好きな作家ーその3『色川武大』

うらおもて人生録 (新潮文庫)

うらおもて人生録 (新潮文庫)

色川武大の著作で最初に読んだものは、毎日新聞に掲載されていた『うらおもて人生録』だ。「人生全勝ということはありえない。勝ち負けはほぼ半分」「ここぞというところで白星を稼ぐために、どうでもいいところでは黒星を稼いでおく」「ほぼ半分のところを、少しでも六分四分に近づける」「力が衰えてくると、最初は六分四分を狙っても結局五分五分になってしまう」等々のようなことが書いてあったように思う。当時の私(試合に出れば勝たないといけない、と思っていた子供)としては非常に目新しい理論のように思った。最近、巷で売られている本には「人生、思ったようになる」「プラス思考の人にチャンスが来る」等々、明るいキャッチフレーズのものが多く、自分もそういう考え方に傾倒してきていて、「『どうでもいいところで黒星を稼いでおく』という考え方は、どうなんだろう?」と、今もふと思ってしまったりしているのだが。また改めて読むと発見もあるかもしれない。

色川武大の本は、他に『怪しい来客簿』『百』等を読んだように思うが、読んだのがもう何年も前で、ストーリーなどは覚えていないが、その独特の空気感が不思議に心地よかったように思う。

氏の別名『阿佐田哲也』での著作は、マージャンのルールが全くわからないので読んでないのだが、映画『麻雀放浪記』は観た。若いときの真田広之があまりにかっこいいので驚いた。結構、いい役の役者さんで、今は見かけないような、気になる役者さんがいた。この人は今、何をしてるんだろうなあ、なんて思った。