雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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ハイパーテキストプレイ

 文学フリマで頒布した『文学2.0』を読んでいただいた長屋言人さんからトラックバックをいただきました。

・文学2.0非常に良いと思うです。
・若干時期を外したタイトルかもしれないですが、内容自体は全く共感できました。
・というより、ボク、そういうの書いて良いですか?
・どこか閉塞感のある現状を打破するのは、これだっ! と思うです。
・……と言ったら褒めすぎ? いや、でも、実際こういう流れは必要だと思われ。
http://d.hatena.ne.jp/kazutokotohito/20061112

 また、*1キセンくんも日記で以下のように書いていました。

これは、俺にテキストプレイ小説を書けというお告げなんだなと思った。
http://d.hatena.ne.jp/firstheaven/20061112

 以上を受け、また『文学2.0』に作品を寄稿していただいた遠野浩十くん(id:yoakero)と話した結果、まずは文学2.0をハイパーテキストプレイと改め、そのうえで参加者を募集し、大々的に活動することになりました。早速、公式サイトを立ち上げ、『文学2.0』に掲載した作品を全文掲載し、文学フリマに来ることのできなかった人にも読めるようにしました。創作や文学に興味のある方にご覧いただけたらと思います。よろしくお願いします。
 また、即売会で頒布したものをあまり間をおかずにネット上で公開してしまったことに対し、文学フリマで『文学2.0』を買い求めていただいた方にお詫び申し上げます。いずれ『ハイパーテキストプレイ』を製本した際、『文学2.0』を持参してくださった方には値引きするなどして、謝意を表したいと思います。

*1:都合のいいところだけ引用させていただきますが、

『野性時代』2006年12月号

 今月の『野性時代』は新創刊三周年を記念して二十五編の読切短編が掲載されています。これが、また凄い面子。以下、その二十五人。
 あさのあつこ有川浩有栖川有栖いしいしんじ石田衣良伊藤たかみ歌野晶午冲方丁大崎善生加納朋子小池真理子重松清朱川湊人鈴木光司辻村深月恒川光太郎中山可穂梨木香歩西村賢太橋本紡畠中恵坂東眞砂子三崎亜記道尾秀介米澤穂信
 これは錚々たる作家陣と称するに相応しいでしょう。最新芥川賞作家の伊藤たかみライトノベル出身の有川浩冲方丁橋本紡米澤穂信。他に楽しみな作家は歌野晶午三崎亜記道尾秀介日常の謎を得手とする加納朋子畠中恵もきれいな仕事を見せてくれることでしょう。個人的には、これに森博嗣桜庭一樹角田光代森見登美彦が加わっていたら「野性時代編集部は全力を傾けた!」と絶賛しうる布陣でした。しかし、何にせよ『野性時代』の今月号は買いです! 文学読みもミステリ読みもライトノベル読みも、ただの本読みも是非どうぞ。

文学フリマでいただいたもの

 先日、行われた文学フリマにて、SKIPJackの古川さんから『S教授の手紙』を、Mad Tea Partyさんから成相裕幸・まつちよ・有里井怜都・アストライア清水・鈴木大輔『Mad Tea Party vol.2』をいただきました。『Mad Tea Party』に参加している鈴木大輔って、まさか『ご愁傷さま二ノ宮くん』の鈴木大輔かしら……?

1183『パーク・ライフ』

パーク・ライフ (文春文庫)

パーク・ライフ (文春文庫)

「死んでからも生き続けるものがあります。それはあなたの意思です」と書かれた日本臓器移植ネットワークの広告に薄ら寒いものを感じた主人公は、背後の先輩社員に向かって「なんかぞっとしませんか?」と声をかけたのだが、その先輩社員は少し前の駅でもう電車を降りていて、そこに立っていたのは見知らぬ女性だった。主人公は冷や汗を流したが、女性はすぐに元から知り合いのふりをして相づちを打ってくれる。やがて電車を降りた主人公は、日比谷公園で女性と再会する――。
 第127回芥川賞受賞作。途中まではそのあまりの地味さに「これがどうして芥川賞?」と首を傾げていた。何故って、よくある日常のいっときを切り取ったような小説なのだ。部分部分に納得するものはあれど、これといった展開はなく、淡々と日常が進む。しかし、ある科白を読んで疑問が氷解した。

以前、「どうしてみんな公園に来るんでしょうね?」と近藤さんに尋ねたことがある。近藤さんは珍しく真剣に考えあぐねていたのだが、「ほっとするんじゃないのか」とあっさりと言ってのけた。捻りのない回答だったので、返事もしないで済まそうとすると、「ほら、公園って何もしなくても誰からも咎められないだろ。逆に勧誘とか演説とか、何かやろうとすると追い出されるんだよ」という。

 衝撃的な科白である。公園が何のために存在するのか、どうして人は公園を訪れるのか。今まで、考えもしなかった。何もしないことをするために行くだなんて。一度、本を閉じ、『パーク・ライフ』という題名を見て、確信した。これは中々に上手く作られた、素晴らしい小説であると。