Pub Antiquarian 『新青年』研究会のブログ

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2012年5月19日(土)に、5月例会が専修大学神田神保町校舎で開かれました。

発表は、平山雄一さんの「江戸川乱歩、大倉テル子とヨーロッパの生埋め伝承について」でした。


平山雄一さん「江戸川乱歩、大倉テル子とヨーロッパの生埋め伝承について」

「妖影」(大倉テル子、一九三四)はモーパッサンの「痙攣」(一八八四)の翻案であり、また「白髪鬼」(江戸川乱歩、一九三一)はコレッリの「ヴェンデッタ」(一八八六)の翻案であることは、それぞれ著者自らが述べています。しかしこれらの「生埋め」のエピソードはモーパッサンコレッリの創作でもなく、中世から長年伝承されていた「生埋め伝承」の一部をなすものでした。その結果、本人達が意識していなかったにもかかわらず、乱歩や大倉テル子はそうした伝承の末裔の一員に加わったことになりました。