シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

メッセージ

 今をときめくドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による、ファーストコンタクト系SF作品。
ばかうけ」とそっくりの宇宙船に配給サイドも自らディスってのマーケティング、その行為がまったく大滑りの重い作品だ。
 ハードSFかと言えばそうなのだが、サイエンスチックに染めないで、ヒューマンドラマとしてまとめ上げている。驚くほど映画各賞にノミネートして、通人の評価はまさにバカウケ。大衆の評判もそれに追随、この手の作品を貶すには勇気が必要で、褒めとけば問題ないという風潮が伺える。天邪鬼のオイラは堂々と「実につまらん!」と吠えておこう。
 何故か。これまでにない展開は認める。子供のフラッシュバックも主人公の過去と思わせて、実は未来の記憶という予想もしないアイディアはいい。言語コンタクトのくだりはやや悠長すぎるがリアリティがある。徐々に世界が恐怖から不穏な動きを見せ、大戦争に近づく緊迫感も悪くない。全てが静かに進行するのは監督の持ち味だし、アクションが必須でもない。そして、ついに語られる異生命体(異星人というより、4次元人だろう)の目的と、主人公の戦争回避に向けた行動・・事実をしった主人公の将来に向けた覚悟で幕を閉じる・・最初に広げた大風呂敷に何を包むというのだ?
 主人公の内面的な葛藤と決意で締めるのなら、これぼど大掛かりなSFの世界観を視聴者に想起させてはいけない。実にスケールが小さく収束することになってB級映画だったのか?と勘繰ることになる。無限に広がるスケールと人間ドラマを両立した、「インターステラー」の足元にも及ばないと言っておく。
 世界が未来を知るという武器(技術)を得て、その恐ろしい結果については一切語らず(そこをハードに語った名作もあったが)オナゴが好きそうなまとめ方であって、彼女に嫌われたくなかったら「良かったね〜」と同調しておくことだ。アイディアは良いので、無名俳優を使って超低予算で作ったところ、ツタヤの掘り出し物になるくらいが相応しい作品。
 言いたいことはまだまだ一杯あるが、めんどくさいので止める。とりあえず、神に近い4次元人が巨大なイカだったとは、そこはオイラもバカウケだ。