シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

サバイバルファミリー

 昨年公開した矢口史靖監督最新作。
 TVでのマーケティングもかなり力が入っていた。さすがに同監督の作品はこぼしが無い。今回のテーマも観る前から大概の予想がつく。笑いのポイントから感動の流れまで、まったく想像通りに展開する。それでも面白く観れてしまうのが矢口史靖の演出だ。
 やはり俳優の魅力が際立っている。今回は4人家族がメインキャストで、主役の小日向文世深津絵里の夫婦は、これ以上ないほどベストなチョイス。「ステキな金縛り」のときの絶妙なセンスがここでも発揮している。注目するのは息子と娘で、泉澤祐希葵わかなの朝ドラコンビは、今見るから面白い。特に、今どきの娘役は「わろてんか」の北村てんのギャップが大きくて実に楽しい。
 本作は、この世から突然電気が無くなってしまうという設定で、これが外国では真面目なパニック映画として作られているのに対し、矢口流の風情で笑いと感動のロードムービーに仕立て上げている。日本映画が世界と勝負できるポイントだ。ただ、今回は若干笑いの要素を控えめにしている気がする。
 復旧しない停電という設定なら、慣れないサバイバルに四苦八苦しながらたくましく成長する話でいい。都会人と田舎をテーマにした「WOOD JOB!」がいい例だ。しかし今回は停電どころか、乾電池すら使えないというあり得ない設定なので、それがベースならもっとふざけた笑いに振ってもいいんじゃないかと思う。