雲上四季 このページをアンテナに追加 RSSフィード

山吹色外典 本とボードゲームの感想などを綴る四季。 「ミスボド」毎月開催中。

2015-01-30

選び抜いた10作のボードゲームを紹介させてください

 例年、その年に遊んだボードゲームの中から、特に面白かったものを10作に選び抜いて紹介しています。遅ればせながら、ようやく決めることができました。

 と言うわけで、紹介させてください。

 2014年は220作のゲームを遊びました。その中から選びに選び抜いた、秋山真琴が自信をもって激選する、究極の10作です……!

部門の紹介

 今年はいくつかの部門に分けて紹介したいと思います。

・総合部門

・国産部門

・重量級部門

・協力ゲーム部門

・その他部門

 では、どうぞ!

総合部門

f:id:sinden:20140907124722j:image

 2014年のベストはカルカソンヌです!!

「え、ええええ!? これだけボードゲームやってきて、なんで今さら『カルカソンヌ』がベストなの!?」そう思われる方も多いかと思います。しかし、驚いているのは、むしろ秋山自身です。これから理由を説明します。

 元々、定番ゲームの中で『カルカソンヌ』は好きな方でした。少なくとも『カタンの開拓者たち』より好きです。『チケット・トゥ・ライド』ほどではないかもしれません。『マンハッタン』と比べたら『カルカソンヌ』の方が好きかもしれない……と言ったら、伝わりますでしょうか。まあ、言ってみれば、その程度の好き、だったわけです。ボードゲームを遊んだことのない方と遊ぶのには、絶好の一作。それが、元々の評価でした。

 ただ、その一方で『カルカソンヌ』は2人用ゲームだと主張してはばからない方々の存在も認識しており「確かに2人で遊んでも面白い可能性はある」と想像はしていました。

 機会が訪れたのは、10月末、第7回「ミスボド名古屋」においてでした。ゲームストア・バネスト主催の予選に出場し、世界選手権で見事に優勝した望月さんとも友人のおーのさんに、2人プレイを誘われたのです。チェスクロックを用いて、大会ルールで遊んだのですが、実に手に汗握る瞬間でした。何と言うのでしょう、慣れ親しんだルールが、突然、牙を向いて襲い掛かってくるような? こんなにも計算を求める、白熱するゲームだったのかと気付かされました。以来、色んなひとと2人で遊んでいますが、プレイごとに奥深さを突きつけられます。『カルカソンヌ最強指南書』も読みましたが、色んな技があり、研究しているひとがいるのだと知りました。

 自分の中で、そのボードゲームの立ち位置が変わった。という感動体験も含めて、2人で遊ぶ『カルカソンヌ』は面白い! と言うわけで、2014年のベストは『カルカソンヌ』にしようと思います。

 今年は日本選手権にも挑みたいと思っていて、あわよくば優勝し、世界選手権参加資格を獲得し、エッセンに遊びに行く口実にしたいと思います(なんとよこしまな……。

【追記】ちなみに、おーのさんの次に『カルカソンヌ』の2人戦を遊んだのは、世界チャンプの望月さんです。25点差で負けました。圧倒的な強さでした。

f:id:sinden:20140322190534j:image

 総合部門の次点は『落水邸物語』です。

 ちょうど2013年秋に、さたもとさんが見つけてきた量子人狼が一世を風靡したと思うのですが、その後、今度は量子トリックテイキングが云々と言っていて、遊ばせてもらったのが『落水邸物語』です。

 なるほど量子トリックテイキングとは言い得て妙です。トリックテイキングのシステムを借りつつも、いかにして自分に利益が出るように、結果を収束させるのかが主眼となる、量子性のあるゲームでした。トリックテイキングに対するリテラシー……と言うか、経験値を求めるという点において、けして敷居が低いゲームではありませんが、極めて画期的、かつ中毒性の高いゲームだと感じました。その後、デザイナの方と知り合うきっかけを得て、半年くらい「再販しましょう」と耳元で囁き続けましたが、見事、ゲームフィールドさんからリデザイン版が発売となりガッツポーズです。

 そもそもトリックテイキングというメカニズム自体が、ゲームに対する一定の知識と経験を要求します。多くのトリックテイキングにおいて、カウンティングは必要不可欠で、マストフォローなどの用語を知らない方は、一方的に負けることも珍しくありません。その一方で、トリックテイキングには特有の面白さがあります。その面白さの、新たなる次元を切り拓いたゲーム、それが『落水邸物語』です。

 感動体験という個人的な事情から『カルカソンヌ』がベストですが、これがなければ、最も新しく、最も美しく、最も面白い『落水邸物語』こそが、2014年のベストであると断言していたことでしょう。

国産部門

f:id:sinden:20141130160236j:image

 相変わらず国産ゲームが好きな秋山です。そんな秋山が1位に挙げるのは、遊星ゲームズさんの『12分クエスト』です。

 ある程度、ボードゲームが好きになると、デザイナの名前を覚えるようになります。ひとつのゲームが気に入ったら、そのゲームをデザインしたひとの、違うゲームを遊んでみよう、みたいな。そうして、遊び続けている内に、そのデザイナの癖もしくは嗜好、コンセプトが見えてきます。たとえばカワサキファクトリーさんであれば2人用アブストラクトであるとか、操られ人形館さんであればドラフトとトリックテイキングであるとか、BakaFireさんであれば、選択におけるジレンマであるとか。

 遊星ゲームズの寺島さんも、強い個性のあるデザイナさんです。秋山が、寺島さんのいちばん好きなところは、ご自身の好きに対して、アクセルを全力で踏み込むところです。そこには「このルールを加えたら、ついてこれないひとがいる」だとか「このコンポーネントを足すと原価が膨れ、費用を高くせざるを得ない」と言った余分なものはなく、ただただ、ひたすら「これが一番、面白いと思うんだがどう思う?」という問い掛けしかありません。

 そんな寺島さんのゲームは、どれも面白いのですが『12分クエスト』は、特に振り切れています。

『12分クエスト』はポストカードゲーム企画参加作品で、単価は100円です。ですが、ボードも、マニュアルもネット上に公開されているので、ダウンロードして印刷すれば、すぐにでも楽しめてしまいます。

 このゲームの何が素晴らしいかと言うと、ルールをプレイヤが自由に作ることが許されていることです。ただし、自分が有利になり過ぎるように作ったルールでは、他のプレイヤの同意が得られません。同意が得られなければ使用が許可されないだけでなく、持ち金が減るというリスクがあります。他プレイヤとの間合い、抜け穴の模索、そして高次元における読み合い。残念ながら、通常ルールや上級ルールで遊べるメンバーに恵まれていないので、実際には、遊べていません。それでも、面白さを想像することは出来ます。

 系統としては『ガントレット・オブ・フールズ』に近しいでしょう。『ガントレット・オブ・フールズ』では勇者を競り合うフェイズと、競り落とした勇者が何処までダンジョンを潜ることができるかの検証フェイズに分かれています。『12分クエスト』も、ルールを決める投票フェイズと、そのルールを駆使して冒険する検証フェイズに分かれています。しかし、後半フェイズのランダム要素は『12分クエスト』の方が、圧倒的に少ないです(Xだけが他プレイヤに左右される、不確定要素)。検証という観点におけるプレイ感としては『アグリコラ』に近いかもしれません。職業と小進歩をピックするドラフトフェイズと、そのドラフトが正しい選択だったかどうかを確認する検証フェイズ。『アグリコラ』をワーカープレイスメントではなく、ドラフトを主軸としたカードゲームと捉えたとき、『12分クエスト』も冒険ゲームではなく、ルールを作るゲームとなるでしょう。

 だいたい説明としては、以上です。とても面白いと思うのですが、どうでしょうか?*1

f:id:sinden:20141130133456j:image

 国産部門の次点は、辺境紳士社交場さんの『王たちの同人誌』です。

 これもですね、とても面白いと思います。そして、こういうゲームを、とても面白いと感じてしまい、ベスト10に入れてしまうところに、ちょっと変わったボードゲーム好きとしての秋山らしさがあるとも思います。

 元々、今野隼史さんは『今の風を感じて』の頃から好きで、『七人の武器屋』シリーズなんかも好きなんですが、ずっとイラストのひとだと思っていました。それが、ちょうど昨年、ゲームブックにはまった頃に『シュレディンガ・フォークス パラグラフの迷路』を読んで衝撃を受けました。とてつもない文字選択のセンス! そして、ゲームブックとして新たな地平線を切り拓く斬新さ!! あるひとつの方向に突き抜けた能力を持つひとは、他の方向においても、一定以上のパフォーマンスを発揮することを、改めて思い知りました。

 ゲームとして『王たちの同人誌』が抱える瑕疵の多さは否定できないでしょう。カード運によって、展開は激しく左右され、どう足掻いても勝てない、そういう場面が度々、発生します。

 良いところもあります。ひとつはフレーバーです。可愛いイラストと、シャープさを感じるフレーバーテキスト。同人誌や即売会、コミケといった要素に親しみを覚えてている方であれば、無条件に楽しむことが出来るでしょう。盛り上がるツールとしては、凄まじいポテンシャルを秘めています。

 もうひとつは王の強さでしょうか。このデザインは、あまり注目を浴びていないように思いますが、称賛に値します。タイトルにもなっている王という存在は、このゲームの中心であり、絶対的な権力者であり、目指すべき星であり、越えなければならない壁です。すべてのプレイヤが王を目指し、10分程度で終わるゲームを何度もプレイし、王が倒されたときは喝采が上がるけれど、それは、また新たな王の誕生でもある……。未プレイなので、正しい連想かどうかは分かりませんが『キング・オブ・トーキョー』が同じ要素を持っているのかもしれません。ただ、デザイン、フレーバー、王という存在、すべてが有機的に絡まり合い、ひとつの「ゲーム」として完成しているな、そう思います。後、補足として、同じく今野隼史さんのファンであるフレイさんと遊ぶことができたのは僥倖でした。

 ちなみに国産部門の次点は、最後まで『王たちの同人誌』にするか『Fate/Ace Royal』にするかで迷いました。『Fate/Ace Royal』もフレーバーがとても良くて、原作再現度が高く、ファンであれば楽しめるのですが、デザインという点において『王たちの同人誌』の方が好きだなあ、と。

重量級部門

f:id:sinden:20140621195700j:image

 What's Your Game?の2013年の作品『マデイラ』

 名古屋で中重量級のゲームの愛好者と言えば、真っ先に思い浮かぶのがアリタさんで、その次に思い浮かぶのがFTさんですが、『マデイラ』はFTさんに教えていただきました。

 受け売りですが、What's Your Game?という会社は、企業として社員が結託してボードゲームを作りこみ、年に1〜2作という、とてもスローペースで作品を発表しているそうです。国内で、いちばん人気があるのは『オドヴィル』でしょうか、『ヴィニョス』もよくプレイされていると思います。最近だと『春秋戦国』ですね。

『マデイラ』はインスト30分、プレイ時間4人で2時間40分、3人で2時間20分というシロモノです。ゲーム開始時にシャッフルしたタイルをボード上に配置したり、スタートプレイヤを決めるためにじゃんけんをしたらランダム要素がすべてと思いきや、ゲーム中にダイスを振るので、比較的、気楽ではあります。気楽ではありますが、考えどころは多いですし、充実度という点においてはかなりの高さを誇ります。

 遊んでいて楽しいのは、随所に感じる洗練性ですね。よくゲームを遊んでいると「なんで、こんなルールなんだ?」という瞬間があります。ちょっと引っかかる何かがあって、直後に「ああ、フリーゼか。なら、仕様がない」だとか「ああ、ローゼンベルグか。なら、仕様がない」だとか「ああ、ワレスか。なら、仕様がない」みたいな。つまり、デザイナの過剰な個性と言うか……いえ、批判しているわけではありません。手番がひとつ早いだけで、死ぬほど苦しめられるのはフリーゼの良いところですし、やりたいことがいっぱいあるのにアクション回数が絶対的に少ないのはローゼンベルグの良いところですし、借金を強いられるのはワレスの良いところです。

 その点『マデイラ』は突っ込みどころが、極めて少ないです。インストを受けたときは「ええ〜、ダイス振るんですか〜」と思ったり「え、海賊、強すぎない??」だったのですが、いざ、プレイしてみると、実に適切なんですよね。とても洗練されています。社員が一丸となって、何度も何度もテストプレイが重ねられた形跡が、プレイから感じ取れるのですよね。とても好印象です。ボードゲームをデザインする上で、重要なのは、あるひとつの方向に邁進する覚悟と決意です。デザイナがひとりであれば、我を通すだけで、それが実現できます。でも、2人なら難しくなり(クラマー&キースリングくらいでしょうか、2人ペアのデザイナで成功しているのは)、3人以上になると「えっ、あのデザイナとあのデザイナとあのデザイナが関わってるのに、なんでこんなにつまんなくなっちゃってるの……?」となったりします。それがですね『マデイラ』には、感じられなかったんですよね……。

 What's Your Game?の他のゲームは『オドヴィル』しか遊んだことがありません。『ヴィニョス』も、『ヴァスコ・ダ・ガマ』も、『春秋戦国』もこれからです。楽しみが残されていることは、とても幸せなことです。

f:id:sinden:20140215201907j:image

 重量級部門の次点は『雲南』です。

 こちらはアリタさんに教えていただいたゲームです。一昨年のリトルエッセンの新作では、やっぱり『炭鉱讃歌』が好きですが、後からじわじわ来るのは『雲南』ですね。ランダム要素が、最初の手番決めしかないというのも好みです。

 競り、手番、輸送、ワーカー、点数換算、ありとあらゆる要素が好みであり、それらが有機的に繋がって、面白さと面白さが掛け算で増幅されているように感じます。アートワークも、とても美しいです。

 前述の通り、ランダム要素が皆無なので、苦手なひとは苦手かもしれません。なので、ちょっと勧めにくいのが難点でしょうか。

……すみません、ここまで、じっくり書いてきましたが、さすがに書き過ぎな気がして、これ以上、書くと読んでもらえなさそうな気がするので、ここからは巻きで進行しようと思います。

協力ゲーム部門

f:id:sinden:20140816113342j:image

 ボードゲームのメカニズムの中では、協力ゲームが好きです。特にストーリーの要素が強くあるものが好きですね。指示出し問題は、あまり気にならなくて、それぞれに役割があって、ひとりではクリア出来ないけれど、全員が力を合わせればクリアできるというのが好きです。なので『ロード・オブ・ザ・リング』や『ドラスレ』が好きです。

 そして、こちら『ゴーストハンター13タイルゲーム』も、もちろん大好きです。

 実は、このゲーム。2013年のベスト10にも挙げたので、2年連続で入っていることになります。昨年とは、何が違うかと言うと、実は1日半掛けて、基本セットのシナリオ1からシナリオ13までをコンプリートしたのです! それも、わざわざこのゲームを一気に遊ぶ会を企画までしました。

 テーマが好みなので、だいぶ補正が掛かっていますが、それでも全13シナリオ、どれも面白かったですね。特に第13シナリオは、それまでのシナリオの集大成のようなもので、ちょっとびっくりな独自ルールが盛り込まれていて白熱しました。

 尚、このゲームは拡張が2つも出ているので、おそらくは今年も、どこかのタイミングでひたすらこのゲームを遊ぶ会を企画するように思います。そして2015年のベスト10にも入れてしまうかもしれません……。また、リュートさんとカッチャマンさんには声を掛けないとですね。

f:id:sinden:20140518013612j:image

 協力ゲーム部門の次点はアンドールの伝説』って、もう何だかお察しみたいな感じですみません。でも、面白いから良いじゃないですか。

 こちらも『ゴーストハンター13タイルゲーム』と同じく、1日掛けて全五章を遊ぶ会を企画しました……が、実際にはメンバーが入れ替わったり、何度も負けてしまい、やっぱり1日半くらい掛かったように記憶しています。

『アンドールの伝説』も拡張が出てしまっているので、どこかのタイミングでにゃかのさんにお願いして、拡張を遊び尽くす会を企画しなくてはですね……。

その他部門

f:id:sinden:20140113102743j:image 

 その他部門では『詠み人知らず』を取り上げさせてください。

 紙ペンゲームなので、ボードゲームもへったくれもないのですが、長谷川登鯉さんが専用のシートを作ったのが大きいですね。やっぱり、素敵なコンポーネントがあれば遊びたい気持ちが一気に膨れ上がりますし、色々な場所で積極的にメンバーを募って卓を立てられます。

 と言うわけで2014年の前半は、けっこう遊んでいました。だいぶ遊んだので、秋山選という形で特に良かった作品を、どこかで公開したいですね。

f:id:sinden:20141101210652j:image

 その他部門の次点は、アル隊長に遊ばせてもらった『フルカソンヌ』です。

『フルカソンヌ』というのは通称で、まあ、カルカソンヌの拡張全入りというものです。カタパルトを始めとしたランダム要素が上がりすぎてしまったり、拡張同士で競合して、無意味化させてしまうようなものは、アル隊長の判断で取り除かれているので、厳密には全入りではないのですが、まあ、そこはご愛嬌。

 2人1組で3チーム計6人で遊んだというのもあるかもしれませんが、とてつもなく面白かったですね。チーム戦って好きなんですよ。インスト1時間半、プレイ時間6時間半と、ものすごい時間が掛かるので、中々、メンバーを集めにくいという問題がありますが、誘われたら絶対に断らないゲームになりましたね。

終わりに

 と言うわけで、後半は、そうとう巻きましたが、2014年のベスト10でした。

 こうして振り返ってみると、ちょっと趣味が変わってるかもしれませんね。ほんとうは『手本引き』や『八八』も入れたかったのですが、余地がなかったです……まあ『八八』は2015年のベスト10に入れる予定なので構わないのですが(気が早い

 では、こんなところで。

 今年も面白いゲームに出会えますように!

追記

 書き終えてから気づいたのですが、10作すべてに誰かしらの名前が入っていました。

 ボードゲームはですね。ひとりで遊ぶものではないんですよ。

*1:後、個人的には、寺島さんとBakaFireさんは、何処かしら似ているところがあるように思うのですが、BakaFireさんが『アリストメイズ』を手掛けたのに対し、寺島さんは『12分クエスト』というのも興味深いところです。

B0001DCG3A
学研トイホビー
購入: 18人 クリック: 271回

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証