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イングランドの肉

2013-01-04 その19

俺達の電気代(お題:灰色の太陽)

 

「暑いな」

 焼けるような暑さ。汗が吹き出る。頭頂部からは焦げた臭いがする。

 空を見上げる。

 太陽は、輝いていない。

 

「なんなんだ……一体」

 太陽がその輝きを失い始めてから、もう3年もの月日が流れた。

 初めのうちは誰も気がつかなかったが、1月も経たない内に誰もが異常を感じた。

 今となっては、太陽は殆どの輝きを失い、灰色となっていた。

 町は昼間でも街灯に照らされ、電気代がすごかった。

 

 しかし、暗くなった太陽はそれでも猛烈に暑かった。

 むしろその熱は日増しに強くなっているように感じる。

 つまり、冷房の設定温度が下げる必要があった。電気代はさらに凄いことになった。

 

「ちくしょう。今月も給料の半分は電気代だぜ」

 

 そんな声が聞こえた。俺もうんざりしていた。

 こんなに電気代がかかるなら、もう暗くてもいいんじゃないか。

 そう思って電灯をつけずにすごした時期もあったが、怖くなってやめた。

 しかも、暑さに耐えられなくて冷房はやめなかったから、あんまり意味が無かった。

 

 灰色の太陽は、尚も光を失い続ける。

 いずれ、夜とも全く区別がつかなくなるだろう。

 その時、俺達の電気代は一体どうなってしまうのだろうか。

 電力会社の人々は、うはうはなんだろうか。

 そんな事を考えると、気分は、太陽よりも落ち込んでいった。

2013-01-02 その18

即興小説トレーニングというサイトで書いた文章にちょっと書き足しました。

15分で書いたので少々雑な部分があります。何しろ15分で書いたので。15分。

未完の大作(お題:天国の小説家)

「ここは……」

 目が覚めると、俺は真っ白な、と言うほどでもない割と普通の部屋で寝ていた。

 よく見ると、そこは俺の部屋だった。

 そうだ。俺は小説を書いていた。そして超眠くなったから、寝てしまったんだ。

  

「そしてそのまま起きる事は無く、800年の時が過ぎた。そういう事だな」

 俺の部屋そっくりに見えるこの空間も、発達した科学技術により作られた立体映像なのだろう。

 ためしに、手元にあった目覚まし時計に手をやる。手触りも、手触りも、そして手触りさえも完全にただの目覚まし時計だ。ここまで精巧な立体映像も、中々無いだろう。800年後の世界の最先端技術を駆使したに違いない。

 

「そして更に、ここは天国。間違いないな?」

 そう、何しろ俺は800年も寝ていたのだ。最初の一ヶ月ほどで死んでいるに決まっている。

 肉体の冷凍保存技術など、俺が生きていた時代にはまだ無かったはずだ。

 

「そうか……。俺、死んだのか」

 書きかけの小説が未完の大作で終わってしまったのが残念でならないが、それもまた運命。俺は涙を飲んで受け入れた。

 目覚めてからここまで約1分。俺は自分の適応能力の高さにうっとりしながら、さっと起き上がった。

 800年寝ていたわりには、身体は簡単に起こす事ができた。既に肉体を失っているのだから、当然とも言える。

  

「さーって。状況もわかったところで、早速死後一作目の小説を書き始めるとするかな」

 手元にあった紙とペンをとり、俺は落書きを始める。ウォーミングアップだ。

  

「うおお! ウォーミングアップだ!」

 そのウォーミングアップは、日が暮れるまで続いた。

 そしてウォーミングアップ疲れで手が痙攣し始めた頃、俺は気づいたのだ。

 俺が実は死んでおらず、800年の時も流れていない、という事に。

 

「なんてこった。俺は、ただよく寝ていただけ……ってことなのか」

 俺は額に手を当てぶるぶると震える。衝撃的な事実に、汗が止まらない。

 リモコンを手に取り、エアコンの設定温度を下げた。

 

 そして布団に入る。もう日も暮れてしまったのだ。

 考えても仕方がない。俺は眠ることにした。

2010-05-09 その17

潰れてしまったレンタルビデオ屋の会員証をいつまでも大事に持つ

「このクソガキ、二度と顔見せんじゃねぇ!」

 たけるは蕎麦屋の大将に、顔を見せるなり怒鳴られた。

「クソッたれが!」

 さらに、手近にあったガラスのコップを投げつけてまできた。ただ暖簾をくぐっただけで、この仕打ちである。たけるはあまりの剣幕に怯み、数秒、その場で固まってしまった。

「ブタ野郎、消えろっつってんのがわからねえのか!」

 大将は厨房から飛び出し、たけるのいる入り口めがけて猛然と突っ込んできた。たけるは、ただ月見蕎麦を啜りたかっただけなのに、と心の中で理不尽を感じつつ、自らの落ち度を考えた。

 なかった。

 たけるは踵を返して店を出た。大将は飛び出した勢いを殺しきれず、転んだ。

 扉を閉めると、むせび泣く声が聞こえた。

 俺は悪くないのに。

 思いつつも罪悪感を感じたたけるは、その日、昼食を抜いた。

腐りきったこの世の中にニンニクの香りがする粉を振りかけろ

 携帯電話を新しく買って一番初めにすることは、いつも自分のちんちん撮影会だった。

 そして今回も、いつもと同じように、いや少し多めに151枚撮った。

 あらゆる角度で、あらゆるポーズで、あらゆる場所で、撮り続け、終わる頃にはちんちんはくたくたになっていた。「流石に疲れたな」俺は独り、全裸で言った。

 それを眺めて、ひとしきり満足するとまとめて消去した。

 また消して。何も残らない。それにどんな意味があるの? ちんちんが訊く。

 答えに窮する。実のところ、意味なんてないのだ。

 ただ、カメラの性能を確認しただけ。ちんちんである意味はない。

 それでも、俺は満足していた。ポケモン言えるかなを歌いながら画像を眺めるのは、ただ単純に楽しかった。151枚に合わせたのは正解だった。

 君は子供のままだな。ちんちんのため息が聞こえる。

 そうだな。俺は笑って返し、ベッドに大の字に寝た。不思議と、死にたくなった。

ポテトチップスぜんまい味

 この世の全てを観測、統計するシステム。

 僕の手のひらの上にあるそれは、質問すれば、何だって答えてくれた。

「今日、焼きそばを食べた人の数は?」

「遅刻した人の数は?」

「餃子は何個作られた?」

「カリフラワーを握りつぶした人は何人いた?」

「豚にエサをやり忘れた人は?」

「ベッドから落ちた人は?」

「ネジは何本締められた?」

「鏡は何枚割れた?」

「何人がうじ虫呼ばわりされた?」

「猫に寿司をあげた人はいた?」

 ひとつひとつの問いに、聞き取りやすいはっきりとした声が返ってくる。豚にエサをやり忘れた人は100人以上いた。

「じゃあさ」

 僕はお米券を取り出し、それを炊飯器に入れてさらに水を注ぎ、蓋を締めてスイッチを押した。

「こうやってお米券炊いた人は、何人いた?」


 4人です。

 

「そっか」

 嘆息し、目を閉じる。そして不意に、意味のない言葉を叫ぶ。

 これも、どこかで誰かがやっているだろう。

2010-05-08 その16

豚を撫でる時の手つき

 4月になって新入社員が2人、現れました。

 その内の一人と仕事で関わりがあったので、少し話しました。えらく畏まったような感じで距離を感じたので、僕が日本橋のストリートフェスタでショッカーの戦闘員を見かけた話をすると、愛想笑いを返してくれました。よかったです。

 もう一人はあごひげを生やしているので怖くて話しかけられません。そんな毎日です。

2009-10-10 その15

近況

 久しぶりになってしまいました。

 最近は実家を出たり一人暮らしを始めたりマンション住まいになったり独立したりで忙しかったです。まあそうでもないんですけど。

 5千円のゴミ箱とか買ったのでお金は減りました。