映画『マックス・ペイン』(20世紀フォックス映画)・試写会感想

概要

「世の中の不満、怒りをぶっ飛ばせ!! 男の本能を呼び覚ます、爽快アクション登場!!」 

08年10月17日に全米公開されるや、初登場ナンバーワン・ヒットを記録。最新のスローモーション・カメ(Motion Camera System)を駆使して捉えられたガンアクションは、アクション映画に目の肥えたアメリカの観客をも驚嘆させた、新たな映像パフォーマンスです。

主演は『ディパーテッド』でアカデミー賞ノミネートのマーク・ウォールバーグ。最愛の妻子を惨殺された苦しみに耐えながら、復讐のためにその犯人を追い続けるNY市警の刑事マックス・ペインを、硬派な存在感で演じて新境地を開拓しました。また、最新作『007/慰めの報酬』のボンド・ガール、オルガ・キュリレンコが、キーとなる謎の女をセクシーかつミステリアスに演じています。監督は、ディテールに凝った演出が光る『エネミー・ライン』のジョン・ムーア

復讐のために様々な謎を追うマックスが、死闘の果てにみた巨大な陰謀と驚愕の真犯人とは……!?

紹介

4月9日(木)、東京中野「なかのZEROホール」で、映画『マックス・ペイン』の特別試写会が開催されました。そこに、ブロガー枠で招待され、鑑賞して参りましたので、全国ロードショーに先駆けて、さっそくその内容をご紹介いたします。

最初に、『マックス・ペイン』の概要を軽くご説明しましょう。本作品は、同名ゲームが映画化されたものです。前半では、妻子を失った主人公が味わう最大限の苦痛をハードボイルドタッチで描きつつ、真犯人を追うサスペンスが静謐に進行します。後半からは、最新カメラを用いた超スローモーションの映像を伴って、怒濤のようなガンアクションが展開されます。

マックスと腕を組む、赤いドレスが鮮烈なナターシャ

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物語の内容に関して、序盤のあらすじをご紹介します。主人公マックス・ペインは、ニューヨーク市警の刑事。自らの妻子を殺害された、過去の事件を捜索しています。

ある日、マックスが手がかりを求めて訪れたナイトクラブで、ナターシャという美女と出会います。その彼女が帰り道に殺されたことで、マックスは警察内部からも犯人と疑われてしまいます。また、ナターシャの姉のモナからも、犯人と思われて命を狙われます。

孤立無援の苦境の中、犯人を執念で追い続けるマックス。しかし、「羽」に関連したいくつかの証拠によって、事件の輪郭が一つの線上に浮かび上がります。そして、事態は意外な方向に展開していき……。

この作品においては、「羽」が最重要のモチーフです。「意外な人物が犯人」ですが、「羽」(の関連物)に注目して、早い段階で伏線を見抜けば、犯人の目星がつくかもしれません。

――では、真犯人は誰なのか? 主人公は、復讐を果たせたのか? 死闘を生き抜くことができたのか? ……これらに関しては、ぜひ劇場へ足を運んでお確かめください。

マックスが戦う舞台は、雪が舞う冬のニューヨーク

演出の表現についても、「羽」のように降り注ぐ白い「雪」、さらに砕け散った「ガラスの破片」、これらがダークな世界観を叙情的に描きます。マックスの喪失感を表す、冬のニューヨークの景色、そして冒頭に出てくる冷たい海。こうしたモノトーンの色調の中にあって、赤のドレスが情熱的なナターシャや、後半で燃え盛る紅蓮の炎は、脳裏に焼き付きます。

さらに羽に関連して、翼が生えた「天使」のビジュアルのインパクトは非常に大きいです。物語の前半で主人公が抱えている鬱屈、喪失、欠如、といったものが反転して、後半で天使が乱舞します。その迫力ある映像スペクタクルは、主人公の身に起こった悲劇を忘れさせ、観客にカタルシスをもたらすのです。

――では、「天使」はどのような位置づけなのか、ファンタジーになってしまうのか、といった疑問が生じるかもしれませんが、それは現実と幻想が入り交じる本編をご覧になってください。

後半の銃撃戦で、マックスと共に戦うモナ
そして、何と言ってもスローモーションによる、クライマックスのアクションシーンが見所です。高層ビルのオフィスを舞台に、大銃撃戦の大立ち回りが行なわれます。その中でも特に、超スローモーションを駆使した映像美は必見ですが、その撮影技術について、このように監督が語っています。

「これ*2は要するに、1秒に1000枚までフレームを撮影できるデジタルのハードドライブだ」
「私はジョン・ウーウォシャウスキー兄弟が作り出した、魅力的な弾丸の流れをとらえるスローモーション撮影の単なる真似事はしたくなかった。この新しいシステムでは、我々ならではのテクニックを考え出したのさ」
ジョン・ムーア監督)

超スローモーションによって、発射された弾丸の軌跡や砕け散るガラスが、これは現実なのだろうかと思うほど、美麗な映像になっています。時間軸の伸縮によって、現実はかくも異なる相貌を見せます。「事実は小説より奇なり」と言いますが、「実写はCGより美なり」といったところでしょうか。

それから、マックスが主に使う拳銃は、ブラジル・タウルス社製造の「ジャッジ」というレアなものらしいですが、銃器マニアの人は、どんな武器弾薬が使われているか、チェックするのも楽しみのひとつでしょう。

感想は以上ですが、欲を言えば……、あっという間の1時間40分だったので、あと20分くらい欲しいと感じました。ちなみに、エンディング・クレジットの後に、エピローグ的な後日談がほんの少し流れますので、最後まで目が離せません。

この『マックス・ペイン』、映画の公式サイトで詳細が分かります。興味のあるかたはもちろん、鑑賞されるかたも予習して本編の見所を見逃さないために、ぜひご覧下さい。

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*1:以下の記述には、映画を見る楽しみを損なわないよう、物語の結末・核心・真相は述べませんが、多少のネタバレが含まれています

*2:※筆者注:ファントムと呼ばれる、撮影に使用したスローモーション・カメラ(Motion Camera System)のこと