仮想ゲーム世界で広がる群像劇――『Romantic Sa.Ga』が面白い

【iM@S】Romantic Sa.Ga 第01話【架空戦記】

【iM@S】Romantic Sa.Ga 第01話【架空戦記】
なにやら最近やたらと目につくアイマス架空戦記動画『Romantic Sa.Ga』をどれどれ、とおっとりがたなでのぞきにいったら、予想以上に面白くて一気に最新話まで見ちゃった件について。こりゃいいね。


一気に見た勢いでTwitterで感想呟いてたら、ガタッ! と反応して見に行く人もいたよ!

どんな動画?

以下、説明のために少々深く内容に言及しています。存在知っただけで見てみようと思った方は、ここで回れ右しましょう。
その場合のアドバイスとしては「とにかく3話まで見ろ」かな? この手の長編ノベル系動画の常でもあり、特にオリジナル設定の多いこのシリーズならある程度しょうがないことではあるのですが、最初の1〜2話がかなり説明で潰れてしまっています。ある程度形が整ったら一気におもしろくなるので、せめてそこまで見てから判断すると良いと思います。




さて、実はこれ、タイトルから想像されるような『ロマンシング・サガ』を題材とした一般的なアイマス架空戦記……ではありません。

戦闘シーンはオール手描き*1、会話パートの背景も小道具もだいたい手描き。ロマサガをある程度下敷きにしつつも、どちらかというと『ハンター×ハンター』のグリードアイランドに近い感じのオリジナル設定。

さて、これをなんと呼びましょう。手描き架空戦記とでも呼べばいいのでしょうか? 世にも珍しい形態ですね。
冒頭のTwitter発言でも言及してますが、PSP組・DS組を含めたアイマスオールスターの面々が架空の完全体感ゲーム「Romantic Sa.Ga」にログインし広大なゲーム世界の様々な場所に2人1組で配置される、というところから物語は始まります。

(※要するに最近人気のソードアートオンラインとかアクセル・ワールド的な世界観)
手始めに春香・千早コンビを例にしてゲーム世界のルール・最初に目的として設定された敵役『八英雄』などの情報が徐々に開示されていき、そのうち他のコンビの動向もゲーム内の「新聞」「噂」という形を使いつつ、少しずつ見えてくる。

(※例えば、亜美真美の最初の動向がわかるシーンは「双子の巨人」という異名を付けられて賞金首になっているというもの。)
現在の話の軸となっているパーティーの動向をメインに描写しつつ、他のアイドルたちの動きも少しずつ明らかにされていく。さらにはそこに敵役である八英雄の事情も絡んできて……

(※『八英雄』にはいかにもなゲーム的悪役キャラもいれば、トリックスター的なキャラも、一時的に味方になるキャラすらいる。)
世界のあちこちに散らばったアイマスオールスター×八英雄が、それぞれバラバラの思惑をもってときには合流し、ときには別れ、ときには戦う。そんな群像劇へと発展していく。


どうです? わくわくしてきませんか?
そう、『Romantic Sa.Ga』は「形」が面白いのです。キャラ配置の妙、オリジナル設定の妙、それらが絡むプロットの妙。「そりゃこういう設定でこの流れになれば面白いに決まってるじゃん!」と思わず言いたくなる感じ。
ぶっちゃけた話、ディテールは若干しんどい部分もあります。細かい会話の内容や文章はところどころで読んでてつまるし、微妙に納得のいかない部分もないではない。しかし、それを補って余りある大枠の面白さがあるわけですね。


ニコニコ動画におけるアイマス架空戦記の定義を「ゲームのプレイ動画を下敷きにしたもの」とするならば、この動画はアイマス架空戦記ではありません。

閣下で三国統一を目指してみる1 OP【アイドルマスター】

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しかし、「アイドルが世界各地に飛ばされ、それぞれの動向や向こうの世界のキャラクターとの絡みを楽しむ」という「形」は、元祖の『閣下三国志』から続く架空戦記の正統な後継者である、と見ることもできるのではないでしょうか。

【iM@S】Romantic Sa.Ga 第19話【架空戦記】

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現在の最新は19話。まだまだ追いつけるレベルですぜ! 追っかけるならいまのうち!

高速ハリアー

このシリーズを投稿しているハリアーPというかた、実は「アイドル・ジハード」というシリーズも同時連載しています。こちらはうってかわって現実のアイドル事務所の話。(オリキャラいっぱい出てくるけど)

【ノベマス】アイドル・ジハード【第1話】

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また、既にかなりのシリーズを超高速で投稿して完結させた人物としても有名なよう。

同時連載を抱えている身にも関わらず『Romantic Sa.Ga』は3〜5日に一回程度の頻度で更新され続けているわけです。視聴者から「ハリアーPというのはもはやグループ名なのではないか」などというネタが出てくるのも頷ける話ですね。

最後に個人的な要望を

とかなんとか褒めつつも、微妙に文句もあったり。ちょうどRAPと哀川Pが続けてノベル講座上げててタイムリーでもあるし書いちゃいましょう。
わかりやすい例として使っていますが、ハリアーPに限った話ではありません。ノベル系の人が気にしてくれると僕*2が幸せになれるので、良かったらご考慮いただけるとありがたいなーと。
再生数が72ぐらい増えるかもしれないノベマス講座‐ニコニコ動画(9)【目指せ爆伸び】ハイレベル! ノベマス講座【基礎編】‐ニコニコ動画(9)
どちらかというと応用編の哀川Pより基本編のRAPの講座に近い……というかずばり動画内で言及されている話なんですが、


↑これ。
「……(三点リーダ)」は二つセットで使え! とか細かいこと言わないので、せめて「・(なかぐろ)」と一文で併用するのは勘弁してもらえないかなあ。変換するのめんどくさいなら「・・・」で統一でもたぶんあんまり気にならないと思うんですが、数も統一されず両方併用ってのはすんげえ読みにくい! 気になる!
……いや、気にならない人にとってはくだらないと思える話なのはわかりますよ。わかりますが、これって「文章作法的に正しくない」ことが気になってるわけじゃないんですよ。「普段読んでる他の文章の刷り込みのせいで自動的に引っかかる」ってほうがたぶん近い。正しい正しくないの問題じゃなくて慣れの問題なので、気にしないように意識しても引っかかる。
ええとですねえ……誤解がないように書いておきますが、そうすることでより良くなるなら文章作法やルールなんか無視してかまわないと僕は思っています。面白さよりも形式を重視するなんてばかげてる。基本無視しまくってるけど独自の芸風確立している小説家やシナリオライターなんて、きっといくらでもいるでしょう。
でも、もし特に意図がなく手癖でやってるだけ*3なら、単純にもったいないですよね。本題とぜんぜん関係無いとこで無意味に何割かの読者を弾いてしまっているわけで。


僕はひぐらしあたりも「基本を無視してるから面白い」んではなく「基本を無視してるけど面白い」だと思ってたりするので、意外とこのへんに関しては保守的な感覚なのかもしれません。
別に文章に限った話じゃなく、基本的な作法ってのはだいたいなんでもそういうもんなのかもしれませんけどね。出来ててもたいしたプラスにはならんけど、出来てないと確実にマイナスが発生するという。
まったく、やっかいなことですな。

*1:ザコ敵はオンラインゲームとかからコピーしてるようだけど

*2:と似たような感覚の誰かしら

*3:ではないよ、見ればわかるよ、という指摘がコメント欄でされています。できればそちらも合わせてご覧ください。