Hatena::ブログ(Diary)

中西理の下北沢通信(旧・大阪日記) このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-08-21 少年王者舘「シアンガーデン」@下北沢ザ・スズナリ

[]少年王者舘シアンガーデン」@下北沢ザ・スズナリ

作:虎馬

演出天野天街

出演

夕沈

小林夢二

岩本苑子

井村昂

篠田ヱイジ[名古屋公演のみ]

山本亜手子[名古屋東京公演のみ]

水柊[兵庫公演のみ]

中村榮美子[東京公演のみ]

がんば(きのこともぐら)[兵庫公演のみ]

スタッフ

脚本虎馬

演出天野天街

舞台美術: 田岡一遠

美術製作小森祐美加

映像: 浜嶋将裕

照明: 小木曽千倉

音響岩野直人[ステージオフィス

舞台監督岡田 保[演劇組織KIMYO]

振付: 夕沈/池田

音楽: 珠水/ FUMICO

チラシ: アマテンガイ

写真羽鳥直志

撮影山崎のりあき/田中博之

制作: 宮璃アリ/水柊/藤田晶久/篠田ヱイジ

協力:うにたもみいち/小島祐未子/望月勝美/金子達郎

カイユウゴ/うえだしおみ/相内友美/近藤樺楊/山本かおり(賄い方)

杉浦胎兒/中村榮美子/サカエミホ

雪港/☆之/水元汽色/カシワナオミ

街乃珠衣

共催:伊丹市立演劇ホール(兵庫公演)

主催少年王者舘

少年王者舘シアンガーデン」@下北沢ザ・スズナリ観劇。今回は作が天野ではなく、虎馬鯨ということでやや純度は落ちるかもしれない。セリフのいわゆる「天野語」と呼ばれている独特の言い回しや詩的な表現、掛け言葉ような言葉遊び天野ならではの煌めきを感じさせるような風味は薄かったかもしれない。ただ、幾重にも重なった「夢の中の夢」の入れ子的多重構造アパートの3つの部屋が融通無碍につながって作られた不条理かつ不可思議世界はやはり濃厚な天野天街ワールドで、そこは充分に堪能することができた。

2010年2月に上演された「夢+夜」のレビュー*1、その10年前の2000年に「下北沢通信雑記日記帳」に書かれた「自由人形」の感想引用した。その部分には以下のようにあった。

 「大阪日記」の2000年9月にある「日記雑記帳」にある少年王者舘自由人形」の感想の再録であるがここで注目してほしいのは「天野天街の芝居はほとんどの場合、死者の目から過去を回想し、死んでしまったことでこの世では実現しなかった未来幻視するという構造となっている」という部分で、ここでは死者の視点からの実現しなかった未来幻視となっているが、実はこの未来というのは「過去」「現在」「未来」が混然一体となった無時間的アマルガム(混合物)ともみなすことができる。つまり、村上春樹の「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」に擬えるならばここで天野が描き出すのは「世界の終り」であり、そこには時間がないゆえにそこでの時間伸縮自在でもあって、ループのように繰り返されながららせん状にずれていく平行世界のような存在でもある。そして、「幻視」される世界のなかで不可視なのはその中心にある「死」であり、天野ワールドではそれは明示させることはほとんどないが、まるで空気のように「死」に対する隠喩がその作品世界全体を覆いつくしている。

 この「シアンガーデン」は天野脚本ではないために少しその設定があいまいなところもあるが、それでも基本的構造は同じである。ここに出てくる3つの部屋は「死者の世界」であり、ロボットは実現しなかった死者の夢の象徴のようなものかもしれない。また、この世界では死=眠りでもあり、死は眠りであるからこそ、そこは自分が望んだことが自由に実現する世界でもある。だから、夕沈演じる少女の部屋には実際にはいなかった姉(岩本苑子)が一緒に暮らすために帰ってくるし、隣りの部屋には父親(

井村昂)と兄(小林夢二)妹(山本亜手子)が住んでいて、兄妹とかくれんぼ鬼ごっこで遊ぶこともできた。同じアパートにはネジを使わないで動くロボットを作っている男がおり、その男の元を彼を外に連れ出そうと女が訪ねてくる。  

 

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20170821/p1