AppleInsider: Mac OS X Leopard に向かって: Safari 3.0 [Page 3]
Mac OS X Leopard に向かって: Safari 3.0 [Page 3]
Published: Thursday, October 18, 2007 09:00 AM EST
Microsoft の Mac 用 Internet Explorer が停滞したまま 3 年ほど放っておかれた後、Apple は 2003 年 1 月の Macworld Expo において独自の新ウェブブラウザのパブリックベータのリリースをアナウンスした。 多くの人々が、Apple は Mozilla の Gecko エンジンをベースとしたカスタムブラウザをリリースすると予測していたものの、Apple は替わりに、KDE の Konquerer ブラウザを駆動している KHTML を同社ブラウザの基盤として選択した。
これは実に興味深いものだ。というのも、Apple は 2002 年に、1997 年から Netscape で働いていた Dave Hyatt を 2002 年に雇用していたからだ。 Hyatt は Camino ブラウザを生み出し、Firefox の共同制作者でもあった。この両者とも Gecko をベースにしている。 Apple が 2002 年に Safari の開発作業を始める頃には、Mozilla は自らの新しい Gecko エンジンに数年間の開発努力を費やしていた。 しかし KDE は、2000 年に始まった独自の KHTML ブラウザエンジンに同じだけの時間を投資していた。 KDE のエンジンは、より速く、よりコンパクトで、ウェブ標準をより良くサポートしていた。
Apple は Gecko エンジンを採用するのではなく、KHTML レンダリングエンジンを拡張し、同エンジンの Qt ツールキットへの依存を取り除いて、Cocoa と親和性の高い Objective-C API でエンジンを包むという改変を行った。 これにより Apple は、KHTML の移植性と通有性をできる限り保つことができた。 その結果は、オープンソースの WebCore ライブラリとなった。 パッケージ全体は WebKit と呼ばれ、KDE の kjs が JavaScript エンジンがベースになっているように、Apple の JavaScriptCore と組み合わされていた。 そのフレームワークは、Safari を含め、数多くの Mac アプリケーションで HTML コンテンツを描画するために利用されている。
Safari は、Firefox が Mozilla Gecko エンジンにしているのと同じような方法で、WebKit にユーザーインターフェース機能を追加している。 Mozilla と同じく、Apple も Google とのパートナーシップからいくらかの収益を得ている。 しかし、独自ブラウザを開発する主な理由は、Mac プラットフォームが二流のウェブブラウザとともに取り残されてしまわないようにすることだ。
Safari 1.0 (下図) では、革新的なブックマーク管理方法が導入されており、洗練されたユーザーインターフェースを搭載して、ブラウザ独自のボタンではなく、ウェブコンテンツが映えるようになっている。
Mac OS X 10.4 Tiger と共にリリースされた Safari 2.0 は、Apple のマーケティングでは一般的に Safari RSS と呼ばれており、RSS フィードの解析をサポートしている (下図)。 また、プライベートブラウジングモード、ペアレンタルコントロール、さらにはウェブアーカイブとしてローカルにウェブサイトコンテンツを保存する機能もサポートしている。 Safari はまた、一連の定期的なアップデートリリースを経て、ウェブ標準のサポートや描画スピードという点でも進化した。
Apple は、Leopard の WWDC プライベートリリースとして 6 月に Safari 3.0 (下図) をリリースしたが、Mac OS 10.4 Tiger のユーザに向けてもパブリックベータとしてリリースした。 Apple はまた、同社の Safari ブラウザ採用拡大努力の一環として Windows XP および Windows Vista 対応のバージョンを提供し、ウェブ開発者らが簡単にクロスプラットフォームでの互換性テストを行えるようにした。
Safari の新バージョンでは、改良されたウェブページ内検索や、ページ内のテキスト入力欄のサイズ変更、タブのドラッグ・アンド・ドロップ、そしてタブグループを一つのブックマークとして保存する機能を備えていた。 Apple は、ページ描画においては Internet Explorer 7 の 2 倍、JavaScript パフォーマンスにおいては IE7 の 2.8 倍も高速であるとして、その大幅なスピードアップを大々的に宣伝した。
Leopard 上で動作する Safari は従来のブラッシュメタルフレームを廃し、他の Leopard アプリケーションと共通の標準的な外見を採用している。 Windows 用 Safari はすでに存在したものの、そのクローズボックスはおかしなことに Windows タイトルバーでは通常とは逆の位置におかれている。
Leopard の Safari には Web Clip と呼ばれる新しい機能が備わっている。 ツールバーにあるはさみのアイコンをクリックすると、Web Clip でウェブページの一部を Dashboard で利用できるウェブクリップウィジェットとして選択できるようになる。 この選択用矢印は、そのページの特定の領域を囲うボックスになる。ちょうど iPhone の Safari が、ダブルタップするとズームする表示領域を特定するのと同じ手法だ。 さらに、ウェブページの任意のセクションを切り取ってボックスを作成することもできる。
ある領域が選択されると、その部分が Dashboard のライブウィジェットとなり、Safari ウィンドウでページ全体を読み込んだ時と全く同じ動作をする。 こうして作成したクリップは、カスタムのフレームデザインを割り当てることができ、Dashboard に好きな数のクリップを読み込むことができる。
この新しい Safari は、毎日、毎週、隔週、毎月、毎年、あるいは手動でといったように、設定されたスケジュールに従って閲覧履歴を削除することができる。 他の Leopard にフィットしたアプリケーションと同じく、Safari はダウンロードファイルを新しい Downloads ユーザフォルダへと保存し、それらファイルにはダウンロードされた日付および時間がタグ付けされる。 そうしたファイルを開くと、Finder はそのファイルがインターネットからダウンロードされたものであることをその日付とともに警告し、悪意あるプログラムである疑いがあるとの通知を表示する。
Leopard はまた、ブックマークされたウェブページや履歴項目のフルテキストコンテンツ検索のためのインデックス作成をする。このため、過去に閲覧したページの情報を求めて履歴やブックマークを検索する際でも、ウェブサイトやそのページタイトル、URL などを思い出す必要がなくなる。つまり、単に探している単語を検索すれさえすれば良いのだ。
Mac OS X Leopard 全体を実際に目にするまではあと 8 日待たなければならないが、Safari 3 は今でも無料で Mac OS X Tiger および Windows の双方でダウンロード可能だ。
AppleInsider で連載中の「Leopard に向かって」シリーズのこれまでの回もチェックしてほしい: iCal 3.0、iChat 4.0、Mail 3.0、Time Machine; Spaces、Dock 1.6、Finder 10.5、Dictionary 2.0、そして Preview 4.0。