シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

崖っぷちの男

 サム・ワーシントン主演の表題映画を観てきた。彼はSF大作に腹一杯だったのだろう。ブルーバックの非現実的な演技より、緊張感の強い役に飢えていたと思われる。でなくては高所恐怖症の人が命綱を付けて撮影に望むとは思えない。
 本作のレビューを見ると、概ね似たような賞賛と突っ込みが多いようだ。映画を観る前に予備情報は持たない方がいいのは当然だが、間違った構えで望むと作品にとって悲惨な意見が多くなってしまう典型だ。
 多くの人がまともなサスペンス、緊迫感、社会性、アクションを期待していたと思う。しかしこれはそんな映画ではない。
 まず、上映時間が100分やそこらで人間関係を掘り下げるのは無理、ゆえにスピード重視のB級作品になる。主人公は崖っぷちに居ながらも、何故か悲壮感や緊張感が感じられない。説得する交渉人は前任務失敗後の最悪テンションなのに、まったく元気に単独行動。それを見守るM男っぽい上司。裏では主人公の弟と恋人の愉快なデコボコ窃盗団が活躍。クライマックスのあまりにご都合主義な展開。そしてラストの意外なハッピーエンド・・これらすべてがもっと気楽に楽しく見てくれと訴えているようだ。脇を固める俳優がエド・ハリスウィリアム・サドラーとコワモテ顔なので、余計勘違いしてしまう。かく言うオイラも本作デビューのジェネシス・ロドリゲスが、セクシーにエントラップメントをパロってくれたのでやっと気がついた次第。つまり、本作はルパン3世あたりを観るような気構えで鑑賞する作品なのだ。サムの抑えた演技も客を煙にまいていて実にイジワルである。
 観終わって、「はっは!ヤラレタなあ。にしても、新人のロドリゲスはいいケツしてたよな〜」ぐらいの感想で本作の狙い通りではないかと思う。

 この予告編の雰囲気に騙されてしまう。しかしそれが狙いとは思えず損をしている。もっとポップで、明るいCMが相応しい。