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萌え理論ブログ

2009-10-03 ストーリー 物語 作成 制作 構成 方法

テーマ決定からストーリー作成へ至る道のり

概要

5分で物語を作れるにようになるコツ

物語の最小構成は「成功するか分からない目標に向かう主人公」だ。

1「主人公には何か目的がある」

2「障害(強敵やら身分の差やらハンディキャップやら、とにかく主人公の目的をジャマするもの全部)を乗り越えようとする」

3「結果が出る(成功する場合もあるし、失敗で終わる場合もある)」


主人公の目的達成を中心に据える物語構成は、元エントリにもあるように多くの物語作法本に書かれている、超古典的な話題なので、それ自体については全く否定しません。上の三段階を「序破急」と言い換えれば、大昔からある構成法です。

しかし、目的と障害の間で主人公が葛藤するというのは、ストーリー自体ではなく、ストーリーのテーマであって、それだけで物語が出来上がるわけではないでしょう。

物語が三段階で構成されるというのは、ラーメンは麺・具・スープの三種で構成される、というのと似ていて、確かにその通りですが、麺は細麺か太麺か、具はワカメかメンマか、スープは醤油味か塩味か、などさらに細部があります。

これは異論というよりは補足になりますが、やはり物語全体を語るには、テーマ設定だけでは物足りません。特に現代の物語環境を念頭において、テーマ決定からストーリー作成へ至る道のりを簡単に述べたいと思います。


考察

目的の階層化

なぜRPGは世界を救う話になるのか - 萌え理論Blog

  • ラスボス
    • 中小ボスA
      • エピソードa
      • エピソードb
      • エピソードc
    • 中小ボスB
      • エピソードd
      • エピソードe
      • エピソードf

『ドラゴンクエスト』であれば竜王、『ドラクエ2』であればハーゴン、『ドラクエ3』であればバラモスを倒すことが、主人公である勇者の目的(2、3については当初の目的だが)になっている。

しかし、その途中には多くのエピソードがある。たとえば、竜王を倒すためには、竜王の居城へ赴く必要がある。そこへ行くためには、「虹のしずく」で橋を架ける必要がある。その虹のしずくを手に入れるためには――と、大目的から小目的へ、再帰的に展開する。

これを以前のエントリでは、「RPGの弁証法的構造」として記述した。RPGに限らず、一定以上の長さの物語では、ふつう目的は階層化されている。入手したアイテムの効果が分からないなど、結果の先送りもよく行なわれる。短編でない限り通常、「目的→葛藤→結末」のサイクルは、一単位のみで完結しない。*1


目的の隠蔽/不透明化

比較的素朴な初代『ドラクエ』でも、「虹のしずく」の存在が最初から分かっていたわけではない。そしてシナリオが高度に複雑化した『ドラクエ4』では、冒頭の時点では最終目的(つまり倒すべきラスボス)が未だ明確になっていない。ここが前三作との違いだ。ちなみに、『ドラクエ5』も同様に冒頭で判明していない。

現代的な物語では、物語全体の目的が隠蔽される、不透明化している、偽の目的が与えられる、といったことがよくある。目的を達成できるかどうか、結果が分からないだけではなく、そもそも目的がよく分からない。その代表作はやはり、一世を風靡した『新世紀エヴァンゲリオン』だろう。

その後の時代に出てきた『涼宮ハルヒの憂鬱』『ひぐらしのなく頃に』といった作品を見ても、「途中から意外な目的が判明する」という構造になっている。特に『ひぐらし』では、主人公は誤解しており、隠された真の目的に気付かない。そのように、読者や主人公から、目的を隠蔽する場合もある。


無目的な物語

『らきすた』のような四コマ系の作品は、達成すべき目的が特にない場合が多い。少女マンガにおいても、目的の達成よりも、感情の充足が優先される場合がある(感情の充足が真の目的である)。

ノベルゲームでは、シナリオの多くの割合を会話が占める。たとえば、登校時の会話は何かの目的の手段になっているわけではなく*2、単に繰り返される日常の行為なのだ。あえていえば、会話自体が目的なのだ。四コマにおいてもノベルゲームにおいても、無目的な日常を描くことが物語になりうる。

必ずしも目的がないから、物語として破綻するとは限らない。現代の二次創作環境を見るに、「ヤマなしオチなしイミなし」の作品は増え続けているだろう。注意しておけばこれは、元エントリの目的を設定するという構成法が、間違っているわけではない。そうではなくて、無目的な物語もありうる、ということだ。


結果が判明している物語

元エントリには「成功するか分からない」とある。だが、主人公の勝利・成功が見える場合がよくある。それどころか、NHK大河ドラマのように、成功/失敗の結果が事前に判明している場合もある。ドラマの主人公が織田信長であれば、本能寺の変によって天下統一の夢は果たせずに終わる、といった結果を視聴者は見る前から既に知っている。

それでも、物語の面白さがなくなるわけではない。ではどこにあるのか。それは、ここまで述べたような、部分的な目的かもしれない。有名な物語でも、部分的になら、既存の作品にない新エピソードを盛り込めるからだ。あるいは、時代劇ならその時代の日常を味わいたいだとか、目的達成と関係ない部分に魅力を感じるかもしれない。

注意しておけば、これは特殊な例外を挙げているわけではない。知っての通り、メディアミックス全盛の時代であり、たとえば、TVアニメはオリジナルよりも原作が存在することが多い。すると、ストーリーのテーマは、多くの場合、原作から継承することになり、勝手に決められない。同人での二次創作も同様で、テーマを一から自由に決めることはない*3


結論

結論としては、現代の創作環境においては、主人公の目的達成と葛藤というテーマだけでは、物語全体を構成するには不足であり、目的を階層化するなどの、応用・発展的手法が必要になる、ということだ。

「勇者が魔王を倒す」というようなよくあるテーマなら、5分どころか5秒で決まるだろう。しかし、小目的に分割していけば数が増え、さらにエピソード同士の整合性も考えなければならないので、項目的な個別の設定作成と異なり、組み合わせ爆発によって、膨大な時間が掛かってくる。

テーマ決定は最初の一歩であり、テーマからストーリーへ至る道は千里である。しかしそれは決して、テーマ決定がどうでもいい、という意味ではない。「千里の道も一歩から」ということなのである。


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*1:今回は考慮しないが、下位の目的を「目標」と言い換えるなど、用語法については改善の余地があるだろう

*2:恋愛達成はプレイヤーの目的だが、少なくとも主人公の意識においては多くの場合

*3:全く違う物語にすると、パロディになる。原作あってのパロディなので、「一から自由に」決めているわけではない

ああああ 2012/07/03 22:54 引用元の文では設定ばかり考えている設置厨だった人がまず第一歩を歩んだきっかけについて書いてあるからそれでいいんだろうね。

ああああ 2012/07/03 23:24 無目的な物語っていうのはあり得ない「世界を観察する現実逃避が目的」なのでそれを明かすことがタブーとなっている。
つまり「嫌なことを忘れる」という目的があるのではないでしょうか?そういった話は現実逃避に特化した構成な気がします。

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