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中西理の下北沢通信(旧・大阪日記) このページをアンテナに追加 RSSフィード

2012-03-31 C.T.T. 京都 vol.96|3月上演会

[]C.T.T. 京都 vol.96|3月上演会

参加団体

重力Note 「リスボンペソア

住吉山実里/帰山玲子 「solo×solo−『twin』×『水の太鼓』」

ドルフ 「不動産相続する姉妹

作品詳細は、以下をご覧ください



住吉山実里/帰山玲子 「solo×solo ―『twin』×『水の太鼓』」

出演:住吉山実里、帰山玲子

●C.T.T.で上演をする理由・目的

ソロダンス、というと自らが振り付けをする作品がそのほとんどです。

ソロダンサーとしてそれぞれ活動しているふたりが、互いの身体に作

品を振り付け合います。 振付家の身体観がダンサーの身体にどのように

反映されるかを立場を変えながら探求してゆきますある意味バトル。

なにが生まれるか楽しみです。

『水の太鼓』については9月キヤマニア自主公演の一部として上演予定。



ドルフ「不動産相続する姉妹

演出:筒井加寿子 出演者:駒田大輔、谷弘恵、渡辺綾子[イッパイアンテナ

●C.T.T.で上演をする理由・目的

7月京都名古屋で行われる京都舞台芸術協会プロデュース公演に向け

ての試演。演目は、同公演に新作を書き下ろされる田辺剛氏の短編

実際に一度舞台作品にしてみることで、 7月に向けての課題を見つけたい

と思います

重力Note 「リスボンペソア

構成・演出:鹿島将介 出演:稲垣干城、瀧腰教寛、立本雄一郎

井上美香、邸木ユカ

●C.T.T.で上演をする理由・目的

昨年9月アトリエ劇研にてCWSをおこなう機会があり、その時の経験

アトリエ劇研という空間試行錯誤する機会を得られることに魅力を

おぼえた。

今回、ポルトガル詩人フェルナンド・ペソアテキストを通して《海》と

都市》との和解について考える。自らの必要に応じて生まれた作品が

何を語りうるのか、京都の観客と共に聞きたい。

2012-03-29 マームとジプシー「LEM-on/RE:mum-ON!!」

[]マームジプシー「LEM-on/RE:mum-ON!!」@元・立誠小学校

「LEM-on/RE:mum-ON!!」

死にゆく男と周囲の人々。始まりと終わりの中間点。

人々は右往左往しながら、生まれてから死ぬまでを、

常に進行方向を変えずに、矢印を終点に向けながら、

今日陰鬱に歩いている。今夜も酔っ払ってしまい、

それでも街へ繰り出して、歩く。歩く。歩く。歩く。

廃校になった学校の中を、歩き。躓き。歩き。躓き。

ひたすら反復し繰り返す、冬のマームジプシー的、

人生論みたいな辛いお話




「LEM-on/RE:mum-ON!!」

[初演] 2012年3月

[出演者]

伊野香織 荻原綾 尾野島慎太朗 川崎ゆり子 斎藤章子

高山玲子 成田亜佑美 波佐谷聡 召田実子 吉田聡

[スタッフ]

原案:梶井基次郎檸檬』他

作・演出:藤田貴大

舞台監督森山香緒梨

照  明:吉成陽子

音  響:角田里枝

記録・舞台美術協力:細川浩伸(急な坂アトリエ)

制  作:林香菜市川公美子

主  催:マームジプシー、坂あがりスカラシップ(急な坂スタジオ、STスポット、のげシャーレ)

共  催:立誠・文化のまち運営委員会

 マームジプシー「LEM-on/RE:mum-ON!!」はサイトスぺシフィックな作品であった。廃校になった学校に漂う独特の空気感藤田の劇世界共鳴しあって観客自身の記憶のツボを刺激した。梶井基次郎の「檸檬」を舞台化すると聞いていたのだが、そうではなく「檸檬」はもちろん「Kの昇天」「冬の蠅」「桜の樹の下には」など梶井の複数の短編に登場するイメージコラージュのように引用しながら、時を隔てた同年代(少し上だが)の梶井に向けての藤田の返歌としてこの作品は制作された。

 岸田國士戯曲賞を受賞した「塩ふる世界。」をはじめ藤田の劇世界では大切な人の死ないしその変奏としての別離モチーフとして頻出する。原作ものとしてはこの作品の前にカミュ異邦人」を手掛けたが、その小説も母の死という藤田が好んで取り上げた主題を共有しており、それからいうと梶井基次郎は自らの病弱を反映してか、死を象徴するモチーフが頻出する作家であるということからして、藤田精神的な双生児のようなところがある。

 この作品では何度も同じセリフや主題が繰り返されるが、そこに通底しているのはやはり「死」のイメージであって、「塩ふる世界。」や「Kと真夜中のほとりで」と比較すると身体的な強度は低いが、それでも繰り返すことによる「肉体の酷使」という手法はここでも使われていて、そこには「RE/PLAY」と共通するような問題意識が表れていることは強く感じた。

2012-03-28 マームとジプシー「LEM-on/RE:mum-ON!!」

[]マームジプシー「LEM-on/RE:mum-ON!!」@元・立誠小学校

「LEM-on/RE:mum-ON!!」

死にゆく男と周囲の人々。始まりと終わりの中間点。

人々は右往左往しながら、生まれてから死ぬまでを、

常に進行方向を変えずに、矢印を終点に向けながら、

今日陰鬱に歩いている。今夜も酔っ払ってしまい、

それでも街へ繰り出して、歩く。歩く。歩く。歩く。

廃校になった学校の中を、歩き。躓き。歩き。躓き。

ひたすら反復し繰り返す、冬のマームジプシー的、

人生論みたいな辛いお話




「LEM-on/RE:mum-ON!!」

[初演] 2012年3月

[出演者]

伊野香織 荻原綾 尾野島慎太朗 川崎ゆり子 斎藤章子

高山玲子 成田亜佑美 波佐谷聡 召田実子 吉田聡

[スタッフ]

原案:梶井基次郎檸檬』他

作・演出:藤田貴大

舞台監督森山香緒梨

照  明:吉成陽子

音  響:角田里枝

記録・舞台美術協力:細川浩伸(急な坂アトリエ)

制  作:林香菜市川公美子

主  催:マームジプシー、坂あがりスカラシップ(急な坂スタジオ、STスポット、のげシャーレ)

共  催:立誠・文化のまち運営委員会

2012-03-24 趣向とミクニヤナイハラプロジェクト

[]趣向「三月十一日の夜のはなし/わたしのお父さん」@横浜STスポット

脚本 オノマリコ

演出 オノマリコ

出演 斉藤まりえ, 浅見臣樹.小田さやか.戸谷絵里

「三月十一日の夜のはなし」

(一人芝居 出演:斉藤まりえ)

あの夜はいい夜だった。震災の夜。女は中野の店にいた。

常連さんと一緒に、飲んで歌って騒いでいた。

からメール。夫から電話パソコン越しに見る人々の善意

あの夜はやさしい夜だった。女は語る。2011年3月11日。夜のできごと。

「わたしのお父さん」

(三人芝居 出演:浅見臣樹、小田さやか、戸谷絵里 2010年上演「Skyburial」を改題)

父さんが死んだ。チベットで鳥に食べられた。

どうしてチベットになんて行ったんだろう。父さんは死ぬことがわかってた。

めったに家にいなかった父さん。

お母さんと仲が悪かった父さん。

酔っぱらって、弟に怒鳴られてた父さん。

わたしを愛してなかったかもしれない父さん。

いまいち「家族」になれなかったね。そんなわたしたち、家族の話。

[]ミクニヤナイハラプロジェクトvol.6「幸福オンザ道路」@横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール

今回矢内原美邦が描くのは、生と死をめぐるサスペンスドラマ

ビートジェネレーションの支離滅裂で躍動感あふれる狂騒の文体さながらに、俳優舞台で駆けずり回り、叫び、歌い、ぶつかり、そしてまた叫ぶ。

死に向かって、生きている。

彼らは部屋の中で駆け足をする―詩の朗読は誰かを救うだろうか…?

Credits

作・演出・振付 矢内原美邦

出演 光瀬指絵、鈴木将一朗、柴田雄平、たにぐちいくこ、NIWA、守美樹、他

舞台美術 細川浩伸(急な坂アトリエ

舞台監督 鈴木康郎、湯山千景

照明 木藤歩

宣伝美術 石田直久

イラスト アベミズキ

企画・制作 precog

主催 ミクニヤナイハラプロジェクト

共催 横浜赤レンガ倉庫1号館(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団

助成 芸術文化振興基金

後援 神奈川新聞社tvkRFラジオ日本FMヨコハマ横浜市ケーブルテレビ協議会

特別協力 急な坂スタジオ

協力 STスポット

 ミクニヤナイハラプロジェクトでの矢内原美邦舞台には「青ノ鳥」がメーテルリンク青い鳥」とファーブル昆虫記」、「五人姉妹」が(おそらく)チェーホフの「三人姉妹」、「前向き!タイモン」がシェイクスピアの「アテネタイモン」とそれぞれ下敷きになる原作(のようなもの)があるのだが、いろいろ自分流に弄り回しているうちに「どこが?」というほど原作と似てもにつかぬものになってしまっていることがひとつの特徴といえるかもしれない(まあ、そのおかげで翻案はだめという岸田戯曲賞を見事に受賞したわけだが)。

 それでいうと今回の「幸福オンザ道路」は表題から言っても確かジャック・ケルアックの「オン・ザ・ロード路上)」だったはずなのだが、「16歳で亡くなった少年が人造人間として蘇ったが16歳までの記憶しか持たずその後成長してしまった大人の身体と折り合いがつかずに彷徨している」というまったくと言っていいほど関係のないものになっているように見えた。準備公演ではまだ野外の場面があって、道を移動する映像もあったような記憶がおぼろげながらあるのだけれど、今回は完全に室内劇となっていた(笑)。準備公演の時点での発表資料(http://precog-jp.net/press-releases/happiness-on-the-road.pdf)を見つけたのだけれど、どうもその時とは細部の設定などはだいぶ変わってしまっているんじゃないかと思う。

 

 ミクニヤナイハラプロジェクトについてはこれまで最初の公演となった「3年2組」をその年のベストアクト1位に選んだのをはじめとしてその先端的な方法論を高く評価してきた。

2005年演劇ベストアクト http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20060123

ミクニヤナイハラプロジェクト「3年2組」http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20050717

 矢内原は「3年2組」では、会話体としての台詞を温存しながら、その台詞を速射砲のように俳優が発話できる限界に近い速さ、あるいは場合によっては限界を超えた速さでしゃべらせることによって、言語テキストにまるでダンスのようなドライブ感を持たせることに成功し、それが音楽映像シンクロしていくことで、高揚感が持続する舞台を作りあげた。

 ここで興味深いのは矢内原の振付において特徴的なことのひとつパフォーマー、ダンサーの動きをダンサーがその身体能力キャッチアップできる限界ぎりぎり、あるいは限界を超えた速さで動かし、そうすることで既存ダンステクニックではコントロールできないエッジのようなもの意図的に作り出すというのがあるが、この作品ではその方法論を身体の動きだけでなくて、台詞フレージングにも応用しようと試みていることで、そういう意味で言えばここでの台詞の発話に対する演出においてダンスの振付と同じことを目指しているように思われたことだ。

 ダンスの振付と一応、書いたけれども、これは通常「振付」と考えられているある特定の振り(ムーブメント)をダンサーの身体を通じて具現化していくというのとは逆のベクトルを持っているのが矢内原方法面白さでもちろん彼女場合にも最初の段階としてはある振りをダンサーに指示して、それを具現化する段階はあるのだけれど、普通の振付ではイメージ通りの振りを踊るために訓練によってメソッドのようなものが習得されていくのに対して、ここではその「振り」を加速していくことで、実際のダンサーの身体によってトレース可能な動きと仮想上のこう動くという動きの間に身体的な負荷を極限化することによって、ある種の乖離(ぶれのようなもの)が生まれ、それが制御不能なノイズ的な身体を生み出すわけだが、こういう迂回的な回路を通じて生まれたノイズ舞台上で示現させることに狙いがあるのじゃないかと思う。

 ここで思い起こされるのはチェルフィッチュ岡田利規言葉と身体の関係性のなかから生まれてくるある種の乖離(ずれ)の重要性というのをやはり強調していたことで、それに至るアプローチ方法論としてはまったく異なるというか、逆のベクトルを持っているようにも思われるこの2人のアーティストが結果的に同じようなものを求めているのじゃないかと考えさせられたことだ。

 「3年2組」ではミクニヤナイハラプロジェクトでの方法論を以上のように分析して、それは1980年代野田秀樹が「夢の遊眠社」で試みた実験とある意味通底する部分があると考え、「21世紀の遊眠社」と呼んでみた。実はミクニヤナイハラプロジェクトはこの方法論を維持しながらも、「ささやくようなセリフや身体表現、歌などさまざまな要素の舞台上での交雑」(「青ノ鳥」)などをへて、さまざまな表現方法の組み合わせを実験したうえで、この「幸福オンザ道路」では「台詞を速射砲のように俳優が発話できる限界に近い速さ、あるいは場合によっては限界を超えた速さでしゃべらせることによって、言語テキストにまるでダンスのようなドライブ感を持たせる」という原点に戻ってきているようなところがあった。

 その理由を考えるとひとつには「ビートジェネレーションの支離滅裂で躍動感あふれる狂騒の文体さながらに、俳優舞台で駆けずり回り、叫び、歌い、ぶつかり、そしてまた叫ぶ」と公式サイトにあるように内容的にはもはやほとんど関係なく見えるもののその出発点がビートニク詩人ジャック・ケルアックの「オン・ザ・ロード路上)」であることからして「疾走感」というのが決定的に重要からかもしれない。そのことは分からなくはないのだが、実をいうと今回の舞台にはこれまで何度もミクニヤナイハラプロジェクト観劇してきて初めて内容と形式(スタイル)のミスマッチ感を感じた。

 「路上」のイメージが喚起する疾走感と比較するときに「幸福オンザ道路」はひとつの方向に突っ走っていくような感覚よりはもう少し丁寧に行きつ戻りつしたような演技の方向性の方が適しているのではないかと私には思われたのがひとつ。もうひとつは今まで以上に強い負荷(セリフを早く言わせる)をかけたためか、「五人姉妹」「前向き!タイモン」ではなかった、本当にただ喚いていて何を言っているんだか全然からない人が何人か役者のなかに含まれているように感じたということがあった。

 「役者が下手なのか」という疑いも持ったのだが、演出の要求によるものとも考えられ、そのどちらかというのを考えながら舞台を見たのだが、よく分からなかった。いずれにせよ今回の矢内原演出の方向性はそれが意図通りのものにせよ、そうなってしまったものにせよ、結果的にはそういう演技を許容しているようなところがある。それがどちらかはともかく、終演後気になって矢内原美邦本人に「今回の演出はこれまで以上に突っ走っていっていたように感じたのだが……」との問いに「今回はどうしてもそうしたかった」とのことで

時間がなくてあまり詳しいことは聞けなかったが、やはり今回は確信犯としてそうしたという可能性が強いのだろうなと感じた。

 私見ではあるがやはり矢内原演出の魅力は以前には「発話できる限界に近い速さ、あるいは場合によっては限界を超えた速さでしゃべらせる」と書いたが、「限界」のぎりぎりのところで負荷をかけることにあり、そこでは「意味重要」と一方で強調するように一語一語を出来うる限りしっかりと発話しつつ早くしゃべるという原則が崩れてしまって、言えない部分を適当ごまかして発話しはじめると本来とは違ってきてしまう。一見ぶんまわし流の暴力的なダンスに見えて矢内原の振付がそうではないように、演劇の発話においてもそこの繊細さが決定的に重要で、それがあるからこそ単純にドライブ感だけでは表現しきれない複雑かつ繊細な戯曲上の表現が可能になるわけで、今回の「幸福オンザ道路」の場合はそこの部分で若干のかい離が感じられたのだ。

ワークインプログレス ミクニヤナイハラプロジェクト vol.5 『幸福オンザ道路』2010

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 もうひとつ違和感映像の使い方で、ワークインプログレスでは舞台映像が多用されていて特に最後の方で「路上」劇が上演されるのに重要な要素として介在していて、そういうやり方があるんだと感心させられた。「五人姉妹」「前向き!タイモン」では映像舞台との関係性がもう少し複雑かつ効果的に思えたのが、今回は舞台下手にモニターがあって映像はそこにずっと映されているだけで、ひょっとしたら最初もっと舞台に重ねて使うはずだった映像が途中ではずされた可能性もとまで考えて聞いてみたのだが、これも「最初からこういう風に使う予定だった」という答え。これだったら映像は「場合によってはいらないのではないか」とさえ思ったのだが、結局、映像がこうなった必然的な理由がいまだにしっくりとこないのだ。

 そうした違和感を持ちながらも救いとなった気がしたのはこの舞台最後の方の「死について」のモノローグのセリフがそれまでのような調子ではなく語られたことだ。この部分はワークインプログレスにもあったのかどうかが記憶としてはっきりしないのだが、「3・11」以降の作品としてこの部分の重要性は一層増しており、  

2012-03-20 セミネール「ダンス×演劇×アート  矢内原美邦」

[]「ダンス×演劇×アート 境界線を越えて 矢内原美邦ミクニヤナイハラプロジェクト」in東心斎橋

コーディネーター・中西理(演劇舞踊評論

祝・岸田國士戯曲賞受賞

 東心斎橋のBAR&ギャラリーを会場に作品・作家への独断も交えたレクチャー(解説)とミニシアター級の大画面のDVD映像演劇ダンスを楽しんでもらおうというレクチャー映像上映会セミネール。今月はニブロールオフニブロールなどでの活動によるコンテンポラリーダンスメディアアート世界での評価に加え、つい先日、演劇上演のプロジェクトミクニヤナイハラプロジェクトで上演された「前向き!タイモン」(2011年)が岸田戯曲賞を受賞、演劇世界でも評価されるなどますますその活躍ぶりが期待される矢内原美邦ニブロール)を取り上げたいと思いますポストゼロ年代になって演劇ダンス境界にあるような作品が目立ってきている昨今の状況があるが、そうした動きの先駆者となってきたのがチェルフィッチュ岡田利規ニブロール矢内原美邦である。ただ、これまでは岡田演劇界のみでなくダンスからも注目を受けてきたのに対して、矢内原美邦場合演劇界からはあまり大きな注目を受けていたとはいえず、特に関西では作品上演の機会がこれまで限られていたこともあり、知名度はそれほどでもなかったのも確かだ。今回は岸田賞受賞を契機ににわか演劇界でも注目の人となりそうな矢内原美邦の作品を演劇作品を中心に紹介したいと思う。

「前向き!タイモン」

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幸福オン・ザ道路

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【日時】2012年3月20日(火)7時半〜 【場所】〔FINNEGANS WAKE〕1+1 にて 【料金】¥1500[1ドリンク付]

※[予約優先]  定員20人ほどのスペースなので、出来るだけ予約をお願い致します。当日飛び込みも満席でなければ可能ですが、+300円となります。なお、満席場合お断りすることもあります

【予約・お問い合わせ】

メール fw1212+yoyaku.120320@gmail.com あるいはBXL02200@nifty.ne.jp中西)まで お名前 人数 お客様E-MAIL お客様のTEL お客様の住所をご記入のうえ、 上記アドレスまでお申し込み下さい。ツイッター(@simokitazawa)での予約も受け付けます

●(電話での予約・問い合わせ) 06-6251-9988 PM8:00〜 〔FINNEGANS WAKE]1+1 まで。 ▼web:fw1plus1.info  Bridge Gallery & Bar 〔FINNEGANS WAKE〕1+1 大阪市中央区東心斎橋1-6-31 リードプラザ心斎橋5F (東心斎橋清水通り。南警察署2軒西へ)

過去に書いたレビューなどのうちに第一回に取り上げる予定のニブロールと関係した文章を集めてみました。レクチャーに参加予定の人、あるいは興味を持った人は読んでみてください。

セミネールWEB講義ニブロール

http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00000225

ニブロールdry flowerhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20040228

ニブロール「no direction,everday」 http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20061029

ニブロールロミオORジュリエット」 http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20080119 

MIKUNI YANAIHARA PROJECT「3年2組」@愛知県立芸術文化センター http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20050717

http://www.pan-kyoto.com/data/review/58-04.html

MIKUNIYANAIHARA PROJECTvol.2「青ノ鳥」@STスポット http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20060702

MIKUNI YANAIHARA PROJECT「青ノ鳥」wonderlandレビュー http://www.wonderlands.jp/archives/12315/

<AWARD>

2009。"日本ダンスフォーラム賞2009グランプリ"

2004年。"森美術館現代賞"

2002。"国家諮問委員会賞"バニョレ国際振付コンクール

2000。"ミレニアム文化芸術祭賞"


 

2012-03-10 夕暮れ社 弱男ユニットと「踊りに行くぜ!!」II

[]夕暮れ社 弱男ユニット「友情のようなもの」@元・立誠小学校職員室

作・演出=村上慎太郎

出演/稲森明日香小川敦子、古藤望、小林欣也、佐々木峻一、住吉山実里、藤田亘、御厨亮、向井咲絵

舞台監督/吉村聡浩

美術/小西由悟

照明/平井康太 吉津果美

音響/genseiichi

映像/孝学直・南基文

宣伝美術web制作/荒木康代

制作/竹宮華美・村蒔実沙

企画・主催/夕暮れ社 弱男ユニット

共催/立誠・文化のまちの運営委員会

 夕暮れ社弱男ユニット「友情のようなもの」を観劇した。四方囲みの客席の真ん中にプール状に掘られた穴のなかで、役者がずっと寝転んだまま上演された演劇である。ひさしぶりにその存在さえ忘れていたマシュマロ・ウェーブ「二次元劇団エジプト*1を思いだしたが、だれも相槌を打ってくれそうな相手が近くにいなくてツラい(笑)。ロックバンドを結成して頑張る若者たちの青春群像というが、登場人物はステレオタイプな人物造形が最初は気になった。ロック舐めるんじゃねえと思うが、動く四コマギャグ漫画のようなものと思うべきなんだろう。一度だけ使うアイデアとしては極めて秀逸でギャグ漫画になぞらえるなら問題はこの水準をどれだけ維持できるか。簡単ではないはず。シベリア少女鉄道は一度だけのアイデアを次々と繰り出しその名を高めた。才気は感じる。夕暮れ社弱男ユニットの次の作品にも注目したい。

[] 「踊りに行くぜ!!」II@京都芸術センター

「MESSY」

作・演出=菅原さちゑ

振付・出演=田中夢、伊藤綾、菅原さちゑ、音楽=菅田典幸、ドラマトゥルク=内田敦子

Special Thanks to 佐成哲夫、タケヤアケミ

それから六千五百年 地球は寝ているだろう」

作・振付・演出=坂本公成

振付・アシスタント森裕子monochrome circus

振付・出演=とりっとダンス from鳥取11年9月、鳥の演劇祭4で初演)

「4....soku」

作・演出=青木尚哉

音楽=熊地勇太美術=カミイケタクヤ、振付・出演=山田勇気、青木尚哉、衣装斉藤絵美

 JCDNの全国巡回公演「踊りに行くぜ!!」が「踊りに行くぜ!!」II(セカンド)へのリニューアルされて今年が2年目である。これまで毎年福岡松山をはじめとする地方会場に顔を出してきていたのだが、今年は日程がほかの公演と重なってしまい結局、東京ファイナルを前にした京都公演で初の観劇となった。本当は「踊りに行くぜ!!」の場合には単なるダンス作品の公演というだけではなく、いわばワーク・イン・プログレスのように地方巡回によって何度も同一作品の再演を繰り返すことで、作品が変化し続けて、成長していくのを追体験していくところにその醍醐味があるのだが、今年はそういう意味ではかなり完成形に近づいた段階での観劇となった。

 京都では3本の作品が上演されたが、それぞれがまったく方向性の異なる作品であり、振付家、出演者のキャリアも異なるため、同一の基準で評価するのは難しい公演でもあったが、その分、現在コンテンポラリーダンスの広がりを実感することにもなった。

 ダンス作品としての隙のなさを見せてこの日見た舞台白眉となっていたのが青木尚哉による「4....soku」である青木は金森譲の率いるNoismの主力メンバーとして活動した後、退団。最近フリーとして活動し昨年は白井剛「静物画」にも出演するなどダンサーとしてはトップレベルの活躍を見せているが、「本格的な振付作品は今回が初めて」(青木)という。初振付作品ではあるが、ダンサーとしての知名度も高いから、注目の新人であることは間違いない。

 ダンサーとしてNoism時代の後輩でやはりNoismを退団して現在フリーである盟友、山田勇気を招いてデュオ作品を制作した。美術として、山下残矢内原美邦作品などにも参加しているカメイケタクヤが加わり、作品は制作された。特徴があるのが前半部分で、 

*1マシュマロウェーブの「二次元劇団エジプト」は、私が先月観た芝居の中で、もうダントツで「面白い」と思った作品だった。自転車日本を一周しながら地方劇団を発掘してくるという(まるで平田オリザを思わせるような)演劇プロデューサー飛騨高山から連れてきた「二次元劇団エジプト」。彼らが見せる、演劇常識を覆すようなモノ凄い劇中劇によって、私たちは腹が痛くなるほどに笑わされてしまったものだ。しかし世の現実とは恐ろしいもので、先月、静岡県主催する演劇イベントに招かれた私うにたもみいちは、そこで実際に「二次元劇団エジプト」級のモノ凄い地方劇団の芝居を目撃してしまった。その劇団は「超歌劇団」といい、上演タイトルは「幻想という名の真実〜序章〜」という。それがどんなにモノ凄い芝居だったかは、機を改めてどこかで書こうと思っている。ただ、そう書くと私がホラを吹いてるんじゃないかと勘ぐる方々もいようが、彼らの公演は、私だけでなく、宮沢章夫さんや財団法人地域創造の小暮演劇部長も同様に目撃して衝撃を受けている。そればかりか北九州で「夢の工場」という劇団主宰する大塚恵美子さんという人までもがビックリしていたのだ。北九州の人までもがビックリしてしま静岡ローカル劇団だぞ。とにかくマシュマロの「二次元劇団エジプト」を観てると、ひたすら「超歌劇団」の記憶と重なって、二重の面白さが味わえてしまいました。(うにたもみいち、えんげきのページコメントから引用

2012-03-09 演劇批評誌「Act」22号劇評募集&ウェブサイト公開中

[]演劇批評誌「Act」22号向けの劇評募集

  「Act]では新進の舞台芸術批評の書き手発掘をめざし、演劇批評誌「Act」次回22号の投稿原稿(劇評)を募集しています。次号は「演劇×ダンス クロスオーバー」と題して、最近目立つ「演劇なのかダンスなのか分からないもの」現象に切り込む予定。多田淳之介東京デスロックインタビューなどを予定。投稿原稿関西地区上演のもの関西の集団による上演、あるいは関西在住の筆者の劇評であればなんでも歓迎ですが、特集との関係もあり、特に木ノ下歌舞伎「三番叟/娘道成寺」、山下残、「We dance京都2012」での公演などは大歓迎します。締め切りは4月末日。

下記の要領で、一般読者からの投稿を募集しています編集部審査の上、優れたものを「act」に掲載します

投稿内容は劇評、時評・発言、海外演劇紹介、書評などジャンルを問いませんが、関西地区上演の舞台対象の劇評を歓迎します

・字数制限はありません。紙版「act」に前半1200字、web版「act」に写真入りで全文を掲載いたします

原稿料はお出しできません。

・著者校正はありませんので、完全原稿でお寄せください。

投稿メールでお願いいたします。件名に【「act投稿原稿】と記入し、次のアドレスまでお送りください。

 info(at)act-kansai.net

原稿には、執筆者名(筆名使用の場合本名も)、連絡先、職業所属先)、対象公演名、鑑賞日を明記ください。

[]演劇批評誌「Act」21号ウェブサイト公開中

 国際演劇評論家協会(AICT)日本センター関西支部が発行するフリーペーパー形式の演劇批評誌「Act」 21号(編集長中西理)のウェブ版(http://act-kansai.net/?cat=12)を公開中です。特集は都市型国際演劇祭「KYOTO EXPERIMENT2011」。巻頭インタビュー平田オリザ「国際舞台芸術フェスティバルと拠点劇場」。平田オリザ+大阪大学石黒研究室 アンドロイド演劇さようなら』のクロスレビューのほか、KYOTO EXPERIMENT2011やフェスティバル/トーキョー2011での上演作品の劇評など盛りだくさん内容となっております

 フリーペーパー版は関西を中心にした各劇場など(東京でもこまばアゴラ劇場王子小劇場など)で入手可能です。フリーペーパー形式ではありますが「かならず手に入れたい」という人には定期購読サポーター会員も募集しています資金的にも苦しいなかで運営してりますので、どうぞご支援よろしくお願いいたします

21号目次(2012.1.31)

●特集 都市型国際演劇祭「KYOTO EXPERIMENT2011」

巻頭インタビュー 平田オリザ「国際舞台芸術フェスティバルと拠点劇場

クロスレビュー 平田オリザ+大阪大学石黒研究室 アンドロイド演劇さようなら

中西理(演劇評論誌『Act編集長) 

水牛健太郎(ワンダーランド編集長

●劇評

星野明彦 KUNIO09『エンジェルス・イン・アメリカ』KYOTO EXPERIMENT2011

坂本秀夫  ザカリー・オバザン『Your brother.Remenber?』KYOTO EXPERIMENT2011

藤原央登 あうるすぽっとプロデュース岡田利規+森山開次)『家電のように解り合えない』フェスティバル/トーキョー2011

古後奈緒子 ルネ・ポレシェ『無防備映画都市 ルール地方三部作・第二部』フェスティバル/トーキョー2011

須川渡 いわき総合高校演劇部Final Fantasy for XI.III.MMXI』

ダンス

上念省三 今貂子+綺羅座『而今の花』

2012-03-05 第56回岸田國士戯曲賞を3氏が受賞

[]第56回岸田國士戯曲賞発表

 第56回岸田國士戯曲賞白水社主催)の選考会が2012年3月5日東京神田神保町・學士會館で行なわれ、選考の結果、ノゾエ征爾『○○トアル風景』、藤田貴大『かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと、しおふる世界。』、矢内原美邦『前向き!タイモン』が受賞作と決定した。

第56回受賞作品

ノゾエ征爾『○○トアル風景

藤田貴大 『かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと、しおふる世界。』

矢内原美邦 『前向き!タイモン』

 候補作を眺めて、昨年の私の個人的ベストアクトの作者*1であったマームジプシー藤田貴大、以前から注目し、レクチャーなどでも取り上げていた矢内原美邦*2関西では現在イチオシ存在である悪い芝居の山崎彬の3人のうちだれかひとりは受賞しないかなと期待していたら、なんと今年は受賞者が30年ぶりに3人で藤田貴大、矢内原美邦の両方が受賞。少し驚いたが嬉しい驚きであった。

2012-03-04 第2劇場「かなこるむ。」@ウイングフィールド

[]第2劇場「かなこるむ。」@ウイングフィールド

作・四夜原茂

演出・阿部

世界を変えるのはやる気のある人々のやる気なのです。最近では、子供を持つ母親の抱く恐怖と怒り。結果、男ばかりが残された町があり、しかたなく彼らが営む店があったのです。オールガスを旗印にして苦労して店を切り盛りする男達。その店で事件は起こったのです。厨房であれほど活躍していた圧力釜が・・・なぜか爆発しそうになっている!ふたが開かずガスも止められない!そのあとも次々と起こる想定外の出来事!破局に向けてひた走る定食屋!彼らに未来はあるのか!2劇が送る久々のスペクタクル。恐怖の結末は・・・劇場で。

キャスト

竹腰かなこ 横山秀信

青山誠司 川上立 伊藤法子 平野洋平 池田光曜 石龍恵

岸本愉香 園田晃己 長尾大樹 紅谷祐子 片岡裕貴

阿部

スタッフ

演出補・水町紫

舞台監督・林直樹

照明・東直樹

音響・堀之内克彦、東山直樹

舞台美術・竹腰かなこ

衣装岸本愉香

小道具・紅谷祐子

宣伝美術・いまにしけん+はらだけい

制作・(有)DNG北本貴子、桂久美子、原田

 東日本大震災ならびに福島第1原子力発電所の事故が起こってもうすぐ1年がたつ。震災についても原発事故についてもいろんな作家舞台化を試みたようだが、正直言って多くの場合ステレオタイプである阪神大震災の際には桃園会の深津篤史が生み出した珠玉の作品群があったが、その水準に追いつくほどのものを生み出していないと実感せざるをえない。

 そのひとつの理由は本来別々の問題であるはずなのに私たちが震災を考える際、どうしても原発事故連想してしまうということがある。そして、原発問題に関していえば私がこれまで見た舞台はとってつけたような反原発であったり、政府東電に対する糾弾であったりして「なんだかな」と思うようなものが多く、むしろそのことに直接触れていない作品や震災以前に制作された作品の方に優れた「震災劇」はあった。

 原発事故に関して言えば、事故が起こった当初から「彼ならどう思うのだろうか」という話を聞いてみたい人物が関西演劇界にひとりだけいた。第2劇場の四夜原茂(阿部茂)である。なぜなら、彼は大阪大学原子核工学を学び、一度は原発関連企業就職した経験を持つ演劇界では数少ない本当の専門家だったからだ。

 残念ながら今回は終演後にあいさつもそこそこすぐ出社しなくてはならず、四夜原の話を詳しく聞くことはできなかったのだが、今回の新作「かなこるむ。」はまさに今回の原発事故をめぐる問題に取り組んだもので単純な反原発プロパガンダ劇にはなっていないことがこの問題に対する四夜原の複雑な気持ちをうかがわせるようで興味深かった。

 なんとも四夜原らしいのは原発のものを描くのではなくて、舞台近未来とある町の小さな飲食店に持ってきたことだ。「エコマンマ」というのが店の名前で、実はこの店はエコ運動をしていた店主の妻の方針で電気水道・ガスをすべて断ち、電気自転車ペダルを回しての自家発電、水は雨水をためたペットボトル、ガスはカセットコンロで営業を続けている。

 まあ、どう考えても無理やりの設定なのだが、「オールガス」という言葉舞台上に何度か出てくるから、これは「オール電化」を標榜して、なんでも電気でさせようとし、その電源を原発に頼っていた東京電力あるいはそれだけではなく、関西電力をはじめ日本の電力会社に対する四夜原一流の皮肉なのであろう。それは物語の後半になってこの店に超強力な圧力釜が送られてきて、一層明白になる。この圧力釜は中身は封印されていて分からないのだが、そのまま火に掛けるよう指示されている。しかも「マニュアル通りにすれば間違いはない。絶対安全だ」の保証付きである。ところがこの圧力釜が壊れて大変なことになる。厨房であれほど活躍していた圧力釜が・・・なぜか爆発しそうになっている!ふたが開かずガスも止められない!。自らの熱で蓋のツマミが取れてしまい、冷やすために水をかけようにも断水状態。釜の中の圧力はどんどん上昇し、このままでは爆発してしまう……。

 例え話と指摘するのがバカバカしいほど「圧力釜とは要するに原発のこと」であるのは間違いない。それゆえ、この芝居が原発に関することで電力会社揶揄する内容を含んでいるのは確かなのだが、よくある芝居のように単純に「反原発」の主張をして政府や電力会社糾弾しているともいえない。

 というのはこの裏返しの原発物語には「エコ」すなわち「反原発派」的な活動も返す刀で揶揄されているからだ。エコ好きの妻はそれが嵩じた挙句、家を出ていってしまう。どうやら、国会議事堂を取り囲むデモに参加してしているらしく、しかもその最中に抗議の一環として持ち込んだ火縄銃が暴発してしまう……。

 四夜原の場合隠喩が重層化しているうえに韜晦しているところがあって、なにがどういうことを意味しているのかということを一意に言い切ることは難しく、またプロパガンダ的な主張がそのまま題材となるような単純な構造になっていないところに特徴がある。だが、少なくともこの物語において骨幹となる2つの爆発(圧力釜と火縄銃)がどこかで呼応していることは確かのように思われる。

 もうひとつ謎がある。「かなこるむ。」というこの舞台の表題はどうやら、竹腰かなこ演じるこの店の主人夫婦の娘「かなこ」から取られている。妻が店主(横山秀信)を置いて出て行ってしまった後で、娘は時折「幽霊」と名乗って暮らしている。どうやら、店主と妻には血のつながりがないらしい。そして、圧力釜をめぐる大騒ぎが一段落した後、娘は出ていくことを決意するところでこの物語は終わる。

 この「幽霊」というのが何を意味しているのか、これがはっきりしない。一応考えてみた結論はなくはない。だが、どうもしっくりとはこない。もう少し考えてみたいが、とりあえずの仮説をここで明らかにしておく。それは夫(東電原発推進派)、妻(反原発派)、かなこ=四夜原自身(つまり、自分意見を聞かれたら韜晦する幽霊のような存在だったが、単純な原発推進でも反原発でもなく、あえて困難な第3の道を模索することへの決意の宣言)ということだ。理屈としてはもっともらしいところもなくもないのだが、この仮説の最大の難点は誰も作者(四夜原)(=かなこ)という重ね合わせが気色悪くてできないことで……。だめだ、もう一度考え直そう(笑) 。

 

2012-03-03 花本有加×松木萌「ENJOY?」

[]Ervi Siren振付作品「KITE」 日本フィンランド共同製作@京都芸術センター

 振付:エルヴィ・シレン

作曲音響デザイン:アーケ・オッツサラ

照明デザイン:藤本隆行

出演:垣尾優/川口隆夫/玉邑浩二/岩淵多喜子/立石裕美

ステージマネージャー尾崎

翻訳制作スタッフケイトリン・コーカー/千代苑子

 JCDN/日本とZODIAK(フィンランド)の共同製作フィンランド人振付家エルヴィ・シレンが、照明アーティスト藤本隆行日本人パフォーマーと日本東京)にレジデンスして新作ダンス作品を制作した。フィンランドコンテンポラリーダンスに対してまったく前知識がなかったこともあって、どんなものなのだろうと思いながら見たのだが、この作品はあまりにもとりとめがなくてどのように見たらいいのかがよく分からない。正直言って退屈してしまった。

 コンテンポラリーダンスを見る時に私が注視する判断材料は大きく分けて2つある。ひとつ目はその作品がどのような独自の動き(身体言語)を持っているのかということで、これが本当に優れているものを初めて見た時にはほかのものはいらないほどである。もうひとつはそれが作品としてどのようにビビッドに「いま・ここに」を切り取っているのか、ということだ。

 これは「身体言語」とした部分を「様式」あるいは「スタイル」と置き換えればほかのあらゆるジャンル現代アートにも共通して成り立つ判断基準でもあり、それなりの普遍性を持っていると考える。ところがこの「KITE」という作品はそうした2つの基準では測りがたい。まず最初ムーブメントもなにも動きについてはなんらかのスタイルはないではないのだけれども、最初ソロで立った若い女性ダンサー立石裕美)の動きを見ているとこのダンサーがそれほど舞台経験がないのが明らかに露呈してしまう。手慣れた演出家であれば力量において差のあるダンサー舞台上にいれば演出的な工夫などで、それを目立たなくするものであるが、ここではそういうことはいっさいなされていないので、作品全体を見た時に明らかに完成度に問題がある舞台に見えてしまうのである

 さらに言えばどうやらこの作品では動きはなんらかの制約は課せられているようだが、動き自体はそれぞれのダンサーから出ているもののようで、ここには全体としての統一された動きのディレクションは感じられない。

 もうひとつの着目点である作品の主題に関していえば「KITE」というのはどうやら凧のことのようだが、それがなにを意味しているのかが作品からははっきりと伝わってはこない。むしろ、それがメタファー隠喩)としてなにか具体的なもの表象しているというよりは凧というものの持つ浮遊したイメージをゆるやかにリンクするような形で場面、場面と個々のダンサー存在する、そのための結節点のようなイメージにすぎないのではないかと思われてきたのだ。

 その意味では確かに「KITE」のイメージは作品にとって重要ものなのだということは感じられるが、なぜそれが「凧」なのかということは全然からない。日本ダンス作家であったら、少なくともコンテンポラリーダンス作家であれば「凧」をモチーフにして作品を作るということはありえないのではないか。あるいはもし作るとしても例えば「糸の切れた凧」のようなもう少しそのもの以外の具体的なイメージ表象できるような形で主題化するのではないかと思う。ここには「いま・ここで起こっていること」、すなわち現代社会における諸問題を作品と関係づけようというような意思はほとんど感じられない。

 それでは「ダンスのもの」を脱構築するような類の作品なのかというといわゆる「ノンダンス」やジャドソン教会流のタスク系のダンスでもなくて、個々のダンサーは場面によっては音楽に合わせて踊っていることも多いし、結局のところ日本コンテンポラリーダンスとはまったく異なる文脈で作られてるなということが分かる程度で、それがなんなのかはいひとつはっきりとはしないのだ。ただ、ダンスというのは踊り続けられることで、大きく変貌していくものであるし、この作品はフィンランドで上演されたうえで、これから坂本公成フィンランド制作することになるもう1本の作品と一緒に「鳥の劇場」で上演されることも決まっており、今後どのような作品になっていくのかについて引き続き注目していきたいと思う。

  

[]芸創セレクション 花本有加×松木萌「ENJOY?」@大阪芸術創造

ENJOY?

演出•構成•振付•出演 花本有加×松木萌

舞台監督 : 浜村修司

照明 : 筆谷亮也

音響 : 齋藤学

美術 : 土井新二朗

制作 : 小山佳織

宣伝美術 : KODAMA satoshi

主催 : 大阪市/花本有加×松木萌

協力 : 京都芸術センター制作支援事業


見てきました。初めての単独本公演としてはなかなか面白かったと思います。

2012-03-02 セミネール講義一覧

[]セミネール講義一覧(2012年2011年

 東心斎橋のBAR&ギャラリーを会場に作品作家への独断も交えたレクチャー解説)とミニシアター級の大画面のDVD映像演劇ダンスを楽しんでもらおうというレクチャー映像上映会セミネール。今年でいよいよ5年目になりました。最近どういうテーマを選んで実施してきたかというのを一度一覧としてまとめてみることにしました。各回の概要が分かるWEB講義録へのリンクとともにゲストとして作家自らに参加していただいた坂本公成モノクロームサーカス)と松田正隆(マレビトの会)については音声記録も収録しました。興味を持った人はぜひ聞いてください。さらに興味を持った人は参加していただけると有難いです。次回は3月20日を予定していますが、なにをやるかについては3月5日選考結果が分かる岸田戯曲賞の動向などもにらんで選定中です。

2012年

2012-02-14

[セミネール]「ダンス×アート 瀬戸内国際芸術祭2010『直島劇場』 モノクロームサーカス×graf」in東心斎橋ゲスト坂本公成

ダンス×アート 瀬戸内国際芸術祭2010『直島劇場』 モノクロームサーカス×graf』音声記録(音声だけですがセミネール当日の様子を収録したものです)

Web講義録(当日も流した映像の一部やレクチャーの参考とした過去レビューなどはこちらに) http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/10001126

2012-01-31

[セミネール]「ダンス×アート 源流を探る ピナ・バウシュ」セミネールin東心斎橋

http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/10001125


2011年

2011-12-27

[セミネール]「セミネール2011年年間回顧&忘年会」セミネールin東心斎橋

2011-11-20

[セミネール]「ダンス×アート 源流を探る ローザス=ケースマイケル」セミネールin東心斎橋

http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/10001121

2011-10-18

[セミネール]「演劇×アート 現代口語演劇を越えて マレビトの会=松田正隆編」セミネールin東心斎橋ゲスト松田正隆

演劇×アート 現代口語演劇を越えて マレビトの会=松田正隆編』音声記録(音声だけですがセミネール当日の様子を収録したものです)

http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20111018

 

2011-09-27

[セミネール]「演劇新潮流2 ポストゼロ年代演劇の祭典groundP★に行こう!!」

2011-09-13 セミネール特別編「ポストゼロ年代演劇批評

[セミネール]演劇批評誌「actリニューアル記念セミネール特別編「ポストゼロ年代演劇批評

2011-08-31

[セミネール]「演劇新潮流2 ポストゼロ年代へ向けて 第5回 東京デスロック多田淳之介

http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/10001026

2011-07-09

[セミネール]「演劇新潮流2 ポストゼロ年代へ向けて 第4回 ク・ナウカ&SPAC=宮城聰

http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/10001022

こちらは参考に

『宮城聰インタビュー1』音声ガイダンス 其の壱【ク・ナウカの方法論と詩の復権】

2011-06-11

[セミネール]「演劇新潮流2 ポストゼロ年代へ向けて 第3回 ままごと=柴幸男」

http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/10001018

2011-05-26

[セミネール]「ダンス×アート 源流を探る W・フォーサイス×ヤザキタケシ」セミネールin東心斎橋

http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/10001016

2011-05-15

[セミネール]「演劇新潮流2 ポストゼロ年代へ向けて 第2回 ロロ三浦直之」

http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20111003  

2011-04-26

[セミネール]快快(faifai)上映会〈セミネール・ポストゼロ年代へ向けて 特別上映会編〉

2011-04-13

[セミネール]「演劇新潮流2 ポストゼロ年代へ向けて 特別編/快快トークショー

2011-03-21

[セミネール]「ダンス×アート 源流を探る ダンス映像を見る会」セミネールin東心斎橋

2011-02-22

[セミネール]「ダンス×アート 源流を探る ダムタイプ音楽 山中透編」セミネールin東心斎橋

http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20110222

山中インタビュー(参考) http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00001205

2011-02-08

[セミネール]「演劇新潮流2 ポストゼロ年代へ向けて 第1回 クロムモリブデン青木秀樹レクチャー舞台映像上映

http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/10011201                               

2011-01-12

[セミネール]「演劇新潮ゼロ年代からテン年代へ」新年会秘蔵映像上映会