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萌え理論ブログ

2006-06-08 書いたことを好くという方法

萌魔導士アキバトロン(8)

志朗の部屋のベランダは、隣家に向き合っていた。暗闇の中で手すりをまたぎ、隣のベランダに慣れた手つきで乗り移る。カーテンが掛かったガラス戸を叩くと、しばらくして鍵が開く。萌は驚いた顔で出迎えてくれた。要するに志朗と萌の部屋は二階が隣り合って行き来できるのだ。ぬいぐるみがある普通の少女の部屋だ。

「心配してたんだよ!」

彼女は彼をぽかぽかと叩く。頭を撫でてやる。髪からリンスの良い香りが漂う。彼女のふくれっ面はやがてため息で頬がしぼむ。彼女の話ではあのとき志朗が気絶した後、黒い長いベンツに――おそらくリムジンのことか――詰め込まれて風のように去っていったという。

「明日からまた一緒に登校するよ?」

はあ? 志朗は呆れた。今朝は萌と別々に登校して来た。方向音痴な彼女は初登校のために、朝が弱いにも関わらず早起きして、一人きりで登校したのだった。彼女にはひどいと責められたのだが、もう男女を意識するような年だし、手を繋いで登校というわけにもいかないだろう。図書室で既にそう説明したはずだ。

「友達に噂とかされると恥ずかしいからですかですか!」

腕をブンブン振り回す。足もピンと伸ばしたまま迫ってくる。奴はロボットと化した。

「あのなあ」

もし、さっきの日本刀少女のような危険な連中がまた襲撃してきたらどうするつもりなんだ。はっきり言ってお前は戦力どころか足手まといにしかならない。

「ボクが襲われたらどうするんだよ!」

「そのときは逃げろ」

「ビームでやっつけろー」

「無茶言うな」

幼馴染というか妹みたいな存在ではあるけれど、駄々っ子ぶりには困らされる。どこまで天然でどこから冗談なのかも、昔からいまいち分からない。

「もう帰るぞ」

シャツの裾を握って話さない。……まあ明日は一緒に登校してもいいか。今日は状況に流されっぱなしだ。


   (続)

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