エロゲヲタが読んだ、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」

とある飲み会で某大手ラノベサイト管理人様と本作品について話す機会があり、色々と思うところがあるのでレビューしてみる。
いや、ここにでは実際に思ってることの3割ぐらいしか表現できてないと思いますが。

ニュースサイトを劇中に登場させること

そもそもこの作品が話題に上ったのはオタク系ニュースサイトを劇中に登場させていたことでした。
積極的な宣伝をお金を使う客の割合が多いと思われるオタク系ニュースサイトに行わせることは、低コストで最大限の宣伝効果をもたらすであろうと思われます。
ちなみに3巻で出てくるニュースサイトの最有力候補は冗談抜きでまなめさん家だと思ってる。

ラノベも工業製品になるの?

やはり最も強く感じたのは遂にラノベも万人に受け入れられようとする試みをライターレベルで始めたのではないかということです。
本作品の桐乃は多趣味すぎます。
コンシューマー、エロゲ、BL同人、ネトゲ、フィギュア等様々な
「あるある」をするラノベ、という点を見ればこれは属性を幅広くカバーしようとしていることに他なりません。
エロゲで言えば幼馴染み、姉、ロリ、ツンデレヤンデレ、えすでれ、姪、メガネ、男の娘ありとあらゆる属性持ちに向けたキャラクターを揃えてみました。さあ攻略してくださいという感じでしょうか。
エロゲオタからみるとこの作品にはAugust作品と共通するものを感じます。
尖ったところは無くとも、全体的なクオリティを高め、多くの読者に受け入れられる世界観、キャラクターを作り出し、より多くの人間に売り出し、より多くのグッズを売り、儲けて次の作品の質につなげる。
ラノベはどちらかというと尖った作品がたまたま多くの読者に受け入れられているという印象を持っています。
たとえば涼宮ハルヒの憂鬱なんていうのは萌えの皮を被った恐ろしく尖った作品だと思うし。
そういった特例に頼りきれなくなった結果、こういった作品が出てきたのでは?
あくまでエロゲオタから見ればですが。

結局面白いの?

なにはともあれ作者の腕は自分の知る限りにおいてはかなり上に来るのではないかという印象です。
正直なところ、シナリオ的には2巻の途中からはあまりのテンプレな展開に読むに耐えないレベルだとすら思いましたが、テキスト自体は非常にテンポがよく、沙織をはじめとする個性的なオタたちと桐乃の掛け合いも面白いため結局最後まで読んでしまいました。
個人的にはこの作者の他作品がどのようなシナリオで、どのようなテキストを書いているかにとても興味があります。後書きを読む限りは編集の作品に対する介入がかなりあったと思われ、そこでどのようなバイアスをかけたのか非常に興味のあるところです。これは気が向いたら後ほど言及することとします。

最後に

今年はラノベとエロゲ、もっと書く側、読む側智に交流が増えると良いなあと思っています。
この両メディアは非常に親和性が高いと思われるし、エロゲで面白い作品をラノベ畑の方が読み、ラノベで面白い作品をエロゲオタが読む機会がもっと増えればいいと思っています。
個人的には面白い物語が読めればそれで良いと思っているところもあるのでこのサイトでも面白いと思ったり興味を持った作品はどんどん紹介したいなと。やっぱりメディアの種類にかかわらず面白い物語を読みたい!というのがこのあたりに住んでいるオタクの最も大きな欲望であると思うし、そういった作品を探し当てるお手伝いを当サイトで出来たら、紹介しあえたらいいなあと思います。
そんな感じで今年もグダグダと更新していきますのでよろしくお願いいたします。