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萌え理論ブログ

2007-02-15 生産性議論-

生産性が向上して給料が減ることもある!

分裂勘違い君劇場 - 「他人の生産性が向上すると自分の給料も増えるのか?」を中学生でもわかるように図解してみました

平均生産性はウェイトレスの賃金の「重要な決定要因の一つ」です。

分裂勘違い君劇場グループ - 劇場管理人のコメント - 今回の生産性論争の結末

「平均的な生産性が、賃金を決める重要な要因の一つだ。」という説明

いや、だから平均生産性は関係ないんですよ。

限界生産性

池田信夫 blog 限界生産性とPPPについての超簡単な解説

限界原理というのは、ちっともわかりづらいものではない。むしろ、わかりやすすぎることが怪しいぐらいの話だ。前の記事の説明を繰り返すと、喫茶店のウェイトレスをあらたに雇って時給800円を払えば、1時間に売り上げが800円以上増えるとき、店主はウェイトレスを雇うが、売り上げ増がそれ以下なら雇わない。それだけのことだ。

しかし、世間の常識と違うことが一点だけある。それは、問題は平均値ではなく、個別の店の売り上げ増だということである。世間の賃金相場がいかに高くても、あるいは喫茶店の売り上げがいくら多くても、ウェイトレスを増やすことで彼女の賃金以上に売り上げが増えなければ損するから、限界生産性を上回る賃金を払い続けることはできないのである。これが成り立つのに必要な条件は、前にも書いたようにいろいろあるが、重要なのは完全競争だということ。

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/470cbdc39360f5b3c77d0372e3ddcb6e

上記で完全に説明されているのですが、分裂劇場の記事に「分かりやすい」「これはすごい」などとブクマでコメントがついて、はてブはなかなか終わっている状況なので、くどく解説しましょう。要するに「限界生産性」の話の肝は、人を雇っても儲けが出ないなら雇わない、というだけの話です。世間の平均がどうだろうと、売上げがなければ給料が払えないでしょう。だから、問題は全体の平均ではなく個別の限界なんです。

これは、平均生産性が上がったから、炭鉱とかレコードとか人力車も儲かるようになって、給料が増えるわけではない、という例を考えれば分かるでしょう。皆が石油を使ったりCDを買ったり自動車に乗ったりすれば、平均なんか関係ないわけだから。他の生産性が上がって、労働力が不足しても、それに伴って価格も上げられないのであれば、単に淘汰されます。

ここで、法律でも最低時給が決まっているし、賃金には下方硬直性がありますが、それは失業率に転化します。あるいは赤字で給料を払ってもいいですが、長期的には淘汰されるでしょう。無い袖は振れません。ただし、公務員の場合は赤字でも給料がでますが、そもそも競争という前提がない。

分裂劇場の記事の工場労働者と清掃業者の例では、工場が清掃に余計にコストを払えば成り立ちますが、それは限界生産性が上がっているということなんですよ。清掃を省けないという前提がなく、工場が今までと同じ対価しか払わないのであれば、平均がいくら上がろうと変わりません。給料が払えないからです。それで人が集まらなければ清掃業者が淘汰されます。それなら平均なんか関係ないんだから、限界生産性で考えればいいでしょう。

生産性と労働力の需給は別の話です。生産性が向上して人手不足になれば賃金は上がるでしょうが、生産性と賃金が直接関係しているわけではありません。生産性が向上しても人手が足りていれば変わらないし、例えば機械化による生産性の向上などで、むしろ人手が要らなくなって、賃金が減ったりリストラされることもあります。生産性が向上して給料が減ることもある! それは全く不思議なことではありません。生産と賃金のメカニズムが別だからです。

関連:萌え理論Blog - 平均生産性vs限界生産性議論のまとめと大雑把な解説

newarrownewarrow 2007/02/17 10:09 限界生産性で、喫茶店のウェイトレスとコックの給料が違うのはどう説明できますか?
池田氏のブログのコメントに
p*f’(K,L)-w=0
なる式がありました。同じ店でもウェイトレスとコックでf(K,L)が異なる?
(p:生産物の価格,f():当該企業の生産関数, K:資本の量, L:労働量, w:賃金)

sirouto2sirouto2 2007/02/17 18:11 >限界生産性で、喫茶店のウェイトレスとコックの給料が違うのはどう説明できますか?
え!? どう説明って…そのまんま限界生産性の違いですよ。キッチンで料理を作るのと、ホールで料理を運ぶのでは、両者の限界生産性が違うからです。例えば、ラーメン屋でカウンターで直接渡せる場合に、ウェイトレスを雇っても生産はあまり増えないという例を考えればいいでしょう。ここでもやはり平均生産性は関係ありません。

newarrownewarrow 2007/02/17 20:46 その説明だと、ラーメン屋と喫茶店でウェイトレスの限界生産性は大きく異なるはずなのに、両者の賃金が大きく異なることは、現実にはないです。
できれば数式を使った説明が欲しいところです。

sirouto2sirouto2 2007/02/17 21:17 賃金が同じ場合には、限界生産性が「大きく異な」っていない、ということではないですか。ラーメン屋と喫茶店で価格がそう開いているわけではないでしょう。TVで取り上げられるフカヒレ入り一杯一万円ラーメンの店なら賃金に差が開くかもしれませんが、それこそ生産性の違いです。

もう一つは、賃金が同じでも人数が違います。限界生産性が異なっていても、賃金には下方硬直性があって、法律でも最低時給が決められているし、時給100円では人が集まらず、0.5人雇うというように労働力を分割することもできないので、採算が取れない場合には、労働者を雇わないという選択肢になります。淘汰です。

逆にウェイトレスを雇っているラーメン屋は、客席が広いなどの原因で、ウェイトレスの限界生産性が高いはずです。夫婦でラーメン屋をやっている場合は、競争による雇用ではないので、生産性が低くても成り立ちます。

別に数式を使わなくても理解できると思いますが、上の式で言えば、生産関数fが異なります。

newarrownewarrow 2007/02/18 08:53 http://d.hatena.ne.jp/Muichkine/20070217/1171727703
言ってることは同じかと思いますが、ここの解説がわかりやすいです。

sirouto2sirouto2 2007/02/18 10:03 マルチしといてそりゃないよと思いますが、上の回答に特に異論がないのであれば、もうウェイトレスとコックの話はよろしいですね。

risk2006risk2006 2007/02/19 16:07 「清掃業者が淘汰され」た後の世界(ただし全滅ではなく、相当数減った世界)を考えたらどうですか。そこでは、清掃業者の寡占が起き、(限界)生産性が上がっているでしょ。そしたら、結局、均衡点で考えれば全産業の限界生産性は同じになるから、結局「どの産業も賃金は同じ」世界になるでしょ。
この議論は、3手先まで読める人(分裂君など)を、1手先しか読めない人(池田さん)が批判しているだけなんですよ。

sirouto2sirouto2 2007/02/19 18:21 >均衡点で考えれば全産業の限界生産性は同じになるから、結局「どの産業も賃金は同じ」世界になる
よくある誤解ですが違います。単純労働の場合はともかく、例えば技術者になるには技術が必要なので、労働力の供給は均一にならず、結果的に賃金が異なります。

もちろん、生産関数が全く同一の場合は全産業で均一化しますが、それは例えば、医者は医療マシーンのボタンを押すだけ、弁護士は弁護マシーンのボタンを押すだけ、誰でもどんな職業にでも就ける、というような世界です。そのような想定の批判はナンセンスです。

risk2006risk2006 2007/02/19 18:49 だから、均衡点では、技術者もコモディティー化して、掃いて捨てるほど供給されるようになるので、単純労働者と同じ賃金に収束するということです。やっぱり、池田さんを支持する人は「3手先が読めない」ということ。

sirouto2sirouto2 2007/02/19 19:27 完全情報・完全競争で外部もない極端に理念的な労働市場はそうなりますが、それはモデルが単純だからです。モデルを複雑にして独占や組合など現実の事情を考慮する際も、限界生産のモデルは使えます。少なくとも平均生産性の概念なら「3手先が読める」ようになったりはしません。もし完全に平均だけの単純モデルで決めれば、全産業の賃金が平均賃金に均一化するでしょう。片方だけモデルを単純化する批判はナンセンスです。

risk2006risk2006 2007/02/20 09:16 池田氏の説がなぜ支持されるか分からなかったけど、「僕は技術があるから賃金が高くて当たり前」という心情が背景なんですね。
しかし、経済で「限界生産性」というのは、事業主(=雇用者)側の事業環境を反映した生産関数の微分であって、労働者側の技術は関係ないというか、どんなに労働者の「技術=生産性」じゃないでしょ。まあ、労働者側の技術によって生産関数を細分化する説をぶち上げるのは自由だけどね。
池田さんは「限界生産性とPPPについての超簡単な解説」で、
http://ingrimayne.com/econ/resouceProblems/MarginalProd.html
にリンクを張っているけど、そこの「The Labor Market」という図では、労働者/雇用者に関係なく、単一のMarket-Claering Wageという賃金の市場価格が成立することを示していて、逆に山形氏の説が正しいことの説明になっているな。

sirouto2sirouto2 2007/02/20 18:20 >労働者の「技術=生産性」じゃない
直接的にはそうですが、間接的には労働力の需要と供給の場面に関係してきます。企業は採用時に(技術的)条件を出し、その条件の分だけ労働者の供給が不足するので、結果的に賃金に反映されます。生産関数を細分化してもいいでしょう。

>「The Labor Market」という図では、労働者/雇用者に関係なく、単一のMarket-Claering Wageという賃金の市場価格が成立することを示していて、逆に山形氏の説が正しいことの説明になっている
全然違います。労働市場の需要曲線と供給曲線の交点で、理論上の均衡状態になるという図です。その均衡点では限界原理に基づいた賃金になるというのが、「Market Clearing Wage」の意味でしょう。労働者と雇用者の需給の関係ですし、まして平均生産性で決まるわけでもありません。

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