第二十五話「ファイル8 呪いの家#4」

ファイル8最終回にして全編の最終回。

今回のナルの行動原理を端的に言うとこういうことになる


「おめーは俺を怒らせた」


まあ使った武器はスタンドではなくて、カメハメ波でしたけど。

それにしても、余裕で続きが作れそうな終わり方である。というか、実質ただの中断エンドである。大団円の振りさえしていない。とくに、序盤から張ってきたナルにかかわる謎(あだ名に過剰反応した理由、マサ子との関係、夢のナルとはなにか、リンとの関係)はほとんど明かされないまま終わってしまったのだった。第二期を狙っているのか。無理なようならDVDオリジナル、という展開を狙っているのだろうが、果たしてそれが可能になるだけの人気が獲得できたのかどうか。このもやもやを晴らすには当面のところ、原作小説(は絶版らしいので直接の元ネタである漫画版になるのか)をあたる以外はない模様。うーむ、あわてて買いに行くほどでもないが、それなりに気にはなるなあ。
 
さて、お話のほうは、巫女さんがようやく本領発揮である。浄霊のシーンで流れる『蟲師』的な増田俊郎の清涼にして神秘的な音楽がいい。蟲師のサントラに近い感じである(蟲師のほうはもうとっくに売られているけど、このアニメのサントラの発売予定がないっぽいのはなぜだ?)。
 あのクリーチャーな皆さんがただのゾンビのイメージだったのはちょっとがっかり。どうみても腐乱死体や水死体の崩れ方ではない気がするんですが(そういえば、『サンゲリア』だったか、ルチオフルチのホラー映画で、大昔の死体だからパサパサでかさかさのはずなのに、妙に潤いたっぷりなゾンビが出てくる映画がありましたね。

小さな見所は、マサ子の突然の洋装。突然なって、ほどなく戻ってしまったので、理由はまったくわからないけど、じつはけっこうおしゃれさんなのだった(あるいはあれは麻衣の服を借りたのか?)

気になるのは、眼鏡くんが入院していたとかなんとか言うくだりで、そんなに怪我をしていたっけ? OPもEDも無かったことからして本編をやるだけで時間ぎりぎりどころか足りず、カットされた場面があってもおかしくないノリだったのだから、あるいはDVDでは、その辺の事情がはっきりするシーンも描かれるのかもしれないが。

お話はいろいろ不満もあったけど、キャラ物としては、けっこう楽しめたシリーズでありました。ナルがあれだけもてる理由はどうにもわからないが(コルダの月森にしても学園アリスの棗にしても、もっとかわいげがあるから、もてる理由もわかるのだけど)

第十二話「ひとりぼっちのコゼット」

アニメとしてはおそらく前半の最大の山場であるコゼット救出編の前半だが、Aパートは、アニメオリジナルの設定の解消がメイン――ようするにガヴローシュとシュシュの去就である。そこそこあっさりお払いボコになってしまったけども、一話じっくりかけてシュシュが死んだりするよりはずっといいような気もする。

Bパートはジャンバルジャンの逃避行とコゼットにあうまでお、オリジナルのそうわをいくらか付け足しつつの進行。このオリジナル部分がなかなか気の利いた仕掛で、その場でのちょっとしたサスペンスとマドレーヌ市長の人格者ぶりのアピールだけでなく、次回の展開への伏線と(原作どおりなら)最終回あたりの展開への伏線でもあったりするのだった。

ともあれ例のコゼットのバケツをとってやるヴァルジャン、のシーンでほっと胸をなでおろした人は少なくないだろう。

それにしてもエポニーヌたちは何をしようとしていたんだろうか。次回ででてくるか?