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中西理の下北沢通信(旧・大阪日記) このページをアンテナに追加 RSSフィード

2010-12-31 2010年演劇ベストアクト

[]2010年演劇ベストアクト

 年末恒例の2010年演劇ベストアクト*1 *2 *3 *4 *5 *6 *7を掲載することにしたい。*8。さて、皆さんの今年のベストアクトはどうでしたか。今回もコメントなどを書いてもらえると嬉しい。

2010年演劇ベストアクト

1,ままごと×あいちトリエンナーレあゆみ(精華小劇場)

2,チェルフィッチュホットペッパークーラー、そしてお別れの挨拶原宿ラフォーレ京都アートコンプレックス1928)、「私たちは無傷な別人である(愛知県立芸術文化センター

3,松本雄吉×松田正隆「イキシマ」精華小劇場

4,東京デスロック渡辺源四郎商店「月と牛の耳」キラリふじみ)

5,悪い芝居「らぶドロッド人間京都アートコンプレックス1928)、「キョム!」精華小劇場

6,快快「SHIBAHAMA」東京芸術劇場)、「Y時のはなし」(VACANT)

7,柿喰う客「露出狂精華小劇場

8,七ツ寺プロデュース天野天街演出「りすん」七ツ寺共同スタジオ

9,マームジプシーハロースクールバイバイ京都アトリエ劇研)

10,トイガーデン「ユビュ王」ウィングフィールド

次点ロロ「いつだっておかしいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校京都アトリエ劇研)

特別賞、くじら企画「密会」ウィングフィールド

 2010年の特徴はままごと(柴幸男)、東京デスロック多田淳之介)、快快(篠田千明)、柿喰う客(中屋敷法仁)らポストゼロ年代作家らの本格的な台頭であろう。年頭に「わが星」で岸田戯曲賞を受賞した柴はこの世代のトップランナーに躍り出た。「あゆみ」は2008年にtoi presents 3rdあゆみ」として初演されて以来、さまざまな形で再演をされてきた柴の代表作だが、今回はあいちトリエンナーレの祝祭ウイーク参加作品として地元キャストオーディションで集め上演し、大阪岐阜と巡演した。「わが星」はセリフをラップ音楽にのせる音楽劇だったが、この「あゆみ」はまた違うスタイル。作品ごとにスタイルが変わるのがこの世代の特徴といえる。「あゆみ」では平田オリザの現代口語演劇風のセリフ回しを基調にしながらも、あゆみという名前女性の一生を生まれてから死ぬまで、歩きながら演じる。この際に演技の受け渡しをするのがこの作品の仕掛けで、ひとりの人物があゆみを演じるのでがなく、複数の人間が演じることで観客の脳裏のそれぞれに想像力を喚起させ間テキスト的にいわばバーチャルな人物を立ち上がらせていく。

 「あゆみ」のもうひとつの特徴は舞台を歩くということが、生きるということ、そして本来不可視であるはずの時間の流れのメタファー隠喩)となっていることだ。そして、あゆみ物語としては「初めの一歩」として赤ちゃんあゆみが両親の前で歩いた場面から子犬を拾った子供時代、先輩へのあこがれ、彼との出会い結婚出産子供の成長、突然の母の死、娘の結婚……それぞれのエピソードは下手をするとステレオタイプとも思われかねないほど陳腐でもあるのだけれどここではむしろ陳腐ゆえの普遍性が前に述べた間テキスト姓と相まって、観客それぞれの記憶を呼び起こし、その心にさざ波を引き起こす。

ままごと×あいちトリエンナーレあゆみ

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 この手法はもちろん平田オリザの関係性の演劇岡田利規の間テキスト演劇の延長線上に登場してきたものであるが、それとはまた違う新しい魅力を感じさせるものであった。

 想像力を喚起する演劇としてはチェルフィッチュ岡田利規「私たちは無傷な別人であるで超現代口語を捨て去り、セリフと動きの完全に分離するという新たな方法論に挑戦した。岡田はさらにこれと平行していままでのハイパーリアル口語文体を主体として一層の進化を試みたホットペッパークーラー、そしてお別れの挨拶も上演。それぞれ海外での上演も行うなど対照的な2作品で健在ぶりを見せつけた。*9

チェルフィッチュホットペッパークーラー、そしてお別れの挨拶

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 公立劇場キラリふじみ」の芸術監督に就任した多田淳之介東京デスロック)の活躍ぶりにも目覚ましいものがあった。他のアーティストとの共同制作が多かったのも今年の多田の特徴できたまり(KIKIKIKIKIKI)が振付・パフォーマーで参加した神戸クロスオーバー・ザ・KAVC「no w here」もその実験性と娯楽性が融合された好舞台だったが、ここでは渡辺源四郎商店との合同公演「月と牛の耳」を選んだ。「月の牛の耳」は畑沢聖悟が弘前劇場時代に初演した代表作のひとつでその後はいるかHotelの谷省吾演出による上演*10はあったが、畑沢が自ら劇団渡辺源四郎商店)を立ち上げた以降は出演人数が多いことなどもあり、上演する機会がないままできていたのを東京デスロックとの合同公演により上演にこぎつけた。多田の演出も空手家一家を取り上げた作品に相応しくプロレスなどを取り入れた遊び心に満ちたもので、伝説空手家を演じた渡辺源四郎商店牧野慶一、その娘の夫を演じた東京デスロック夏目信也らの好演も印象に残る舞台であった。畑沢はこのほか「ヤナギアキラ最期の日」などの新作や外部劇団への書き下ろしなども精力的にこなしいまや現代演劇界の風雲児的存在になってきているが、高校演劇指導者でもあり、高校演劇コンクールの決勝大会で上位に入賞した弘前中央高校「あゆみ」は柴幸男の「あゆみ」を畑沢が脚色・演出したものだった。

TJのバラード(月と牛の耳ver.) (多田淳之介テーマ曲らしい)

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 ポストゼロ年代劇団では2009年に引き続き、快快(「Y時のはなし」「SHIBAHAMA」など)、柿喰う客(「Y時のはなし」(「露出狂」「THE HEAVY USER」など)の充実ぶりも目立った。どれか1本が突出的にいいということがまだないのが、「あゆみ」の後塵を拝した理由だが、もともとどちらも公演回数の多い劇団で以前なら玉石混交という感があったのが、結果的に選ぶことにした「Y時のはなし」「露出狂以外の作品もベストアクト級の粒ぞろいのものが多かった。関西では悪い芝居が若手劇団のうちで断トツ存在感を見せた。ダンサーきたまりが異色のヒロインを演じた「らぶドロッド人間劇場に住みついたホームレス群像を登場させ、複雑な入れ子構造により、現実と虚構のせめぎ合いを描き出した「キョム!」。この2本はまったく異なる作風でありながら、いずれも甲乙つけがたい舞台で荒削りではあるが、伸び盛りの劇団の勢いを感じた。特に「キョム!」は賛否両論を呼びそうだが1月中旬東京公演(下北沢駅前劇場)を控えており、東京演劇ファンもぜひ見てほしい公演である

快快「Y時のはなし」

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マームジプシーロロなどさらに若い世代の登場も今年の特徴。なかでも東京を中心に若い世代の支持を集め、次の世代の中心になりそうな予感をうかがわせたのがマームジプシーハロースクールバイバイだった。平田オリザ岡田利規方法論を前提として、そこから派生したサンプリングリミックス、繰り返しとずれなどの独自の方法論でどんな新たな表現領域を生みだされるのか、豊かな可能性を感じた。関西でのポストゼロ年代超新星として今回あえてトイガーデン「ユビュ王」(安武剛演出)選んだ。

 

マームジプシーハロースクールバイバイ

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2010-12-29 2010年ダンスベストアクト

[]2010年ダンスベストアクト

 演劇ベストアクトに続き2010年ダンスベストアクト*1*2*3 *4を掲載することにしたい。原稿はまだですが、とりあえずリストだけ先に掲載します。さて、皆さんの今年のベストアクトはどうでしたか。今回もコメントなどを書いてもらえると嬉しい。

2010年ダンスベストアクト

1,ヤザキタケシ×森山未來「Revival」アートシアターdB*5

2,珍しいキノコ舞踊団「20分後の自分と。」3331 Arts Chiyoda*6

3,矢内原美邦ダンス公演「桜の園 〜いちご新聞から〜」@あうるすぽっと*7

4,きたまりダンス言葉にする道」横浜市開港記念会館

5,KENTARO!!「僕はまた1人、今日未完成音楽で歌う」こまばアゴラ劇場

6,アンサンブル・ゾネ「Fleeting light神戸アートビレッジセンター

7,勅使川原三郎+佐東利穂子「オブセッション兵庫県立芸術文化センター

8,白井剛「静物画-still life京都芸術センター

9,南弓子「BINTA神楽坂ディプラッツ

10,ウミ下着「あの娘の部屋に行こう」@シアターsenka

ヤザキタケシが初期の代表であるスペースX」「不条理天使」を再振付森山未來の参戦も話題となった。バレエなどと異なり、自分振付作品を自分で踊るソロ作品などが多いコンテンポラリーダンスジャンルでは時折その人自身による再演というのはあっても、作品が他のダンサーに振り移されて、レパートリー化され、世代を超えて伝達されていくという機会は少ない。

 今回はヤザキタケシの代表であるスペースX」「不条理天使」を彼よりも若い世代にあるダンサーが踊るとともに本人もひさしぶりに再演、さらには新作「ミューザー(沈思者)」をアローダンスコミュニケーションでの盟友である佐藤健太郎振り付けるとともに自らも踊るというきわめて意欲的な内容で、作品数こそ3本と多くはないが、同じ作品が本人も含めて複数のダンサーに踊られることで、ダンサー振付家ヤザキタケシの集大成的な位置づけを感じさせる公演となった。

 さらにこの公演には地元神戸出身でもあり、阪神・淡路大震災15年 特集ドラマその街のこども」やドラマモテキ」の主演やバーコフ演出の「変身」への出演などで大活躍の若手俳優森山未來が「不条理天使」を踊るということでも話題となり、注目された。

珍しいキノコ舞踊団「20分後の自分と。」は3331 Arts Chiyodaの屋上で上演されたとても彼女ららしい楽しさに満ちた作品。台風の襲来などによる天候悪化により、連日中止を余儀なくされ、運よく見ることのできたこの日の公演に

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2010-12-28 「演劇の新潮流 ゼロ年代からテン年代へ 第6回 デス電所=竹内佑

[]「演劇新潮ゼロ年代からテン年代へ 第6回 デス電所竹内佑」舞台映像連続上映

 関西の若手(「ゼロ年代」以降)の劇団ではイチオシと言い続けてきたデス電所来年から東京への本拠移転が決定したようです。東京に行ってももちろん引き続き注目していきたいと思っていますが、その前にデス電所の初期の代表作と私が考える「夕景殺伐メロウを上映。その特異な作品世界について考えていきたいと考えています。                             

主宰・中西理(演劇舞踊評論)=演目選定

f:id:simokitazawa:20061119060707j:image

 デス電所最初に登場してきた時、私はとまどいを感じました。そのスタイルが当時(2000年代)主力だった群像会話劇(現代口語演劇からかけ離れており、現代演劇のなかでの系譜がつかみにくい突然変異のような感覚があったからです。

 あえて先例を求めていくとクロムモリブデン少年王者舘との類似が一部感じられました。これも興味深いことでした。なぜならクロムモリブデン少年王者舘90年代2000年代において重要劇団ではあると考えていますが、いずれも当時の現代演劇の流れでは位置づけにくい。影響を受けたフォロワー(追随者)もなかったのです。

 そのため、この両者に影響を受けた劇団がついに出てきたというのが最初の印象でした。デス電所のもうひとつの特徴は「オタクによるオタクのためのオタク演劇」ということです。今回上演される「夕景殺伐メロウ」の観劇後のレビュー*1にこの舞台の「セカイ系」に類似した構造を指摘したのですが、その後、ゼロ年代演劇ポストゼロ年代演劇と呼ばれるようになった若手劇団(柿食う客や快快、東京デスロックままごとなど)も作品にそうした特徴を共有しており、ゼロ年代以降の新しい流れの先駆例だということが次第に明確になってきたからです。舞台映像連続上映「演劇新潮ゼロ年代からテン年代へ」の今シリーズは第6回で一応区切りとしたいと思いますが、その最後デス電所を取り上げたのはそんな意味もあります。 

 前回セミネールで取り上げた悪い芝居「嘘ツキ、号泣」が2010年OMS戯曲賞の佳作に選ばれました。戯曲もこちらで無料で読むことができますhttp://www.ogbc.co.jp/oms.htm



【日時】12月28日 7時半〜

【演目】ミニレクチャー担当 中西

 デス電所 竹内佑作・演出「夕景殺伐メロウ」 

f:id:simokitazawa:20101210125510j:image


【場所】〔FINNEGANS WAKE〕1+1 にて 【料金】¥1500[1ドリンク付]  

※[予約優先]  定員20人ほどのスペースなので、予約をお願い致します。当日は+300円となりますが、満席場合お断りすることもあります

【予約・お問い合わせ】 ●メール fw1212+101228@gmail.com  あるいは BXL02200@nifty.ne.jp中西希望日時 お名前 人数 お客様E-MAIL お客様のTEL お客様の住所をご記入のうえ、 上記アドレスまでお申し込み下さい。 06-6251-9988 PM8:00〜 〔FINNEGANS WAKE]1+1 まで。 web:fw1plus1.info  Bridge Gallery & Bar 〔FINNEGANS WAKE〕1+1 大阪市中央区東心斎端1-6-31 リードプラザ心斎橋5F (東心斎橋清水通り。南警察署2軒西へ)

 東心斎橋のBAR&ギャラリーを会場に作品・作家への独断も交えたレクチャー(解説)とミニシアター級の大画面のDVD映像演劇ダンスを楽しんでもらおうという企画がセミネール「現代日本演劇ダンスの系譜」です。今年はレクチャーではなく、「ゼロ年代からテン年代へ」と題してセレクションした現代の注目舞台映像連続上映しています。 

 セミネール演劇編では青年団平田オリザ弘前劇場長谷川孝治らの現代口語演劇の紹介にはじまり、前田司郎三浦大輔らその影響を受けたゼロ年代作家たち。そこから抜け出し独自の演劇を展開したチェルフィッチュ岡田利規らの作品を紹介してきました。連続上映では彼らゼロ年代作家を再び紹介するとともに「わが星」で岸田戯曲賞を受賞し話題の柴幸男をはじめ、これから10年間の新しい潮流を作って行きそうな作家たちの舞台を取り上げてきました。

デス電所次回公演

デス電所第21回公演 「空洞メディアクリエイター

作/演出:竹内佑  音楽演奏和田俊輔

出演:山村涼子 丸山英彦 田嶋杏子

豊田真吾 福田靖久 竹内佑 

四宮章吾 吉川莉早

東京公演 @テアトルBONBON

2010年12月15日(水)〜19日(日)

2010-12-26 カメハウス 第肆回公演「マクベス」@大阪芸術創造館

[]カメハウスマクベス」@大阪芸術創造

 作:W・シェイクスピア 脚色・演出・振付:亀井伸一郎

 音響Miya 照明:滝口史郎![彗星マジック] 舞台監督西野梨子

 舞台美術アドバイザー:永瀬由二 衣装米山真理 小道具:海野仁美、

 ナカバマリナ 映像制作:甲田春樹[劇団ペーさん'S13}

 宣伝美術GIGI WEB:Tako 制作松村綾子

 出演:

 米山真理:幕ノ内優子(女ながら最強ヤンキー、後極道組長)

 北山貴靖[劇団ぺーさん's13]:山本剛瑠羅(ゴウリラ 後、幕ノ内優子主夫

 阿修羅ボーイ:食栖竜太(殺されたヤンキー)、サラ金ヤクザ

 賦句タツロヲ[劇団ぺーさん's13]:全力疾走サラ金ヤクザ

 井上誠:手之下力(テノシタリキ 優子の相棒

 繁澤邦明[劇団うんこなまず]:黒川白次

 ナカバマリナ:辰浪涼雀之子(タツナミスズノコ 後殺し屋

 宮崎真澄:菜目邪姉世(ナメンジャネエヨ 後占い師

 にしのあず:渋谷狩咲(シブヤギャルサ)

 海野仁美:桃汲乙女ピンクレディ)、 殺された組長の娘

 城之内コゴロー[元男肉 du Soleil]:勘榾一鉄(カンコツイッテツ)、組長、刑事

 澤田清美イトウエリ(劇団そとばこまち)、寺村拓也、大西聖久、辻川倖平[劇団万絵巻] :若衆

 プリン松:劇団制作

 カメハウス*1近畿大学出身者による劇団近畿大学出身の劇団といえばデス電所烏丸ストロークロックと一時相次いで出てきたが最近は解散したらしい男肉 du Soleil劇団ではなくてダンスカンパニーだとすればむしろダンス系の方が目立つ。その意味では後輩劇団として東京に去ったデス電所の跡を埋めるような存在になれるか。今後が注目されるところだ。 

 以前に演劇ショーケース公演であるLINX'S 01*2で短いものを見た時に割と面白く「なかでも掘り出し物といっていいのがカメハウス。演技もダンスも「もうちょっとなんとかならないのか」というレベルで正直下手なのだが、アニメ主題歌的な曲想に乗せて、ほぼ全編が音楽への当てぶりのように進行していく舞台は登場人物の演技やキャラなどすべてがアニメから飛び出してきたようなまさにアニメゲーム的なリアリズムによる作品。今回の劇場大阪オタク聖地日本橋」にあるin→dependent theatre 2ndであったということもあるがまさに「アキバ日本橋」的感性がさく裂する舞台でこれはうまくやれば大阪日本橋発の演劇として売り出せるのではないかと思った」と書き、注目していたのだが、前回公演が行くつもりだったのが東京でほかの公演をみていたために戻ってきた時には開演に間に合わず見られないということもあり、今回やっと見ることができた。

 しかも、今回の演目が「マクベス」だというので「ほぼ全編が音楽への当てぶりのように進行していく」手法でどのようにシェイクスピア舞台化していくのだろうと楽しみにしていたのだが、ダンス場面は幕間のように途中で何度か挿入されるぐらいで、普通セリフ物語が展開していくので、残念ながら肩すかしであった。

 「マクベス」とはいっても日本ヤクザの跡目争いの話に設定が翻案されており、米山真理演じる幕ノ内優子がマクベスにあたる。実はエジンバラで以前、「マクベス」をギャングの抗争に見立てた演出での上演(これはテクスト原典のまま)を見たことがあり、

それはすごく面白かったので、このヤクザに置き換えるというのも悪くはないかなと思って見始めたのだが、どうもいけない。主人公を女性に変えた理由がまず分からないのだが、そのためにバランスからキャスティングの問題からかほかの人物も何人か女性に置き換えているのだが、どうもしっくりとはこないのである。それに劇団の売りであるダンスシーンが芝居と芝居の間に挿入されるのだが、これがかえって芝居のスピード感を削いでいて、それで上演時間がこんなにも長くなってしまったのではないかと思われた。いくらなんでも上演時間2時間40分。少し長すぎると思った。もっとも、これにはそのせいでこの後で見ようと考えていたダンス公演が開演時間に間に合わなくて見られなくなった私憤もあるにはあるのだが、それは少し置いておいても上演時間が3時間超えることも珍しくない「ハムレット」などとは違って「マクベス」の場合海外での観劇でもほとんど長くて2時間前後というのが相場で、途中休憩なしでこの時間はやはり長すぎると思う。

 とはいえ、やはり今回の場合、最大の問題は劇画タッチの演技や物語が古く感じることだ。途中、ゲームバーチャルファイターのような演技(ダンス)で格闘を演じた場面などいくつか期待していたポストゼロ年代に相応しい「アニメゲーム的なリアリズム」を感じる場面もないではなかったけれどもこの「マクベス」ではそれは中心とはなりえなかった。こういう風に上演されて見るともはや私が考えていた全編がゲーム画面のように演じられる「マクベス」というのは妄想しかなかったようだ。

 ただ、私の場合、ものがシェイクスピアであるとこだわりがどうしてもあるので、必要以上にシビアになってしまうところがあり、この集団についてはシェイクスピアは向いていなかったんだとあきらめて、今度は前回公演の「DANCE MASTARS」のようなもう少しこの集団のスタイルとのマッチングがよい芝居を見てみたいと思った。 

2010-12-23 悪い芝居「キョム!」@精華小劇場

[]悪い芝居「キョム!」@精華小劇場

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作・演出/山崎

出演/

 植田順平 松本容疑者山本の友人)

 大川原瑞穂 田浦容疑者太田の元恋人

 進野大輔 藤代容疑者太田の元同僚)

 西岡未央 井上(女の刑事

 山崎彬 藤原(男の刑事

 浅田奈緒子(ドキドキぼーいず) 鈴木容疑者森本の同級生)

 池川貴清 奥村容疑者森本の友人)

 太田彩香(トイガーデン) 板倉容疑者清川の妹)

 大原渉平 森本(第三の容疑者高校生

 北川大輔(カムヰヤッセン) 山本(第四の容疑者路上生活者

 谷井佳輔 太田(第二の容疑者路上生活者

 名越未央 清川(第一の容疑者風俗嬢

 宗岡ルリ 有麻(容疑者清川の娘)

詳細/http://waruishibai.jp/

2010-12-22 2010年演劇ベストアクト(準備稿)

[]2010年演劇ベストアクト(準備稿)

 年末恒例の2010年演劇ベストアクト*1 *2 *3 *4 *5 *6 *7を掲載することにしたい。(ダンスパフォーマンス編は後ほど掲載する予定。まずは表のみだが、後ほどコメントも加筆の予定)。さて、皆さんの今年のベストアクトはどうでしたか。今回もコメントなどを書いてもらえると嬉しい。

2010年演劇ベストアクト

1,ままごと×あいちトリエンナーレあゆみ(精華小劇場)

2,チェルフィッチュホットペッパークーラー、そしてお別れの挨拶原宿ラフォーレ京都アートコンプレックス1928)、「私たちは無傷な別人である愛知県芸術文化センター

3,松本雄吉×松田正隆「イキシマ」(精華小劇場

4,東京デスロック渡辺源四郎商店「月と牛の耳」キラリふじみ)

5,悪い芝居「らぶドロッド人間京都アートコンプレックス1928)、「キョム!」(精華小劇場

6,快快「SHIBAHAMA」こまばアゴラ劇場)、「Y時のはなし」(VACANT)

7,柿喰う客「露出狂(精華小劇場

8,七ツ寺プロデュース天野天街演出「りすん」七ツ寺共同スタジオ

9,マームジプシーハロースクールバイバイ京都アトリエ劇研)

10,トイガーデン「ユビュ王」ウィングフィールド

次点ロロ「いつだっておかしいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校京都アトリエ劇研)

特別賞、くじら企画「密会」ウィングフィールド

ままごと×あいちトリエンナーレあゆみ

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チェルフィッチュホットペッパークーラー、そしてお別れの挨拶

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快快「Y時のはなし」

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マームジプシーハロースクールバイバイ

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2010-12-20 張競「海を越える日本文学」@ちくまプリマ―新書

2010-12-19 ダンスの時間クリスマス・スペシャル2010「畳半畳in大阪」

[]ノンバーバルパフォーマンスギア-GEAR-」 @ブラックチェンバー

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CAST

出演

ブレイクダンス:kaku(●) NARUMI(◆) HIDE(▲) 

マイム:いいむろなおき(▲◆) 岡村渉(●)

バトントワリング佐々木敏道(▲●) 出口訓子(◆)

マジック新子景視(▲◆●)

ヒロイン:兵頭祐香(▲●) 平本茜子(◆)

▲=17日(金)出演

◆=18日(土)出演

●=19日(日)出演

※出演日は変更となる場合がございます 予めご了承下さい

STAFF

スタッフ

[演出部] ウォーリー木下 いいむろなおき 窪木亨

[舞台監督] 下川大史

[舞台美術] 柴田隆弘

[映像監督] 吉光清隆

[照明効果] 松谷將弘

[音響効果] 障沐ゥ里乃

[楽曲提供] 豊田奈千甫

[小道具] 坂井真央

[衣装アドバイザー田中秀彦

[衣装] 馬場絵里子 伊藤佑美 小椋恵美 武田麻依 中塚麻以

[ヘアメイク] 森田赳明

[ヘアメイク協力] 長田浩典

[記録撮影] 堀川高志

[宣伝美術] 重松よしこ

[制作] 城戸遥 今村勇也 川口和世

[ディレクター] 重田龍佑

[プロデューサー] 小原啓渡

[]ダンス時間クリスマススペシャル2010「畳半畳in大阪」@ロクソドンブラック


日時

2010年12月19日(日)15:00、19:30

30分前受付開始、15分前開場

場所

ロクソドンブラック

〒545-0052 大阪市阿倍野区阿倍野筋2-4-45

TEL. 06-4398−1802



大阪市営地下鉄谷町線阿倍野駅」1番出口から南へ徒歩2分

JR地下鉄御堂筋線天王寺駅」より南へ徒歩6分

INFORMATION

produced by 中西レモン

東京から坂本美蘭+相良ゆみ+冨岡千幸、武藤容子を迎え、双子未亡人、BISCO、おまゆみ、合わせて5組が畳半畳分という極小スペースで繰り広げるミクロコスモス2004年以来、東京で14回続いている中西レモンプロデュースの「畳半畳」、注目の関西上陸。限られた空間からこそ生まれてくる豊饒さにお立会い下さい。

 

■入場料

一般前売 2,800円(当日 3,300円)

学生前売 2,500円(当日 3,000円)

 

坂本美蘭+相良ゆみ+冨岡千幸

トランスジェンダーとしてその性の変換を日本文化論にシンクロさせながら作曲パフォーマンスを展開してきた坂本 美蘭。その演唱に、大野一雄舞踏研究所研鑽を積み、多ジャンルアーティストコラボレーションを重ねてきた相良ゆみと、舞・謡の可能性を静かに探り続 ける冨岡千幸とが共演。2010年1月『変身橋』(アコスタディオ)、3月『変身橋2』(畳半畳・神楽坂die pratze)、10月『橋上品』(ギャラリーデコ)等

 

双子未亡人

荻野ちよ、佐伯有香のダンスユニットコンタクト・インプロビゼーションの長年の実践をもとに参加者や観客との間に即興的に起こる 感覚や関係性を重視したワークやパフォーマンスを多数展開している。’07年には48名のダンサーとともに「ノリコボレル」を発表し、話題となる。’09 年は天王寺動物園大阪)にて「ナニマルズ」を発表。’10年より「下鴨ストレッチ」を劇研アネックスにて開催中。

 

●BISCO

朗読ダンスパフォーマンス集団。生活の中での仕草や行動を振付に取り入れ、音楽歌謡曲朗読絵本などを用いて作品を展開。内容は いたって「そのまんま」そのまんますぎて劇団と間違われることもしばしば。真面目にアホで、時に真剣に、たまにはちょっと泣かせてみたり。観ている人が身 近に感じて、胸キュンさせる。白いパーカーに白い半ズボンピンクのホッペがトレードマーク。ダンサーの体だけではなく、顔面いっぱいに踊る様が特徴的。

 

武藤容子

演劇活動からダンスへと移行。ジャンルにとらわれる事なく自由に身体表現に関わり、多数の招聘公演に出演。骨格のみを作り即興で肉付け する、長編ソロ「魚の小骨」シリーズは、近年はカタチを変え、継続しながら骨太く深化中。骨片に刻まれしカラダの記憶模索しては忘却の日々である、続 く…。

 

●おまゆみ

2004年脱皮、現在メタモルフォーゼ進行中。国内外フェスティバル等参加多数。ソロ公演:大阪市中央公会堂芦屋ルナホール京大西部講堂など。

 

イベント詳細はこちらから

http://jonen.txt-nifty.com/dnp/2010/11/index.html

2010-12-18 宮北裕美・ガラパゴス楽団と松本芽紅見ソロ公演「マルシェ」@ロクソ

[] 宮北裕美・ガラパゴス楽団「i.i.の死」@アートシアターdB神戸

構成・振付 宮北裕美

振付・出演 内山大、 垣尾優、 京極朋彦、 住吉山実里、 福岡まな実、 山口春美

音楽 Steve Nickel

照明 三浦あさ子

音響魔神

舞台監督 大田和司

宣伝美術 納谷衣美

記録 井上大志・千穂(Leo Labo

制作 清水翼、大泉愛子

 宮北裕美は山下残作品などにダンサーとして参加するほかはこれまでほとんどソロで活動してきたが、今回初めて自らは舞台に上がらず構成・振付に専念、6人のダンサーが参加してのグループ作品を制作した。

 表題の「i.i.の死」はレフ・トルストイの「イワン・イリイチの死からインスピレーションを受けたということのようだ、実際の舞台ではそのことを具体的に想起させるようなものはない。ただ、作品の全体を覆う陰鬱な雰囲気というのは確かにあって、具体的な物語や人物というのはいっさいないのだが、「死」を思い起こさせるような気分が舞台を支配していたのは間違いない。

 リンゴ存在感も印象的。「死」に対する「生」の象徴のようなイメージが感じられた。最初リンゴが出てきた時にはこの舞台に出てくる唯一、具象的なイメージであることから原作であるイワン・イリイチの死」にどこかリンゴイメージが出てきたかとおぼろげな記憶を反芻してみたが、どうやらそういうものではなかったようだ。だが、黒い衣装など全体に黒の強い舞台のなかで赤の彩りも鮮やかで先に書いた赤のイメージも皮を剥いた実から出てくる白っぽい色も同様に生命表象するように感じられ、とても効果的であった。

 ポップさはいっさいないもの凄くタイトな作品なのだが、それぞれの場面の空間構成、照明、音楽などそれぞれの分野の完成度は高く特に全員でリンゴを持ってユニゾンで群舞を踊るシーンの美しさは特筆すべきものであった。音楽ロック系のギターが多用されている楽曲で、クレジットを確認してみるとSteve Nickelとなっていた。宮北は以前米国にもダンス留学していたから、その時に知り合いだった米国人だろうかと考えているとなんとこれが日本人しかも2階の音響ブースですべて生演奏していたことも分かりびっくり。宮北によればSteve Nickelという人は京都を拠点としているバンドギタリストで疑う余地のない日本人(笑い)。最近コンテンポラリーダンスではエレクトロニカ系の音楽が使われることが多いが、骨太ギター演奏を生でやったのはよかった。宮北はソロダンサーではあったが、ダンサー・オブ・ザ・ダンサーではなくて、映像音楽といった他分野のアーティストのコーディネイトには定評があり、その意味ではグループ作品には向いているのではないかと以前から思ってはいたのだが、その期待にたがわぬデビュー作品となった。

 ただ、惜しむらくは最後の場面が即興に頼った部分が多いたためか、やや表現として粗く感じられたことだ。その前のリンゴの群舞の場面が非常に印象的な終わり方でそこで終わったら心情的に満足感が高かったがゆえに逆にその後に続いたことで蛇足ではないかとの印象を持ってしまった。  

イワン・イリッチの死 (岩波文庫)

イワン・イリッチの死 (岩波文庫)

[]松本芽紅見ソロ公演「マルシェ」@ロクソドンタブラック

振付・構成・演出:松本芽紅見 出演:松本芽紅見+スペシャルゲスト

まつもと・めぐみ

大阪芸術大学舞台芸術学科でミュージカルを専攻。アルヴィン・エイリー・ダンスセンター留学。帰国後、数多くの内外の振付家の作品に出演、特にヤザキタケシ氏の作品にはすべて出演し、海外公演をはじめ、高い評価を得ている。

9月の『〜群の像〜ホワイト』で、ダンサー/振付家としての豊かな発想力、舞台構成の巧みさ、旺盛なサービス精神、身体の多彩な表情を遺憾なく発揮した松本芽紅見、待望のソロ公演。ダンスを開き、広げることに力を注いでいる彼女の、世界の広がりにご期待下さい。

2010年12月17日(金)〜12月18日(土) 場所:ロクソドンタブラック


松本芽紅見ソロ公演「マルシェ観劇

ゲストにヤザキタケシ。ソロの単独公演は初めてということだが、10年のキャリアさすがを思わせる公演だった。ソロもいいのだが、途中、ヤザキが加わり2人で踊ると空気が変わったように動きの魅力が増した。2人のパートリングまだ見たいと思った。

2010-12-17 市川真人「芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか」@幻冬舎新書

[]市川真人芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか」@幻冬舎新書

 「坊っちゃん」(=明治に対し敗北していく江戸美学を描いた小説)など面白いところが随所にあるけれど、表題となっている「芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか」の理由は最後まで読んでもよく分からなかった。というか、作者の主張はなんとなく分かるがそれは納得のいくものではなかった。ただ、この人の書くものはなかなか面白くて、少し前に読んだ小谷野敦のまるでゴシップ誌のような文学論とは段違いに読みごたえがある。

『こころ』は本当に名作か―正直者の名作案内 (新潮新書)

『こころ』は本当に名作か―正直者の名作案内 (新潮新書)

2010-12-16 ピナ・バウシュ描いた絵の個展開催

[]ピナ・バウシュ描いた絵の個展開催

 京都在住の画家渡辺敬介さんの個展ピナのひな ひなのピナ 素っピナ ひなっ ぴなっ ピナ・バウシュ 〜渡邊敬介Knabe…Pina Bauschへのおまーじゅ」が19日から大阪市中央区心斎橋のバー&ギャラリー「FINNEGANS WAKE+1」で始まる。昨年亡くなったピナ・バウシュ芸術監督を務めたウッパタール舞踊団のリハーサルに立ち会い、その風景を躍動感あふれるタッチで描いた作品など。ピナ生前の舞踊団の姿を間近に目撃した作者が描いた貴重な作品となった。

 最終日の23日にはトーク(19時〜会費1500円)も予定。2007年ピナ・バウシュが「京都賞」を受賞した際、記念講演会に自ら足を運び「絵を描かせてほしい」と直談判。ドイツ・ウッバタールで2週間にわたって同舞踊団の稽古風景を描いた。同舞踊団のリハーサル風景を描いた作品のほか、昨年亡くなったピナさんへのオマージュとして描いた作品などを展示。

【お問い合わせ】 06-6251-9988 PM8:00〜AM2:00〔FINNEGANS WAKE]1+1 まで。 web:fw1plus1.info  Bridge Gallery & Bar 〔FINNEGANS WAKE〕1+1 大阪市中央区東心斎端1-6-31 リードプラザ心斎橋5F (東心斎橋清水通り。南警察署2軒西へ)

2010-12-15 マイケル・サンデル「ハーバード白熱教室講義録上」

2010-12-12 矢内原美邦と青年団リンク・本広企画

[]矢内原美邦ダンス公演「桜の園いちご新聞から〜」@あうるすぽっと

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原作アントンチェーホフ

振付・演出:矢内原美邦

映像高橋啓

音楽阿部海太郎

衣装スズキタカユキ

出演:稲継美保 小山衣美 絹川明奈 酒井和哉 坂本沙織 遠江 愛 福島彩子 三科喜代 望月美里 山下彩子 (五十音順)

 これがチェーホフの「桜の園」かと言われると若干???なのだが、ダンスパフォーマンスとしては圧倒的。振付家、矢内原美邦の作品としてもこれまでニブロールでもミクニヤナイハラ・プロジェクトでも見られなかった群舞など純ダンス的要素の部分での充実ぶりを感じさえ、今年見たもののなかでも1、2位を争う作品だと思った。

 振付・演出:矢内原美邦映像高橋啓祐のコンビは共通だが、ニブロールの公演とかなり印象が違うのは音楽阿部海太郎、衣装スズキタカユキといつものメンバーではないアーティストが作品つくりに参加しているからかもしれない。

 原作アントンチェーホフというクレジットではあるけれど、この舞台では戯曲桜の園」の筋立てそのものがダンス作品化されたわけではない。チェーホフ戯曲ののダンス化作品としてはバレエのケネス・マクミラン版の「三人姉妹」が有名。ほかにもパパタマフマラ「三人姉妹

などもレパートリー作品として再演を繰り返している。マクミラン版では原作の登場人物である3人の姉妹が登場するし、パパタマフマラの場合はそこまで具体的ではないけれど3人姉妹らしきキャラクターが出てくる。

 ところが矢内原美邦の「桜の園」はまるでアプローチが異なる。この作品にはヒロインのラネーフスカヤはほとんど登場しないし、もちろん、ロパーヒン、アーニャといった別の登場人物も出てこない。代わりに最初の場面に登場するのは人形遊びする1人の少女とその友人でもあり、あるいは分身でもある大勢の少女たち。彼女らによる群舞がこのダンス作品の冒頭のシーンを彩る。これはチェーホフによる原作戯曲桜の園」の冒頭のト書き部分に出てくる「今なおこども部屋とよばれている一室」という部分からインスパイヤーされたのではないかと思われる。

 つまり、ここに登場するこども部屋というのはヒロインであるラネーフスカヤが少女時代暮らしていた部屋であるとともに、彼女自身の亡くなった子供もここで育てられた。そして、戯曲全体から言えば「桜の園」が売却され、この屋敷を去るという時に最後にラネーフスカヤがここを訪れたという意味でも「永遠に去ってしまった過去」の象徴のようなところがあるのが、この「子供部屋」でダンス作品ゆえにはっきりとはしないが「〜いちご新聞から〜」という今回の副題と矢内原美邦が時折自ら演じてみせている「人形で遊ぶ少女」というのは「桜の園」を離れるラネーフスカヤをサンリオキャラクターなどを紹介する「いちご新聞」に表象される自らの少女時代と重ね合わせる。そういうイメージがあったのではないかと思ったのだ。

 

 

[]青年団リンク・本広企画「演劇入門」@こまばアゴラ劇場

演出:本広克行

僕は今まで"当たって砕けろ"の精神で沢山の壁をうまく乗り越えてきたつもりでしたが、今回は今までで一番ヤバイ門を叩いてしまいました。

演劇入門』。その門は本来、演劇を迎え入れる為のわかりやすい入口のはずなのに、世の中の流れや経験によっては、閉ざし気味で新参者を受け入れないような「境界線」になっていたりする。演劇に限らず、すべての作り手はその境界線をどこかで意識しすぎて、混乱していくのだと考えます。今、僕はその境界線を破るべくこの大きな門に入ろうとしています。だけど正直、とても不安で怖い。だからこそ皆さん、一緒に入門してくれませんか?

本広克行 もとひろ・かつゆき

バラエティ番組演出を経、『NIGHT HEAD』、『踊る大捜査線』、『SP』等のドラマを演出。映画監督作品として『踊る大捜査線シリーズ3作、『UDON』、劇団ヨーロッパ企画」の演劇作品を映画化した『サマータイムマシン・ブルース』、『曲がれ!スプーン』などがある。2007年から演劇ユニット・FABRICA(ファブリカ)を立ち上げ3作品を上演している。

脚本岩井秀人

岩井です。あらすじと言いますか、原作となる「演劇入門」がHowTo本なので「どうしようかどうしようか」と悩みまくりました結果、なぜか今までで一番「自分人生における演劇というモノ」に向き合って検証する感じになってしまいそうです。それと意外と、自分である程度書いてみると、人生って物語だと思います

岩井秀人 いわい・ひでと

ハイバイ主宰。2007 年より青年団演出部所属。シリアスで個人的な体験を演劇という装置を使い"生々しいけれど笑えるコメディ"に変換する作品で評価が高い。代表作「ヒッキー・カンクーントルネード」「て」。俳優として、本広克行監督映画曲がれ!スプーン」「踊る大捜査線THE MOVIE 3」に出演。


出演 山内健司 志賀廣太郎 永井秀樹 川隅奈保子 島田曜蔵 古屋隆太 古舘寛治 山本雅幸 荻野友里 桜町元 鄭亜美 中村真生

スタッフ 美術杉山至 照明:岩城保 音響中村嘉宏 音響操作井川佳代 舞台監督中西隆雄 演出助手鹿島将介 フライヤーデザイン:京 (kyo.designworks) 写真momoko japan Web広報協力:SAL Corporation Inc. (株)クロト 制作野村政之 堤佳奈 仲田佳世 芸術監督平田オリザ

 「踊る大捜査線シリーズ映画監督本広克行青年団の門を叩いた!?岩井秀人が脚本担当。泣き笑い入り混じる岩井ワールドに、平田オリザ演劇入門」のエッセンスを入れ込んだ舞台

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 先日、東京デスロック渡辺源四郎商店の合同公演というのがあったが、それでいうとこちらは青年団+本広克彦監督の合同公演という感じだろうか。映画「曲がれ! スプーン」にも今回脚本担当した岩井秀人(ハイバイ・青年団演出部)、志賀廣太郎が出演するなど以前から関係が深かった青年団と共同で平田オリザ演劇入門」を舞台化した。  

演劇入門 (講談社現代新書)

演劇入門 (講談社現代新書)

2010-12-11 辻企画「愛―在りか― 」とO land Theater「月葬」

 関西の若手劇団最近あまりフォローできていないのを反省して、新たな発見を求めてこの日は京都に出掛けて2劇団の公演を続けてみることにした。いずれも今回が初見である(といってもOland Theatreは旗揚げ公演なのだからそれが当たり前か)。

[]辻企画「愛−在りか−」@人間スタジオ

[作・演出]司辻有香 [出演]山村麻由美 黒田政秀

日時:2010年12月10日(金) 14:00、19:00

             11日(土) 14:00、19:00

             12日(日) 14:00☆ 全5ステージ

 司辻有香は京都造形芸術大学出身の劇作家演出家だが、若くしてOMS戯曲賞、京都芸術センター演劇計画で立て続けに佳作を受賞。新進気鋭の劇作家として注目されていたのが、その後活動を実質的に中止して今回は4年ぶりの公演となった。その間に短い作品はよその劇団には書いていて、それが面白かったので注目していたのだけれど、実際に本人の作演出でその舞台を見るのはこれが初めてである

 作者の精神自画像を思わせるような女(山村麻由美)とその彼氏らしい男(黒田政秀)による2人芝居。女はどうやらかなり精神的に壊れた状態にあって、それが自ら言う「モノクロームの世界」に閉じこめられていて、そこからなんとか出たいともがき苦しんでいる。実は芝居の冒頭近くに俳優2人が全裸になってのセックスシーンがあって「これはいったい」と思ったのだが、ここには例えばポツドールに一時あったようなスキャンダリズム的なところはほとんどなく、それゆえに無防備でもあり、大丈夫なのかと考えこまされるところがあるのだが、こういう露骨な描写をしてもそれがポルノグラフィー風に嫌らしくならない。そこがなぜなのかをまず考えさせられた。

1人称描写などの主観表現が可能な小説と異なり、演劇平田オリザが現象論に擬えたように通常は外部からの客観的な視点を通じて現象を描くことになるところにその特徴がある。ところがこの「愛−在りか−」が興味深いのは2人の男女とそれを外部の安全な地点から観察している観客としての自分舞台の進行にしたがい揺らいでくるのだ。それは客観と考えていた現象にいつの間にか妄想や非現実が混ざりこんできて、しかもそれも最初は女の主観的描写の混ざりこみなどによる客観性の揺らぎにより、女の会話相手である男の実在性が次第に揺らいでくると仕掛けがあり、ここまではよくある手ともいえるのだが、後半は男の方が首を絞めて女を殺してしまうというような場面も出てきて、現実幻想の境界線が消失してしまう。

   

[]Oland Theater「月葬」@京都アトリエ劇研 

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 Oland Theaterはe-dance参加していた苧環凉らにより2010年5月発足。今回が旗揚げ公演となった。e-danceは元モノクロームサーカスなどに参加していた飯田茂美が率いるダンスコミュニティーで、共同創作により作品を作っていたためメンバーはダンサーのみでなく、演劇美術音楽などその構成は多岐にわたっていた。

 2年ほど活動した後、現在は活動を休止しているが、その後、参加メンバーはそれぞれの活動を個々にはじめており、このOland Theaterにも作・演出の苧環凉だけでなく、4人の出演者のうち3人がe-danceメンバーであり、活動休止後の個別活動として注目すべき出来事と考え、京都アトリエ劇研まで足を運ぶことにした。

 海の近くの地方都市ないし郊外と思われる家に引っ越ししたばかりの若い夫婦坂本美夕、)が

2010-12-07 第17回OMS戯曲賞受賞作品決定

[]第17回OMS戯曲賞受賞作品決定

2010年12月7日(火)に、精華小劇場にて最終選考会が行われ、それぞれ以下の作品に決まりました。

 大賞 : 「ムイカ」 はしぐちしん (コンブリ団)

http://www.ogbc.co.jp/img/OMS006.pdf

 佳作 : 「嘘ツキ、号泣」 山崎 彬 (悪い芝居)

http://www.ogbc.co.jp/img/OMS007.pdf

*「作品名」 ・ 作者 ・ (上演団体)

http://www.ogbc.co.jp/oms.htm

2010-12-05 ヤザキタケシ×森山未來「Revival」@アートシアターdB 

[]ヤザキタケシ×森山未來「Revival」@アートシアターdB 

日程/12月4日(土)・5日(日)※両日同プログラム

A プログラム 15:00〜

下村唯(不条理の天使)/イム・ジョンミ(スペース4.5)/佐藤健大郎(ミューザー)

B プログラム 17:00〜

森山未來(不条理の天使)/西岡樹里(スペース4.5)/佐藤健大郎(ミューザー)

C プログラム 19:00〜

ヤザキタケシ(不条理の天使/スペース4.5/ミューザー)

(料金)当日2,800円(前売り2,300円)※全席自由

場所/ArtTheater dB神戸

関西コンテンポラリーダンスパイオニア・ヤザキタケシの初期・代表作『不条理の天使』『スペース4.5』、そして2010年新作『ミューザー』を、ヤザキ本人と、キャリアフィールドの異なる5名のダンサーがカヴァーする。

|作品コメント(ヤザキタケシ)|

『不条理の天使』(1995年初演)

1995年、この頃はまだニューヨークヨーロッパエンタメアート)との境界で試行錯誤している状態で、表現としてはかなりエンタメの部分が色濃くでている作品です。「あらゆるものを手に入れたいと望む一人の男が、欲望をかなえるたびに向かって行く場所は天国地獄か。マイムダンスフュージョンした形でアルチュール・アッシュの曲にのコミカルに演じられた作品」今とは想いの違う、その当時の死生観が込められているところを今回は自分でどう受け止めるかが課題になりそうです。

『スペース4.5(レッドリッパー)』(1999年初演) 芸術祭典・京(委嘱作品)

1999年当時ノストラダムスの大予言に影響を受けた世代として、次世代を迎える事が出来るのかどうか?という曖昧な心情の中、自分の身辺を振り返り見つめ問うところから創作を始める。「ただでさえ限られた舞台空間の中に、もう一つ絞り込んだ場を造り淡々と踊る。これは自分に課した一つの実験の場でもあった、等身大の限られたスペースの中、雰囲気で見せるのでなく動く事に重点を置き、最後までとどまる事無く何処かに向かう作品」。その後、フランスアメリカチュニジア南アフリカシンガポール韓国など様々な国で上演。

ミューザー(沈思者)』(2010年初演)

森羅万象全てはエネルギーを持ち、エネルギーは振動を持つ。私達の存在生命活動と共に振動をしている。地球上の全ては振動に溢れている。音も然り。身体と音も密接に関わりあっている。・・・と云う事で今回は音にこだわり音と戯れようと思っております。自信はありませんが、とにかく楽しく音と戯れる事が出来ましたらお慰み。勿論!常識的な音は・・・ない!と・思う。

(問)NPO法人 DANCE BOX 078-646-7044

関西コンテンポラリーダンスを代表するヤザキタケシ*1が初期の代表作であるスペースX」「不条理の天使」を再振付。森山未來の参戦も話題となった。バレエなどと異なり、自分の振付作品を自分で踊るソロ作品などが多いコンテンポラリーダンスジャンルでは時折その人自身による再演というのはあっても、作品が他のダンサーに振り移されて、レパートリー化され、世代を超えて伝達されていくという機会は少ない。

 今回はヤザキタケシの過去の代表作であるスペースX」「不条理の天使」を彼よりも若い世代にあるダンサーが踊るとともに本人もひさしぶりに再演する、さらには新作「ミューザー(沈思者)」をアローダンコミュニケーションでの盟友である佐藤健太郎に振り付けるとともに自らも踊るというきわめて意欲的な内容で、作品数こそ3本と多くはないが、同じ作品が本人も含めて複数のダンサーに踊られることで、ダンサー・振付家ヤザキタケシの集大成的な位置づけを感じさせる公演となった。

 さらにこの公演には地元神戸の出身でもあり、阪神・淡路大震災15年 特集ドラマその街のこども」やドラマモテキ」の主演やバーコフ演出の「変身」への出演などで大活躍の若手俳優森山未來が「不条理の天使」を踊るということでも話題となり、注目された。

 「不条理の天使はいかにもヤザキタケシらしいコミカルな持ち味のマイムダンス。当時関西男性ダンサー勢揃いで開催されたダンス企画「GUYS」の1場面として上演された作品でその後、トリイホールのDANCEBOXなどでも再演されたが、上演されるのはそれ以来ではないかと思う。

 今回の企画では旧作をヤザキが若いダンサーと共同で再制作するというのが1つの売り物で、興味深くはあったがなかでもヤザキとカンパニーメンバーである佐藤健大郎による新作「ミューザー」、カンパニーメンバーだった松本芽紅見に振り移した実績のある「スペース4.5」はいいとして、最大の難物が「不条理の天使であることは企画段階からすでに予想がついた。というのはこれはただ身体がよく動いて踊ればいいというようなものでがなくて、かなりの部分がヤザキの個人技とキャラに支えられた作品の色合いが強かったからだ。

 最初に見たAプロでは近畿大学出身の下村唯が踊ったが、彼なりの精いっぱいの頑張りは買いたいとは思うが、「正直言って荷が重かったか」というのが見終わっての印象だ。もっともこれは下村には正直酷な話でダンサーとしての切れ、役者としての演技力マイムの正確な技術が本来必要な演目でもあるので、若干の期待はあった*2のだが、やはり難物は難物だった。

 元々、この「不条理の天使」という作品は上海太郎舞踏公司「ダーウィンの見た悪夢」の英国ツアーに客演することになったヤザキタケシがその影響のもとで自分になりに工夫して創作したダンスパントマイムなのだ。

 それと相前後して関西最初コンテンポラリーダンスカンパニーだった冬樹ダンスヴィジョンにも出演していたものの、関西のダンサーが複数参加してフランス各地をツアーして回ったことで関西コンテンポラリーダンスが普及するきっかけとなったスーザン・バージュの「MATOMA」*3にヤザキが参加したのは上舞英国ツアーの翌年のことであるから、文字通り、関西コンテンポラリーダンス黎明期の作品なのだ。

さてキャスティングに話を戻すとそこに登場したのが俳優森山未來で、その演技を生で見たのは劇団新感線ぐらいで、それでは身体の切れはいいぐらいのことしかからなかったのだが、その後、バーコフの「変身」でグレゴールを演じているのをテレビで見たことがあって、「彼ならいけるかも」と楽しみが倍加したのだ。

 実際の演技も見事に期待にこたえるもので特に後半の椅子を持ってタンゴを踊る場面での決めの美しさとそれとはかなりギャップがある前半のマイム場面での顔の演技のデフォルメ具合などヤザキのとはまた違う魅力があり、この作品のポテンシャルの高さを観客に存分に見せることになった。惜しむらくは今年の超多忙スケジュールをぬっての参加でもあり稽古時間が限られていたこともあってか、後半のダンス部分の身体のキレ、キメのカッコよさにはさすがのものがあったが、前半のマイム部分はグレゴールの演技などと比較して森山本来のポテンシャルからいえば最大限のものが出ていただろうかとの疑問があったことだ。つまり、再演すればかならずもっとよくなるはずなので、なんらかの形での再演を望みたいと思う。

 森山の好演に触発されたか、Cプロでのヤザキ自身による「不条理の天使」もよかった。年齢のことは言いたくはないが、48歳という年齢はダンサーとして若いとはとても言えないだろう。それだけに今回のCプロはヤザキにとってチャレンジだった。もちろん、ダンスインストラクターとしては関西一の 

 

*1:「現代日本演劇ダンスの系譜vol.12 ダンス編・ヤザキタケシ」セミネールin東心斎橋web講義http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00000603

*2学生時代上海太郎舞踏公司「Rhythm」への客演経験があった

*3:ダンサーとして冬樹、ヤザキタケシ、森美香代、森裕子スタッフとして坂本公成小原啓渡らが参加

2010-12-04 維新派とベトナムからの笑い声

[]維新派台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」@彩の国さいたま芸術劇場

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作・演出:松本雄吉 音楽:内橋和久 舞台監督:大田和司

 舞台美術黒田武志(sandscape) 照明デザイン吉本有輝子(真昼)

 照明:岸田緑、伊藤泰行 音響:田鹿充・move SE佐藤武紀

 演出助手中西美穂 衣裳:維新派衣裳部・江口佳子 衣裳協力 木村陽子高野裕美

 メイク:名村ミサ 宣伝美術:東學(188)、北村美沙子(188)

 宣伝写真福永幸治(スタジオエポック) ウェブ製作中川裕司(house-A)

 スタッフ五十嵐大輔、池田剛、内田欽弥、大鹿展明、岡田保、柏木準人、

 金城恒次、白藤垂人、中村公彦、羽柴英明

 協力:高岡茂(スタジオデルタ)、田辺泰志、百々寿治、西尾俊一(FINNEGANS WAKE

  1+1) 制作山崎佳奈子、清水主催財団法人埼玉県芸術文化振興財団維新派

 平成22年度文化庁芸術拠点形成事業

 出演:

 岩村吉純、藤木太郎、坊野康之、森正吏、金子仁司、中澤喬弘、山本伸一小林紀貴、石本由美、平野舞、稲垣里花、尾立亜実、境野香穂里大石美子、大形梨恵、土江田賀代、近森絵令、吉本博子、市川まや、今井美帆、小倉智恵、桑原杏奈、ならいく、松本幸恵、森百合香、長田紋奈

 東京公演出演:

 青木賢治、内田祥平、村島洋一、安達彩、安藤葉月入野雪花、大村さや香、関根敦子、中武円、堀井秀子、宮崎知穂、山本芙沙子、吉田由美

 維新派台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」は「瀬戸内国際芸術祭2010」の参加作品として今年の夏に岡山犬島で野外劇として上演された舞台劇場版だが、いくつかの場面が新たに付け加えられていて、サイトスペシフィックアートの要素が強かった犬島公演とはまったく別物の作品に仕上がった。

 <彼>と旅する20世紀三部作♯3と位置付けられた本作は、2007年の第1部「nostalgia」(南米篇)、2008年の第2部「呼吸機械」(東欧篇)に続く、第3部(アジア篇)としてシリーズ最後を飾る作品だ。ただ、アジアについてはこれまでも松本雄吉は何度も題材として取り組んできており、ここ最近の作品の中でも新国立劇場で上演された「nocturne」ですでに第2次大戦中の戦時下の満州を登場させたりしており、今回はどんなものを取り上げ3部作を締めくくるのだろうかというのは前作「呼吸機械」の終了時にすでに興味を抱いていたことだったが、初演が犬島でいくつかの島を舞台に展開する「瀬戸内国際芸術祭2010」の参加ということもあってか、戦前日本人の南方の島への進出の歴史と彼らが太平洋戦争に巻き込まれていくなかで悲劇的な運命に翻弄されていく姿を描いたのが「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」であった。

 表題の「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」はジュール・シュペルヴィエルという人の「中国灰色の牛が…」という詩から引用である

 参考のために全文を引用してみると


中国灰色の牛が

自分小屋に寝転んで

背伸びをすると

その同じ瞬間に

ウルグアイの牛が

振り返って見る

だれか動いたかなと

この両者の頭上に

昼となく夜となく

音もたてずに飛ぶ鳥がいる

地球をぐるっと回りながら

決して地球に触れもせず

決して止まりもせずに

(『無実の囚人』より)

 こんな風だ。 ただ、元の詩では「中国の〜」となっていたのが、今回のモチーフである「南島」に合わせて「台湾の〜」改変されている。シュペルヴィエルの詩自体はシュールレアリスムというか、見方によってはかなり幻想的な色合いのものなのだが、この「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」は例えば「ナツノトビラ」がそうであったように抒情的な幻想譚にはならずに、いわば叙事詩的に展開していく。

[]ベトナムからの笑い声「チェーンデスマッチ」@スペースイサン 

 脚本黒川猛 制作丸井重樹 秘書山本佳世 音楽:Nov.16

 舞台監督浜村修司 照明:真田吉貴 音響小早川保隆

 京都芸術センター制作支援事業 協力:スペース・イサン

 主催ベトナムからの笑い声

 出演:

 荒木千恵、黒川猛、徳永勝則、西河ヤスノリ、堀江洋一、松村康右、

 山方由美

 ACT1 古代帝国の謎 日本語版/古代語

 ACT2 コント師東京アンサンブル”  

 ACT3 母の愛したバルタン政二と娘の恋した春団治

 ACT4 円周率ギネスに載り損ねた男〜

 ACT5 パン屋のパン子ちゃん

 ACT6 名作劇場?〜キン肉マン編〜

2010-12-03 東京デスロック+渡辺源四郎商店「月と牛の耳」@キラリふじみ

[]東京デスロック渡辺源四郎商店「月と牛の耳」@キラリふじ

▼作 畑澤聖悟

▼演出 多田淳之介

▼出演

工藤佳子工藤静香三上晴佳、工藤良平、柿崎彩香、

宮越昭司、牧野慶一、畑澤聖悟

(以上 渡辺源四郎商店

夏目慎也、佐山和泉佐藤誠、間野律子

(以上 東京デスロック

石橋亜希子青年団


スタッフ

照明:岩城保

音響:泉田雄太

美術アドバイザー山下昇平

演出助手橋本

ドラマターグ:工藤千夏

宣伝美術宇野モンド

制作服部悦子、西後知春

プロデュース佐藤誠


主催渡辺源四郎商店 東京死錠

▼企画製作渡辺源四郎商店 東京死錠

助成財団法人アサヒビール芸術文化財団

芸術文化振興基金

公益財団法人セゾン文化財

▼協力:株式会社みどりや、青森演劇鑑賞協会、劇団雪の会、りんご屋、株式会社アールキュー株式会社T.E.S、NPO法人アートコアあおもり、ジパング株式会社グルーヴ青年団、(有)レトル、krei inc.、シバエンジン森下スタジオ

2010-12-01 twitter版お薦め芝居12月

[]twitterお薦め芝居12月

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twitterお薦め芝居12月

 フェスティバルトーキョーとKYOTOEXPERIMENTが終了。

twitterお薦め芝居12月 矢内原美邦ダンス公演「桜の園@あうるすぽっと★★★★ ダンス演劇現代美術とボーダレスな活動に参加している矢内原美邦が今回はチェーホフの「桜の園」をダンス作品に。ニブロールともミクニヤナイハラプロジェクトとも違う新たな顔が見られるか?

twitterお薦め芝居12月 悪い芝居「キョム!」@精華小劇場 ★★★★ 「嘘ツキ、号泣」が惜しくも受賞を逃したもののOMS戯曲賞佳作に入賞。今、関西でもっとも勢いのある劇団の新作は劇場で暮らす人々の話という。想像つかないがどんな物語になるのだろう。 

twitterお薦め芝居12月 デス電所「空洞メディアクリエーター@シアターBONBON★★★★ 劇団本拠地の東京への移動を発表したデス電所竹内佑の新作はストレートなB級スプラッタ系ホラー劇団公演の今回はオリジナルだが、舞城王太郎原作から脚本書き下ろした「NECK]とどこか似たテーストも感じる。

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twitterお薦め芝居12月 辻企画「愛—在りか— 」人間スタジオ★★★ OMS戯曲賞佳作、演劇計画佳作と期待の若手作家・司辻有香の4年ぶりの新作上演。

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twitterお薦め芝居12月宮北裕美振付「iiの死」アートシアターdB ★★★★ 長らくソロで活動してきた宮北裕美の満を持してのグループ作品。垣尾優、内山大ら曲者ダンサーをそろえてどんな作品を作るのか。要注目。

twitterお薦め芝居12月MONOトナカイを数えたら眠れない」ABCホール ★★★★ クリスマスに反対する集会を毎年ホテルに集まり行う男たちのある年のクリスマス。初期の代表作「Holly Night」を大幅に改作。

twitterお薦め芝居12月松本芽紅見ソロマルシェ@ロクソドンタブラック ★★★★アローダンコミュニケーションでヤザキタケシと長年コンビを組んできた松本によるソロ公演。18日にはヤザキがゲスト出演。

twitterお薦め芝居12月 東京デスロック渡辺源四郎商店「月と牛の耳」キラリふじみ ★★★★ 青森に本拠を置く地域劇団の優が脱東京宣言の東京デスロックと合同公演。畑沢聖吾が弘前劇場時代に初演した幻の代表作を多田淳之介が演出。

twitterお薦め芝居12月 維新派犬島公演「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき彩の国さいたま芸術劇場 ★★★★ 20世紀3部作第3弾。瀬戸内国際芸術祭に参加、岡山犬島で野外劇として上演された作品をホール向けに改作。

twitterお薦め芝居12月 ベトナムからの笑い声「チェーンデスマッチ」@スペースイサン★★★★ ここまでピュアに笑いのみに挑戦し続ける集団は稀有な存在であるメジャーにならなくていいからとにかく1日でも長くその活動を継続してほしい。 

twitterお薦め芝居12月 ヤザキタケシ振付「Revival」アートシアターdB★★★★ コンテンポラリーダンス関西を代表するヤザキタケシが初期の代表作であるスペースX」「不条理の天使」を振付。森山未來の参戦も話題。

twitterお薦め芝居12月本広企画「演劇入門」こまばアゴラ劇場 ★★★★ 『踊る大捜査線シリーズ映画監督本広克行青年団の門を叩いた!?岩井秀人が脚本担当。泣き笑い入り混じる岩井ワールドに、平田オリザ演劇入門』のエッセンスを……  

twitterお薦め芝居12月Oland Theatre「月葬」京都アトリエ劇研 ★★ e-dance参加していた苧環凉らにより2010年5月発足。日常に潜む見えない感情を取り上げ、劇という枠組みのなかで人間関係や行為を通してその在り方を探求する。‘O land’とは代表・苧環凉の頭文字をとったものだが、「ゼロからの」という意味もある。