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中西理の下北沢通信(旧・大阪日記) このページをアンテナに追加 RSSフィード

1000-07-01 1月のお薦め芝居(2007年) このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

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<TITLE>1月のお薦め芝居</TITLE>

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1月のお薦め芝居

by中西理


 




 あけましておめでとうございます。今年もよろしく、と書きながらも大幅に出遅れている1月のお薦め芝居である。まずは私個人の2006年演劇ベストアクトを掲載する。さて、皆さんの今年のベストアクトはどうだっただろうか。コメントなどを書いてもらえると嬉しいのだけれど。詳しい内容について知りたい人は注のところをクリックするとこのブログに掲載した関連レビューのページに行くことができるので、そちらの方も参照してほしい。

2006年演劇ベストアクト

1,維新派「ナツノトビラ」(梅田芸術劇場*1 *2

2,五反田団「ふたりいる景色*3「さようなら僕の小さな名声」(こまばアゴラ劇場

3,ポかリン記憶舎「煙の行方」(須佐命舎)*4

4,ポツドール「夢の城」(シアターTOPS)*5

5,むっちりみえっぱり「明日からは粉がある」*6「表へどうぞ」*7アトリエヘリコプター)

6,シベリア少女鉄道残酷な神が支配する」(吉祥寺シアター・精華小劇場*8

7,マレビトの会「アウトダフェ」(アイホール*9

8,いるかHotel「月と牛の耳」(HEP HALL)*10

9,デス電所「夕景殺伐メロウ」(精華小劇場*11

10,ロマンチカ「PORN」(スフィアメックス)

 維新派については以前この集団は私にとっては特別な存在なので、ベストアクトに選ぶ時は相対比較ではなく、過去のこの集団の作品群との比較において選ぶかどうかを決め、選ぶ場合は別格の意味で必ず1位である、と書いたことがある。その意味で「ナツノトビラ」維新派舞台のなかでベストではないが、この集団の最近のスタイルの変容をビビッドに反映し、総合芸術として舞台美術、照明効果、音楽、身体表現など舞台のあらゆる要素においてレベルの高い水準を示した公演として1位に選ぶことにした。

 このため、維新派は別格として2004年の岡田俊規(チェルフィッチュ)、2005年の三浦大輔ポツドール)がそうであったように通常の意味で2006年を代表する存在を選ぶとすると、五反田団前田司郎ということになり。ともにベストアクトに値する「ふたりいる景色」「さようなら僕の小さな名声」の2作品によって、平田オリザの現代口語演劇呪縛を逃れ、「妄想劇」という自らの方向性を明確に提示した。「妄想劇」ないし「幻想劇」の物語構造はいわゆる「セカイ系」的な表現との類縁性を示し2000年以降の若手作家の間でひとつの流れを形成しているかに思われるが、こうした作家を代表する存在が前田であることがこの2作品で明らかに示された。

 演劇としてのスタイル自体は前田とはまったく対照的だが、関西を本拠とするデス電所の竹内祐もやはり「妄想劇」という劇構造で現代の病症を鋭く描き出すという意味では前田と共通の問題群を扱っている。デス電所の場合、これまでは表現のスタイルやモチーフにおいて、少年王者舘クロムモリブデンなどの竹内が信奉する先行劇団との類縁性があまりに強く感じられ、オリジナリティーにおいて若干評価しかねる部分があったのだが、今年の新作「夕景殺伐メロウ」音楽劇としての自分たちのスタイルの独自性を強固なものとして、「オタク演劇」としての独自の立ち位置も一層露わなものとなり、先行劇団との違いを明確にしたことで2007年以降の活躍ぶりを予感させた。

 「幻想劇」の系譜ではこうした若手劇団に先行してすでに90年代後半から日本の伝統演劇である能楽を連想させるような劇構造で「異界との邂逅」を描き続けてきた明神慈(ポかリン記憶舎)の存在も忘れることができない。和装を前提とした独自の身体論の追求においても明神の作劇はもっと注目されてもいいはずだが、それに加えて東京劇団のよる共同地方公演を標榜したTOKYOSCAPEの一環として京都で上演された「煙の行方」はこれもやはり日本文化の伝統を受け継ぐ「見立て」の概念を援用して和装関連企業の展示空間劇場ではない須佐命舎という場所の持つ「場の力」を存分に活用した「場の演劇」でもあり、そこで時間を共有するということはきわめて刺激的な経験であった。

 土屋亮一(シベリア少女鉄道)、三浦大輔ポツドール)は今年もコンスタントな活躍。シベ少は関西初登場で精華小劇場に神が降臨した残酷な神が支配する(笑い)、ポツドールは新作「恋の渦」を見逃したのが痛恨だったが、岸田戯曲賞受賞後第一作というのに台詞らしい台詞がいっさいない「夢の城」を上演した三浦の確信犯ぶりに脱帽である。

  




 1月のイチオシ公演はまず昨年のベストアクトにも選んだポかリン記憶舎明神慈による新作「humming」★★★★。なんといっても注目はクロムモリブデンの奥田ワレタが出演すること。若手公演と銘打たれているが、奥田が出演するんじゃそんなレベルのものじゃないだろう。元劇団衛星、最近ではデス電所への客演などでも知られる奥田は関西劇場を代表する女優のひとりだったといっていいが、クロムモリブデンへの入団とそれに伴う東京移住で、今後ますますその活躍の場を広げそう。女優に対する慧眼ぶりとその新しい魅力を引き出すことには定評のある明神だけに彼女がここでどんな演技を見せてくれるか非常に楽しみなのである。




 関西での最大の注目はベトナムからの笑い声「ストロングボーズ」 ★★★★京都・スペースイサン)である。猫ニャーなき後、笑いだけに特化した刺激的な劇団が見当たらないなかで、京都に本拠を置くベトナムからの笑い声は間違いなく、そのトップランナーであると思う。メンバーがほぼ全員社会人で、100人程度の小さな小屋で週末だけした公演しないので知名度こそ関西でさえ高いとはいえないが、パロディブラックシュールベタと「笑いのデパート」といっていいぐらいに多彩な笑いを繰り出す黒川猛のセンスは抜群。今回は、中編+短編2本の三本立て。

「本当に存在した!! 実録!! 政府公認秘密機関ゴレンヂャー〜見えざる敵との12年」

素性を隠して悪と闘う五人の男女。人知れず活動を続ける彼らの苦悩を描く。倒すべき悪とは何か。憎むべき敵とは何か。守るべき国家とは何か。これまでの「笑い」のスタイルを一つの作品に融合する試み。いわばこれまでの実験の集大成。それは来るべき長編作品への実験…か?

「プラスワンジョーカー

官能小説を書き続ける男」(第17回公演)、「アクタガワリュウノスケ」(第20回公演)に続く“作家・黒川”の短編一人芝居シリーズ。ある緊迫した状況を書き綴る作家。事態はクライマックス、奇跡は起こるかというその瞬間現れるジョーカー。果たしてその結末は?

ドーピング

ある家族の物語。余命わずかな父親を前に、遅すぎた家族の絆…。脚本家・黒川以外によるシリアスな短い台本を普通(?)に演じた後、台詞を一言一句変えずに笑いに転換する。笑う要素などなかったはずの脚本を、いかに「笑う」か。実験もここまで来ると無謀?

 聞くところによると8月に予定している公演ではひさびさの長編作品となる予定らしいので期待は大なのだが、その前にこの公演は必見である。




 関西では元そとばこまち座長の小原延之の新作小原延之+AIHALL共同製作「nine」★★★★(シアタートラム)にも注目したい。昨年末、劇団太陽族の岩崎正裕との共同作業により好舞台『ルカ追送〜中島らも「ロカ」より〜』を上演した伊丹アイホール劇場プロデュースシリーズの第2弾。劇団そとばこまち時代の最後の作品となった「丈夫な教室」では池田市で起こった小学校乱入無差別殺傷事件、高校生を対象としたアイホールのプロデュース公演「橋の上のエチュード」では尼崎JR脱線事故と地元で起こった事件をモチーフとした秀作をものしてきた小原延之が今回の新作ではどんな舞台を上演するのか。期待大なのである。




 ダンス公演でも東西注目の舞台が目白押し。なかでも大阪コンテンポラリーダンスの拠点であるアートシアターdBの「DANCE BOX SELCTION16」 ★★★★はきたまり(KIKIKIKIKIKI)、南弓子、佐藤健太郎(アローダンスコミュニケーション)、山田知美(from松山)と旬な若手ダンサー・振付家が顔をそろえ、関西(+松山)のネクストジェネレーションが概観できる。




 音楽家とダンサー・振付家とのコラボレーション企画「DANCE×MUSIC!」 ★★★★京都芸術センター)は第2弾となる今回はほうほう堂(振付・ダンス)xにかスープ&さやソース作曲・演奏[ヴォイスギター他])と森下真樹(振付・ダンス)xTHIS=MISA×SAIKOU(作曲・演奏[ピアノバイオリン])の2組。いずれもこれまでにない新しいものが出てきそうで注目したい。




 松山に本拠を置くコンテンポラリーダンスカンパニーの初の東京での単独公演Yummy Dance「もももってきてちょうだい」★★★★こまばアゴラ劇場)もトヨタコレオグラフィーアワードなどこれまでさまざまなダンスコンペティションでファイナリストとなってきたこのカンパニーの全貌がはじめて明かされる公演として注目したいのである。




 神戸に本拠を置く実力派カンパニーによる新作アンサンブル・ゾネ「Light,Wind,Ash and Mountain -光と風と灰と山-」★★★★神戸アートビレッジセンター)にも注目したい。振付家、岡登志子の美学がまず目についたカンパニーではあるが、最近はそれに加えて看板ダンサーに成長した伊藤愛や客演ながらこのところ常連としてこのカンパニーの公演に参加している垣尾優らダンサー個々の個性、存在感が以前よりいっそう際立ち、まさに充実の時を迎えようとしている。




 関西ダンスでは舞踏の伝統を踏まえながらも女性ならではの独自な表現に取り組み続けている花嵐の花嵐「人間食べずに生きられるほど自由じゃない」★★★京都西陣ガーデン)にも期待したい。





 演劇雑誌「悲劇喜劇」8月号の特集で三浦大輔ポツドール)と岡田利規チェルフィッチュ)についての小論を執筆。エジンバラ演劇祭のリポートは週刊ウェブマガジンマガジンワンダーランド」(http://www.wonderlands.jp/info/subscription.html)にも寄稿。これから何回かにわたって連載する(第一回目の原稿は掲載済みだが、関連のホームページでも読むことが可能)ので興味のある人はそちらにも登録して読んでみてほしい。

 演劇ダンスについて書いてほしいという媒体(雑誌ネットマガジンなど)があればぜひ引き受けたいと思っています(特にダンスについては媒体が少ないので機会があればぜひと思っています)。

 私あてに依頼メール(BXL02200@nifty.ne.jp)お願いします。サイトに書いたレビューなどを情報宣伝につかいたいという劇団カンパニーがあればそれも大歓迎ですから、メール下さい。パンフの文章の依頼などもスケジュールが合えば引き受けています。いるかhotel「月と牛の耳」、「踊りに行くぜ!! 総合チラシ」、Monochrome Circus12月本公演などでレビューの転載や宣伝文引き受けています。劇場でチラシ見つけたら読んでみてください。

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中西

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