと適当なものばかり。
読了日:4月18日 著者:小林泰三





夢を売る男 (幻冬舎文庫)夢を売る男 (幻冬舎文庫)感想
  自費出版での出版社の客は読者ではなくて、金を出す著者だということ。そりゃあ詐欺みたいなものもある。売れるわけもないのに、建前で絶賛しておいてほとんど書店に配本もされなければ重版しましたと著者に嘘を言う。そういう詐欺そのものもある。とは言え、自費出版の編集者は夢を売っていて著者は買っているわけだから、自費出版じたいを一概にわるいとは言えない。百田さんの本心らしき文学界や出版業界への批判が痛快で、取材による業界の動向などがためにもなる。面白いが、ちょっと小説というよりはルポ寄りすぎる気もする。
読了日:4月18日 著者:百田尚樹





スイートリトルライズ (幻冬舎文庫)スイートリトルライズ (幻冬舎文庫)感想
  セックスレスの夫婦で妻も夫も変わり者という点で同じ江國さんの『きらきらひかる』にそっくり。でも、細部はけっこう違うのでどちらも楽しめた。今回は夫婦ともに社会的、外面的に飛び抜けて変ではないけど、特に妻の瑠璃子の内面も行動もリアリティのある整合性のなさみたいなところがあって不可解さと共感できるところのバランスが上手いようにおもえる。罪悪感が薄く、むしろ夫婦生活を円満に保つためという大義の上での不倫みたいなところが辻仁成さんの『サヨナライツカ』に近い。
読了日:4月8日 著者:江國香織





三田文学 2015年 05 月号 [雑誌]三田文学 2015年 05 月号 [雑誌]感想
  藤沢周さんの短編「物狂」、面白かった。ただ、ブログにも書いたけど痴呆老人の話は飽きた。他はパラパラ読んだり読まなかったり。あまりピンと来るものがなかった。加藤宗哉さんという人の連載で吉行淳之介の改稿について扱っていて、吉行淳之介を一作も読んだことないけどこれは面白かった。若い頃に書いた原稿を歳をとってから全集に載せるとかで改稿しているのだけど、凄く細かい部分の変更から何行も削除していたり。ただ、過剰形容を減らすという一貫した主義があるようで。当然、そんなに初出から変えていいのか?という疑問はあるのだけど。
読了日:4月30日 著者:


「藤沢周 「物狂」 - 飽食の認知症系介護小説」





文學界2015年4月号 (文学界)文學界2015年4月号 (文学界)感想
  前に『文學界』に載った「つなわたり」がよかったので読んでみたけど、小林信彦さんのインタビューよかったな。知らない古い映画の話ばかりだけど、ぎりぎり分かる映画もあったり。「『図書館』に異議あり!」という特集の号でもあり、出版不況ながらも図書館は人気というのが意外で、じぶんもよく利用するので複雑な気分になる。円城塔さんの「プロローグ」はクライマックス。なぜか地下施設に移っていき乱暴でなんとなくな感じで映画やゲームの分かり易いオチっぽい展開へ。結局、全く分かり易くなんてない奇妙な小説(?)なんだけど。
読了日:4月26日 著者:





文學界2015年5月号文學界2015年5月号感想
  円城塔さんの「プロローグ」最終回。結局、始まりも終わりもよくわからないままの「?」の付く小説だった。この回では、遂に同じ人物が数人、数セットで登場する混沌の世界に。複数人を登場させたクセに、佐代1とか2と区別するのがやっかいなので他の佐代という人物に対して「あんたたちも、もうとりあえず佐代ということでよくはないかね」と他の人物に言わせるなど。読者の脳内で分裂した佐代は再び一つの人体へと収束して、また展開もなにかも理解を超えたストーリーへ意識は移っていく。終始まじめにふざけている連載だった。単行本が楽しみ。
読了日:4月26日 著者:





■ノンフィクション


荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)感想
  『ジョジョ』の作者が漫画を描くための黄金の道(王道)を示した一冊。これは漫画を描くためにも役立つだろうし、小説や映画などの創作にも通じる。裏話の披露でもあるので受け手としても充分楽しい。『ジョジョ』を読んでいると天才的だな、と思うことが多いが、本人のエピソードを読むと凄く努力家なんだな、という印象を受ける。そして、漫画への愛情も深い。荒木さんの漫画にしても他の人のものにしても、これからはちょっと漫画の見方が変わりそう。一番衝撃だったのは、岸辺露伴の頭に付いてる卵の殻みたいなやつがヘアバンドだと知ったこと。
読了日:4月30日 著者:荒木飛呂彦


「『荒木飛呂彦の創作術』 - 『スティール・ボール・ラン』はいまいち燃えない」





神々への道: 米国人天文学者の見た神秘の国・日本神々への道: 米国人天文学者の見た神秘の国・日本感想
  アメリカ人の天文学者が見た明治期の日本の記録。神道への関心が中心だが、宗教的な文化に関わらず、明治期の日本でしかも外国人の目から見た記録というのはとても貴重で新鮮に思える。御嶽山へ登山した時に神道の行者が儀式を始め、憑依した姿を見て神道に興味を持ったとか。憑依儀式あれば、念じて火を点けるとか刀の刃の階段を昇るとか、そういった見世物までもある。日本人に対して上目線の分析は、市民社会的な自我が形成されていなくて野蛮だ、と差別的ではあるが納得できるものもある。著者はラフカディオ・ハーンに影響を与えたとか。
読了日:4月21日 著者:パーシヴァルローエル





なぜ仏像はハスの花の上に座っているのか 仏教と植物の切っても切れない66の関係 (幻冬舎新書)なぜ仏像はハスの花の上に座っているのか 仏教と植物の切っても切れない66の関係 (幻冬舎新書)感想
  仏教だけでなく広い意味で宗教にまつわる植物の由来や、迷信、豆知識など。わりと身近な植物にもまだ解明できていない謎があったり、古いものだと数千年以上前に生まれた種があったり、原産地がどこかわからないなど、これほど植物がミステリアスなものだとは思っていなかった。仏像とハスの関係を普段は気にしないように、たいていが見るだけで満足してしまうのだから当然なのだが。おそらく著者による植物のラフなスケッチが良い味だしている。迷信などの民間信仰的な要素もあり、意外にも奇書とも言えるジャック・ブロスの『植物の魔術』と近い。
読了日:4月18日 著者:稲垣栄洋





着想の技術 (新潮文庫)着想の技術 (新潮文庫)感想
  タイトルの通りに着想=アイデアが生まれた過程や方法を書いたものもあるが、エッセイに近いものも多い。いろいろな雑誌に掲載された文章がまとまっているだけなので、題材もまとまりがない。心理分析と夢に関して多く書かれていて、特に夢の部分がおもしろかった。
読了日:4月8日 著者:筒井康隆





読書メーター





武曲 (文春文庫)

武曲 (文春文庫)

夢を売る男 (幻冬舎文庫)

夢を売る男 (幻冬舎文庫)

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

2015-04-29

『荒木飛呂彦の創作術』 - 『スティール・ボール・ラン』はいまいち燃えない

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)


  ジョジョの奇妙な冒険の作者・荒木飛呂彦さんの新刊荒木飛呂彦の漫画術』を読み始めたけど面白い。『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』と『荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟』に続く集英社新書の三作目。


  この『荒木飛呂彦の漫画術』は、「はじめに」でも書かれているように創作術として漫画以外の小説、映画などにも関連するし、受け手としても作者の意図や苦労がわかるので面白い。また、創作術として荒木さんの漫画や少年漫画、映画などが例としてよく出てきて紹介としてもいい。




  『ジョジョの奇妙な冒険』第八部ジョジョリオンは単行本で順次読んでるけど、実は第七部スティール・ボール・ラン(全24巻)は途中までしか読んでいなくて、いま19巻目を読んだところ。


  しかし他の部と比べるとやはり『スティール・ボール・ラン』はなんだか燃えないなー。この七部から掲載誌が青年誌に変わってるっていうのは、『ジョジョ』という漫画にとって大きな影響なんだろうけど、それだからかやたらと分かりにくくなってしまっているように思える。


  ジョニィとジャイロはなかなか良いコンビだと思うし、19巻の敵同士のホットパンツとディオが共闘して大統領と戦うところなんてけっこう燃えるものがあるのだけれど……。


  『荒木飛呂彦の創作術』を読むと少年ジャンプというジャンルを大切にしていて染み込んで漫画を描いているようにおもえるけど、『スティール・ボール・ラン』は少年漫画から離れて青年向けに偏りすぎているんじゃないか。バトルの勝負の行方にしてもスタンドにしてもわかりにくい。


  世界が一巡した世界、ということを読者は知っているからというのと、スタンドの能力がみんなトリックばかりで「実は死んでませんでした」みたいな展開が多い印象で、「キャラの死」というものを表現として信頼できない。だから、いまいち燃えないのだ。


  一方、『スティール・ボール・ラン』から反省してなのか『ジョジョリオン』は少なくとも今のところは、シンプルなスタンドやキャラクターとストーリーになっていてかなり分かり易い。主人公・東方定助の正体が明かされていくにつれてまたハチャメチャな漫画になりそうな面影は感じるけれど。


ジョジョリオン 9 (ジャンプコミックス)

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