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中西理の下北沢通信(旧・大阪日記) このページをアンテナに追加 RSSフィード

2004-01-31 2003年下期関西演劇ベストアクト

[] クロムモリブデンなかよしshow」@伊丹アイホール

 クロムモリブデンなかよしshow」伊丹アイホール)を観劇。

 三谷幸喜の「笑の大学」と映画ボウリング・フォー・コロンバイン」を素材に青木秀樹がクロム味という悪意の香辛料を振りかけて、調理をするとこんな珍味になる。クロムモリブデン関西でいまもっとも充実している劇団ではないだろうか。

 前作「直接KISS」については「美人揃いの女優陣が魅力的なのだが、それでも青木秀樹が織り成すヘンテコな世界を支えるのは森下亮と板倉チヒロに代表される壊れたおもちゃのような役者たちである。もともとカルトな魅力に溢れた劇団ではあったが、最近ダンスのような身体表現の多用など音楽劇としてのエンターテインメント性も兼ね備え、次回作が一番楽しみな集団なのである」と書いて2004年ベストアクトに選んだのだが、この新作はそうしたカルトな魅力に加えて、「メタシアター」「社会派演劇」「笑いの演劇」といった様々なスタイル演劇を作品の中に取り込み、それで思い切り遊んでみせるという超絶アクロバットを展開。

 なんといっても最大の魅力は「演劇に対する悪意」と「演劇に対する愛」が微妙バランスでごたまぜになっていることで、劇中に登場する「劇団なかよし」からして、そのあまりな人を食ったようなネーミングがある種の演劇馬鹿にしてるとしか思えないのだが、単純に批評的な笑いなどといってすませられないのはついにその悪意はクロムモリブデンという劇団そのものにさえ牙をむき、なにがなにだかもはや自らよって立つ地盤さえ、確かなものではなくなってくることだ。

 こうした、悪意の無限連鎖は一時期の猫ニャーなどにも見られたものではあるが、ブルースカイ青木資質の違いかクロムの場合はそれがクールさではなく、どうしようもない「無駄な熱さ」で体現されていることで、登場する俳優無駄テンションの高さと馬鹿さ加減からも、東京スタイリッシュとは一線を画す野放図な魅力があるのだ。

 アイホール公演も後、1日、2月には東京公演も予定されているが、未見の人には必見の劇団・公演である。


 「キタで芝居を見るhttp://homepage2.nifty.com/kitasiba/」のサイトから依頼を受けて、2003年下期の関西演劇ベストアクトを選んでみた。

2003年下期の関西演劇ベストアクト

 作品

1、TAKE IT EASY!「SHAKESPEARE神戸アートヴィレッジセンター

2、スクエア「打つ手なし」大阪芸術創造館)

3、ロヲ=タァル=ヴォガ「isotope」京都アートコンプレックス1928)

4、京都ビエンナーレ宇宙の旅、セミが鳴いて」京都芸術センター

5、ニュートラル「ふしぎのとも」大阪芸術創造館)

 役者

1、西田シャトナースクエア「打つ手なし」の演技など)

2、北村守スクエア「打つ手なし」の演技)

3、松村里美TAKE IT EASY!「SHAKESPEARE」の演技)

 

 TAKE IT EASY!は今私が個人的にもっとも楽しみにしている若手劇団である。作演出、役者がすべて女性という「女の子劇団だが、サービス精神満載でエンターテインメントに徹しながら、作家中井梨子は劇世界のなかにしっかりと骨太で壮大なドラマとしての骨格も作り込むことができる腕を持っている。劇団☆新感線舞台少年漫画が立体化して立ち上がったようなと例えるとすればTAKE IT EASY!の世界はまさに立体少女漫画といっていいかもしれない。

 「SHAKESPEARE」は18世紀英国で実際にあったシェイクスピア贋作事件がモデルウィリアム・H・アイアランドはシェイクスピアの遺稿と称する写本を多数捏造し、最後にはこの大戯曲家の忘れられた作品「ヴォーティガーンとロウェナ」を書き上げた。この美味しそうな題材に目を付けた着眼点がいい。さらに史上有名な偽書作家中世の牧師が書いた詩集というふれこみで刊行した捏造書は、偽書ではあったが詩才に富み、今日ではゴシック・リバイバルの先駆けとされる詩人T・チャタトンを劇中に登場させ、実際には遭い見まえることがなかった(チャタトン1752〜70、アイアランド1777〜1835)この2人を劇中で対決させるというアイデアが利いている。これが演劇的虚構というものだが、この劇中での対決がオリジナルコピーの違い、神に愛でられる才能とはなにかといった芸術上の永遠の主題を観客それぞれに考えさせる糸口となっていく。

 そうはいっても物語はあくまでもエンターテインメント舞台は偽作事件の顛末から、後半に至って、劇中劇に「ロミオとジュリエット」「ハムレット」といったシェイクスピア原典縦横無尽引用しながら、あたかもひとつの絵巻物を見せられるかのようにスペクタクルに展開していく。途中ミュージカルシーンのような場面を盛り込むような遊び心もあって、結構長い時間舞台だが飽きることなく最後まで見ることができた。

 TAKE IT EASY!の舞台では萩尾望都の「ポーの一族」「トーマの心臓」に登場する少年たちのように女優が演じる少年キャラクターが魅力的。キャラ重視のあり方はアニメ漫画だけでなく、奈良美智村上隆といった現代美術作家にも見られアート世界でも日本文化専売特許として語られる時代だが、このように意識的に徹底した例は演劇では珍しい。作品から自立してキャラ自体が独り歩きするような「キャラ萌え」の枠組みを演劇に取り入れたのがの新しいところなのだ。

 この舞台でも美少年キャラウィリアムを演じた松村里美の存在がきわめて魅力的で、強い印象を残した。

 スクエアの「打つ手なし」は西田シャトナーが客演。この集団はこれまで女優を客演に迎えるのが恒例なのに今回西田が客演でいったいどんな風になるかと期待半分、危ぐ半分で見にいったがこれが予想以上の好演というかうまく西田キャラを利用した作りになっていて面白かった。

 適材適所のキャスティングの妙はここならのものだ。これまでスクエアは場面固定の一場劇が多かったのだが、前回の劇中劇に引き続き、今回は漫才コンビが出演しているラジオ番組とその後に起こったらしい事件でそのコンビの片割れ(西田シャトナー)が取り調べを受けている警察の一室の場面が交互に進行していく。

 事件があったのはラジオ番組のあった日の深夜3時なので、この部分は空白なのだが、舞台の進行に従い、刑事たちの訊問とラジオ番組の進行の両方で事件の顛末、このコンビの実情がしだいに明らかになっていく戯曲の構成が緻密で面白い。

 最初は単に気の弱い刑事にすぎないように思われた北村守演じる刑事の正体が徐々に明らかになっていくくだりなどは抜群のオカシサなのだが、これは北村のキャラだけでなく、計算された情報の出し入れがその効果を一層高めていた。

 ロヲ=タァル=ヴォガは元維新派草壁カゲロヲ近藤和見による演劇パフォーマンス集団。関西では珍しい身体表現としての演劇表現に取り組んでいる集団でもあり、様々な課題はあることは承知でここに選ぶことにした。

 よくも悪くもそのスタイル維新派の強い影響化にあることは否定できないが、最近維新派がどうしても女性パフォーマー中心の印象が強いのに対して、ここの舞台には粗野ながら草壁カゲロヲに代表される男性パフォーマーの「バンカラの風味」が発揮されているところが面白かった。

 実はここでの評価の対象とした公演は1月4日の上演であるため、正確に言えば2004年に入るのだが、この舞台については2003年秋口から関西の各地の会場での連続上演を通じて練り上げてきたものであるので、あえて2003年下期の対象とした。

 京都ビエンナーレ宇宙の旅、セミが鳴いて」、ニュートラル「ふしぎのとも」もいずれもきめ細かな演出によって作られた秀作舞台であった。




 

 

いわももいわもも 2004/02/01 22:11 はじめまして。キタしばのベストアクトに投票させて頂いております、いわももと言います。中西さんが選ばれた5作品はワタシが見れなかった作品ばかりで、読めば読むほどなぜ見なかったのだろうかと後悔が募ります。特に、1位のTAKE IT EASY!は前作「御法度」がよかっただけに見逃した事が残念でなりません。

中西中西 2004/02/01 22:27 いわものさんはじめまして。コメントありがとうございます。私も自分の見逃した公演の評判などがネット上などで妙によかったりすると口惜しくて、夜ひとりで枕をかみ締めたりしていることがありますのでその気持ちはよく分かります(笑い)。だからといって実際見たらどうだったか分からないもんねと自分で自分をなぐさめていますが。私も見逃した公演では後悔多いです。さっそく、新感線の公演見逃してしまったし‥‥

中西中西 2004/02/01 22:29 打ち間違いすいません。いわもの(誤)→いわもも(正)です。

otooto 2004/02/03 23:06 ご無沙汰です。原稿ありがとうございました。おかげさまでベストアクトアップできました。多謝。

2004-01-30 サラ・ウォーターズ「半身」

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tea_cuptea_cup 2004/01/30 23:51 ISBN: 表記で、ISBNを書いていただけると、簡単注文ができて幸せです。ご検討を。

中西理中西理 2004/01/31 14:12 書き込みありがとうございます。ネットで図書を注文する習慣がないので適当につけていましたが、これからはできるだけつけることにします。

2004-01-29 DANCE BOX SELECTION 11(2日目)

simokitazawa2004-01-29

[] 横山秀夫「看守眼」

 横山秀夫「看守眼」ISBN:4104654019 読了

 「看守眼」、「自伝」、「口癖」、「第五時の侵入者」、「静かな家」、「秘書課の男」の六編。横山にこれまでよくあるような同じ主人公ないし、組織を描いた連作短編集というわけではなく、普通の短編を集めたオーソドックス短編集であるが、探偵役といえる人物に看守、フリーライター、家事調停委員、新聞の整理部記者、知事公室秘書課員とちょっと毛色の変わった立場の人物を持ってきて、ひとひねりしているのが、この人らしいところだろう。

[] 松山賢「神話アイドル Idols in mythology」

 松山賢「神話アイドル Idols in mythology」ギャラリー・ツインスペース)http://www.geocities.jp/mt_pineart/sinwa.htmlを見る。

[]小谷元彦展「Modification」

 小谷元彦展「Modification」(KPOキリンプラザ大阪)を見る。

 時間がなくあまりゆっくりとは見られなかった。それゆえ、漠然とした印象にならざるをえないのだが、この人の場合はそれぞれの作品についてはモノとしての迫力もあり面白くはあるのだけれど、全体を通して見た場合「これが小谷元彦」というイメージが浮かんでこない。そこがどうも気にかかるところである。ゆっくり見たいので、もう一度行こうと思っている。

Phantom-Limb (1997年)

実物大の少女像が並ぶ、5点組みの写真作品。少女は両手にラズベリーを握り締め、手のひらを真っ赤に染めており、それがキリストの聖痕をイメージさせる。なお、「Phantom-Limb」は、「幻肢」という意味。失ったはずの腕や脚がまだ存在するかのように、痛みやかゆみを感ずる現象をいう。

Berenice (2003年)

巨大な白い球状の作品。コアの部分を抜いて、打ち捨てられた核爆弾イメージして作られた。不気味な威圧感を醸し出す。ヴェネツィアビエンナーレ出品。

Skeleton (2003年)

全長4メートルある巨大なつらら状の彫刻。タイトルのとおり、肉体が変容し、“骨”になっていく過程の一瞬の姿をイメージした作品。ヴェネツィアビエンナーレ出品。

Rompers (2003年)

映像作品。グロテスクで不気味だが、どこかユーモアを感じさせる、近未来的な印象のミューテーションされた「幼児番組」。ヴェネツィアビエンナーレ出品。

新作1

バンビ剥製を使った作品。制作中。

新作2

人体、もしくはキノコイメージした作品。制作中。

Rompers (2003年) photographic works

Rompersの写真シリーズ(3点)。

9th Room (2001年)

鏡を張った立方体の部屋の内側に、イメージ映像投影した、体験型映像インスタレーションダンテの『神曲』に登場する地獄の最下層にある9番目の部屋、また京都の養源院の血天井からインスピレーションを得て作られた。

プロフィール

小谷 元彦(おだに もとひこ)

1972年京都府生まれ。97年東京芸術大学大学院美術研究科修了。同年、東京・Pハウスにて初個展ファントム・リム」を開催。白鳥剥製や鮫の歯など、アートの領域には収まりきらない素材を使った作品で脚光を浴びる。99年イタリアのサンドレッド財団でフューチャープラン賞を受賞。2000年リヨンビエンナーレ、01年イスタンブールビエンナーレなど国際展に次々と出展。03年ヴェネツィアビエンナーレ日本代表アーティストとして参加。身体の“変異”や“変容”をテーマ近未来世界を展開。世界中アーティストが優れた作品を発表する中、大きな注目を集めた。

[] DANCE BOX SELECTION 11(2日目、8時〜)

 DANCE BOX SELECTION 11(2日目、8時〜)(シアターdB)を観劇

 花沙「せほね〜からだことば〜」・黒子さなえ「心はなかなかフィットしない」・ 伊藤愛(アンサンブル・ゾネ)「花」

2004-01-28 奈良美智展

[] 奈良美智展「S.M.L」

 大阪中之島grafgm)に奈良美智展「S.M.L」を見に行く。昨年末からやっていて行こうとは思っていたものの、ついついこれまで行きそびれていたが、気が付いたら最終日が迫っていたので仕事が終わった後、慌てて駆け付ける。

 表題の「S.M.L」は展示が大中小の3つの部屋(といってもどれも部屋というには小さいスペースなのだけれど)で構成されているから。いずれも単純な展示ではなく、graf家具とのコラボレーションによる小規模なインスタレーションとなっている。

 一番小さな部屋はかなり小さな大きさの椅子と机による応接室のような部屋の壁のところに箱状の小窓のようなものがありその中に奈良美智写真が一枚ずつ数点展示されている。

 その隣りは少し狭いがアトリエのような空間となっていて、机と壁一面にドローイング作品となんだかよく分からないような小品がいっぱい。

 一番大きな部屋は大きなソファが置かれてそこに座ってスライドに写真やなにかが次々と映しだされるのを眺める仕掛け。本格的な個展という感じではないが、映しだされた写真がよかったので、思わず買って帰ることにした。奈良美智の作品はドローイングのなにか顔をしかめたような子供があまりにも有名だが、写真子供が多く写っているというだけでなく、そこで起こってることを撮っているはずなのにドローイング・イラストを彷彿させるような雰囲気が漂っているのが面白い。入り口の横に本やポストカードなどを売っているちょっとしたグッズ売り場があるのだが、おかしかったのはこの日はたまたま写真に写ってるのと同じような小さな子供が2人来場していたのだけど、そこにへばりついていてお母さんらしき人が手を引いても動こうとせずにふんばっていたこと。どうやら、奈良さんの作品には大人以上に子供を引き付ける魅力があるみたいなのである(笑い)。

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 奈良美智写真集the good,the bad,the average…and unique (写真集) リトルモア ISBN:4898151094 を購入。読了、というか帰宅後ぺらぺらめくって眺めてみる。

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 横山秀夫「真相」双葉社ISBN:4575234613読了

 それぞれの作品についての感想を書く暇がないので、そのままになっているのだが、このところ横山秀夫小説をまとめ読みしていて、初期の作品を除けば主要作品では「深追い」と現在読みかけの

「看守眼」を残すのみとなっている。組織の軋轢を書くのが得意な人というのがこの人の最初の印象でそれゆえ「クライマーズ・ハイ」のように確かに面白いけれど、これってミステリというようなものも含まれているのだが、この「真相」は少し毛色が違った。

映画半落ち」も今ひとつ気が進まぬところもあったのだけれど、見なくちゃいけないだろうなあ。

2004-01-27 DANCE BOX SELECTION 11

[] DANCE BOX SELECTION 11

DANCE BOX SELECTION 11(1日目)(シアターdB)を観劇。

 TELESCOPIC「あと少し」/ポポル・ヴフ「ドライトマト」/福岡まな実「夜島」

 TELESCOPICは近畿大学出身の男性2人(指村崇、友廣満)によるデュオユニット。作品はこれが初見である。冒頭は舞台の中央に円形の明るい照明が当たり、そこに向けて床に向かって手前下手側にいた男性が飛び込んできてぐるぐるとかなりに勢いで横転してからピタリと止まる。ここからグラウンドポジションを中心に低い位置で互いに横転したり相手を飛び込み前転か受け身にように飛び越えたりとかなり激しい動きが続く。

 柔軟というよりはこわ張った暴力的な動きがこの人たちの特徴のようで、振付自体はユーロクラッシュ系の暴力的なダンスと似たところがないではないが、動きの質感としては格闘技武道のようなものを感じさせる。ただ、動きの精度としては少し物足りなさもあって特に2人がユニゾンで動くところのズレなどはもう少しキレイにならないのだろうかと思った。

 ポポル・ヴフ「ドライトマト」は徳毛洋子と梅田育枝のデュオ作品。日常性の重視という振付・演出の徳毛洋子の方向性を維持しながらも新たな側面も見せてくれた。振付は床に近い位置での動きが主体で、下半身を床にべったりと着けたままで、上半身だけをあげて、手と腕を手話を語るようにゆっくりと動かしてポーズを作っていく。前作から映像PUBWAYが参加、モノトーンの映像線香花火、風向計、水面のさざなみなど、そこにあるけれど目には見えない風の世界のようなものを映し出し、それがやはり、地面から出てきてゆっくりと揺れながらうつろうかのようなダンサーの動きとシンクロすることで、風のなかで育っていく植物の姿が人間のあるべき姿と重なりあっていくようなイメージが浮かび上がってきた。

 この日、一番印象的だったのが福岡まな実「夜島」。この人のソロ作品は初めて見たのだが、立ち姿が凛としていて魅力的であったのに感心させられた。

2004-01-25 構成力養成講座

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 ロリーナ・二クラスによる振付家のための構成力養成講座(伊丹アイホール)を見る。

参加振付家/奥平淳一、ぐん、相原マユコ、北島宏子、東野祥子

 元バニョレ振付賞の責任者であったロリーナ・二クラスによる構成力養成講座。参加アーティストはそれぞれ15分の作品を上演発表してから、観客からの質疑応答、ロリーナからの作品に対するアドバイスを受ける。午後1時にスタート、終了時間は9時半近いという長丁場であったが、この日は相原マユコ以降の3作品を見た。

2004-01-24 ロリータ男爵観劇

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 ロリータ男爵「あいつは裸足」下北沢駅前劇場)を観劇。

2004-01-20 小野不由美「くらのかみ」

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 小野不由美「くらのかみ」講談社ISBN:4062705648 http://www.bk1.jp/0233/02338516.htmlを読了。

 大部分の小野不由美ファンというのは「十二国記」シリーズのファンであって彼女本格ミステリを期待しているのはごく少数に限られているのだろう。

ただ、私は京大ミステリ研時代の彼女を直接知っていて、この人が資質として本格ミステリを書ける人だというのを知っているので、児童ものとはいうものの「黒祠の島」に引き続きミステリ小説を書いてくれたのがただただ嬉しいのである。パズラーとしては論理のやたら細かいところと大雑把なところが混在しているし、作品内論理における境界条件が不明確であるという大きな欠陥を持っていることは否めないのだけれど、それでも次のミステリ作品も読みたいという気にさせる奇妙な語り口をこの小説が持っていることも確かなので、まあ堅いことは言わなくてもいいかという気にさせられた。

近藤和見近藤和見 2004/01/24 15:33 最近は読書三昧のご様子ですね。墨丸のマスターが中西さんに会いたいなぁといってます。いかがですか?

中西理中西理 2004/01/31 14:14 コメント遅れれてすいません。

中西理中西理 2004/01/31 14:15 ぜひ行きたいのですが連絡先も分からないので、メールで知らせてくれませんか。ほとんど私信ですいません。

2004-01-18 アガサ・クリスティー「もの言えぬ証人」

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[] アガサ・クリスティーもの言えぬ証人

 アガサ・クリスティーもの言えぬ証人クリスティー文庫)を読了(再読)。

 アガサ・クリスティーは私にとってはほぼ全ての著作読破しただけにとどまらず、主要な作品については事あるごとに再読、再々読をしている稀有作家である。そういうわけで、最近になって早川書房クリスティー作品クリスティー文庫として出版を開始していたのは気にかかってはいたのだが、読みはじめるときりがないかなとも思いしばらく放置していた。

 そのなかで「もの言えぬ証人」を手にとって再読してみたのはこの作品は初読の時の印象あまり芳しくなかったために長い間読み返してなく、それゆえ、犯人トリックも忘れていて、もう一度読んでもミステリとして純粋に楽しめるかなと思ったからだ。

 しかし、初読はおそらく大学生の時じゃないかと思うのだが、傑作というには若干の語弊があるにしても改めて読み直してみるとクリスティーらしさが随所にあってなかなか侮れない出来栄え作品なのであった。

 クリスティー場合、多くの小説の導入部にミステリ的な仕掛けがうまく仕掛けられていて、思わず物語世界に引き込まれていくような技巧がきわめて優れているのだが、「もの言えぬ証人」もそこが見事である

 実はこの小説探偵ポワロワトソン役として記述者のヘイスティングス大尉が登場する最後長編なのだが、この作品を読んでみると一人称記述装置(=ワトソン役)として存在していたヘイスティングス大尉がこの作品最後にしてクリスティー長編から姿を消すのか(正確に言えば「カーテン」には再び登場するが)がうかがえるようで興味深い。この小説一人称で描かれてはいるが実は冒頭の部分は三人称描写ポワロ、ヘイスティング訪問する前のマーケット・ベイジングでの出来事が語られる。

 老嬢エミリイが死に、巨額の遺産はすべてが大勢親族をさしおき、一介の家政婦に贈られた。彼女の死から2カ月ほどたったある日、1通の手紙エルキュール・ポアロのもとに届く。差出人はエミリイ。死の半月以上も前に書かれたものだった。しかもそこには、彼女自身がやがて殺されることを予感するかのような内容が書かれていた。老嬢の死と手紙との不思議符号に興味を抱いたポアロは、ヘイスティングス大尉とともに調査に乗り出した。かいつまんであらすじをまとめてみるとこんな風になるかもしれないが、この小説ではエミリイが生前に遭遇した事件を描く冒頭の第一章とポワロ手紙をもらう第二章の間には意図的に大きなギャップが設けられていて、事件実態さえも分からない状態ポワロ捜査は開始される。そして、この仕掛けをプロットとして仕掛けるには現在進行形出来事記述者として書き留めるワトソン一人称では限界があることが露呈してしまっているのである

 事件実態さえも分からない状態ポワロ捜査は開始されると書いたが、ここには後にミステリ作家クリスティーひとつの到達点となる独自の謎の形態であるワットダニットの萌芽さえ見られる。これは殺人など犯罪行為がまず起こって、警察名探偵などが関係者尋問して、そうこうするうちに次の犯罪が起こってというような黄金時代といわれた時代本格ミステリによくあったようなステレオタイプ物語プロットとは一線を画したものが明らかにこの作品においてもうかがえるのである

 それにしても唯一気になったのは巻末の解説がこの作品についているものに関しては呆れるほどひどかったことだ。2重のネタばれをはじめ、この作品クリスティーが珍しい毒を使っているのはノックスの十戒への挑戦ではないか、なんて本気で書いてるのという驚くべき勝手思い込みが書かれている。もう少し人選を考えてほしいという感じなのである。まず第一に珍しい毒というのは事実誤認に近いし、くそ真面目なヴァン・ダインの「20則」の方はともかく「ノックスの十戒」というのは「気の利いた冗談」だったのを生真面目な乱歩が真に受けたぐらいに思っているのだけが、どうだろうか。

 

 

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 シャーロット・ブロンテ「ジェイン・エア上下岩波文庫)を読了(再読)。

 シャーロット・ブロンテ「ジェイン・エア」を再読したのは、直接的には下に登場している「文学刑事サーズデイ・ネクスト1 ジェイン・エアを探せ!」を読む前にずいぶん以前に読んだままなため記憶あいまいになっているのを思い出したいためではあったのだが、読み直してみると「ジェイン・エア」は面白い英文学の主要な柱にはジェイン・オースティンあたりからはじまってサッカレーディケンズの一部の小説なども含んだ家庭小説とでもいったらいいような流れがあると思うのだが、ブロンテ姉妹作品などもやや破格なところはあってもその系譜に入る小説といえるだろうところがあって、高邁な哲学的思想小説として語りつくすようなところがあるロシアドイツフランス小説と比べるとずっと地味ではあるのだけれど、この世界がどうも私はけっこう好きなのである。実はミステリ作家ではあるけれどもアガサ・クリスティーも広義にはこうした英文学系譜を引くと思っていて、それがクリスティーに引かれるひとつ動機にもなっている。

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 ジャスパー・フォード文学刑事サーズデイ・ネクスト1 ジェイン・エアを探せ!」読了

 ジャンル分けをすればメタフィクション時代改変SFということにでもなるのだろうが、深みにはやや欠けるものの単純に楽しめるきわめて面白い小説であった。シリーズものだということだが、次が早くでないだろうか。

2004-01-17 「白鳥の湖」

[]レニングラード国立バレエ白鳥の湖

 レニングラード国立バレエ白鳥の湖フェスティバルホール)を観劇。

 作曲チャイコフスキー台本/V・ペギチェフ、V・ゲルチェフ、振付/M・プティパ、L・イワノフ、改訂演出/N・ボヤルチコフ、美術/V・オクネフ、衣装/I・プレス

オデット/オディール:スヴェトラーナ・ギリョワ  ジークフリートドミトリー・ルダチェン

ロットバルト:マルト・シェミウノフ  王妃:ユリア・ザイツェワ  家庭教師アンドレイ・ブレグバーゼ

パ・ド・トロワ:アナスタシア・ロマチェンコワ, タチアナ・ミリツェワ, デニス・ヴィギニー

大きい白鳥:イリーナ・コシュレワ, タチアナ・ミリツェワ 、アリョーナ・ヴィジュニナほか

小さい白鳥アンナ・フォーキナ, ナタリア・ニキチナ, タチアナ・クレンコワ, ヴィクトリア・シシコワ, 

スペイン:エレーナ・モストヴィヤ

ハンガリーナタリア・オシポワ, アンドレイ・クリギン

マズルカ:エレーナ・エフセーモワほか

2羽の白鳥オリガ・ステパノワ, イリーナ・コシュレワ

 

 レニングラード国立バレエの「白鳥の湖」は同一のバレエ団の同じ演目のうち一番見た回数が多い演目である。こういうのを見るとこのバレエ団の特に若手の女性ダンサーがどんどん力をつけてきてダンサーの層の厚さが増してきているのが感じられて嬉しい。以前はこの「白鳥という湖」の演目の特殊性もあって主役のオデット/オディール以外にはあまり目がいかない感じだったのが、今回は パ・ド・トロワなどもちょっといいなと思ってキャスト表に目をやると アナスタシア・ロマチェンコワ, タチアナ・ミリツェワとほかの公演では主役も踊るプリマクラスのダンサーがキャスティングされているのであった。

 今回の注目は日本では今シーズンの公演で初めてオデット/オディールに抜擢されたスヴェトラーナ・ギリョワ。まだまだ、踊りには繊細さという意味では課題が残る印象があるものの、背の高い大柄なダンサーでダイナミックな動きには迫力が感じられた。

2004-01-16 Monochrome Circus「FLOOD」

[] Monochrome Circus「FLOOD」

Monochrome Circus「FLOOD」京都市北文化会館)を観劇。

「泡-沫(uta-kata)」(初演2000年)20分

 モノクロームサーカスの新たな方向性を示す 「泡─沫」 。これまでのモノクロームサーカス作品には見られなかった力強さが際立つ本作は、振付家の坂本と森が参加した、カンパニー・ファトゥミ・ラムルー (仏) による影響をを窺わせる。その力強さに加え、初期のモノクローム作品に見られる、インスタレーションのような舞台演出が、暴力ノスタルジックな要素の対立、バブル期以降の日本社会を描出する。

演出:坂本公成

振付:Monochrome Circus

出演:A Version(16日)坂本公成×佐伯有香×合田有紀

   BVersion(17日)坂本公成×森裕子×合田有紀

「HUSAIS」(初演1999年)25分

 強度を伴う沈黙と突然訪れるエネルギーの爆発。2人の人間を衝き動かすエネルギーへの激しい問いかけ。1990年にバニョレ振付家コンクールSACD賞を受賞したこの作品は、カンパニー ファトゥミ・ラムルー(仏)のエラ・ファトゥミとエリックラムルーのフランスコンテンポラリーダンス界へのデビュー作であり同時に出世作となった。そしてまた同時に彼らが初めて作るデュエット作品でもあった。

振付:エリックラムルー + エラ・ファトゥミ(仏)

出演:A Version(16日) 森裕子×森川弘和

   B Version(17日) 坂本公成×佐伯有香


新作フーガ35分

 Fuga(フーガ)=風描。まさに「風にきく」ような即興音楽を重ねるTHISとともに描く、3つの楽章。同じ始まりから始まり、異なる結末を迎える3つの楽章ダンス)。

 「音」を選び取り鳴らすこと、一つの「動き」を選び取り空間を切り取ること、その二つの「今」が絡み合うようにして展開し、生成をするイメージ群。「即興」と「変奏」を折り重ねながら「音の風景」と「身体光景」を遠くまで旅をする。

演出:坂本公成

振付:Monochrome Circus

出演:森裕子坂本公成佐伯有香、森川弘和、藤野直美

演奏:THIS=MISA×SAIKOU

第48回岸田國士戯曲賞最終候補作品決定

第48回岸田國士戯曲賞白水社主催)の選考会が、2004年1月29日木曜日、午後4時より東京神楽坂日本出版クラブ会館(2F・ももの間)にて行なわれます。選考委員は、井上ひさし岩松了太田省吾、岡部耕大、竹内銃一郎、野田秀樹の各氏です。本年度の最終候補作品は下記の7作品となっております。

第48回岸田國士戯曲賞最終候補作一覧 (作者五十音順 )

大竹野正典 『夜、ナク、鳥』(上演台本

小川未玲 『ちゃんとした道』(小学館「せりふの時代」2003年春号掲載)

小里清 『BRIDGE』(上演台本

鐘下辰男 『アンコントロール』(上演台本

倉持裕ワンマン・ショー』(上演台本

内藤裕敬 『さらバイ』(上演台本

本谷有希子石川県伍参市』(上演台本

http://www.hakusuisha.co.jp/current/kishida_senkou.html

中西理中西理 2004/02/02 17:12 作品見てないのでなんともえないのだけれど、結局倉持裕さんが受賞しましたね。個人的には大竹野さん残念でした。

2004-01-15 午後から仕事

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 午後から仕事下北沢通信サイトhttp://member.nifty.ne.jp/simokitazawa/index.html)1月のお薦め芝居の締め切りは過ぎているのだが、なかなか執筆の時間が取れない。遅くても今週中にはなんとかするつもりなので見捨てないでほしい。

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 佐藤孔亮「『忠臣蔵事件』の真相」(平凡社新書)を読了。

注目ISBN/ASIN

2004-01-13 アローヘッドプロジェクト(リハーサル)

[]JCDN国際クリエイティブレジデンシープログラムアメリカ編)「ユー・アー・ソー・ビューティフル!」  “Arrowhead project “You Are So Beautiful!”

JCDN国際クリエイティブレジデンシープログラムアメリカ編)「ユー・アー・ソー・ビューティフル!」  “Arrowhead project “You Are So Beautiful!”京都芸術センター)は14、15日の本番が仕事で見られないため、無理を言ってリハーサルを見せてもらうことにした。

 ヤザキタケシ&アローダンコミュニケーション日本)とヘッドロング・ダンス・シアター(アメリカ)によるコラボレーションプロジェクトである。

 日米のダンスカンパニーの共同製作はどうもボタンの掛け違い的舞台に思われた昨年のニブロールの例があるため若干の危ぐを持ち出掛けたのだが、これは面白い。本番が見られる人は必見である。

 誤解を恐れずにあえて説明すれば「日米馬鹿ダンス対決」とで呼びたくなる(笑い)。もちろん、最大の褒め言葉のつもりである。とにかく、楽しめるダンスに仕上がったうえで日米のカルテュラルギャップのおかしさにも踏み込んでいっているのが評価に値すると思う。特に「キルビル」を引用したダンスなどあまりのバカバカしさにお腹がよじれるほど笑ってしまった。

東京から見ると関西コンテンポラリーダンストップランナートヨタアワードの受賞もあって、砂連尾理+寺田みさこに見えるかもしれないが、先日のパリ公演(http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20031128)とこの合同公演などを見て、砂連尾らの急成長は認めたうえで、まだまだそれはヤザキタケシだと思った。逆に言えば東京で本格的な公演をしてないせいで、正当な評価を受けていないことがなんとも口惜しい。

この作品は京都の後、2月にはフィラデルフィアダンスフェスティバルニューヨークジャパンソサエティでの公演が決まっているのだが、おそらく向こうの方がより受けることになりそうなので、その反応を聞くのも楽しみである。

中西理中西理 2004/01/16 14:17 うーん、今年になって書き込みが全然ないね。更新してないから仕方ないんだけどね。誰かJCDN国際クリエイティブレジデンシープログラム(アメリカ編)を観た人いますか?私は本番見られなかったのでぜひ感想聞きたいのだけれど。

2004-01-12 「JCDN国際クリエイティブレジデンシープログラム(アジア編)」

[]JCDN国際クリエイティブレジデンシープログラムアジア編)

 JCDN国際クリエイティブレジデンシープログラムアジア編)」を観劇。

 ムギヨノ・カシドインドネシア)& 砂連尾理(京都) 

作品タイトル 「to-gether」

ダニエル・ユン(香港)& 北村成美(大阪) 

作品タイトル 「inter mission

[]ベトナムからの笑い声「ベトナリズム

 ベトナムからの笑い声「ベトナリズム京都アトリエ劇研)を観劇。

ACT1 モッコリ係長

4コマ漫画家の部屋。そこで繰り広げられる、登場人物たちの、愚痴・ボヤキ・ボケツッコミ・告白・注文。

前作「まんが坂」を彷彿とさせる、グダグダの会話劇。

ACT2 二十七年

25歳の男の家にあらわれた、52歳の男。彼の目的はいったい何か。そして彼は何者なのか。ベトナムがはじめて挑む、本格的SFコメディ

ACT3 タイムマシーン

27世紀よりやってきた人型ロボットいじめられっ子を助けるためにやってきた。はずなのだが。

黒川猛と宮崎宏康。長年連れ添ってきた男二人が創り出す、芝居?コント

ACT4 マンホール

3連作となる"妖怪シリーズ"。前作「将軍馬」から引き続き登場の天邪鬼。彼は今、存在の危機を迎えていた。

ベトナムからの笑い声・第15回公演の"ボーナストラック"。新年お年玉公演です。

(参考)

 2月10日 ベトナムからの笑い声「ハヤシスタイル」(2時〜、京都アトリエ劇研)、レニ・バッソフィンクス/ダブテイル」(7時半〜、神戸アートビレッジセンター)を観劇。

 ベトナムからの笑い声「ハヤシスタイル」は陳腐な言い方だが、腹がよじれるほどおかしい作品だった。この集団については昨年「サウナスターズ」という舞台を見た後の感想では「次回の公演があれば見にいくだろうとははっきり言えるのだが、まだこれがこの集団の売り物だという特徴をつかみかねている。だから、東京などの演劇ファンに「ベトナムからの笑い声」は面白いから皆見てくれと断言するには躊躇するところがあって、そういうことも含めて次回公演でもう一度、確かめてみないとうかつなこといえないというのが私の感想」と書いたのだが、この新作はその域を明確に脱出した。今週この作品は大阪でも公演が行なわれるので、大阪演劇ファンにはぜひ見てもらいたいし、東京演劇ファンにだってイチ押し公演として即座に薦めることができる。そんな面白さであった。

 舞台落ち目の「菊葉」撮影所。再起を賭けて撮影される新ドラマファンタジーショウ」。脚本には映画「少し厚めの死に化粧」の新人を抜擢。一方、ドラマの導入で行き場を失うはずの大部屋俳優たち。そして、京都初雪の降った12月のある日。東京から敏腕プロデューサーが招聘された。

 これはチラシに掲載された粗筋を実際の作品に合わせて少し修正したものだが、確かにこれは間違っていない、しかし、「サウナスターズ」同様に舞台の魅力はこの撮影所で撮影されている珍妙な番組やそれに登場する珍妙なキャラクター、それを演じるキテレツな役者たちといった出鱈目なキャラの面白さにある。着ぐるみや変な衣装を着て奮闘する俳優体当たりの演技のおかしさはここの持ち味だが、なかでも3メートルを超える超人スタイルエース」の舞台への登場には思わず仰天。彼が舞台上に巻き起こす混乱のおかしさはちょっと他の集団の芝居では見ることができないものであった。

 どこまで作者自身が意識しているのかは不明だが、作品自体きせずして三谷幸喜パロディないしアンチテーゼのようなものになっているところが面白い。一応、主筋としてはお笑い台本を得意とする脚本家勘違いをしたプロデューサーのために下品な笑いを禁じられ、すでに書き上げていた「ファンタジーショウ」の脚本を書き直さざるをえなくなって悩むという三谷幸喜の「ラジオ時間」「笑の大学」などを連想させる枠組みを持ちながら、その書き直しの行為に対して入る様々な邪魔の描写のうちにそちらの方がいつのまにかメーンのような状況になっていく。シチュエーションコメディの構造を持ちながら決して作品自体はそういうおかしさを追求したものではない。さらに三谷だったら人情的な情緒に流れがちなラストをあくまでカラッとバカバカしく終われるのがこの集団のいいところじゃないかと思う。

2004-01-11 旧バニョレ振付賞横浜プラットフォーム(2日目)

[]ランコントル・コレグラフィック・アンテルナショナル・ドゥ・セーヌ・サン・ドニ (旧バニョレ国際振付賞)横浜プラットフォーム

ランコントル・コレグラフィック・アンテルナショナル・ドゥ・セーヌ・サン・ドニ (旧バニョレ国際振付賞)横浜プラットフォームを観劇。

1月11日(日)14:30開場 15:00開演 

伊藤郁女、岡登志子、康本雅子

2004-01-10 旧バニョレ振付賞横浜プラットフォーム(1日目)

 ダンス演劇美術といずれも日本アート最前線に触れる濃密な1日であった。

[]ランコントル・コレグラフィック・アンテルナショナル・ドゥ・セーヌ・サン・ドニ (旧バニョレ国際振付賞)横浜プラットフォーム

ランコントル・コレグラフィック・アンテルナショナル・ドゥ・セーヌ・サン・ドニ (旧バニョレ国際振付賞)横浜プラットフォームを見る。

1月10日(土)14:30開場 15:00開演 

 高野美和子 、岩淵多喜子、岡本真理子、小浜正寛

高野美和子 『匿名トリップ

岩淵多喜子 『Be (完成版)』

小浜正寛 『BOKUDEX』

(1)「壁男」(2)「Watch-man」(3)「ゲラー・ダンス」(4)「なにかが道をやってくる」(5)「shortcake」(映像作品)(6)「蟹ダンサー多喜二」

[]シベリア少女鉄道「ウォッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」

 シベリア少女鉄道「ウォッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」下北沢駅前劇場)を観劇。

 公演が終わったのでネタばれ感想を書く。今回は会場に入った瞬間にもはやただならぬ雰囲気がぷんぷん匂ってきた(笑い)。スズナリならともかく狭い駅前劇場の空間をこんな風に作り変えた劇団があったろうか、いやない(笑い)。

2004-01-09 アートキャバレー#3

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第1回現代美術コンクール「出会い系サイトとしての美術:森村泰昌

とともに鍛えるあなたの表現」<平面・立体ほか>を見る。

■大庭大介 ■柴田有理 ■戸島麻貴 ■西山裕希子 ■山口典子 ■鈴木朋

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 アートキャバレー#3(シアターdB)を観劇。

2004-01-07 トリのマーク「ボルチェフの報告書」

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 トリのマーク「ボルチェフの報告書」下北沢ザ・スズナリ)を観劇。

2004-01-05 東京ヴォードビルショー「その場しのぎの男たち」

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東京ヴォードビルショー「その場しのぎの男たち」厚生年金会館芸術ホール)を観劇。

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 横山秀夫「影踏み」(祥伝社)を読了。

2004-01-04 ロヲ=タァル=ヴォガ「isotope」

[]ロヲ=タァル=ヴォガ「isotope」

 京都演劇人による落語「劇研寄席を見る。終了後、アートコンプレックス1928に移動。

 ロヲ=タァル=ヴォガ「isotope」を見る。

2004-01-03 帰省

 遅ればせながら帰省。

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 マイケル・ギルバート「捕虜収容所の死」創元推理文庫)を読了。

 このミス2004年海外部門の第2位。どうも以前から日本への翻訳ミステリの紹介のされ方には偏りがあり、大きな見落としがあるのじゃないかと感じていたのだが、この人などはその最たるものといっていいだろうと思う。

 確か以前に集英社文庫からいくつか出ていた翻訳を読んだことがあったなと記憶していて、「十二夜殺人事件」「チェルシー連続殺人」の書名を記憶して結構面白かったという記憶もあったのだが、読み終わった後、あとがきの著書リストを眺めてみると、後者が見当たらない。「あれっ」と思い、ネットで調べてみると私の勘違い。後者の著者はライオネル・デヴィッドソンなのであった。つくづく人間の記憶というのは当てにならないものである、というか、当てにできないのは私の記憶か(笑い)。

 この作品はひとことで言うと「大脱走」+クラシックな謎解きミステリという変わったもので、舞台の設定の仕方がうまいと思う。謎解きものという点だけを取り出して考えるとちょっと小ぶりじゃないかという不満もないではないが、第2次世界大戦中のイタリア領内の捕虜収容所を舞台に取り、イタリアのファシスト政権が英国軍のイタリアへの侵攻で倒れていくなかで、このまま行くと捕虜はドイツ軍に受け渡されてしまうというデッドラインを設け、収容所脱出の名手たちによる脱走の準備とその中で殺されて秘密のはずのトンネルの中で見つかったスパイの疑いを持たれた捕虜を殺したのはだれか、さらには収容所内に居るとされるもうひとりの敵側スパイとはだれなのかという犯人さがしが、同時進行で進んでいくことで、単なる謎解きもの以上にスリラーとしての手に汗握る展開を作品のなかで巧妙に盛り込んでいるのがいい。

 どうもマイケル・ギルバートという人は作品ごとにいろんな技巧が凝らされているようなので機会があったら原書で未訳作品を当たってみたいと思う。思わぬ拾い物がまだまだありそうなのである。

 ディクスン・カー「仮面劇場の殺人」創元推理文庫)を読了。

 欧米では演劇ミステリとはどうやら微妙に近しい関係にあるみたいで、クリスティのように文字通りミステリ劇作の両分野で成功者となっている例は珍しいとしても、エラリー・クイーンにしてから国名シリーズの第1作「ローマ帽子の謎」は劇場を舞台にした殺人事件を描いているし、ドルリー・レーン名義で発表された4部作は名探偵レーンが引退した名優だということもあり、

いろんなところで演劇との関連性が指摘できる。考えてみると、「Yの悲劇」のメイントリックなどまさしくそういうところから出てきたものであろうかと

思う。

 その中ではカーという人は比較的そういう要素が少ない人ではあるのだけれど、某有名作品のトリックなどは「演劇的なるもの」への深い関心を感じさせるものであった。そういう中でこの「仮面劇場の殺人」は「ロミオとジュリエット」のリハーサルの最中の劇場の中でその劇場にゆかりのかつての名女優が石弓によって撃たれたと思われる不可解な死を遂げるというもので、カーのこの分野への造詣が伺われるようで興味深かった。カーのミステリ作品としては

そんなに素晴らしい出来栄えの作品というには語弊がなくもないのだけれど、

謎解きの鍵を握る部分にある舞台作品の演出上の仕掛けを絡ませているところなどカーの舞台フリークぶりをうかがわせて嬉しい。ただ、残念なのはその作品を舞台で見た人は日本ではそんなにいないだろうと思われることなのだが。

2004-01-02 仕事 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

 正月だが、出社。

2004-01-01 謹賀新年 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

 謹賀新年。今年もよろしくお願いします。