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2016-10-10

2016年秋に見るべきアニメ

  最近ぜんぜんアニメを見ていなかった。いわゆる深夜アニメ。でも、気づいたら10月になって、いろいろアニメが始まりだして気になり始めたらキリがない。


  「2016年秋に見るべきアニメ」はなんなのか。アニメ見つつ書きつつ調べていく。




1.亜人 第2クール

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  原作読んでて最新の9巻買ったけどまだ読んでない。とりあえず、アニメの第2期第一話(通しで14話)を見る。

どこら辺で1期が終わったから記憶が曖昧だったけど、永井と中野が逃亡したところからだったか。


  14話で病院のシーンがあったけど、こんなの原作にあったのか?

どっちか知らないけど、ネットでの話によると原作とテレビアニメ&映画ではストーリーが違うらしい。

原作漫画はまだ続いているけど、テレビアニメ&映画はひとまず完結させるストーリーになっているんだろう。


  アニメはCGを多用していることもあってマンガと大分テイストが違うけど、どちらもそれぞれの良さがあるように思える。アニメは特にアクションシーンがいい。特に佐藤。亜人の出すIBM(黒い幽霊)はアニメにしてもマンガにしても、ちょっと魅力に欠ける。






2.フリップフラッパーズ

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  『スペース☆ダンディ』18話「ビッグフィッシュはでっかいじゃんよ」で、脚本・絵コンテ・演出・作画監督・原画を担当し、一つの見事な世界を作り出した押山清高が監督を務める『フリップフラッパーズ』。


  ということで、期待大で待ち望んでいたのであった。ちょっと百合っぽすぎはしませんかね、と思うところはあるけど、まだ一話目だからな。


  『ダンディ』18話もジブリ要素が強かったけど、今作では背景やエンディングにジブリっぽさが滲み出ていて、やっぱりジブリ出身アニメーターらしさが出ている。


  オリジナルアニメだからこその、未知の世界の体験でもあって、なにが待っているか全く分らない面白さとあと怖さがある。


「『スペース☆ダンディ』第18話「ビッグフィッシュはでっかいじゃんよ」への驚き」(15.02.09)





3.3月のライオン

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  原作読んでないんだけど、友人が良いと言ってたこともあって気になり始めている。

  そんなとこにアニメが始まったので見てみる。ちなみに来年実写化するらしい。

  やー、騙された感がすごい。まさかシャフト製アニメだとは。原作の表紙とかの雰囲気からはぜんぜん想像できなかった。

  久々の新房昭之の作品。知っていなければ見始めなかったかもしれないくらいに敬遠している。いい印象が全くない。

  実際、自己陶酔的(ナルシスチック)なシーンと目ん玉のアップ、その多用は全然変わっていないのがすごい。

  「ドヤ演出」と悪い意味で読んでいいくらいに一辺倒でひとりよがり。


  まあでも、日常的な食事とか猫がいたりする生活空間のシーンは羽海野チカ作品っぽくてほのぼのする。

  シャフトっぽいシーンとほのぼのシーンのギャップがなんか変な感じだけど、全体的にはなかなかよさそう。話も気になるし。


  ついでだけど、花澤香菜が出てるけど「またお前か」という感じしかしない。

  飽きてくるし、しかも声を聞くたびに彼女の顔が思い浮かんでしまうからなんかもうダメだ、可愛いんだけど。





4.他

  あと、気になるのは『夏目友人帳 伍』、『ドリフターズ』くらいか。まだ見てないけど。5個くらいならなんとか追えそう。

  ここ2週間くらい、アマゾンのプライムビデオで海外ドラマの『フレンズ』をエンドレスに見続ける自堕落な日々だったので、このアニメ群はいい刺激になりそうだ。

2016-09-25

『レッドタートル ある島の物語』を観た感想

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  ジブリが製作面で関わっている『レッドタートル ある島の物語』を観てきた。


■あらすじ

  嵐の海に放り出された男が、ひとり、無人島に漂着する。彼は島から何度も脱出しようと試みるが、なぞの力によって無念におわる。絶望に暮れる男の前に、ひとりの女が現れる。


  マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットが監督。キャラクターが発する声はあるけど言葉になっているセリフは一切ない。


  フレデリック・バックが監督してジブリからDVDが発売された『木を植えた男』もたしかセリフがすくなくて、アート風の絵柄ということもあって、『レッドタートル』を観ていて思い出すアニメ。



  『レッドタートル』は絵とか海の動き、動物の動きがジブリらしくもあり、アニメーションとして見応えがあった。効果音も、素朴なキャラクターなどに合ってる。音楽はちょっとうるさめに感じたが。


  ストーリーはかなりシンプルで、ありふれている。その捻りのないストーリーでありながらも、ある程度は集中して見るに値する作品になっているのは映像とか音響効果の出来のよさによるものかとおもう。


■ファンタジーとリアリズム

  終わってみて不満だったのは、ファンタジーとリアリズムのどっちつかずの作品という印象が残ってしまうという点。一応結末で決着はついているけど、登場人物の内面性の描き方が雑だなとおもってしまう。

  (これを「ジブリアニメ」と言っていいのかわからないけど)ジブリアニメなんだからファンタジー全開でいいじゃんっておもうんだけど、監督はリアリズムにこだわってしまったのか。夢と現実が中途半端になっている。しつこく挟まれる主人公の夢、そして夢オチのシーンは伏線でもあるんだけど、やっぱしつこい。


  うろ覚えだけど、『思い出のマーニー』は夢と現実の描写のバランスが理想的だったような。


  純文学とか、文芸誌上でファンタジックな物語なんだけど、ジブリやディズニーみたいになってしまったら文学でなくなりすぎるので、語り手や主人公の妄想だった的なオチや設定が多々使われることがある。文学ならそこらへんは仕方なくもおもえる。あまり面白い解決方法ではないけど。


  でも、一応ジブリアニメならもう振り切ってファンタジーアニメ作ればいいじゃん、と心からおもう。



■『レッドタートル』と『オデッセイ』

  男が一人きりで無人の土地に残される、という点では映画『オデッセイ』(原作小説のタイトルは「火星の人」)を思い出させる。



  『オデッセイ』のマット・デイモンの場合は、地球上や宇宙船内の仲間たちと連絡を取れた、という点で『レッドタートル』とは違うんだけど。それにしても、マット・デイモン演じるキャラの精神的にもサバイバル能力にしてもタフ過ぎて感服する。


  一方『レッドタートル』の無人島に漂着した男は、人間界と連絡する手段が一切ない。唯一他の人間たちと繋がりを感じられるものといったら、漂着してくる樽や空き瓶くらい……。


  そういう状態なら精神的に消耗していって、現実の自分の立場から離れて浮遊していってもしかたがなくおもえるけど。それにしても、幻想と現実の描き方はやっぱもうちょっとなんとかならなかったのか。


■『レッドタートル』と3.11

  物語の中盤くらいか、唐突に津波のシーンがあって驚いた。地震の予兆さえなかったな、そういえば。それまで、災害なんて起こりそうな季節の変化もないスコールが時々降るくらいの島だったのに。


  男たちを襲う津波の映像とその音。現実はどうか体験していないけど、こういう恐怖に近いのかな、と慄く体験になった。また、津波が去ったあとの無残な島の姿。流される家族。


  日本人として、3.11(東北地方太平洋沖地震)の記憶が自ずと喚起される。津波自体はテレビや新聞などのメディアでしか目にしていないが。


■おわりに

  ストーリー面では不満はあるものの、凄いアニメを見た、という実感を得ることになる作品だった。行ったの新宿の映画館で小さめのスクリーンで、意外に満席に近い客入りだった。従来のジブリアニメとはやっぱ毛色がちがうけど、アニメーションが好きならなにか感じるところはありそう。


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老ヴォールの惑星

老ヴォールの惑星

  収録されている「漂った男」もまた漂着もの。


  絵本バージョン。

2015-07-02

2015年6月の読書

  6月。引っ越しやその他の活動があり、読書に時間をあまり割けなかった記憶。が、それにしては良いものを読んだという満足感はあった。『幽霊たち』、『平凡』、『方舟さくら丸』、『鈴木ごっこ』は一年間の個人的ベストに入りそうな出来の本だった。





2015年6月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3138ページ
ナイス数:142ナイス





■フィクション


界感想
  『文學界』連載の連作短編集。「旅先で見知らぬ女性と情事に陥ることもあるのではないか、と期待して、下半身が効かなくなるのを恐れて酒をセーブしようとなどとつゆとでも考えたのが、子供じみて馬鹿馬鹿しくなる」(「八橋」)。東京にいる本来の女とは心が食い違いはじめているようで、各地の旅先で瞬間の女を求める。度を越していて一歩引けば滑稽にさえ映るハードボイルドに浸っているが、虚しい男の下心が衝動としてある。次の一歩への躊躇いとか迷いが濃い。現実に挟まる記紀や仏教などの古来の日本的な物語が幻想性の味になっていていい。
読了日:6月28日 著者:藤沢周





幽霊たち (新潮文庫)幽霊たち (新潮文庫)感想
  ミステリアスであり探偵たちの話ではあるがミステリーではない。なぜなら、そこには事件がないから。事件の起こらない世界の探偵はインクの切れたボールペンで書く小説みたいなもので、退屈とアイデンティティへの不安と暴走で狂ってしまってもしかたがない。この、何も起こらないから何かを起こす手法というのは解説によると他の作家もやっているみたいだが、この作品では実に上手く成功しているようにおもう。中編小説で本当に事件が起こらない、というのはほぼ有り得ないので大体先は読めてしまうが、それでも文学作品として読み応えがあった。
読了日:6月21日 著者:ポール・オースター





平凡 (新潮文庫 草 14-1)平凡 (新潮文庫 草 14-1)感想
  私小説風だがどこまで作者の人生に基づいているのかは不明。本編を読んだだけでは作者自身の生活に見えるのだが。幼少期から作家として成熟し切って役所に勤めるようになる頃まで。確かに平凡な人生だが、読んでいて私はおもしろいと感じた。主人公は作家になるが、その職業的な部分の描写は抑えられていて、恋や身内の死、という平凡な事件が小説の主な要素となっている。平凡だからこその共感も生まれる。明治文学、自然主義文学、言文一致というのがポイントか。読んでいて漱石の『こゝろ』と堀辰雄の『風立ちぬ』、西村賢太を何度か思い出す。
読了日:6月21日 著者:二葉亭四迷





方舟さくら丸 (新潮文庫)方舟さくら丸 (新潮文庫)感想
  シニカルでブラックユーモアたっぷりな独特の比喩が溢れかえる安部公房節を堪能。それだけでも十分なのに、『砂の女』みたいに話の筋も面白い方向性の作品になっている。モグラやサクラたち対ほうき隊の抗争や交渉の様子は、洋画でよくある麻薬組織対警察みたいでサスペンス性が非常に高い。終盤があまり盛り上がらなかったのが残念だが。発表されたのが1984年で、もろに冷戦という時代の影響下にある小説。時代の特有性でもあり、当時の読者は核戦争に真剣に怯えていたのかもしれないが、今の読者にしてみれば滑稽にしか思えない視点の違い。
読了日:6月13日 著者:安部公房





鈴木ごっこ (幻冬舎文庫)鈴木ごっこ (幻冬舎文庫)感想
  『家族ごっこ』という映画の原作。木下半太さんは初めて読んだけどおもしろかった。オチは納得しずらいけど『ファイト・クラブ』みたいに二度目で再確認したくなるものではあった。赤の他人が四人集まって家族を演じる、という設定でだいたい食卓で話が進むので演劇っぽくて、安部公房の小説でありそう。描写はもっと軽いのですごく読み易いけど。調べてみたら2012年頃に演劇で上演していたらしくYoutubeに全編アップされている。サスペンスホラーという感じのジャンルか。
  【演劇】ニコルソンズ「鈴木ごっこ」https://www.youtube.com/watch?v=14fJ-cuViaE
読了日:6月11日 著者:木下半太





リーンの翼 1リーンの翼 1感想
  『機動戦士ガンダム』の富野由悠季によるファンタジー小説。「バイストン・ウェル」という世界観による作品はアニメや小説でいくつもあり一つのサーガとなっている。この本は80年代に書かれたものを2010年に再構成したもの。辞書ほどの分厚さで読むのに苦労し挫折していたが、『Gのレコンギスタ』がきっかけの再燃によってなんとか読了。現世と背中合わせになっている異世界へ、第二次大戦中の特攻部隊の飛行機に乗った青年が迷い込む。物語としてさほど惹かれないがたまに文章に現れる富野さんの思想やポリシー、そして富野節が刺激になる。
読了日:6月27日 著者:富野由悠季





さぶ (新潮文庫)さぶ (新潮文庫)感想
  『ドラえもん』の主人公がどちらかと言うと意見は割れるだろうけど、実はのび太が主人公なんだと納得できないけどそう思っている。『さぶ』の主人公は栄二で、さぶは助っ人的な立場の親友。グズなさぶ=のび太、優秀な栄二=ドラえもん、という構図が序盤では見える。しかし途中から栄二に人生崩壊のピンチが訪れるところから物語は大きく変わり栄二一人の視点に移る。さぶが栄二を心の支えとしたように、人への信頼を失った栄二もさぶを支えとし始める。ドラえもんとのび太のように、信頼し合う親友関係。一人ではなく、支え合って生きていく人生。
  という感じだが読んでいてあまり心地いい読書ではなかったが。終盤まではただ人情くさく説教くさいだけでまだ無害だが、オチが驚愕。このオチは必要だったのか?ウソをつくなら墓まで持って行ってもらいたいものだ。解かれなくていいミステリーの謎もあるだろうに。女のエゴイズムへの恐怖。『銀二貫』や『邂逅の森』なども読んで思うのは、こういう王道的な人情小説は苦手、ということ。
読了日:6月27日 著者:山本周五郎





24・7 (幻冬舎文庫)24・7 (幻冬舎文庫)感想
  文体や表現がオシャレでグローバルでなかなか真似できるものではない。作家性が強い分クセも強い。内容としては乱痴気騒ぎとセックスだけなのであまり入り込める世界ではなかったが。『ぼくは勉強ができない』とか『放課後の音符』とかの作風のほうが好み。
読了日:6月5日 著者:山田詠美





■ノンフィクション


山の人生山の人生感想
  山人(読みは「やまびと」か「さんじん」か?)。日本に先住していて現在は絶滅した民族のことらしい。実在はせず後に柳田自身が否定したようだが、この本では色々な噂話や伝説を集めて山人の姿を記録している。「山人の特色とは何であったかというと、一つには肌膚の色の赤いこと、二つには丈高く、ことに手足の長いことなどが、昔話の中に今も伝説せられます」。大塚英志原作のマンガ『北神伝奇』はこの本を下敷きにしたフィクションで、柳田の弟子の兵頭北神という架空の人物を中心とした奇譚でオカルト色が強いが一方で真剣でもあり面白かった。
読了日:6月21日 著者:柳田国男





なぜ日本人はご先祖様に祈るのか ドイツ人禅僧が見たフシギな死生観 (幻冬舎新書)なぜ日本人はご先祖様に祈るのか ドイツ人禅僧が見たフシギな死生観 (幻冬舎新書)感想
  ドイツ出身日本在住のお坊さんによる日本人の死生観についての本。キリスト教やユダヤ教、イスラム教や海外の文化を仏教と日本人の死生観と比較していて幅広いのが良い。もう少し深く掘り下げてほしいともおもうが。「お葬式で読まれるお経は時間で決められる」、というような本職だからこそ書けるし説得力のある業界話がおもしろい。
読了日:6月11日 著者:ネルケ無方





天使論天使論感想
  暗黒舞踏系の舞踏家・笠井叡さんによる神秘主義の本。父に借りて読み始めたが今日まで読み終えるまで何年掛かったか判然としない。非常に濃い本ではあるのだけど、ほとんど理解できていない。エリアーデ、スピノザ、グルジェフ、バタイユなど興味のある学者などに言及していて、密教や錬金術に触れている部分もあるのだが、全体としてはいまいちはっきりと掴めていない「天使論」であり、最終的にはサド侯爵の哲学という一つの地点に収束していく経緯であるので、結局はまるっきり私には理解できていない。誰かに解説してもらいたい一冊。
読了日:6月9日 著者:笠井叡





世界の半分を怒らせる世界の半分を怒らせる感想
  アニメや映画の監督をやってる押井さんのメルマガのまとめ。基本的に時事的な事件や社会問題についてのコラム。サッカーや軍事関係は一歩引いて読んでいたけどアニメや映画、宮崎駿や庵野秀明とのプライベートな関係とか思想を認めたり批判したりと面白い。押井さんと宮さんってもっと仲悪いもんかと思ってたけど、二人でどっか行ったりもしてるらしく、この本では率直に宮さんや作品を評価していて意外だった。高畑勲(やジブリ作品)や宮沢賢治を農本主義者として批判していたり、米は主食として劣っているなど個人的に新鮮な視点。装丁が好き。
読了日:6月27日 著者:押井守





「読書メーター」





界

方舟さくら丸 (新潮文庫)

方舟さくら丸 (新潮文庫)

鈴木ごっこ (幻冬舎文庫)

鈴木ごっこ (幻冬舎文庫)

2015-02-09

『スペース☆ダンディ』第18話「ビッグフィッシュはでっかいじゃんよ」への驚き

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  2014年9月まで放送していた『スペース☆ダンディ』というなんだかテキトーな宇宙人ハンターたちが主役のSFアニメ。


  で、今更な感じではあるけど、押山清高さんという方が脚本、絵コンテ、作画監督などを担当した第18話(シーズン2の第5話)「ビッグフィッシュはでっかいじゃんよ」を見たら、なんだか神がかっていて正に神回だった。20数分の一話なのに映画一本見ているような世界観やアニメらしい演出の濃さ。すばらしい。


  雰囲気が『マインドゲーム』っぽかったし第16話の「急がば回るのがオレじゃんよ」は湯浅政明さんなので、また担当しているのかな?と思ったら全く知らなかった押山さんだった。ジブリ、特に『崖の上のポニョ』『千と千尋の神隠し』っぽくもあり、『老人と海』や『海流の中の島々』などのヘミングウェイの釣りの話のようであり、『まんが日本昔ばなし』のようもであり、土台にある『スペース☆ダンディ』を越えつつ磨きをかけていた。


  今まで見た中で『スペース☆ダンディ』の第18話は特によかったけど、シリーズ全体として意外で奇妙な面白さがあるアニメだ。いろんなクリエイティブなスタッフが参加して、作家性をもろに剥き出しにしていろいろな話が作られていくのだから、オムニバスアニメのようでもある。


  『スペース☆ダンディ』は総監督の渡辺信一郎さんを始めとして、脚本の佐藤大さん信本敬子さんや音楽の菅野よう子さんなど、『カウボーイビバップ』を作ったスタッフが再集結したアニメなので、根底には『カウボーイビバップ』があるわけだけど。


  その『カウボーイビバップ』も一話完結の回がけっこう多くてオムニバス的な要素はあったものの、主人公スパイクの過去の因縁という大筋はあった。けれど、『スペース☆ダンディ』の場合はそういう大きなストーリーがないので、より自由で枠にとらわれないはちゃめちゃなアニメになっているように思える。




  というようなことをツイッターでつぶやいたら、思いのほか『ダンディ』ファンの方々から反響があって驚いた。ちょうどAT-Xというチャンネルで再放送が始まったり、根強い人気があるシリーズだと知ってちょっと嬉しい。


  正直言うと、『カウボーイビバップ』が好きだからこの『ダンディ』もシーズン1の頃からヒマつぶしのようにダラダラと見続けていたのでした。だから大して期待はせずこの時期になってシーズン2も見始めたのだけど、こういう18話目みたいな驚きのある回もあるシリーズと知り、意識を改めようと思った次第なのでした。


  押山清高さんは「作画@wiki」によると、『電脳コイル』の作画監督が代表作で、『借りぐらしのアリエッティ』と『風立ちぬ』ジブリ作品にも原画で参加しているとのこと。『電脳コイル』もすごくタイプなアニメで今も記憶にこびりついているし、ジブリも言わずもがなだし、この『ダンディ』第18話が自分好みなはずだ。




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  このエシメという女の子のキャラがやっぱり好き。神秘的。トップに貼ったアイキャッチもこのエシメ。声は子役の子が演じていて、仕草なども含めてポニョと宗介を混ぜたようなキャラになっている。ダンディに怒った時の表情は、昔話に出てきそうな、風の又三郎のような、子供に秘められた恐ろしさを感じさせるものですごくよかった。




「スペース☆ダンディ Opening ビバナミダ」
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2013-12-14

『かぐや姫の物語』

かぐや姫の物語 最新予告
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※以下の文章には作品のネタばれが含まれている可能性があります。




日が暮れたアスファルトの上。

仕事上がりでぴゅーぴゅーと冷たい風が吹く。

人が履くものと思えない固い皮に囲まれた靴の中の足はじんわり痛む。

師走、12月のもうなかば。

はやく帰りたい気持ちがあったが、今日こそは寄っていなかければならない、と堪える。

前売りチケットをもらっていたということもあり、上映終了までには見なければ、

という半分はいやな義務感があった。

賞味期限が過ぎているメロンパンを、早く食べなきゃなぁという感覚で。

観たいんだけど、食べたいんだけど、今でなくていいじゃないかと。

この日、特に良いこともなく、むしろ細かなことで苛立つ自分に苛立つ。




そういう気持ちで劇場へと足を運ぶ。

だからこそ、まさか涙が堪えられなくなるとは思っていなかった。




ということで、高畑勲監督のジブリアニメ『かぐや姫の物語』を観て来た。

素晴らしかった。

特に後半が。

素晴らしかった。

アニメとして、アニメーションとして十分以上の出来だと思う。




中盤までは、むしろ早く終わらないかなと、少し寝つつ観ていた。

絵柄はやはり好みでなく、原作の『竹取物語』のあらすじを

おおざっぱに知っていたり、展開もおとぎばなし風で、

先が読めてしまったりと、あまり見応えがない。

たまに目を見張る個所はあるものの、物足りない。




しかし、後半。

かぐや姫と捨丸の二度目の再会。

飛空シーン。

月からの来訪者のシーン。

ここらは、純愛と悲恋、育ての親たちとの別れと絆というものもあるが、

それに加えて、

アニメーションとしての演出力、表現力がずば抜けているものだから、より感動した。




特に月の人たちの登場シーンには祝福という言葉が浮かんだ。

映像もだが、場違いに軽快でありながら異物的な音楽が作りだすちぐはぐさが、

このシーンに完璧に合っていた。

作品全体として久石譲さんらしさはないが音楽はよくて、

この場面のあの場違いな曲が一番好きだ。




宮崎駿監督の『風立ちぬ』でもアニメーションとしての凄さに感動した。

この『かぐや姫の物語』はそれとはまたちがった表現方法のアニメーションで、良かった。




『かぐや姫の物語』は特に原作が日本最古の物語と言われる『竹取物語』であることもあり、

日本文化、日本人の想像力の逞しさを感じる。

規模や民話的な原作の力などがあり、高畑勲さん個人の作家力とも、

ジブリやそのスタッフたちの能力にも限られない映画としての結果を感じる。

それが日本固有の想像力なのではないか。

とか、観ながら考えていて、代々継承されてきた日本思想が、

ここに、目の前のスクリーンに表現されていることに驚き、感動した。






蛇足気味の感想。

観ていて、かぐや姫と『ドラゴンボール』の孫悟空は境遇が似ていると思った。

一方は古典文学、もう一方はジャンプマンガ、バトルマンガでありながら、

どちらも実はSFでもある。

また帰宅後夕食をこの文章を早く書きたいと焦りながら頬ぼっていて、

富野由悠季の『∀ガンダム』も『竹取物語』のパロディなんだなぁ、といまさら気づいた。





■関連のあるエントリー

「『風立ちぬ』を観た」(2013.8.5)

「二度目の『風立ちぬ』 ―フェミニズムとか愛国心とか―」(2013.8.17)