Pub Antiquarian 『新青年』研究会のブログ

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4月17日、4月例会が、専修大学神田神保町校舎で開かれました。
発表は、黒岩裕市さんの「何が、どう「イケナイ」のか――河岡潮風の「男色反対論」を中心に」でした。


黒岩裕市さん「何が、どう「イケナイ」のか――河岡潮風の「男色反対論」を中心に」
・河岡潮風が『冒険世界』(1909・8)に掲載した「男色反対論」である「学生の暗面に蟠れる男色の一大悪風を痛罵す」という記事を取り上げ、「男色」が「イケナイもの」と見なされる過程をたどりました。特に、「男色」と男性性(「男性の侮辱」)、あるいは、国家(「国家の大損害」)との関連に焦点を合わせました。そのうえで、1900年前後の『萬朝報』に掲載された「学生の堕落」を批判する一連の記事における「男色」の論じられ方、さらには、押川春浪の冒険小説『海島奇傑』(1908)における「男色」表象と河岡の記事を比較検討しました。また、河岡がこの「男色反対論」をリライトした「男性間の顛倒性慾を排す」(『新公論』1911・9)にも目を向け、二つの記事の異同を分析しました。以上、河岡の記事を中心に、性欲学の流行の前夜に相当する1910年前後に発表された「男色」をめぐるいくつかの言説に光を当てました。