宵闇の帳


 夕陽を背に隠したが如く、其々が輪郭を金で縁取る紫雲にかわりゆく。
 青は紅に侵食され淡く薄く翳りながらも、火照るかの如くやわらかな桃色を差す夕刻。

 其々の。

 其々を包む闇の帳は長きや短きや。

 世間の喧騒遮り辿り着く暇(いとま)。
 独りに還る刻の幕開け。