マルコには贖罪死がない

マルコが最初に福音書を、しかもギリシア語で書いたのは、エルサレム教団との間に一線を画す意図があってのことである。かれはイエスガリラヤ人(北イスラエル)として描き出し、エルサレム(南イスラエル)の地(ベツレヘム)での誕生物語は描かなかった。そしてとくに留意すべきは、重要な十字架の死を詳しく描いているが、そこに贖罪死という意味が込められていないことである。