AppleInsider: Oppenheimer: Bing との契約は Apple に利益よりもリスクをもたらす可能性

原文: Oppenheimer: Bing deal could bring Apple more risk than reward

By Neil Hughes
Published: Wednesday, January 20, 2010 10:10 AM EST
AppleMicrosoft との間の交渉によって Bing 検索を iPhone にもってくることで、これまで「Get a Mac」の広告で Windows プラットフォームをけなしてきた Apple にとって、ひじょうに大きなリスクを背負うことになるかもしない、とする新しい分析がでてきた。
Oppenheimer の分析チームは、投資家らに宛てた水曜日の調査報告書のなかで、そうした見解を披露している。 同分析チームは、Safari ブラウザーをはじめ、iPhone でもトップの検索プロバイダーである Google を変更することについてライバル二社が現在交渉中であるという 先の報道 を受けて、AppleMicrosoft との間で Bing 検索をめぐる合意が交わされた場合の影響を分析している。
アナリストの Yair Reiner は、「あからさまな闘争」はいまのところ勃発してはいないものの、AppleGoogle の間には闘いの火ぶたが切って落とされた、という。 彼が言うには、Apple が「汎用サービスの世界における特別なボックス(special box in a world of generic services)」であろうとするのに対し、Google は「汎用ボックスの世界における特別なサービス(special service in a world of generic boxes)」であろうとしていることから、両社は対立関係になった、という。 そういうわけで、Microsoft 内の Apple の敵が Bing でのパートナーシップで友人となる可能性がでてきたのだ。
「(Microsoft に)良い顔を見せることで、利益よりもリスクをもたらすことになるかもしれない。というのも、それは少なくとも Mac vs. PC キャンペーンや、それと結びついた Apple のブランドアイデンティティーと衝突することになるからだ」と Reiner は書いている。
Google にとって、こうした取引は長期的に不利になるものの、テクノロジー業界のウォッチャーにとっては驚きではないだろう。 アナリストの Jason Helfstein は、ユーザーはそれでもデバイスの標準設定を変更することができるし、Google Apps ソフトウェアをダウンロードすることもできる、としている。
AppleiPhone のおかげで、合衆国において iPhone を独占供給している AT&T にとって、この交渉はワイヤレスプロバイダーが顧客ベースに持っていたコントロールの喪失を意味している、とアナリストの Tim Horan は言う。 AT&T の地盤は沈みつつある。というのも、同社は App Store にあるソフトウェアに関連する収益をいっさい受け取っていないし、そうしたアプリケーションを多数のユーザーが利用することで、貧弱なネットワーク品質につながってしまっているからだ。
「これによって、サービスプロバイダーが代替ハンドセットサプライヤーと独自のアプリケーション市場をプロモーションする動きに拍車がかかることになるだろう、と考えている」と Horan。 「サービスプロバイダーは、GoogleNokia、RIM などとより緊密に連携して、iPhone に匹敵するようなデバイスを生み出そうとするだろうが、それには時間がかかることになるだろう。」
Oppenheimer で Microsoft を担当するアナリスト Brad Reback は、Microsoft は Bing ブランドを成長させ、その市場シェアをなんとしてでも増やしたいと望んでいることから、同社は喜んでお値打ちな価格で Apple と契約を結ぶだろう、としている。 彼が指摘するところによると、Microsoft はすでに iPhone 用の Bing アプリケーション をリリースしているという。
「(Microsoft は)こうした契約による今後の収益性を考慮して、過剰なまでの値引きはしないだろう」と Reback は言う。 「思い出してほしいのだが、MSFT は最近、5 年間にわたって 5 億ドルとも推定される(Verizon の)標準検索エンジンの座を(Google から)獲得している。」
Apple が Bing のために契約を交わす可能性についての憶測は、AppleGoogle との間に緊張が生まれたことを背景に、過去にも取りざたされたことがあるApple が自社デバイスから Google の存在を消し去ろうとしているのではないか、と推測する向きもある。
AppleGoogle Voice アプリケーションを App Store認可しなかった ことによって、両社の相違が明らかになる一方、それが変化の兆しになるのかもしれない。 Apple は昨年、iPhone 用の Maps アプリケーションを改良するために 従業員を募集していた ことが明らかになっている。 現在の地図ソフトウェアは、Google によって提供されている。
Google Maps のライバルである Placebase を Apple が昨夏 買収した ことも併せると、Apple によって作製された 新しい Maps アプリケーション[和訳] をめぐる現在の噂は、今後の iPhone オペレーティングシステムのアップデートで現実のものとなるかもしれない。